概要

室町時代の人世阿弥は、能劇の作詞家・作曲家として多くの作品を創作しました。そして、役者として多くの芸論も書き遺しています。
彼が最初に書いた芸論は『風姿花伝』です。その冒頭の教え「年来稽古条々」は、七歳から五十代に至る、年齢に沿った稽古法を《花》に喩えて伝授したものなのですが、能役者の為のこの芸論は普遍的な内容で、人間の為の人生論という視点で読むこともできます。 世阿弥の言葉（魅力溢れる言葉）を味わいながら《世阿弥哲学》の一端に触れていただけたら…と願っています。

講師紹介
　【王藤内　雅子】
2000年4月より広島文教女子大学教授。2014年3月退任。
・"能"に惚れて浸って63年。大学の業務・短歌の創作及び評論・講演活動の他は、"能"の詩的分析に専念。"能"を全く知らない人を対象とした、普通の言葉での解説をライフワークとしている。
・著書に『南都両神事能資料集』、歌集『CARPE DIEM』など。
・新作能『六条』の台本を執筆。2008年10月17日、京都にて上演。