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「本格的なボランタリーセクターの形成に向けて」
(目次)
1.概要の説明とねらい
2.活動報告1(コミュニティ・サポートセンター神戸)
3.活動報告2(美方町足すり保存会)
4.活動報告3(国際葛グリーン作戦山南)
5.活動報告4(コープこうべ)
6.活動報告5(兵庫県社会福祉協議会ボランティアセンター)
7.ボランティア活動支援センター(仮称)の検討状況1(井内情報システム検討部会長)
8.ボランティア活動支援センター(仮称)の検討状況2(山口NPOマネジメント検討部会長)
9.ボランティア活動支援センター(仮称)の検討状況3(今田座長代理)
10.人材育成の必要性(会場発言)
11.ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画推進委員から(パネリスト・会場発言)
12.資金調達の課題(パネリスト・会場発言)
13.社会的支援の必要性(会場発言)
14.おわりに−まとめ
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
4年前の1月17日、突如として、私たちの街、私たちの故郷を大震災が襲いました。私たちは大変被害を受け、落ち込み、暗い気分になりました。さらに、6,400人を超える人々もまた亡くなりましたし、20万戸を超える家屋が倒壊いたしました。そうした中で、私たちの心にぽっと灯をともしてくれたのは、ボランティアの活動でした。もとより県内、さらには県外から、最も多いときには1日に2万人を超える人たちが、北海道から、沖縄からリュックを担いで、寝袋、食料を持参して、そして自分の出したゴミはちゃんと自分で背負って帰っていただきました。この姿に私たち被災した者がどれほど感激し、励まされたかわかりません。私たちは、この不幸な阪神・淡路大震災を、明るい面から「ボランティア元年」というように捉えました。そして、先ほど山岡さんからお話がありましたような様々なボランティア活動が日本全体で行われておりますので、これを一層支援するということで、この度、「特定非営利活動促進法(NPO法)」という法律ができたわけです。
しかし、翻って考えますと、私は、兵庫県政への協力を随分長い間していますが、兵庫県におきましては、決して地震の後ボランティア活動に力を入れたとか、支援を強化したということではなくて、もう随分前、例えば、20年ぐらい前にボランティア憲章をつくろうじゃないかというような試みもいたしていました。そして、全国で最初の「地域福祉課」という課を、当時の「民生部」に設けました。それから、これは、私自身が起草いたしましたが、もう15年ぐらいになるでしょうか、「福祉コミュニティ憲章」という憲章をつくりまして、県民自らが、そして企業が、社会が、行政がそれぞれやるべきことを「憲章」という形にしたわけです。そういう意味で、私は、兵庫県は、震災以前から日本で最もボランティア活動の進んだ県だと自負しております。
しかしながら、私のように外国で生活をし、しょっちゅう外国に行っておる者から見ますと、兵庫県、あるいは日本のボランティア活動というのは、まだまだその規模は小さいと言えます。例えば、アメリカを例に取りますと、アメリカでは、成人の半数約9,000万人がボランタリーセクターで何らかの活動をしております。成人の4割が週2回、何らかのボランティア活動をしているという計算になります。このボランティアが担う仕事、労働量でありますが、これを仮に給料で支払うといたしますと、フルタイム換算でアメリカの場合は 750万人分ということになります。年収を幾らにするかは、皆さんの頭の中で計算していただきまして、750万人分に給料を払ってこの仕事をしてもらうということになれば、これは大変なものであります。アメリカでは、それを約 1,500億ドルとはじき出しております。1ドル100円で計算いたしまして15兆円、それぐらいの分をボランティアが無償で働いているということになります。
さらに、イギリスのボランティア活動を見てみますと、ボランティア参加率は、男性は50%、それから女性は53%がボランティア活動をしております。このボランティア活動を週当たりの時間に平均いたしますと、男性は週に 2.8時間、女性は週に 2.6時間のボランティア活動をやっていることになります。
このことを考えますと、盛り上がってはまいりましたけれども、日本のボランタリーセクター、ボランティア活動というのは、まだまだこれから発展するだろう、また発展させていかなければならないということでして、兵庫県では、国のNPO法が施行されたのを受けまして、「県民ボランタリー活動の促進等に関する条例」という条例を制定をいたしまして、国のNPO法プラスアルファというものを定めたわけです。例えば、県の責務、市町の責務、それから県民の理解、事業者の配慮というようなことが、この通称「ボランティア条例」の中に入っています。
こういう兵庫県を、私はボランティア最先進県と言っておりますが、その最先進県であることを全国にシグナルを送ろう、そしてボランティア活動を現にしておられる方、これからされる方を支援していこうということで、「ボランティア活動支援センター(仮称)」の基本計画の検討資料をつけさせていただいております。これが一昨年前にまとまった「基本構想」、昨年と本年とかけまして、現在検討中の「基本計画」を皆さんにお示しするために取りまとめたものです。いよいよ来年度は実施の計画に入っていかなければなりませんので、その前段階の「基本計画」をまとめるに当たって、県民の皆さんに広く意見を聞こうではないかということになりまして、今日の「県民ボランタリー活動フォーラム」を開かせていただいたわけです。
最初に、このボランティア活動支援センター(仮称)基本計画推進委員会の委員の方々及び県内でボランタリーな活動をしておられる方にシンポジストとしてご議論をいただき、さらに、この基本計画推進委員会委員の方に、今日はオブザーバーという形でまたコメントをいただく機会があろうかと思います。そして、何よりもフロアの皆様に、一体それは何をするところなのか、こういうことも支援してほしいというようなご意見を頂戴したいということで、今日のこのフォーラムを開催した次第でございます。ぜひ、私も推進委員会委員の一人という気持ちで、ご発言をいただきたいと思います。
それでは、初めに、基本計画推進委員会委員及び県内でボランタリーな活動をしておられる方々から、ご意見をいただきたいと思います。
まず、中村さんからお願いいたします。
◎中村順子(コミュニティ・サポートセンター神戸代表):
今日の県民ボランタリー活動フォーラムのシンポジウムにおいて、パネリストとして私はここに座っておりますけれども、思い起こせば、ちょうど1年前「市民活動の基盤を考える」というテーマで、実は基調講演も今日の山岡さんをお招きしまして、全国のNPOセンターの事例に学ぶというシンポジウムをこの会場で行いましたことをまざまざと思い浮かべております。変わったのは、主催者で、今日は県ですが、その1年前のときは、私たちのような市民活動団体が同じテーマで会を催させていただいたのです。
1年前と同じテーマで行っているこのシンポジウム、主催者が当時は市民団体であり、今日は県である。これは何を意味しているのかということをふと思ったところです。というのは、ここにきて市民活動団体がちょっと足踏み状態になっているのじゃないか。本来、このような会は、「市民の皆さん、県が考えているボランティア活動支援センター(仮称)について一緒に考えましょう!」といって、皆さん方と一緒に議論する場を提供すべきだったと思いますけれども、今はちょっとその元気がないというところでしょうか。反面、県の方は元気になっておられるというのが印象です。
それでは、なぜ私たち市民活動団体が足踏み状態になっているのかということですが、そこには本格的なボランタリーセクターの形成に向けてどうすればよいのかヒントが隠されていると思います。
一つは、被災地の震災後に生まれた活動団体の多くは、仮設住宅を中心に対象を定めて活動を展開してきました。まだ何千戸も残っていますけれども、去年1年間かけて仮設住宅から復興住宅への大移動がはじまりました。そのことによって、対象が分散化してしまいました。その分散した先が一般住宅地域であるということです。今度の活動先では、一般の住宅地域の方々とうまくやっていかないと、NPOも活動ができないという問題に直面してきたと思います。また、十分自立してきた方もいる。そういう対象の変化があったということが一つ目です。
二つ目が、活動したくても場所がないという団体が多いことです。私たちの支援しているグループでも、仮設住宅を拠点にしながら活動しているグループは、この3月に出ていかないといけないわけで、場所の問題では非常に苦慮しています。
三つ目が、資金がないことです。これはいつも言われていることですけれども、3月に大きな資金が被災地でもなくなって、終了を迎えます。
あるのは意欲だけということで、活動に必要な四つの要素の三つまでが不十分な中で、足踏み状況があるのかなというふうに今、思っています。
今日は、特に場所の問題にこだわって申し上げたいのですけれども、私たちの支援してきたグループの中に、給食のグループがあります。仮設住宅で毎日30食か40食を地域の高齢者などに配食していますけれども、そこも3月に出なければいけないのですが、まだ行く先もないんです。この間、別件で地域の福祉センターに行く用事がありました。そこは2階建ての立派な建物で、1階にメインキッチン、2階にサブキッチンがある。その2階は、ほとんど使われた形跡がないようです。そういうのが、神戸では小学校区に一つぐらいあります。社会資源が本当にやりたい人のために使われていないじゃないかというのを一例として見たわけです。
ところが、逆の現象もありまして、ある会社から社宅が空いているから、それを地域のために使ってほしいという提供がありました。何らかの形でデイサービスのような高齢者のサービスハウスに使いたいと思って、住民の方々と話し合いを持ちました。しかし、なかなか住民の方々の同意が得られないんです。場所はあるけれども、今度は住民の方々の理解が得られない。NPOは一体どこへ行ったらいいのだろうかと、はたと考えてしまうことがありました。
いずれにしましても、そういう場所の問題、資金の問題、それから、情報がうまくきちんと地域の中で交差していないがゆえに、社会資源のミスマッチがあるということに私たちは気づき始めました。
けれども、最初に申し上げたように、地域のために活動したいという意欲ある人はいっぱい出てきているんです。どうかこの意欲が本当のボランタリーセクターとして地域コミュニティに定着できるよう、これから行政と一緒に考えていきたい。そういう場として、このような公開の場が、去年ぐらいから積極的に県のほうも取り組まれてきたということについては評価をしていきながら、一緒にセクターのあり方について考えていきたいと思っています。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
ありがとうございました。
それから、ボランティア活動支援センター(仮称)ですが、これは場所としては、東部新都心というのが現在、姿を現しつつあります。三宮の東側、神戸製鋼、川崎製鐵の跡地、通称、場所の形が帽子に似ておりますので、HAT神戸と呼んでおりますが、こちらの方で計画がされております。あくまでも予定ですが、こういう具体的な計画であるということでお話をお聞きいただきたいというように思います。
続きまして、毛戸さん、どうぞ。
◎毛戸公彦(美方町足すり保存会会長):
私は、「美方町足すり保存会」ということで、この場に出させていただきました。
まず、私の活動内容を簡単に説明しますと、もともと「美方町青年おじろ塾」という団体に入っておりまして、塾長をしておりました。青年祭というのを毎年やっているのですけれども、そこで何を披露しようかということになりまして、みんなの劇団、団体と相談したところ、やはり何か目立つことをしようじゃないかということになりました。そこで、思い出したのが、盆踊りなどで、お兄さんたちが刀とか槍などを持って踊っている姿で、あの時見た格好よかった姿を思い出して、「もう一回ああいうものをやってみたい。」という簡単な気持ちから、「足すり」という踊りを始めたのがきっかけです。
よくよく教育委員会に聞いてみましたところ、実は、美方町には「足すり保存会」というものが、青年団の方で昔から受け継がれていて、ここ10年ほどは活動していなかったということでした。それなら、「10年ぶりにもう一度保存会を復活させよう」ということになりまして、現在の「美方町足すり保存会」を復活させました。
活動内容としましては、私どものところは各村・地区が十数カ所ありまして、そこでの盆踊りで披露するとか、町の芸能発表会とか、昨年でしたら尼崎の市民祭とか、そういったところで踊りを発表する活動を行っています。
青年団が中心でやっていますので、平均年齢24歳で、一番若い方は20歳です。今は12名ほどの構成員がおります。
