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兵庫県内の社会貢献企業を紹介

多様な活動資源とノウハウを持つ「企業」の社会貢献活動を促進し、「ひょうごの地域づくり活動」の輪を一層広げていくため、県内企業による社会貢献活動の実践事例や県の支援・促進施策をご紹介します。

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「お湯を越えていくノーリツグループ」の社会貢献活動

企業資源の寄付

自主プログラム

社会的商品・サービス

事業者名 株式会社ノーリツ
代表者名 代表取締役社長兼代表執行役員 國井 総一郎
設立 昭和26年3月
資本金 20,167百万円
社員数 2,460名(単体) 5,134名(連結)
所在地 神戸市中央区江戸町93番(栄光ビル)
主な事業活動 エネルギーベストミックス機器と湯まわりを軸としたネットワーク商品・サービス関連事業
ホームページ 株式会社ノーリツのホームページ
掲載日 平成24年1月10日

株式会社ノーリツ 経営企画室 参事 大前 優治さんにお話を伺いました。

御社の社会貢献活動の柱である“3つの笑顔プロジェクト”を始めるきっかけは?

                                   インタビューの様子               

 “3つの笑顔プロジェクト”とは、「人に笑顔」、「地球の笑顔」、「暮しで笑顔」のことであり、この3つのモットーに基づいて社会貢献活動を実施しています。
 弊社は「お風呂は人を幸せにする」を創業原点に、「お湯と健康 愛とやすらぎ 豊かな暮しをつくるノーリツ」の企業理念のもと、今年で60周年を迎えました。
 この60周年を機に、創業の原点、企業理念はそのままに「お湯を越えていくノーリツグループ」として、新中期計画(Vプラン16)を策定しました。その中で、「人と地球の笑顔に向けて、暮らしの感動を追求するノーリツグループになろう」という思いを凝縮した言葉 “新しい幸せを、わかすこと”をグループビジョンとして明記しました。
 CSR活動については、当初は環境・雇用の継続・コンプライアンスを軸に活動を行っており、何らかの要請があった際に応じる等、受け身的なCSR活動でしたが、以前から本業を通じて何か社会に貢献できることはないかと考えていました。
 そこで、創業60周年を迎えVプラン16をスタートさせたことを契機に、福祉施設・行政等社外の方々と連携し、積極的に活動を展開していくために、“3つの笑顔プロジェクト”を立ち上げました。

“人に笑顔プロジェクト”について教えて下さい。

            分解作業の様子             

 “人に笑顔プロジェクト”は、給湯器のリサイクル行程で人を笑顔にするために、福祉施設とタイアップし、障害者の方々が、いつも笑顔で働ける場所をつくることを目的に開始した事業です。
 2006年に元社員が社内ベンチャー事業として、障害者を雇用するための特例子会社エスコアハーツを設立しました。そこでは、社員が使用する名刺の印刷や社内広報物などの発送作業、使用済み給湯器の分解・分別作業などを行っています。
 エスコアハーツは、離職者が居ないということで注目され、地域の福祉施設から見学に来られることが多々ありました。見学に来られた方の中には、「ぜひ、うちでのリサイクル事業をやらせてほしい」という声もいただいています。
 このリサイクル事業を社会と環境にやさしい事業として広げていくために、分解作業などを行う福祉事業所様、使用済み給湯器をご提供いただく事業者様、そして私たちエスコアハーツの3者が連携し、今後も本事業を継続していきたいと考えています。
 実は、給湯器は部品の98%がリサイクル可能です。そこで、給湯器の販売事業者様に事業の趣旨を説明し、使用済み給湯器を有価物として買わせていただいています。販売業者様にとっては、有価売却出来るということ、間接的に障害者雇用に貢献しているメリットがあり、意識を持ってご協力いただいています。
 そして、事業を行う福祉事業所様にとっては、基本的に納期を設定しないので、時間に追われずに自分たちのペースで仕事が出来ること。また、1つの給湯器を分解する際に細かい作業から大きな作業まであるので、作業内容に応じた様々な障害のある方に参加してもらい易いというメリットがあります。エスコアハーツは福祉事業所様へ分解のノウハウ提供と納品・回収、販売業者様から使用済み給湯器の引き取りを担っております。
 現在では、販売業者様47社、小野福祉工場様、社会福祉法人加古川はぐるま福祉会様、NPO法人たつのGHO様、社会福祉法人いずみ野福祉会様と連携して事業を行い、就労機会を提供することができました。

“地球に笑顔プロジェクト”について教えて下さい。

            間伐材を利用したウッドコースター             

 地球に笑顔プロジェクトは間伐事業を支援して、地域を笑顔にする事業です。
 これは、森林の『育てる→伐る→利用する→植える』という自然なサイクルの中で、“伐る”という間伐がなかなか進んでいないという現状の中で、環境省のオフセット・クレジット制度(※)を導入して、森林育成に貢献しています。
 ノーリツには太陽光発電設備を生産する加古川工場があります。太陽光発電という環境にやさしい商品を作る工場が二酸化炭素を排出することはできないと、CO₂ゼロ工場を目指し、節電などできることに取り組んできましたが、生産工場のため、なかなか排出量ゼロにはなりませんでした。そこで、カーボンオフセット・クレジット制度を導入し、加古川工場がどうしても排出してしまう約700トンの二酸化炭素を購入するとともに、兵庫県森林組合連合会と連携して間伐事業を支援し、兵庫県朝来市の森林育成に貢献しています。
 また、安価な輸入木材に押されてなかなか利用が進まない間伐材の利用を促進するための意識付けとして、間伐材を利用したウッドコースターやカッティングボードなどのノベルティを作成し、お見積りをいただいたお客様へプレゼントするなど、間伐材利用促進のお手伝いをしております。


