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兵庫県内の社会貢献企業を紹介

多様な活動資源とノウハウを持つ「企業」の社会貢献活動を促進し、「ひょうごの地域づくり活動」の輪を一層広げていくため、県内企業による社会貢献活動の実践事例や県の支援・促進施策をご紹介します。

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まちとくらしをつなぐ
~タクシー会社の機能を活かしたまちづくり~

自主プログラム

社会的商品・サービス

企業名 近畿タクシー株式会社
代表者名 代表取締役社長 森崎 清登
設立 昭和27年7月31日
資本金 1,000万円(平成21年7月10日現在)
社員数 65名 (平成21年7月10日現在)
所在地 兵庫県神戸市長田区上池田5丁目5番18号
主な事業活動 タクシー・バス事業  訪問介護事業
ホームページ 近畿タクシー株式会社のホームページ
掲載日 平成21年7月30日

近畿タクシー株式会社 代表取締役社長 森崎 清登さんにお話を伺いました。

地域貢献活動を始めたきっかけは?

森崎清登さんとのインタビュー風景

            

 私自身の震災体験が原点です。私は須磨区生まれなのですが、阪神・淡路大震災の翌日に見た鷹取は、大火災のため子どもの頃の記憶をたどる風景が無くなっていました。

 何とも言えない喪失感を感じるとともに、「(街が焼けてしまったなら)もう一度作ればよい。」「まちづくりがしたい。」という気持ちが自然とわいてきました。

 その後、私個人が出来るボランティアはないかと、あちらこちらに顔を出していたのですが、あるところで『FMわぃわぃ』(注1)のディレクターと知り合いました。話をするうちに、ラジオでは阪神高速や国道2号線の交通情報は流しているけれど、地域で必要なのは、地域の中の道や交差点が渋滞しているかどうかという情報ではないかと思ったのです。それならば、街を走っているタクシーが一番良く知っている情報です。

 そのとき、「私個人のボランティア」から「タクシー会社の機能を生かしたまちづくり」へと方向が変わったのです。

 注1:地域に密着した情報を提供するコミュニティFM放送局。
     阪神・淡路大震災のとき、外国籍の言葉が通じない人達へ、必要不
     可欠な情報を伝えるために開局した。

長田で開催された『復興大バザール』ではどのような役割を担ったのでしょうか。

 長田には7つの商店街があり、またその中でも丁目毎に組合があるなど、他の商店街との交流はあまりなかったのですが、それら全部が一緒に開催した初めてのイベントが、1999(平成11)年11月に開催された『復興大バザール』です。

 まちづくりのために何かしたいと思い続けていたので、地元長田の輸送会社としてすぐに協力を申し出、新長田駅から六間道商店街の会場まで約800メートルを環境に優しい天然ガスタクシー等でピストン運転しました。これが商店街との関わりのはじまりです。

アスタきらめき会のメンバーでもありますね。

 『復興大バザール』を開催したことによって、これからまちづくりをしていく実行部隊となる人たちが、各商店街から集まりました。それが『アスタきらめき会』です。

 アスタとは、新長田駅南の20.1haのエリアにある、住商一体型の再開発地区の愛称ですが、これを街全体の愛称にしようという思いからの命名です。

 私の会社は商店街から離れたところにありますが、まちの復興に取り組むメンバーの熱い思いを感じ、また商店街としても街の外からいろいろな意見を聞きたいと思っていたことから、私もこの活動に参加することになりました。

商店街と協働で行った活動にはどのようなものがありますか?

森崎清登さんとのインタビュー風景

 翌2000(平成12)年、通商産業省(当時)の支援で行った「高齢者に優しい商店街づくり事業」では、復興住宅の高齢者を元気づけようと、商店街までの無料バス『買いもん楽ちんバス』を期間限定で運行しました。

            

 同時に、アスタが導入した「ショップモビリティ」(注2)では、当社は利用者の自宅から基地までのアクセスを担当しています。

 

 また、車いすや自転車で買い物に来て、帰りはタクシー後部に取りつけた「サイクル・ラバーズ」という器具にそれらを乗せて自宅まで送るサービスもしています。

 注2:まちの中心部にある基地に電動スクーターや車イスなどの移動用機器を備えて、常時または一時的な移動の困難を持つ人に貸し出し、街中でのショッピングなどを支援するシステム。

            

商店街と関わることで、タクシー会社としての変化はありましたか?