やり始めて5〜6年になるのですけれども、伝統芸能ということもあって、毎年お盆に帰ってこられる方に本当に楽しみにしていただいて、我々の踊りを見ていただいます。また、我々の踊りを見て、それがきっかけで、地元の中学生たちが、「格好いい!」ということで、そういう団体をつくったりしています。言わば、地域づくりの一環で活動しています。
今の課題としましては、今の若者によくあることなんですけれども、きっかけが、「やってみようか」というだけでやり始めるのですが、結局は、練習に時間がつぶれてしまいますので、やっていることに対しての認識が低いこともありまして、「遊びたいから、やめる」とかいうことで、どんどん数が減ってきていることです。何とか新しい人に入ってもらおうと頑張っていますが、やっていることが本当に地味で、かつらをかぶったり、袴をはいたりということで、なかなかとっつき難いということもあって、今年で6年目を迎えていますけれども、これからの課題として考えていかなければならないと思っています。
私たち青年団は、かつて阪神・淡路大震災の時に、神戸へボランティアで行かせていただきました。今、「青年団」というのは貴重な言葉なんですけれども、それまでは交流が全然なかったのが、この震災をきっかけに、但馬の方で16の青年団が集まって、「支援対策委員会」をつくりまして、神戸に炊き出しに来たりとか、地元で募金活動などを行いました。
青年団でボランティアをやっていますので、みんなで「行こう、行こう」と誘い合ってやった方が多く、初めてボランティアをした、初めて炊き出しをしたとか、初めて路上で募金活動をしたといった若者がたくさんおられました。また、それをしたことによって感動を覚えて、本当にやってよかったという若者たちも多かったのです。しかし、半年を過ぎたころ、ボランティアの意識がだんだん薄れてきて、「もう一度神戸に行こうや!」という言葉をかけても、行きたがらない。その理由としては、「もういいよ」とかいった言葉が返ってきました。「なぜそういうことを言うのか。」と聞くと、震災当時は、ボランティア、ボランティアとあちこちで騒がれていたので、「一度やれば、それでいい」と考える若者が多かったのです。ですから、「一度行ったから、もういいよ」と思ったり、他にも、各町の例えば消防団とか、地区から参加して行っている若者もいますので、ほとんどの若者から「もういいよ」という言葉が返ってきました。
今にして思えば、本当に感動してくれた青年団員とか若者一人一人が、あの時、もっとボランティアというものを認識してもらっておればよかった。震災から4年たっていますけれども、僕の中でも、みんなの中でももっと勉強しておれば、今でも続いていたのじゃないかということを、今すごく思っております。
今回、神戸に「ボランティア活動支援センター(仮称)」ができましたら、それを発端として、我々の住む但馬地域でも、そのような施設ができたりとかいう形で、地域に根づかせていければと思います。ボランティアを今やっている方というのは、中学生、高校生、そして学生が多いと思うんですけれども、それだけではなくて、若者もいかにボランティアに関わっていくかということを、もっと私どもで勉強したいと思います。ボランティアをやっているグループといろいろ検討していくのはいいんですけれども、今までボランティアに関わったことのない若者が、どういうふうにボランティアに関わっていけばよいのかとか、また、ボランティアに関わることによって、本当に精神的にも強くなるとか、ボランティアをきっかけに地域づくりとか自己開発を学んでいくようなセンターであってほしいと思います。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
毛戸さん、「足すり踊り」というのは、どんな踊りなんですか。
◎毛戸公彦(美方町足すり保存会会長):
袴や着物を着て、刀や槍、テーマによっては"まとい"といったものを持ちます。そして、各地区の盆踊りの音頭にあわせてリズムをとって踊っていきまして、一、二、三、四という手拍子があって、五回目の手拍子で5人なら5人が刀とか槍をそろえるというものです。美方郡内といいますか、昔からある伝統芸能でして、秋祭りの豊作の行事でした。我々は、ただ、見て、「格好いい!」というイメージが最初にあってやり始めたものですから、「足すり」とは何かという由来はあまり知りませんでした。ただ、やっている限りは伝統芸能ですので、大人たちが指導してくれるのです。若者だけではなくて、先輩とか、おじいさんたちが一緒になってやっていっていますので、すごく気持ちいいといいますか、毎年お盆が来るのが楽しみになっています。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
メンバーは、男性だけですか。
◎毛戸公彦(美方町足すり保存会会長):
以前は、女性が一人いたのですけれども、最初は青年団という形でやり始めましたので、結婚されると青年団を抜けますから、「足すり保存会」も抜けてしまうということで、現在は男性のみになっています。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
現在はメンバーの数は。
◎毛戸公彦(美方町足すり保存会会長):
12名です。この踊りでは、私もよくやるんですけれども、女装したりします。それは、今日は何をやりたいとか自分たちで考えてやっています。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
瀬川さん、どうぞ。
◎瀬川千代子(国際葛グリーン作戦山南理事):
「国際葛グリーン作戦山南」というのは、「フィリピンのピナトゥボ火山の被災地を葛でもって緑化する。そしてアエタ族の生活を支援する」といった活動です。この活動が始まりましたのは、平成4年(1992年)です。私は、山南町中央公民館の嘱託職員として、もう12年勤めていますけれども、この平成4年に、「我が町の葛を生かそう」というテーマで講演会をしたことがきっかけです。その講演会の1年前にピナトゥボ火山が大爆発を起こしていました。兵庫県の広さぐらいの大きな場所が火山灰に覆われてしまいました。葛というのは、火山灰にも強くて、そういう火山灰砂漠のところを葛で緑化して、そこにいろんな植物を植えて植林を進めることができる、そして土石流を防止することができるという話を、神戸大学農学部の津川兵衛教授から聞きました。
私たちというより、この講演会に参加された町の人たちが、私たちも葛の種を集めるから、そこに届けてほしいということで、どんどん集めて公民館に持ってくるようになりました。個人的に集めるよりは、私たちで団体を結成して、毎年定期的に集めたほうがいいじゃないか。そしてフィリピンへ送ろうと、町民がまずそういう気持ちになって出来たのが、この団体です。
最初は種を集めて、他の団体に託して、そしてピナトゥボ火山の被災地に植えてもらい、成功しました。土石流が毎年雨季になればどんどん流れているところの流れが止まって、何も生えなかったところに、いろんな現地の雑草が生えてきました。葛ばかりでどうにもならなくなるのじゃないかなと心配していましたけれども、そうではなくて、葛と現地の雑草は共生しました。ちゃんとお互い助け合って生きていけるようになっていました。そこに野菜も栽培できるようになったり、今では植林も始まっています。
そういう活動をどんどん続けて、町の小学生、中学生、高校生、老人クラブといった人達が、葛の種を集めたり、集めた種の、さやから実を出す作業をしたり、どんどん関わっています。そして、「私にも国際協力ができる。嬉しい!」、「こんな田舎にいて、こんな年老いていても私たちにも国際協力ができる、そんなボランティア活動ができる」と、すごく喜ばれています。
そういう人たちの生きがいをもっともっと支えるために、去年の平成10年、フィリピンのNGO「アエタ開発協会」と事業提携をしまして、このパンフレットにありますように「葛グリーンプロジェクト」を始めました。そのために、私たちは、助成金を環境事業団の地球環境基金というところから 510万円いただけるようになりました。そして、そこで使う葛の苗のポットというのは、使用済みの紙コップを使う。そうすれば、焼却してもダイオキシンの発生を抑えられるということで、紙コップ集めをしています。これは イオングループ環境財団の省資源リサイクル活動の助成金を、これも60万円いただけるようになって、始めています。
私たちの活動がここまでやってこられたのは、私が公民館に勤めていて、勤めながら国際葛グリーン作戦山南の事務局をするという、両方を二足のわらじのような形でやってこられたというところにあります。でも、こういう形はそんなに長くは続かないというのが私の考えです。どんどん活動が活性化すればするほど、事務局の事務量は増えてきます。国際葛グリーン作戦山南が、きちんと有給の事務職員を雇える団体に成長すれば、それこそNPO法にあるような法人格を取得して、きちんと運営できる団体になれば、どんどん長くこの活動は続いていくと思います。
でも、何と言っても資金が必要です。今、ボランティア活動に限界を感じています。今まで公民館の事務機器を借用したり、電話機を借用したり、公民館という場所で情報の連絡をしたり、公民館の仕事をやりながら、両方の仕事をやってもいいという公民館と町の支援がありましたから、この活動が大きくなったのですけれども、今は、いくらそこまでサポートしてもらっても、資金集めに本当に苦労しています。
それから、事務局体制です。どれだけ私が仕事とこのボランティア活動を兼務してやれるか。毎日夜遅くまで会計の事務とか、いろんなことをやっています。有給で誰かを雇ってやってほしい。でも独立した事務所が持てない。それは私たちの悩みです。
そして、助成金です。助成金の仕組みというものにも悩んでいます。助成金をもらっても、事務局の人件費には充てられないし、事務所を借りる費用に使うのもだめです。
そして、一つのプロジェクトを実施するためには、複数の助成金を取らないとやれないのです。「うちは環境のこの植林の部分だけ」、「うちはこのリサイクルの部分だけ」というように、それぞれ助成目的が違うんです。「これは、あなたたちのボランティア活動の支援部分だけ」、「国内の部分だけ」、「国外はだめ」とか、いろいろあって、複数の助成金を取る。そうなると、会計がものすごくややこしくなりますし、余計事務量が増えてきます。そして、その助成金もタイミングというのがあって、私たちは、向こうに住んでいる少数民族の方と国際交流をやりたいから、また国際交流をやらなければ、この活動は充実させられない、啓発のためにも、理解するためにも呼びたいと思って助成金を申請しましたが、取れなかったこともあります。でも、助成金が取れるということがわかってから活動を実施すると、「間に合わないから、やってしまえ!」ということでやりました。結局、その分は赤字になりました。
また、寄附金を集めるといっても、なかなか難しいです。
法人格を取得するといっても難しい。私たちのように、法人格は取りたいけれども取れないという団体もたくさんあると思います。だから、ボランティア活動支援センター(仮称)ができるならば、寄付金というものを集める、大きな窓口になっていただいて、小さい団体にも寄附金が回ってくるように、企業や一般の方から、「私は環境の方に寄附したい。」とか、「私は介護の方に寄附したい。」とか、いろいろあると思いますので、そういう分野別に寄付金を集めていただいて、支援してほしいと思って待っている小さな団体の方にも少し回してもらえるようになれば、小さな団体で取れない寄附金というのが、そういう支援センターで一括して取れるようになる。そして、先ほどもお話がありましたように、そういう支援センターにきちんと寄附したところ、大口寄附したところは免税をしてもらえるような、そういう法律でもできたら、私たちの活動はもっとしやすくなると思います。もっともっと言いたいことがありますけれども、この辺で終わらせていただきます。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
ありがとうございます。瀬川さん、パンフレットによれば、一口1,000円の寄附とありまして、それから賛助会員、特別会員それぞれ会費が出ていますけれども、これで集まりますか。
◎瀬川千代子(国際葛グリーン作戦山南理事):
ありがたいことに、平成10年度は70万円ぐらい寄附が集まりました。ありがとうございます。皆様方の1,000円ずつが70万円になりました。賛助会員は150人です。これからもよろしくお願いいたします。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
ありがとうございました。
それでは、宮内さん、どうぞ。
◎宮内明彌(生活協同組合コープこうべ常任理事):