※ オフセット・クレジット(J-VER)制度とは
「オフセット・クレジット(J-VER)」プロジェクトを計画し、環境省による「カーボン・オフセットに用いられるVER(Verified Emission Reduction)の認証基準に関する検討会」の議論におけるオフセット・クレジット(J-VER)制度に基づいた妥当性確認・検証等を受けることによって、信頼性の高い「オフセット・クレジット(J-VER)」プロジェクトとして認証を受ける。同事業における二酸化炭素の削減量等をクレジットとして発行することができ、売却が可能となる。

“暮しで笑顔プロジェクト”について教えて下さい。

            浴育イベントの様子             

 “暮しで笑顔プロジェクト”はお風呂や食事といった日常の当たり前の習慣の中にある、小さな幸せの時間をもっと楽しくしてもらう『浴育』の事業です。
 以前から開催していた浴育に関する紙芝居をノーリツのショールームでも披露するイベントはできないかと考えていましたが、ショールームでは幼児を集めることが難しいと思われました。それならこちらから幼児がいる所に行ってしまおうと、保育園や幼稚園に出向いて披露する“おふろって楽しいでSHOW!”という浴育出張イベントを開催することになりました。
 2011年6月からあさひ保育園、神陵台保育園、明舞幼稚園でイベントを行いました。また、会場が保育園や幼稚園だと一般の方に参加いただけないこともあり、オープンイベントとして白雲谷温泉ゆぴかやデックス東京でも同様の浴育イベントを行いました。
 イベントは、神戸新聞事業所様と連携して行っています。『パンダの不思議なお風呂』紙芝居、おふろマナー○×クイズ、歌って踊っておふろマンボという音楽ミニライブなどを通して、子どもたちにお風呂文化を伝え、お風呂の楽しさや親子コミュニケーションのきっかけづくりを支援しています。

東日本大震災の支援活動もされたようですが。


            シャワーブース設置作業             

 ノーリツグループにおいても、東北エリアの営業拠点や関東エリアの生産事業所で多くの被害がありましたが、幸いグループ社員とその家族は無事でした。
 震災が起きて以降、社員が書き込める社長のホームページには「ノーリツグループだからそこできる支援をしたい」「被災地へお風呂を提供したい」といった書き込みが殺到しました。このような多くの社員の声にも後押しされ、ノーリツグループだからできる震災支援として、被災地にお風呂を提供する支援を考えました。
 被災地にお風呂を設置するためには、ライフラインの問題などハードルが高く、また自衛隊のように温泉をそのまま輸送することは、一般企業では衛生上の問題からも難しいということが分かりました。そこで、兵庫県災害対策局へノーリツの意向を打診し、比較的ライフラインが復旧している気仙沼市にシャワーブースを設置することが決まりました。設置工事は震災の影響で仕事が激減している東北の施工店へお願いしました。
 気仙沼市内の候補地を私たちも実際に見て回り、現地の状況を目の当たりにしました。比較的ライフラインがそろっている気仙沼市で、水が出るといっても運動場の1つの水栓を分岐して使用しなくてはならず最低作動水圧があるかも心配でした。また、電気は望めない、排水に関しても問題がないとはいえないという状況のうえ、施工中も余震が続く等、完成するまで不安は多くありましたが、無事、避難所7カ所に12セットのシャワーブースを設置することができ、被災者の方にご利用いただけました。

社会貢献活動に企業として取り組むことでの変化はありますか?


 3つの笑顔プロジェクトは始まったばかりで、ムーブメントとなるような変化には至っていません。だたし、少しずつ兆しは出てきたと思われます。“人に笑顔プロジェクト”に関して、営業部門では従来の商談だけでなく、障害者の自立支援という今までと違った価値を販売業者様へ提案することで、関係強化になっていると思います。また、福祉事業所様では、新たな職務開発ができたという事が成果ですが、例えば小野福祉工場では他の施設からの見学者が増え、働いている人が人から見られることでモチベーションが上がり、職場が明るく活性化したと聞いています。
 社内の変化としましては、弊社社長が事あるごとに3つの笑顔プロジェクトの話をしておりますので、社員に社会貢献意識が浸透していると思います。             

今後の取り組みについて聞かせて下さい。

           

 今後も、企業を取り巻くステークホルダーと一緒に着実に、現在の社会貢献活動への取り組みを広げていけたらと思っています。
 地球の笑顔プロジェクトでは、社員参加型のイベントやお客様が間接的に社会貢献をできる機会を提供したいと考えています。
 人に笑顔プロジェクトでは、まだまだ使用済み給湯器の回収量が少なく、連携している福祉事業所様全てに十分な就労機会を提供することができていませんので、地域の福祉ネットワークを構築できるように、回収量をアップしていきたいと思っています。
 暮しで笑顔プロジェクトでは、5万人いるノーリツネット会員を浴育イベントに動員できるようになればと考えております。また、全国浴場組合様とタイアップし、全国の銭湯で浴育イベントを開催や兵庫県だけでなく東京、名古屋、大阪、福岡とエリアを拡大していきたいと考えています。その他、同じように浴育・食育活動に取り組んでおられる企業やNPO法人とタイアップしてイベントができれば、もっと活動が広がっていくと思っています。

これから社会貢献に取り組もうとする企業への一言をお願いします。

           

 社会貢献活動は、継続する事が大切。そのためには、本業を通して活動する必要があると思います。無理をせず、自分たちができる事から始める。そして、関係者全てが確かなメリットを享受しながら進めるということが重要だと思います。
 従業員が自信と誇りを持つことが出来る活動を展開することが、人と企業の持続的な成長につながるのではないでしょうか。

本日はありがとうございました。

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