 当社は、1952(昭和27) 年の創業以来、『公共交通機関』であることを謳い上げてきましたが、はたして『公共』だったのか。地域密着のサービスと言いながら、実際には公道を借りて走っていただけだということに気づきました。

 商店街は地域づくりの受け皿で、お買い物客は地域で暮らす市民です。まちとくらし、この二つをつなぐことが、運送事業者ができる“まちづくり”だと分かりました。

 つなぎ役であるタクシーをどう生かすかを考え行き着いたのが、これからの近畿タクシーは「観光と福祉」をテーマにするということです。

いろいろなアイデアがあふれ出していますね。

森崎清登さんとのインタビュー風景

                         

 「銀幕タクシー」は神戸で撮影された映画のロケ地を、「神戸ジャズタクシー」は神戸の夜景スポットとジャズクラブを、ロンドンタクシーで巡ります。「海のタクシー」は、自宅から須磨海岸まで水着のままご乗車いただけます。

 お店を観光名所とする企画として、神戸のスイーツどころをつなぐ「神戸スイーツ・タクシー」、神戸ビーフにこだわるお店を紹介する「神戸ビーフタクシー」があります。

 また、「安心かえる号」は、お母さんが急用で子どもの塾や習い事の送り迎えができない時や、子どもだけでおじいちゃんの家に行かせたい時などに、お子様だけでご乗車できるタクシーです。

従業員の方たちは、どう捉えているのでしょうか。

 私は1986(昭和61)年に、妻の父が社長だった現在の会社に転職したのですが、当時は会社を見渡しても、従来の業務だけで精一杯、新しいことに取り組もうとする雰囲気は無かったです。

 1991(平成3)年に英国製の「ロンドンタクシー」を導入したとき、2人の乗務員が乗りたいと言ってくれました。その2人が乗車している姿を見て6人になり、現在はその6人を核として15人ほどが、私が次々に考え出す企画について来てくれています。

 当社では、車いすに乗ったまま乗れるワゴン型のユニバーサルデザインタクシーを導入し、当日の夜間でも配車できる介護タクシー「星空の車いすタクシー」を運用していますが、そのために乗務員がヘルパー研修も受けています。

 タクシー会社の原点は「いつでも・どこでも・どなたでも」であり、それは「ユニバーサルデザインなサービス」と同じです。

環境への取り組みもされています。

 震災以降、ほんとうにたくさんのボランティアに支えられ、「やさしさ」が街のキーワードになりました。当社が出来る「やさしさ」を考えていたところ、低公害車(天然ガス車)と出会い、全国で初めて天然ガスタクシー(注3)を導入しました。

 また「青空のタクシー」では、乗務員の制服をエコスタイルにし、手作りのホースでエアコンの吹き出し口を後方に設置して、乗務員のクーラー病防止と無駄なアイドリングの抑制を図りました。昨年夏からは、全営業車にアイドリングストップ装置を取り付けました。

 注3:燃料として、下水タンク内の微生物の働きで発生したメタンガスを精製したバイオガスも使用でき、暮らしの中から生まれた地域循環型エネルギー活用も試行中。天然ガスタクシーはガソリンに比べて、二酸化炭素の排出量を3~4割軽減できる。

これから社会貢献活動に取り組もうとする企業への一言をお願いします。

 企業がやっていることは、すべて“幸せづくり”につながると思います。商品は、人が幸せにならないと売れませんから。ですから、企業活動はすべて社会貢献であり、企業活動と社会貢献活動を分けることはないと私は思っています。

 社会貢献活動といっても、新たなことをすることはなく、コストをかけずに有り物ですればよいと思います。企業の地域貢献とは、企業が地域の資源を業務の中に取り込み、アウトプットすることで、地域の活性化につながればよいのではないでしょうか。

 そうすれば、地域の方々に喜ばれているという手ごたえを感じ、“金儲け”だけでは得られない“人儲け”が出来ますよ。

本日はありがとうございました。

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