コープこうべは、ご存じのように、社会運動家の賀川豊彦の提唱によってできました組織ですから、生協そのもの、コープこうべそのものが福祉ボランティアの精神そのものからスタートしているということが言えようかと思います。そういう意味で、戦前からこの福祉ボランティアの活動というのは進められていたようでして、例えば、もう37年前に、「ともしびボランティアサークル」という名前のサークルが、いくつかできています。当時はまだ「ボランティア」という呼称も一般化されていなかった時代です。例えば、それは、手で触って読む絵本づくりとか、朗読テープのボランティアのサークルとか、養護学校や成人病センターを支援するボランティアなどです。それは現在も続いており、サークル数では300、5,000人を超えています。
そういう状況の中であの震災に私たちは遭遇したわけです。1月に震災が起こり、2月に姫路から宝塚の8つの地域に「コープボランティアセンター」を設置しましたら、数千人という方がご登録されて、現在、その8つのセンターにボランティアとして登録されている方が 5,000人近くいらっしゃいます。ですから、先ほど申し上げました、従来からの福祉のサークルをやっていらっしゃる方々と、震災後、登録されて活動していらっしゃる方々と、合わせて 9,000人を超える方々が今、8つのボランティアセンターで活動なさっていらっしゃるというのが現状です。
後段のボランティアの取り組み、震災ボランティアといわれるものでございますが、避難所から仮設住宅、そして、今は恒久住宅でのボランティアというところに移行しつつあります。特に、恒久住宅でのボランティアが非常に難しく、ふれあい喫茶とか、教え合いサークル、絵手紙活動や、その他、見回り活動など、これは特に区社協さんとか、市社協さん等とも連携しながら活動を進めておりますが、その震災ボランティアの課題といたしましては、一つには、情報。恒久住宅にお移りになられた被災者の方々の本当の正確なニーズというものが、十分につかみきれないがゆえに、何をボランティア活動としてしたらいいかということが、なかなか提供でき得ないということです。5,000人近い方、これは学生さんも、男性も随分いらっしゃいますが、二通りありまして、一つは、指示待ちというのでしょうか、「メニューが提供されれば私は動くよ」という方々です。そういう方々に対しては、正確なニーズがつかみ得ていないから、なかなかメニューが提供でき得ないということがあります。もう一つは、放っておいても、本当に積極的な方々は、兵庫県内にあるさまざまなNGO、NPOとコンタクトをとりながら、独自の活動を進めておられます。相対的に、震災後に誕生して、登録して活動していただいているボランティアの方々は、エネルギーが抑圧されているというか、エネルギーは持っているんだけれども発散する場所が今なくなりつつあるというのが課題です。
もう一つの課題は、従来型の福祉活動をなさっていらっしゃる方々と、震災後、登録して活動なさっていらっしゃる方々との融合を図ろうとしているのですが、これがなかなか難しゅうございます。一方では、無償のボランティアこそボランティアだというお考えの方が随分多い層と、有償で、お弁当が出てもいい、交通費が出てもいい、むしろ出してほしい、我々はそれ以上のボランタリーな活動をするんだからというお考えの方と、例えばの例でございますけれども、そういう方々との融合を図らなければ、本当に助け合う地域社会づくりというのは、なかなか難しゅうございますので、そういうところがもう一つの課題ではないかと思っております。
そういうことを踏まえて、支援センターに期待するところの一つが、これは県への要望になるのですが、ボランティア活動支援センター(仮称)と併設される「地域安心ネットワークセンター(仮称)構想」。これは、医療も含めてですが、福祉の部分を促進するセンターでございますが、それが同じ建物に併設されるわけですから、地域安心ネットワークセンター(仮称)とのリエゾンといいますか、融合をぜひ意識したプランにしていただきたいというのが一つです。
もう一つ、一番大事なのは、ボランティア活動を支える担い手づくりということ。センター・フォー・センターズではございますけれども、人材育成というのが非常に大事な機能になる、むしろ期待をしたいと思います。コープこうべの私たちは、ボランティアがたくさんいるような社会をつくるということを目指しているのではなくて、もうボランティアと呼ばれる人がいない地域社会をつくっていきたいわけです。ボランティアしているとか、されているとか、そんな関係ではなくて、お互いに支え合う社会づくりを目指しているわけです。だけど、絶対に必要なのは、そういう活動をしている方々と求めている方々とをつなぐコーディネーター、ボランティア同士をつなぐコーディネーターは、やはり特別な知識、スキルというものが必要ですから、そういうものを持っている人材はたくさん育成したいし、コープこうべもそれを希求しております。そういうところでこのボランティア活動支援センター(仮称)が、ぜひ機能を発揮してもらえればということを期待しております。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
コープこうべの方でボランティアのための財団法人を立ち上げられまして、私もお手伝いさせていただきましたけれども、最終的に基金は何億円になりましたか。
◎宮内明彌(生活協同組合コープこうべ常任理事):
震災の翌年の平成8年2月に県から認可いただきまして、現在、基本財産は7億 3,000万円です。そのうち約2億円は全国からの生協に対する支援金です。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
財団法人をつくるとき、何十年とボランティアをこつこつとやってこられた皆さんが、私たちは、こつこつやってきたので、果たしてそんなに大きな組織が要るのでしょうかという違和感を持たれたのが大変印象的でして、今もちょっと気になっているんですが、その後、どうですか、馴染まれましたか。
◎宮内明彌(生活協同組合コープこうべ常任理事):
何とか馴染むというか、ご理解いただいていると言えましょうか。先ほど申し上げましたように、何十年と福祉の活動をなさっていらっしゃる方々は、やはりヒューマンな、身近に見える形で、心が通いあう助成とかの活動をしてほしいという思いを根底にずっとお持ちです。だけど、財団法人をつくることによって、年間約300団体、1,200万円ほどの助成ができるようになっていますから、当時と比べたら、随分大きな果実を提供することができておりますので、喜んでいただいていると私は理解しております。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
次に、兵庫県社会福祉協議会の松澤さんにお願いしたいのですが、先ほどアメリカとイギリスのボランティアの状況を簡単に紹介させていただきましたが、兵庫県内のボランティアの状況なども含めて、ご紹介いただけますか。
◎松澤賢治((社福)兵庫県社会福祉協議会ボランティアセンター所長):
松澤です。よろしくお願いします。
今日、お手元の資料で入っておりますものでは、表題に「兵庫県におけるボランティア活動の状況について」という、抜粋ですけれども、その調査報告と、1月14日に、今お話しなさいましたコープこうべ・宮内理事のところと、私ども兵庫県社会福祉協議会、そして神戸市社会福祉協議会が、「市民福祉社会への協働憲章」という憲章を正式に調印して発効しました。それの関連文章を入れておりますので、これも使いながらご説明をさせていただきたいと思います。
まず、これは毎年やっていることですが、昨年、私どもが、県内市町の社会福祉協議会等を通じまして、ボランティア活動をしておられる方が県内にどれぐらいいらっしゃるのかということを調査した資料があります。この調査によりますと、現在、兵庫県内で我々が掌握できているのは、約18万人の方々がボランティア活動に何らかの形で参加、参画されていらっしゃるという状況です。
そのグループ数は、約5,800ぐらいだろうと言われています。その5,800という母数が、ご紹介しました兵庫県におけるボランティア活動の状況のグループ調査のベースになった母数ということになりますが、先ほど山岡さんがご紹介されましたように、全国で約10万だろうと言われておりました、それの兵庫県の数に当たるものが 5,800という数字になるかなと思っています。と申しますのは、兵庫県でいろんな数字を出すときは、全国の20分の1というのが大体の統計の取り方でして、これは奇しくもでございますが、一致しているかなというのを感じました。これからご紹介することで、我々が把握できていない活動もいっぱいありますので、その点ではまだ不十分なところもあるかもしれません。
そこで、そうした方々と関係を持ちながら、県内の社会福祉協議会のボランティアセンター、兵庫県の場合には、すべての市町のボランティアセンターにボランティアコーディネーターという専任職員がおります。これは兵庫県の補助金によって設置されているものでして、全国でも全くまれなケースだと思います。一人分のほぼ人件費に当たるものが出されています。そうした中で活動を強めてまいりまして、いわゆる、先ほども出ましたボランティアコーディネーター、ボランティアに来てほしいという方とボランティアをしたいという方を調整する仕事ですけれども、この年間件数が約6万 3,000件です。
それから、それにあわせまして、「ボランティアはなんですか?」から始まりまして、「実は中古衣料があるのだけれども」、あるいは「古切手があるのだけれども」というふうな、いろんな問い合わせも含めまして、ご相談や我々が助言をさせていただいた件数が年間で4万2,200件ということですから、ボランティアコーディネーター1人に換算しますと約1,000件以上のいろんな相談やコーディネートをやらせていただいているというのが、現在の活動状況です。
活動の内容は様々ありますが、この調査のデータをちょっとご覧いただきますと分かりますが、今回の調査によりますと、経済企画庁の調査と若干比率が違いますが、おおよそ73.5%が福祉系の活動をしておられます。以下表に挙げましたような形でそれぞれの分野で活動しておられるというのが現状です。
私たちは、特にこの中で73.5%に当たる部分が中心ではありますが、元々、地域社会系 7.5%の方々や、環境保全系、保健医療系関係の方々とは既につながりがかなりあります。それに対して、特に、国際交流・国際協力の分野の方々との関係は、これまでは余り十分ではなかったかもしれません。しかしながら、昨今、我々自身もそうした取り組みを始めておりますし、また、そういう方々との関係も徐々に深まっているというのが現状かなというところです。
非常に概括的で申し訳ありませんが、それぞれのグループの状況がだんだんと分かってまいります。グループの構成員数、すなわち1グループの会員さんの数は、ほとんどが20名以下です。本当に小さなグループの方々が、こつこつとそれぞれの地域を単位にして活動しておられるという姿が、ここでご覧いただけるかなと思います。
また、それにあたる資金ですが、先ほど瀬川さんからも、お金がないというお話が出てまいりましたが、50%を超えるグループが年間の活動費10万円未満です。これは、ほとんど自らが拠出された会費及び本当に少額ですけれどもお出ししている助成金、合わせて10万円未満程度の活動費でして、本当に手弁当で、自分たちが動くことでそれをエネルギーにする、活動にしていくという、そういう活動のスタイルがこれまでのボランティア活動の非常に大きな特徴だと思います。
長くやっておられるところは、先ほどの宮内さんのところのお話にもありますように、30年になろうとするグループもありますし、震災後にできたグループもありますし、様々ですが、そうした中で、今、ボランティア活動をしておられる方々は、中村さんがご紹介された内容も含めてありますが、全体としては、定着率はいいんだけれども、新しい会員さんをそのグループの中に入れていくという作業がなかなかできなくて、会員さんの高齢化の問題が大きかったり、グループの構成員数が減ってきたりという悩みをお持ちです。
また、一方では、拠点の問題とか、情報不足の問題とか、いろいろな課題が出てきているのが、これでお分かりいただけるかと思います。
そういうことで、我々もいろいろ頑張るんですけれども、例えば、研修で言いますと、県内の社会福祉協議会が昨年1年間で開催しましたボランティア学習の機会というのは、全部で1,173教室でした。それに参加してくださった方は約8万人と言われておりまして、いわゆるボランティアとまず出会っていただくチャンスをどうやってつくるかというところで、かなり大きなエネルギーを使っているという現状があります。
後は、広報活動や情報提供活動などでも、機関紙を出したり、あるいはパンフレットを作成したりという活動もかなり大きなウエートを占める活動になっております。
そうした中で、実際に兵庫県内のボランティア活動で、社会福祉協議会の守備範囲をまず考えてみて、その中でどんな活動をボランティアの方がやっておられるのか見ますと、先ほどご紹介した18万人という数の中で、約6万人という方々が、いわゆる介護系−在宅の高齢者、障害者等々へ向けた活動を行っていらっしゃると言えると思います。この力、エネルギーは大変大きなものがあります。特に、この方々の活動は、いわゆるイベント型ではなくて、地域に密着して、週に1回、月に1回、場合によっては週に2回、3回と当事者である高齢者や障害者のお宅へ伺ったり、あるいは相互が集まって、いろんな形で学習をしたり、あるいはイベントをしたり、文化活動に参加したりという活動をサポートする活動が非常に多いんですけれども、そういう活動が圧倒的に多いと思います。
これは、中村さんが先ほどおっしゃった、震災後の今の被災地の変化の中で、「地域」というところにターゲットを置かないと活動ができない。その「地域」といっても、それでは「被災者」というくくりだけでいけるのかというと、そうではなくて、地域に戻って日常の生活を営み始めた人々が、そこで抱える生活問題にどういう形で関わっていくかというところにシフトがどんどん移り始めている。それを我々も意識しながら活動しているというのが現状ではないかと思います。
そうした中で、私は、企業との関係、行政との関係を少しレポートするようにと言われているのですが、ここ数年、企業との関係が、かなり親密とまではいきませんけれども、ようやくお名前を教えていただいて、我々の活動へのご協力をお願いしたり、企業からのいろんなお問い合わせにお答えするというような関係がぼつぼつ出てきています。平成9年には、ようやく「ひょうごフィランソロピーネットワーク(ひょうごPネット)」を、私どもが事務局を持って立ち上げることができました。そして、平成10年の後半から今年にかけて、姫路市において、あるいは、今日お越しになっていますが、森さんのところ、宝塚市でもそうした動きが出ていますし、地域単位に、大企業のみならず地元の企業の方々とのおつき合いを通じて、地域と企業、あるいは地域貢献の中での地場産業との関係をどんどんつくっていこうという空気が強まっているのは大変興味深いなと思っています。
そうしたいろんな動きの中で、ボランティア活動支援センター(仮称)に期待することについて、少し注文も含めてお願いするとすれば、まず、私たちがこうして活動してきて感じていますのは、今まで以上により一層さまざまなボランティア活動、いろんな活動があり、それを市民活動という場合もあるし、特定非営利活動法人という場合もあるし、NPOと呼ぶ場合もあるし、それぞれのコンセプトがあるんだとは思いますけれども、少なくともボランタリーな活動と言われるところに今まで興味を持っていなかったり、関係を持つことができなかった人たちにどうやってアクセスしていただけるか、その条件整備がまず大前提であろうと思います。そのときに、我々がやっていますような活動もその一助になっていると思いますが、もう少
し総合的にそういうチャンスや条件ができてもいいのかなという気がします。そうした役割をこのセンターが担っていくことを非常に大きく期待しています。
二点目は、今申し上げたような、様々なボランティア活動やボランタリーな活動というのは、それぞれのグループ、団体、組織において、それぞれのコンセプトをお持ちでいらっしゃいます。そのコンセプトは、場合によっては違うものであったり、ぶつかり合ったり、あるいは、場合によっては理解が不足しているために、齟齬があったりという関係も出てまいります。そうしたものを相互に調整しながら、連携・連帯ネットワークをつくっていくと、それは非常に緩やかでいいと思うんですけれども、そうした役割の拠点としてのこのボランティア活動支援センター(仮称)の位置付けというのが大変大きいのではないかと考えております。
三点目は、市民社会を構築していく大きな力として、これからNPO、市民活動が大事だということが言われるわけですけれども、これは、先ほどちょっとご紹介しました、今回のコープさんと我々の間での連携の調印文書の内容を見ていただくと分かるわけですけれども、要は、コミュニティをどうつくっていくか、そのコミュニティは従来言われていたものとは少し違うものである。そうであるとすれば、どういう形でお互いが関係を持っていけばいいのかということについても若干言及をしております。そうしたものについても、我々は、今回はコープと我々という形でしたけれども、もっともっと輪が広がっていいだろう。そうしたものをぱっと受けとめていただけるような、あるいは、こんなふうにしてみたらどうかということをお互いに話し合える場があったらいいなということが三点目です。
あと二つだけ申し上げますけれども、ボランタリーな活動の多くは、当事者という相手方がいらっしゃる活動です。そうしますと、その方々の権利の問題とか自己実現の問題を意識しない活動はあり得ませんから、当事者の自己実現が図れるのを見る中で、活動者の方々も自己実現を図れるという、活動者にとっては、「迂回型の自己実現」と私は言っているのですけれども、そうしたものが保障されるような意識の開発や条件づくりが必要です。
それから、もっと具体的に言えば、当事者の方々の権利が様々な形で守られるような、あるいは、相談の窓口になれるような、そうした意味でのセンターとしての活動というのも求められると思います。これは、単に福祉のみならず、様々な差別や人権の問題を抱えている人たちがいるわけですから、そうした問題を含めて、権利擁護という問題をある意味で真正面に据えたような考え方が必要であるというのが今回のボランティア活動支援センター(仮称)への大変大きな期待です。よろしくお願いしたいと思います。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
ありがとうございます。
市区町の社会福祉協議会にありますボランティアセンターが、これぐらいの規模のボランティア活動をやっていますが、実は、意外にこれが知られていないんですね。先日も、兵庫県のある審議会で、大学で教えておられる方が、学生がボランティアをやりたいというんだけれども、どこに行ったらいいでしょうかと聞かれたということがありました。ボランティア活動先を紹介するところはたくさんありますが、少なくとも各市区町全部に社会福祉協議会がございまして、松澤さん、そこには必ずボランティアセンターが置かれているのですよね。
◎松澤賢治(兵庫県社会福祉協議会ボランティアセンター所長):
はい、そうです。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
ですから、ボランティアに来てほしい、やりたいという人は、別に社会福祉協議会でなくても他でもいいんです。しかし、少なくとも社会福祉協議会のボランティアセンターは市区町に必ず一つある。これは意外に県民の方はご存じない。そして、そこでは、今、松澤さんから報告があったような、かなり大きな活動をしていますので、この部分を抜きにしてもボランティアがどうこうという議論はちょっとできないように私は考えております。
ボランティア活動をやっておられる皆さんの貴重な体験をお聞きしたところで、今日のフォーラムのテーマでございます「ボランティア活動支援センター(仮称)」をどうつくっていくのか、どう考えていくのかということで、もう一度「ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画検討資料」についてご説明します。このセンターは、「市民自律社会」を目指してボランタリーセクターというものを形成していこうということが、その趣旨です。
目標はそういうことですが、基本コンセプトとしては、"アクティブ・シチズンシップ(主体的・能動的市民参加)の形成"と"NPO・企業・行政のパートナーシップの確立"ということです。
支援の基本的な考え方は、"NPOに共通する基盤の支援"、"NPOの組織形成・強化の支援"、"NPOのインキュベート"、ふ化器に入れて卵がひよこにかえるのをインキュベーションと申しますが、そういうNPOのインキュベートを支援していく。それと"NPOの新たな公共性の創出支援"の4つがセンターの基本的な考え方です。
それを受け、センターの4つの基本的役割として、"NPO活動を支える担い手"をつくっていく、"多様なネットワーク"をつくっていく、"市民参画型社会に向けた調査や開発"を行っていく、"NPOを支える環境"をつくるということです。さらに、こうしたセンターで実施する主要機能として、"人材育成機能"、"調査・開発機能"、"交流・ネットワーク機能"、"情報収集発信・普及啓発機能"、"資金調達支援機能"の5つの機能を位置づけています。
先ほど溜水副知事から、「公共性、公共的領域について小室先生から一言あるでしょう」というお話がありましたが、センターの基本的コンセプトの一つに "NPOの新たな公共性の創出を支援するセンター"ということでございますが、「公共」といいますと、日本は、例えば行政とか地方自治体とかいうことを考えがちですが、全くの個人でもない、そして行政でもない、その真ん中に市民がつくる、それぞれ自分たちが自治的につくっていく領域があるだろう、そういうものを私たちは「公共的領域」とか、「公共性」とかいうように呼んでいます。
先ほどお話しいたしましたように、今年3年目の検討に入っておりまして、平成8年度には基本構想をつくりました。そして、平成9年度から基本計画の策定を始めているところです。この基本構想検討委員会、基本計画策定委員会、基本計画推進委員会のそれぞれの座長をさせていただいております。今年度は、三つの部会を設けておりまして、一つは情報システム検討部会、つまり、情報社会ですから、ボランティアにどう情報を使っていくのかということを検討する部会、もう一つは、NPOマネジメント検討部会、一番大きな問題はファンド、お金の問題ですが、これの検討部会、もう一つは、運営組織検討部会という三つの部会を設けています。
そこで、私が座長ですが、それぞれの責任者、今田座長代理、情報システム検討部会の井内部会長、NPOマネジメント検討部会の山口部会長の三人の方にお話をしていただきたいと思います。まず井内さんから、どうぞ。
◎井内善臣(神戸商科大学情報処理教育センター助教授):
私の方は、情報システム検討部会ということで、このボランティア活動支援センター(仮称)を計画する中での検討部会を任されているものです。
情報システム検討部会の方でどういうことをやっているかということについては、後段のほうでお話させていただくといたしまして、最初は、少し違う観点からお話をしたいと思います。
最初、コーディネーターの小室先生の方から、震災を契機に「ボランティア元年」という言葉がありましたけれども、ちょうどコンピュータの世界でも、実は、震災を契機といたしまして、「インターネット元年」という言葉がよく使われております。震災の時にこのインターネットが非常に活躍したというのは皆さんの記憶に新しいところだと思います。
ところが、また、最近、このインターネットは別の意味で非常に話題になるような事件といいますか、出来事が起きました。皆さん、年末から年始にかけて新聞等でご覧になったと思いますけれども、インターネットを悪用したいわゆる事件が起きております。これは、当初、約3年ぐらい前でしょうか、「インターネット元年」ということで、一般の市民にインターネットが非常に普及していきましたけれども、これは急速な勢いで普及していったということで、ある意味では、そこで非常に量的なものが普及していったと思います。ところが、これが一段落しますと、情報の質といいますか、あるいは、我々は「信頼性」と言うこともありますけれども、そういうものが非常に問われている時代、ある意味で言うと、第2のステップに入ってきたのかなという気がします。
今回のこのボランティアのことにしても、例えば、インターネットを通じていろんな情報を流す。先ほど、パネリストの方々から、いろんな情報に対する要望といいますか、注文が出ております。例えば、中村さんのお話では、活動したいけれども場がないと、この場の情報を提供してほしいというようなお話がありましたし、それから、宮内さんのお話でも、エネルギーはあるのだけれども発散する場がないと、これは多分同じようなニュアンスでおっしゃったのではないかと思います。それから、先ほどの松澤さんのお話でも、今まで経験したことのなかった人がどのようにボランティアに関わっていくのか、そういうものの情報がないではないか、どうしていいかわからない。各市区町にそういうボランティアのセンターがあるということさえ、なかなか情報が伝わっていないというお話をコーディネーターの小室先生もご紹介されていました。そういうことを踏まえますと、インターネットというのは、ポピュラーになったとはいえ、まだまだ末端までいっていないのではないかという気がいたします。
ですから、やはり量的な面もまだまだこれから充実していかないといけないし、かつ、質的な点でレベルを上げていかなければいけない。特にこういうボランティア、特に最近では介護とか、福祉とかいうことになってきますと、信頼性の高い情報をどうやって発信していくか、もっと言えば、信頼性の高い情報をどうやって収集していくかということが多分非常に大事なことになるのだろうという気がします。
さて、このボランティア活動支援センター(仮称)基本計画の中での情報システム検討部会ですけれども、一応与えられている大きなテーマとしましては、三点あります。
詳しくはご紹介できませんけれども、第一点目は、どんな情報を求めているか、情報の収集源、情報の収集方法等について検討しなさいというのが、まず一つ目です。
第二点目は、その集めた情報をどうやって伝達していくかという、例えば、先ほど出てまいりましたインターネットを使うという方法もあるでしょう。しかしながら、こういうボランティアの活動に関わっている皆さん方が、その情報ツールというものを使いこなせるとは限りませんので、そういう意味では、例えば、従来の紙をベースとするような媒体も含めて情報提供していかないといけない。そういうものをミックスしたような、我々で言ういわゆるメディアミックスという形で情報をどうやって提供していくのかということが二つ目です。
第三点目は、この情報というのは、非常にセンシティブな情報が含まれるケースが非常に多いわけです。そういう時に、一体どこまで情報を開示して、そしてプライバシーといったものをどこまで保障してやるのかということが非常に大事なことになってくる。
大きく分けてこの三つの点について検討しなさいという命題を与えられています。
これについて部会の方で検討させていただいていますけれども、例えば、情報収集というのはどうやるかということですが、よくお役所仕事としては、こういうセンターができて、情報システムが設置されますと、多くの場合は、コンピュータが設置されたら、後は知らないとなってしまいます。そこに情報をどうやって入れるかとか、どうやって集めるかとか、それをまたどのようにして発信していくかということは、余り関心がないというとちょっと語弊がありますけれども、余り力点を置いていただけません。こういうセンターの中にできる情報システムというのは、むしろそこが大事であって、先ほど言いましたように、信頼性の高い正確な情報をどのように発信していくかということになるかと思うんです。したがって、その情報収集をどうやってやるかということが非常に大きな問題点になろうかと思います。
これは、一つは、部会の中でもお話が出ています。例えば、情報ボランティアも協力する。これは、震災のときに「情報ボランティア」という言葉も非常によく使われまして、皆さんの中にはよくご存じの方もおられるかもしれませんけれども、例えば、安否情報というものがあった場合、この方々にもう少し協力してもらおうではないかということです。例えば、その情報の入力をお手伝いできる、もっと言えば、そういうものの受発信のシステムを構築していくためのお手伝いを情報ボランティアにやってもらう。そういう情報ボランティアの人たちの協力を求めようというのが一つあります。
そういうことで、逆に言えば、こういう情報ボランティアをセンターでも育成していかなければいけません。人材育成という、このセンターの中にそういう機能が必要ではないかということで、この情報システムに対する期待は非常に大きいという気がします。
私も、個人的には、このセンターができて情報システムが入ったときに、やはりそこにある種の血の通ったネットワークを形成していくことが非常に大事なことであって、そのためには、物だけではなくて、それに携わる人たちの、ヒューマンな面というのが、やはりこういうシステムをいいシステムに仕上げていくという気がしますので、そういう意味で、人と情報システムとが融合した新しいシステムをめざしていくべきであろうという気がします。この情報システム検討部会でもそういうご意見がたくさん出ておりましたので、人の育成ということに非常に力点を置いて、従来にないものにしたいという気がします。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
井内さん、そういう話を私もよくするんですけれども、そうしますと、ボランティアというのは、もっと人間の手のぬくもりでやるものである、それをインターネットとかコンピュータとか、そういうものとは馴染まないというんですが、専門家としてそこをもう一度、強調してください。
◎井内善臣(神戸商科大学情報処理教育センター助教授):
小室先生もおっしゃったように、こういうものはあくまでも道具ですから、道具として使う。例えば、最近では、インターネットというのは非常に高機能が付加されています。単に文字だけのやりとりではなくて、そこに例えば人の顔が見える、いわゆるテレビ会議的な情報のやりとりもできるので、恐らくそういう技術がどんどん進んでいって、かつ非常に普及していくということになれば、そのあたりは少し改善されていくかなという気はします。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
もう一つは、ボランティア活動にそういう情報というものが使えるんだということを特に実感したのは、あの大震災の時に、中高年のボランティアの方は、現地に行くにも電車がないとか何とか言っていた時に、我々の学生は、いとも簡単に、どこにどんな物資が足らないのか、誰が行けるのかと、全部やりましたよね。
◎井内善臣(神戸商科大学情報処理教育センター助教授):
そうですね。よく言われていることですけれども、救援の物資は量的には満ちていたんだけれども、適材適所にうまく配置されていなかったという話をよく聞きます。ですから、そういうものは、やはりこういう便利な道具を使って、もっともっと効率的に物を動かしていくということをやれば、もっともっと復旧も早かったのだろうという気もいたしますし、それから、被災された方も非常に心強かったのではないかという気がしますので、こういうものをみんながもっともっと使えるようになればなという気がします。 そして、今、文部省が、最終的に2003年を目標に小学校から高等学校まで、情報処理教育というものについて、つい最近、指導の要綱が発表されましたけれども、低学年のうちから教育をしていこうというようなことを言っていますので、これからは、ますますそういうものが使える若い人たちが育っていくということで言えば、未来はあるのじゃないかなという気はします。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
若い人はいいんですが、現在、ボランティア活動をやっている人の中心は、どちらかというと50歳代、60歳代でして、「犬小屋はつくるけれども、コンピュータだけはかなわん。」という人がいるんですが、このごろのコンピュータは随分簡単になっていまして、そのあたりも、ちょっと皆さんにご紹介いただけませんか。
◎井内善臣(神戸商科大学情報処理教育センター助教授):
先ほど雑談でも小室先生とお話していたんですけれども、最近のコンピュータというのは、そう難しいことは要らないのであって、電源の入れ方といいますか、コンセントの差し方が分かれば、後は勝手に動いてくれる。字が見えにくい人は、声でもちゃんと応答してくれるし、逆にこちらから声をかけてやると、相手が答えてくれるなどというコンピュータも出てきております。例えば、キーボードを叩くのが非常に苦手な人とか、マウスと呼ばれるような道具を使うのが非常に苦手な人でも、今ちょっと高齢者というお話がありましたけれども、そういう人たちにも十分使っていただける。そして、当然こういうツールは時間と空間を超えていくわけですから、単にいわゆる地縁というか、狭い領域でのコミュニティだけではなくて、世界を相手に、これはちょっと大風呂敷になるかも分かりませんけれども、世界を相手にコミュニティが広がっていくという点では、今のコンピュータは進化していると思いますので、お年寄りにも十分使っていただけるという気はいたします。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
それでは、次にNPOマネジメント検討部会長の山口さん、お願いいたします。
◎山口一史(株式会社ラジオ関西常務取締役):
初めに、中村さん、あるいは瀬川さんから、資金がない、活動する事務所がない、あるいは作業をする場所がない、あるいは人材がいないというお話がありまして、全くそのとおりだと思います。私たちが属していますNPOマネジメント検討部会は、いろいろ検討課題があるわけですけれども、そういう中で、お金の問題、ボランティアにお金をうまく回していく基金をつくりたいと、どのような基金をつくっていこうかということを今、検討しております。
その中の一端をご紹介します。一生懸命お金を集めて、ボランティア団体に申請書にややこしいことを書いてもらって、それを審査委員会で審査して、はい、お金を渡しましょうというのは、余りにも無機的じゃないか、もっと温かい形でお金を出そうという人と活動する人をつなぐ方法があるのじゃないかということで、いろいろ話をしておりまして、今出ておりますのは、例えば、丸1日あるいは丸2日かけて、お金を出したいという人あるいは出してもいいという会社、そういう人たちが集まる。それから、お金の支援が欲しいという活動団体が集まる。そして、お互いに、こういう場所で、自分たちはこんな活動をしているんだ、あるいはこんな企画を持っていて、それには幾ら幾らお金が足りない、そういう話をしてもらって、その活動を評価するという人や企業が「お金を出しましょう」という、そういう仕組みがつくれないだろうか。例えば、先ほど瀬川さんが葛の話をされていました。瀬川さんが来られて、ピナトゥボ火山の被災地へこんなことをしているんだということを、さっきのような情熱を持ってお話をされると、フィリピンと貿易している会社が、「分かった、分かった、とにかく50万円出す」ということが起こるかもしれない。そういう支援の仕方と支援のされ方のほうがより望ましいのじゃないかと、そんなことで今いろいろ話をしています。
そこで、検討部会の中で議論になったのは、そういうものを、例えば、バザールとか、市場(いちば)ですね、市場(いちば)というイメージでやってはどうかという意見もあります。ところが、市場というのは、いわゆる現在の自由経済体制の中で物やサービスをお金と交換するということですから、ボランティアの活動とは少し馴染まない。むしろ、志と志を支援する力とを交換する、そういう場をつくっていったらどうだろうかというような議論が出ております。
もちろん、小口の要望に対しては、ある程度均等に、そういう演説なしで、書類審査だけで出していくということも必要でしょうし、いろんなことを考えていかなければいけないわけですけれども、基本的に考えておりますのは、お金を集めて配ったらいいということではないだろう。志ということをもっともっと大事にしながら考えていった方がいいのじゃないかということが中心になっています。
そういう考え方が仮にファンドの中でボランティア基金というものができて実現していくと、どういうことになるかというと、これは検討部会での話じゃなしに、私の個人的な感じですけれども、先ほど松澤さんがおっしゃった、ボランティア活動に接するチャンスがない、出会いの場がないという、その出会いそのものをつくっていくエネルギーになるかもしれない。あるいは、お金を出す人、もらう人が、繰り返しになりますけれども、お互いに顔を見ながら活動を評価することができる。そういうことのつながりの中でどんなことが起こるかというと、今度、県がつくる「ボランティア活動支援センター(仮称)」というのは、これは県がつくるというわけです。これは実は県民の税金を使ってつくるわけです。ボランティア活動支援センター(仮称)は県民のものである、県民がつくったものであるということにつながるのじゃないかというふうに願っているわけです。
そういうことで、NPOマネジメント検討部会は、他にもいろいろあるわけですけれども、今はその問題を一生懸命やっているというのが現状です。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
はい、ありがとうございます。
今田さんは、座長代理として全体を見てもらっていますので、全体にわたってお話しください。
◎今田忠(阪神・淡路コミュニティ基金代表):
全体にわたってというお話ですが、私は、今まで十数年間、助成機関で仕事をしておりましたので、瀬川さんから最初にいろいろ問題を提起されまして、非常に痛いところをつかれているわけです。助成財団というのは、活動団体がそれぞれミッションなり理念を持っているのと同じく、助成財団のほうも、こういったような活動を支援して、こういう社会をつくっていきたいという、その理念を持っています。ですから、そこでミスマッチが起きるというようなことがよくあります。
それと、日本の先ほどお話のございましたイオン環境財団にしても、地球環境基金にしても、ナショナルファンドですね、日本全国を対象にしている。そういったような財団の場合は、なかなか地域の状況あるいは地域の活動まではよく分からないというところから、地域の活動団体は、なかなか助成金を得にくいという状況があります。
もう一つは、活動費は出るけれども、運営費が出ないというお話でしたけれども、これは、基本的には、日本の財団は、アメリカなどに比べるとお金の額が全然違います。ですから、各団体の運営費まで出していくと、全然お金が足りないということで、プロジェクトベースで助成しているのが現実です。ただ、先ほど瀬川さんが二足のわらじで仕事をせざるを得ないというのは、やはり好ましい話ではないので、ある程度の規模の事務所と、せめて一人、二人の専従職員が置けるぐらいというのが望ましいわけです。
私の個人的な考え方としては、そのぐらいの基本的な運営費は会費で賄ってほしいというのが、基本的な考え方です。実際に何かプロジェクトをする場合には助成金でということです。なぜ会費かというと、会費というのはもちろんお金なんですが、お金を出す人がバックにいるわけです。ですから、会員がたくさん集められるということは、それだけ活動が多くの人に支持されていることの一つの証拠ですから、そういったような意味で、基本的には会費をベースにして運営していただいて、プロジェクトについては助成をという、そういう考え方が恐らく多くの財団の基本的な考え方だと思います。
今、私が仕事をしている阪神・淡路コミュニティ基金というのは、震災復興ということで特殊ですから、かなりの部分を人件費助成をしております。これは逆に人件費助成をした場合、私どもの基金はもうなくなりますので、なくなると、人件費の出所がないということになりますので、それもある意味では危険なことであって、ベーシックになる財源はきちっと確保しておかなければいけないであろうと思っています。
ボランティア活動支援センター(仮称)にファンドをつくるというお話で、今、山口さんからいろいろなアイデアが出てきましたけれども、これは、お金を配分する方のアイデアであって、お金をどうやって集めていくかというのは、また別の問題です。お金がなければ配分ができないわけでして、それをどうやって集めていくか。これには、私は、基本的には「寄附の文化」というものを日本に育てていかないといけないのではないかと思っています。最近、ボランティア活動というのは非常に高く評価されるようになりましたけれども、ボランティア活動というのは時間の寄附なんです。自分の時間をある活動、あるいは目的のために捧げるというか、時間を寄附するわけです。時間の寄附と同時に、やはり実際のお金の寄附という、その両方が伴わないと、市民活動というのはできないのです。「ボランティア文化」というのは、かなり定着してきたと思いますので、これからは、「寄附の文化」というもののキャンペーンをしていきたいと思っています。
アメリカには「インデペンデント・セクター」というものがあります。日本NPOセンターのモデルになった機関ですけれども、そこで、かなり前から「Give 5」というキャンペーンをやっています。5というのは、週5時間のボランティア活動と所得の5%を寄附をしましょうというキャンペーンでして、ボランティアと寄附は絶えずセットで考えられています。ですから、実際に時間の寄附はできないけれども、お金の寄附ならできるというような方々がおられますので、そういったキャンペーンをしていったらいいと思います。
なぜ日本ではそんな寄附金が集まらないかというと、寄附金を集める仕組みがないんです。ご承知のように、日本には共同募金というのがありまして、共同募金でお金を集めていますけれども、共同募金というのは、ご承知のように、社会福祉事業法という法律できっちり決まっている制度ですから、柔軟性が乏しいというようなことがありますので、なかなかうまくいかない。ということで、私は、市民ファンドという、市民が市民活動のために資金を提供して、それをプールして、先ほど山口さんが言われたような温かみのあるような配分をしていくという、そういう「市民ファンド」をつくっていったらいいのではないかと思っています。
そういう意味では、私は、ボランティア活動支援センター(仮称)とファンドは、別にしたほうがいいのではないかと個人的に思っています。仮に中に入れるにしましても、一番問題は、先ほど座長の小室先生からお話がありました、基本計画検討資料にセンターの運営体制というのが書いてありますが、「NPOや市民が主役の施設として、NPO関係者や市民が積極的にセンターの運営に参画する」と、これが大事なのでありまして、このボランティア活動支援センター(仮称)が、「"市民自律社会"を支えるアクティブ・シチズンシップ(主体的・能動的市民参加)の形成」ということをうたっているわけですから、これが従来よく見られるような外郭団体的なものになってしまっては、これは全く意味がないだろうということで、NPOや市民が主役の施設と、こういう運営体制をどうやって築き上げていくかというのが、これからの恐らく今年度の非常に大きな検討課題ではないかと思っています。
もう一つ、先ほど、各市区町にボランティアセンターがあるんだというようなお話がありましたが、やはり社会福祉協議会のボランティアセンターというのは、これも社会福祉協議会というのは社会福祉事業法に定められたものですから、それ以外のことはできないということです。最近は、ボランティア活動あるいはボランタリー組織というのは非常に多様化しておりますから、社会福祉に限らない、厚生省の枠にとらわれないボランタリー組織というのが、どんどん出てきておりますので、そういう柔軟な活動をどうやってサポートしていくかということが課題です。
それから、やはり知られていないということは、どうも敷居が高い、アクセスしにくいというのがどうしてもあるんですね。ですから、非常にオープンな形で、市民が誰でもふらっと入っていけるようなセンターになっていかないといけないと思います。
ただし、問題は、これは場所がHAT神戸ということで決まっていますから、実際に行ける人は非常に限られます。ですから、その辺は、井内先生のご協力を得て、各地で端末でアクセスできるような、そういった形ができていかないと、県民のための県民全体のボランティア活動支援センター(仮称)にならないのではないかと、こういうふうに思っています。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
ありがとうございました。
基本計画推進委員会に3つの検討部会があるということをお話いたしましたが、3つ目は運営組織検討部会でして、これは、私が自ら部会長をしております。
この運営組織についての基本的な考え方は、検討資料の概要のほうを見ていただきたいと思います。今、今田さんからご紹介いただきましたセンターの運営体制として、「このセンターは、『市民自律社会』にふさわしくNPOや市民が主役の施設として、NPO関係者や市民が積極的にセンターの運営に参画することを基本とする」ということで、二つございます。
一つは運営主体です。「このセンターは、行政や特定の団体から独立した運営を確保することが求められ、責任ある組織によって運営されることが必要である」ということで、行政や特定の団体から独立した運営をするというのが一つのポイントです。
二つ目は運営組織です。「運営組織については、センターの運営方針や具体的な事業内容について自主的・主体的に決定できる組織形態にする必要がある。また、事務局スタッフは、プロパー職員のほか、行政や企業などからの出向職員、NPOからの派遣職員、嘱託、ボランティアなどさまざまな形態のスタッフで構成する」ということを前提にいたしまして、さらに、現在、議論を詰めているところでございます。
こういうことで、現在の基本計画推進委員会が、どういうことを今の時点で考えておるのかということをご紹介させていただきました。
これまでパネリストの方全員にご発言をいただきましたが、これからは、フロアの一般参加の皆さんからご意見を頂戴したい。一つは、県民ボランタリー活動の今後のあり方、活動を促進するための方策をどうしたらいいのかというのが、ご意見をいただきたい一つのポイントです。
二つ目は、NPO・企業・行政とのパートナーシップづくりへの提言ということで、皆さんのNPOや企業や行政とのパートナーシップについての提言をいただきたい。
三つ目は、ボランティア活動支援センター(仮称)に期待することです。
そういう3つについて今日このフロアの皆さんからご意見をいただきたいということで、できるだけ多くの皆さんに発言していただきたいと思いますので、恐れ入りますが、1人2分以内で簡潔にご意見を頂戴したいと思います。どなたでも結構ですので、手を挙げてご発言ください。
◎会場発言(母親クラブ 市母連会長 女性):
このような機会に出席させていただきまして、ありがたく感謝しております。私は、母親クラブのある市の連絡協議会の会長をしている者です。
県下でたくさんのボランティアがありまして、私どものクラブでも人材育成ということに大変悩んでおります。今後とも、このような団体の交流的な、分科会的な研修会を、県サイドで1年に1回ぐらいはできれば持っていただきたいと考えますが、お返事いただければありがたいと思います。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
これは、返事というよりも、ご意見を聞いた上で、委員会で十分そのご意向を踏まえさせていただきたいと思っております。
なお、この概要には、センターで実施する主要事業、つまり、センターでどういうことをするのかというのを、あくまでも例示的ですが、5つ挙げております。
一つは、今フロアからお話のありました人材育成事業です。「NPO大学(仮称)」と言っていますが、こういうものをやる。もう一つは、調査・開発事業。三つ目は、これも今フロアから発言がございました交流ネットワーク事業。四つ目は、情報収集発信・普及啓発事業ということで、まだ名前は固まっておりませんが「インフォメーションプラザ」というのをやるということです。五つ目は、先ほどから話が出ております資金調達支援事業ということです。
◎今田 忠(阪神・淡路コミュニティ基金代表):
人材育成の件ですけれども、今、このボランティア活動支援センター(仮称)の先行事業として、NPOマネジメントスクールというものを平成9年度から開催しておりまして、今年度も12月から開催しているんですが、このNPOマネジメントスクールというのは、表題のように組織経営を中心としてやっているわけですが、先ほど山岡さんから、マネジメントは多くの団体には要らないんだというようなお話があったのですが、今お話があった「人材育成」ということでは、具体的にどういった研修をすればいいのか、ご要望があれば、それを取り入れて、今年度プランニングをしてみたいと思うんですが。その人材育成の中身ですね。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
今のフロアからの発言の方、どういうことをやってほしいかということですけれども。
◎会場発言(母親クラブ 市母連会長 女性):
3月23日、こどもの館で「県母連」が設立総会の運びになっていますが、母親クラブという団体です。7市10町の児童館及び児童センターの中にある母親クラブでして、そこで幼児の健全育成を図っておりまして、保育所、幼稚園にいくまでの小さな幼児を対象にして、お母さんたちが、地域のネットワークの基盤となりまして、3世代交流や、福祉活動、交通安全に寄与する活動等、いろいろ行っています。しかし、園児が関わる間は協力してくれるのですけれども、子どもが保育所あるいは幼稚園の公的な機関に入園すると、後が続きませんので、そのお母さんたちに対して、ボランティアの意識と資質の向上と、やっていく役目の目的、喜び、豊かさをあわせて心の中に持っていただいて、これからの時代に寄与することを、大きな時代の問題として今掲げておりまして、NPOでの無償でボランティアをする役目の尊さと喜びを伝えていきたいと考えております。
しかし、力不足でして、一人、二人のお母さん方には伝えていけるのですけれども、やはり子育てから手が離れていくと、パートでもいいから勤めに行ってお金を得たいという心の方が大勢になっていきます。そのお母さんたちを食い止めて、なおかつボランティアの意識を活気づけるための、そういう講演をいただきたいと考えております。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
ほかにご意見ございませんか。
それでは、今日は、検討委員会の委員3人の方が来ておられますので、一言ずつコメントをいただきたいと思います。
絹川さんから、どうぞ。
◎絹川正明(ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画推進委員会委員):
委員の中で、唯一企業から参加させていただいていると思うんですが、寄附の話でいきますと、日本の寄附は、企業寄附というのはアメリカの企業と比べて遜色がないのです。個人寄附は、統計的な差もあると思いますけれども、恐らくアメリカは日本の 1,000倍ぐらいあるような気がします。よく私どもの方にもいろんな団体から寄附の要請が来ますが、非常におもしろい事例がありまして、1,500万円ぐらいの大きな催し物をやって、そのうちの約半分ぐらいが企業の寄附でまかなえたNPOの催しがありましたが、その大きなイベントをやったメンバーの皆さんは、NPOのリーダーの方を中心に、「大成功した」、「よかった!よかった!」と言うんですが、その終わった後、寄附をした企業に対して電話の一本も、礼状の一通も来ないというようなことが非常にたくさんあります。どうも、我々企業から見ていますと、NPOとか、ボランティア団体の皆さんというのは、余りにも自分たちのやっていることは素晴らしいことなんだから、企業も市民も寄附して当然だという意識が非常に強いような気がするんです。
私などが思うのは、ボランティア団体とかNPOというのは非常に辛い立場というか、要は、ボランティアをする相手さんのことも考えないといけないし、あるいは、寄附とか労力を提供するボランティアさんのことも、両方まんべんなく考えていかないといけないということで大変だと思います。しかし、それだったら、例えば、それをバックアップしてくれたボランティアさんとか、あるいはそれに寄附した個人、企業に対しても、同じようにきちんとしたサービスみたいなものをやっていって、その中から、少しでも企業の中で、個人であっても、組織であってもそういう活動に対して理解が深まっていくという部分があると思います。
日本は 5,000万人のサラリーマン、OLがいると思いますが、統計的には、その3割ぐらいがボランティアをされていると言いますが、企業の実態から見ると、実際に継続してやっておられる方は3%にも満たないんじゃないかと思うんです。この会場の世界も非常に小さな3%か4%の世界の議論なので、もう少し、今、日本の社会とか経済をメジャーで動かしている企業とか、サラリーマン、OLに対してどう訴えかけていって、大きなムーブメントにしていくかという、そちらの観点も非常に大事だというふうに思います。
それから、委員として今日来させていただいて非常によかったのは、毛戸さんの話と瀬川さんの話です。
毛戸さんの場合は、「足すり」と聞きましたから、私は当初、足の垢すりか何かと思っていたのですが、青年団という一つの昔からある地縁組織の中でも、例えば、高齢の方の参加とか、子供さんの参加みたいなものがあって、その活性化というのが幾らでも図られていくんだということです。
それから、瀬川さんの場合は、非常におもしろい問題意識を持ったのですけれども、公民館という、本来はそこの町民なり住民に開放したものが既にあるのに、実際に瀬川さんの活動というのは、国際支援とか国際交流ということになってくると、その活動から何かずれた部分になってしまって、非常に負担感を感じているというのがおもしろいなと思ったのです。
青年団の場合でも、公民館の場合でも、あるいは自治会にしても、子ども会にしても、新たにボランティア団体とかNPOとか言わなくても、昔からある組織みたいなものが、ボランティア的な意識を持った人が入っていって活性化するということが、結構ボリュームが大きいですから、案外近道の部分があるのじゃないかと思います。
もう一つ、その延長線上でいきますと、講演で山岡さんがおっしゃった、上部構造にある既存の社会福祉法人とか、医療法人とかいわゆる公益法人という部分が、新たに出来上がったNPO法人の影響を受けて変わっていくという、この部分もご指摘されたのですが、今、小さな小さなNPO法人の持っている人間とか金額のウエートと、日本に昔からある財団法人をはじめとした公益法人のウエートというのは、小さな小さなNPO法人の方が圧倒的に小さいわけです。こういうところにも、こちらのNPOの持っている息吹とか、あるいは、その中での自己改革みたいなものが図られていくと、内部改革というのですか、そういうものが図られていくと、その地縁団体とかいったものの内部改革と同じように、非常に大きな勢いで変わっていくのではないかと思います。
今日は、毛戸さんと瀬川さんには、現場の本当の生のお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
◎草地賢一(ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画推進委員会委員):
先程来「寄附の文化」の話が出ておりますが、ちょっとある数字を思い出しました。少し古いもので1988年のものです。つまり、スウェーデン、ノルウェー、デンマークというスカンジナビア諸国では、国際協力などを進めるNGOに国民ひとりあたり平均約 5,000円の寄附をする。欧米では3,000円ないし 5,000円。これに対し日本では 100円。10年経った今日本はいくらぐらいになっているのでしょうか。
今、瀬川さんの話を聞いておりまして、私も約14年あまり、NGOの職員として寄附金を集めるのに大変苦労してきたことを思い出しました。毎月平均約 500万円、それを12ヶ月そして14年あまり。もっともきつかったことは、このこと(国際協力)を皆様の支援を受けてやらせて下さいと訴え続け、寄附を得続けることでした。私がいました「PHD協会」というNGOは政府の補助金や郵政省のボランティア貯金などをできるだけもらわずに、自前でやるというように頑張ってやってきました。そのためにNGO、NPO、ボランティアと呼ばれる私達が周囲の人々にそのメッセージつまりこれをやるということを伝え続け、そしてそれを受け止めてくれた人々から支援を得るということを地道に努力してきました。
実は7、8年前カナダでNGOがたくさん倒産したことがありました。それは、カナダのNGOがカナダ政府開発援助を補助金として受け続け、いつのまにか自前で寄附や会費を集める努力を怠り援助依存体質が増大し、その補助金が削減された時倒産してしまったということでした。カナダのみならず、欧米諸国ではかなりの政府開発援助費をNGOに渡します。数十億円の予算規模をもっているNGOもあります。ほとんどのNGOは堅実な運営をしていますが、なかには自己調達資金が全体の30%などという補助金依存体質のNGOもあるのです。結局、NGO、NPOが、この補助金、助成金頼みの体質になりますと日本でも同じような倒産がおきるかもしれません。このたび制定されたいわゆるNPO法なるもので補助金行政が確立するということになってはいけません。
最近やたらにNPOという用語が使われますがそれを最も好んで使っているのは行政です。NGO(非政府)というよりNPO(非営利)の方が行政には都合がいいのでしょう。
山岡さんがおっしゃった、非営利の起業家がでてきて、ノンプロフィットの企業があってもいいのじゃないかというのは、これは論理矛盾でありまして、企業というのは、はっきりと利潤を追求するというのが役目です。逆の言い方をすれば、「ノンプロフィット」ではなくて、「フォープロフィット(利益を得る)」でいい。問題はそのアイデンティティが非政府であるかどうかだと思います。
そこをはっきりさせず、何でもNPOというようになっていく時、助成金行政が台頭してくるのではないか。私たちは市民として、このあたりを注意し、きちんと整理、理解をし、行政を監視し、おかしければ異議申立てをし、対案提示をする。そのような緊張感のあるNGO、NPOの市民活動が育たないと日本の社会は民主化しない、私はそう思っています。
◎森 綾子(ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画推進委員会委員):
私どもは、市レベルで平成10年4月に宝塚NPOセンターを立ち上げました。だから、この県レベルのNPOセンターなり支援センターをいつも見ていまして、自分の町にとってどんなセンターが県レベルであったら、市のNPOセンターは救われるだろうかという観点でずっと見てきました。でも、遅いんですよね。私のところの方が先に行って、もう出来上がったときに県の方ができてしまって、残念だなと思います。でも、いろんな意味で教えてもらうことは、例えば、この中で一番運営体制でいいなと思うのは、「事務局スタッフは、プロパー職員のほか、行政や企業からの出向職員など」とか書いていますけれども、企業の人も入ってNPOからの派遣職員ということで、たくさんの人に関わってもらってつくれると、これをしないと、本当に松澤さんが言っておられたことで、私も社会福祉協議会の人間なんですけれども、第2の社会福祉協議会になってしまってはいけないと思います。いろんな人に関わってもらって運営することが、私はNPOだと思います。だから、宝塚NPOセンターも3名の有給スタッフがおりますが、30名のボランティアが動いて運営しています。
できるだけたくさんの人に関わってもらって運営するということを、やはりこの県レベルのセンターでは絶対に心がけないといけない。ついお金があり余っていたら、有給のスタッフばかりがいて、ボランティアさんが関わっていなかったら、きっと皆が寄っていかないと思います。そういった意味で、もう本当に小さいNPOを動かしながら、何が今までの公益法人なるものが間違いを犯してきたのかなということを考えています。
だから、やはり県のセンターができるまでに、いろんな皆さんのお力をいただいて、できるだけ市民というか、県民の方たちのためのセンターをつくりたいと思いますので、どうか、皆さん、何もおっしゃらないで言っていただけたらというふうに思いました。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
山岡さん、今までのところで何かご意見、反論、何かございませんか。
◎山岡義典(日本NPOセンター常務理事・事務局長):
特にありませんけれども、先ほど特定非営利活動法人の起業の関係で、企業の話はちょっと誤解かなと思ったのですが、日本では、NPOの制度がなかったために、NPO活動をやるために企業という法人制度を使ってやってきたのがあると、劇団とか。そういうことですから、NPOがじゃんじゃん儲けたらいいよという話をしているわけでは全くありません。後は、おっしゃることはすべて私の意見と同じだと思います。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
そういうことで、またパネリストの皆さんのお話に戻りたいと思いますが、中村さん、震災の後は、ボランティアの救いといいますか、その手助けを必要とする人が非常にたくさんいました。もちろん現在もおられるのですが、仮設住宅の戸数を見ても非常に明らかなように、かなり減ってもきましたよね。
それから、そういうボランティア活動をする団体に対する資金的な援助の仕組みも、今田さんのところも含めて、たくさんありました。これが今なくなりつつありますね。
したがって、震災の後に出てきたといいますか、それ以前からも継続してやっておられるところもあるのですが、特にこういうボランティア活動は、震災4年を経過して、今後どのように展開しようと思っておられますか。
◎中村順子(コミュニティ・サポートセンター神戸代表):
大きな特徴を挙げますと、これからの支援のあり方というのは、直接支援から間接支援に移ってくる時代というのでしょうか、そのように思うんです。今まで4年間、いろんな意味で家をなくし、家族を亡くされた方に直接手を差し伸べるボランティア活動が主流を占めていたけれども、その人たちが復興住宅に移っていって、次の住み家で新しい生活が始まりました。そのときに、その方々が持っている力を引き出しながら、そして、私たちは、足りない部分だけ、もう最小限にとどめながらお手伝いしていくという、むしろその人の可能性を引き出すための活動に移っていくというのが、これからのボランタリーな活動の主流になっていくのじゃないかと思うんです。そのために、私たちは、その方々ができること、地域でやりたいこと、そして自分たちができることをグループという形にして、今は一生懸命そのグループづくりのお手伝いをしていますけれども、そのような間接手法に移ってくるのじゃないでしょうか。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
瀬川さんは、今日初めてこの兵庫県がつくろうとしているボランティア活動支援センター(仮称)の詳しい中身を聞いていただいたと思うんですが、その瀬川さんの活動との関連の中で何か期待するところがありますか。
◎瀬川千代子(国際葛グリーン作戦山南理事):
期待するところがあります。私の周辺には、本当に小さな団体がたくさんあるのを見ています。その団体は、今から自分たちがどうやって運営すればよいか分からない人たちがたくさんいるのです。本当にそういう人たちが、私たちも含めて、たくさんいるんです。「事務局をどうやって回したらいいか」、「どうやってボランティアに参加してくれる人たちに情報を提供していったらいいか」そういう初歩的なことがわからないんです。「助成金を取りたいけれども、どうやって取ったらいいか」、そのノウハウもわからない組織もたくさんあります。せっかくいいことをしているのに、その人たちが育たない。それをきちっと育てられるように、「こんな初歩的なことを聞いて恥ずかしいなあ」とか思っている人を支援して下さい。
ここに「事務局スタッフにどんな人を置くか」というのがありますけれども、本当に現場でそういうことをやってきた人たちもその中に加えていただいて、これから、きちっとした、しっかりした団体になろうとするところの事務局体制などをサポートしていただきたい。「事務局体制は会費で運営したら」、とおっしゃいましたけれども、そこへいくまでの段階が問題なんです。会費で運営できるぐらいの組織になったら、もうけたもので、でも、そこまでいかないんです。そこまでいかない団体を見捨てていいか。私は、見捨ててはいけないと思います。そういう団体が頑張って、その末にはいい活動団体に育つということがあるんです。だから、本当に本当にちっぽけな団体にもっと光をあててほしい、もっともっと支援してほしい、そういうふうに思います。
県で支援センターをつくっても、神戸でだけにつくらないで、それを私たちのように丹波にいる者、また但馬で活動している人にも、本当に末端のほうで小さくやっている人たちにも同じだけの恩恵が受けられるようにやってほしい。私たちは、田舎でやっているから、町の人口も少ないし、ボランティアをやっている人たちも本当に少ないんです。でも、その中で頑張ってやっています。だから、町じゅうの人が「国際葛グリーン作戦山南」に参加していると言っていいぐらいに、みんなが参加しているんですけれども、それでも運営は苦しいです。ちっとも楽になりません。でも、私たちの緑化活動は大切なことだから続けていきたいと思っています。我が家では、私がボランティアをやっているから、"ボランティア難民"の家族がおりますけれども、我慢してもらって頑張っています。だから、よろしく支援してください。
◎会場発言(兵庫NPOセンター 男性):
私どもの団体は「兵庫NPOセンター」と申します。黙って帰ろうと思ったんですが、どの方のお話を聞いても、まずお金ありきの活動から入ってくるのです。幾らのお金が欲しいのか僕にはわかりませんけれども、今、葛の会で活動して資金を集めるノウハウをなぜ考えないんですか、なぜ助成金ばかりをあてにするんですか。たくさんの皆さん、知り合いもいらっしゃいますから、参考までに申し上げますと、我々は、細かい資料は持っていませんが、600万円ぐらいのお金を自分たちで稼いでいます。今田さんのところからも一銭もいただいておりません。何をしているかと申し上げますと、有機野菜の販売をしているんです。153名のおじいちゃん、おばあちゃんを、震災以降、丹波篠山の日置に同行しまして、有機野菜の丹波の黒豆・お米・野菜をつくっています。
今度、NPO法が成立したのは、これはチャンスです、我々にとって。別に嫌がらせを言うんじゃないんですけれども、有機や無農薬として扱っているものすべてが、有機でもなければ、無農薬でもありません。今年から認証制度ができるのです。これがまさにNPOなんです。中村順子さんにも相談しました。NPOとしてそういう認定団体をつくりませんかとお誘いをおかけしました。時間がないということで。今年から、来月認定制度が国に上程されて、まさに我々が認定の検査官としての資格を申請します。これは十分お金になるんです。それをボランティアの支援にあてていきます。
参考までに申し上げますと、先ほど、松澤さんから 5,800団体があるというお話がありました。どこでもやっていない活動、我々はお葬式をやっているんです。おじいちゃん、おばあちゃん、被災者、身寄りのない人、そういう人たちのお葬式ですが、4,100円であがるんです。香典が少なくとも2万円集まります。僕はもう7遺体、7つの仏様を送りました。お金は、だから、自分の基準に応じて、どの辺が必要なのか。30万円なのか、10万円なのか、5万円なのか、そのお金の額によって、自分たちで活動することができます。
現に我々はこの1月1日から、兵庫県・神戸市の真裏に民設・民営でセンターを立ち上げました。1,000万円ぐらいのお金をかけました。どこからの寄附ももらっていません。これから求めますけれども。これはやはり自分たちで考えてやらなくてはいかんですね。決して意見を申し上げるのじゃないんですけれども、今のお話、同じ活動、環境問題をやっていますので、あえて申し上げたいんです。それは自分たちでできる。
今、先生がおっしゃったように、ボランティア活動支援センター(仮称)の立ち上げも僕は非常に懸念を持っています。なぜかというと、行政とNPOと企業がパートナーシップで運営するのに、なぜHAT神戸で、県がそういう器をつくって、その中に入りなさいという指導でやっていくのか。これは、あくまでも予算がこれだけある、ボランティアみんなでその使い道を考えろというほうが、よほどボランティアへの助成になると思う。そんなセンター・器をつくって、その中に入って、恐らくセンター長には県のほうから天下ってくるでしょう。だから、我々は「兵庫NPOセンター」というのを立ち上げて、山口、広島、岡山、大阪、兵庫と五つの瀬戸内海のネットワークで今日現在活動しているわけです。
それから山岡先生がいらしていますが、山岡先生のご講演を何度か聴かせていただきましたが、先生と接触しないのは、東京だから「日本NPOセンター」というのは許されないんです。何でも中央集権型にするから。兵庫県は兵庫県としてのスタンスがあっていいわけです。それを大きくしたのが瀬戸内海です。瀬戸内海で大きな問題があるから。だから、山岡先生の理念は非常に正しい、素敵だけれども、先生と接触を持たないのは、兵庫県が「日本NPOセンター」でいいわけであって、大阪でもそうであって、東京が何も「日本NPOセンター」の名前を名乗る、立ち上げる必要はないと思う。いらないことですけれども、すみません。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
瀬川さん、何かありますか。
◎瀬川千代子(国際葛グリーン作戦山南理事):
今おっしゃったように、自分たちで資金を稼げるというのは、とってもすばらしいことだと思います。できればそうしたいと思います。でも、そこまでできないんです、そこまで力がないんです。今からそうなりたいと思っています。それにはいっぱい勉強しないといけないし、でも、そこへいくまでの段階の団体もたくさんあると思いますから、ですから、最初から自分で稼いでやれということは、なかなか難しいことですから、やはり、私の場合は、こういうボランティア活動支援センター(仮称)というのは必要だと思います。自立できる方はいいです。できない者もいます。
私たちは、最初から、そういう大きなお金を動かすような団体になってやろうと思って活動をやったわけではないんです。ささやかなボランティア活動が、知らない間にこういうふうにどんどん大きくなってきたんです。大きくなって気がついたとき、私たちは寄附を集める力もないし、また、自分たちで何か事業を起こして稼ぐ、そういう力もないなということに気付き、力の無さを痛感しています。今からこのボランティア活動支援センター(仮称)でそういうことを学習して、自分で自立できる、そういう団体になりたいと思っているんです。ですから、あなたがそういうことをおっしゃるのでしたら、ボランティア活動支援センター(仮称)の先生になって教えてださい。そうすれば、私たちは勉強します。
◎会場発言(日本語ボランティア 女性):
他の方が発言されましたので、私もちょっと元気が出まして、しゃべらせていただきます。
私は65歳です。65歳といったら、終戦のときにちょうど小学校6年生です。英語教育は完璧に受けております。今の外国人の英語の先生よりも、ひょっとしたら私の発音の方がはるかにすごいかもしれません。そして、45歳ぐらいから日本語教師として、15年近く、私は今、世界のいろんな国で活躍している青年海外協力隊、それからオーストラリアでも、現在は大学で教えています。それから、日本の大学で教えている日本語教師を約5,000人ほど教えてまいりました。震災でその仕事も失い、また、日本語の学校として法務省、外務省、そして非常にうるさい文部省、この3つが関係しております日本語振興協会が認可をおろした学校の学院長も約13年やってまいりました。
そういう経験の中で、随分いろんな資料をつくりまして、皆さんに使っていただきたいと思って、ある市の国際交流課に行きましたら、「あんたはボランティアで来るんですか。それなら、いつでも来なさい」というような、非常に失礼なあいさつをされます。そういう国際交流といっても、私はアジア関係には随分協力して、中国へは6〜7回行っております。それから、大阪市と上海市の友好都市宣言大会、これも代表団の一人として婦人代表として行っております。そういうことで、中国が、赤い中国から今はだんだんピンク色になり、ちょっと変わってきて、その間の学生たちの面倒もみて、北京の大変なときにも遭遇をし、その時の学生たちとも現在、交流もございます。そして、その学生が日本で結婚した、そのお世話も現在しております。
そういう中でしてきたことを皆さんに役立てていただきたいと思って、頭を下げて私を何とか使ってくださいと言っているんですけれども、誰もわかってくださいません。
今、私は、週2回、自分の親戚の病院で、資格がありませんので、薬局の手伝いをして月8万円もらっております。8万円以内なら税金の対象にならないからということで、それで生活をしながら、自分の理想とするものを、あと20年かかってやりとげたい、立派な日本語教育の本をつくるんだと考えております。こういう人間も存在しているということで。日本語教育のこと、また外国語と日本語との比較論のことでしたら、どんなところまででも自分のお金を使ってお手伝いさせていただきにまいります。それは私の好きなことですから、やらせていただきたいと思っております。
◎コーディネーター(小室豊允・姫路獨協大学経済情報学部長):
ありがとうございました。
パネリストの方々、それからフロアの方、たくさんご意見を頂戴いたしまして、また、これを参考にボランティア活動支援センター(仮称)を、さらに県民のために充実したものにしていきたいと思います。
最後に二つ、三つお話をしておきたいと思いますが、私は、この日本におけるボランタリー活動というのは、基本的には、もっと拡大をしていくだろうというように考えております。一つは、国民がやはり豊かになったことでありまして、貧しい時に肌を寄せ合う助け合いもありますが、それには限界があります。やはり、豊かな社会になってできることがたくさんあるということが一つです。
それから、もう一つは、私も兵庫県ボランティア協会の会長をしておりますが、よくおっしゃるのは、「ボランティアをやりたいけれども時間がないんです」とおっしゃるんですね。人生のある時期、大変忙しく働くことはあるかもわかりませんが、私は、この間、計算してみましたら、「人生80年」といたしますと、1日24時間×365日×80年といたしますと、70万時間なんです。そして、大学を出て、就職して、最近は定年まで勤めさせてくれないところも多いんですが、定年まで仮に勤めるとして、今は労働時間の短縮が非常に進んでおりますから、これまた計算をいたしますと、実は7万時間です。つまり、人生の1割働けば家族が養えるという時代が来ています。9割が自由になるかというと、そうでもありませんで、3割は寝なければいけません。それにしても6割は自由な時間があるということです。
その上、マズロウという学者がおりまして、この人の説によりますと、人間の欲求というのは5段階あるということです。最初の段階は、飲むとか食べるという生理的欲求の段階です。それが過ぎると、今度は安全に対する欲求の段階でして、このあたりは、大震災を経験した私たちはよくわかるわけです。その次の段階は、愛情に対する欲求、人から愛されたいという欲求、その次の段階は、人から尊敬されたいという欲求、そして、最終的には、自己実現−あの人でもない、この人でもない、「私」というものを100%発揮したいという自己実現の欲求、こういうものがあります。ボランティアというのは、まさしくこの愛情欲求、尊敬欲求、そして自己実現というものを満たすものだというように考えております。
それから、先ほどから「寄附の文化」の話がありました。私が調べた資料では、実は、アメリカは、GDP(1年間の国内総生産)のうち15%を寄附しております。これは企業からの寄附、個人からの寄附です。アメリカのGDPが約 1,000兆円で、日本が 500兆円ですから、もしアメリカ並みに15%を人のために寄附するとしますと、大体70兆円です。これはもとより福祉だけではありません。博物館に寄附したり、今日も新聞に出ておりましたが、在日韓国人の実業家の方が45億円相当の美術品を寄附してくれたと、こういうものも含めまして70兆円です。70兆円といいますと、日本の年金、医療、福祉に使う1年間の社会保障給付費と申しますが、これが70兆円です。もし、寄附の文化が日本で定着しますと、社会保障給付費に匹敵するぐらいの寄附が集まるはずです。
寄附の集め方に努力が足りるとか、足りないとかいう議論がありましたが、これは、ボランティア活動をやっているどなたに聞いても、お金集めは大変だという、そんな簡単にお金が集まるなどという話は今日初めて聞いたわけでして、しかし、それは基本的には、やはり「寄附の文化」がないという、これが一番大きなことではないでしょうか。世界の悪者のように言われる投機家ジョージ・ソロスも、「ジョージ・ソロス財団」を持っておりまして、世界中の様々なことに寄附をしております。一方では儲ける、しかし一方では社会的貢献をする、こういう社会というのが、本当の今日のフォーラムのテーマでありますボランタリーな社会ではないだろうか。
こんなことで今日のシンポジウムを締めくくらせていただきたいと思います。
パネリストの皆さん、どうもありがとうございました。