第3回全体会議事要旨
※本議事要旨は事務局が作成したものに各委員が発言内容の確認を行ったうえ、委員の申し出に従い修正を行ったものです。
第4期兵庫県県民生活審議会第3回全体会議事要旨
1 日時 平成12年2月22日(火) 午後1時〜午後3時
2 場所 パレス神戸大会議室
3 出席者
(1) 委 員 三木会長、小室総合政策部会長、北浦委員、北野委員、後藤委員、住野委員、瀧川委員、谷垣委員、
友光委員、鳥越委員、中田委員、幡井委員、藤原委員、森田委員、山内委員、吉田委員、速水委員
(2) 事務局 武田生活文化部長、藤原生活文化部次長、大鳥生活創造課長、大西生活創造活動推進室長、
足立消費生活対策室長
(3) 傍聴者 1名
4 議事
(1) 県民ボランタリー活動フォーラム等による県民意見について
(2) 県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針について
(3) その他
5 主な意見等
(1) 県民ボランタリー活動フォーラム等による県民意見について
会長:資料2では県民フォーラム、県民意見の募集等によって寄せられた意見をまとめている。資料3は総合政策部会でとりまとめていただいた基本方針案である。これについて、小室部会長からご説明願いたい。
部会長:資料2に基づいて説明したい。平成11年10月11日の第2回全体会で審議していただき、総合政策部会と検討委員会でとりまとめた中間報告を10月22日に公表し、それに基づき、10月31日の東播磨地域を皮切りに、12月10日の神戸地域までの間に、検討委員会委員が出席して、県内7地域で県民フォーラムを開催した。まず、開催の概要を簡単に説明したい。
@ 神戸地域
神戸地域は、12月10日(金)午後6時から県民会館において、私の中間報告の説明とパネルディスカッションを行った。パネルディスカッションでは、私がコーディネーターを行い、パネリストとして鳥越委員、今田委員、それから4団体の代表の方に出席していただき、それぞれの団体の活動内容などを踏まえた提言をいただいた。参加者は160名。
A 阪神地域
阪神地域は、11月14日(日)の午後に伊丹市の伊丹ホールにおいて、鳥越委員の中間報告の説明及びパネルディスカッションを開催した。ラウンドフォーラムという形で、阪神間で活動している団体の比較的若手の方に参加していただき、フォーラムを進めていただいた。参加者は155名。
B 東播磨地域
東播磨地域は、10月31日(日)の午後に加古川市立青少年女性センターにおいて、速水委員の中間報告の説明及びグループ討議を行った。グループ討議は、加古川市青少年団体連絡協議会の協力の下、実践活動グループのメンバーに参加いただいて意見交換をした。参加者は48名。
C 西播磨地域
西播磨地域は、11月25日(木)の午後に姫路市にあるNTTしらさぎ会館において、速水委員の中間報告の説明とパネルディスカッションを行った。パネルディスカッションでは、速水委員にコーディネーターをしていただき、西播磨地域で活動している3名の方のパネリストと意見交換をした。参加者は50名。
D 但馬地域
但馬地域は、12月7日(火)の午後に関宮町のエイドホールにおいて、吉田委員の中間報告の説明と実践活動発表を踏まえたグループ討議という形で開催した。地元で活動を行う2名の方に実践活動発表をしていただいた後、それぞれグループにわかれて討議を行い、吉田委員がこれに対するコメントをした。参加者は60名。
E 丹波地域
丹波地域は、12月3日(金)に生活創造センターの第1号施設である丹波の森公苑において、吉田委員の中間報告の説明及び意見交換などを行った。丹波地域で活発に活動されておられる方を中心に意見交換をしていただいた。参加者は150名。
F 淡路地域
淡路地域は、11月28日(日)の午後に洲本市のみくまホールで、去る1月2日に急逝された草地委員の講演とパネルディスカッションを行った。パネルディスカッションでは、草地委員にコーディネーターになっていただき、パネリストとして速水委員と地域の実践活動団体の代表者4名の方で意見交換を行った。参加者は60名。
以上が各地域でのフォーラムの報告である。
委員:追加していただきたいことがある。丹波地域では、フォーラムの開催前に、テレビ番組撮影のために井戸副知事を交えて懇談会を行った。この場で、井戸副知事が非常にわかりやすい言葉で、県の姿勢と言うか、立場を話していた。日曜フォーラムという番組で放映されたのだが、記録としても、副知事との懇談会を追加してほしい。
委員:丹波地域でのフォーラムの前に、この条例をテーマとする副知事との懇談会があったようなので、記録に追加しておいてほしい。
部会長:このフォーラムでの主な意見を紹介しておきたい。県内7地域の県民ボランタリー活動フォーラムでのパネリストや参加者などの意見を、中間報告での項目毎にとりまとめている。これらの県民からの意見については、中間報告で読み取れるものがほとんどであった。
ア 「県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本的な事項」
「基本方針の性格」について、神戸地域で、「ボランタリーセクターという位置づけは、ボランタリー活動が市民権を与えられて望ましい。」という意見がでた。また、同じく「行政の果たすべき役割と、行政が担うべき領域の明確化に配慮して作成されたことは正しい方向である」という意見が出た。さらに、基本方針の性格である、「ボランタリーセクターを社会の中に確立すること」、あるいは「行政の果たす役割と行政が担うことを控えるべき領域の明確化」を記述した点を評価する意見があった。例えば、阪神間では「行政やボランタリーセクターが担うべき領域の明確な整理ではなく、行政が担ってきた領域にボランタリーセクターが参加し、行政とボランタリーセクターが協働するという考え方を取り入れた方が良い」という意見がでた。丹波地域では、「婦人会は若い人の入会がなく、会員減少の問題を抱えている。行政として地域の基盤的団体等も支えてほしい。」という意見がでた。今のように、NPOやボランティア団体だけではなく、地域の基盤的団体も支援してほしいという意見があった。
続いて阪神間で、「ボランティアの定義として、民間性、自主性、独自性、先駆性、実験性、開拓性を重視してほしい」という意見のように、ボランティアの先駆性、開拓性を認めるべきだという意見がでた。また、県民にとって、県よりも身近な市町の役割の大切さ、県と市町との連携の重要性が提起された。神戸地域では、「今後、県と市との連携が大変重要になってくる。」、あるいは阪神地域では、「県の条例ができても、実際に市がそれを受け止めてくれないならば、ボランティア団体等は浮いた状態になる。」「市のどこが窓口となって相談を持ちかければ良いのか、分からない」という意見がでた。
イ 「県民ボランタリー活動の機会の提供及び基盤の整備に関する事項」
「気運の醸成」において、表彰事業について、賛成、あるいは、もっと充実すべきだという意見と、反対だという意見の両方があった。但馬地域では、「とくに若い人や男性が参加しやすいようなボランティアの動機づけが必要である」という意見があった。それから、意見募集の中で「表彰事業は反対である」というものがある。特に、自治体の職員や企業の従業員に対してもボランティアの体験をしてほしいという意見があった。例えば、但馬地域で、「役場の職員とか、企業の若者たちに要請して、ボランティアの体験をしてほしい」という意見があった。それから、資金調達、人材育成の情報、その他の活動団体の活動内容の情報の充実を求めるという意見があり、例えば、神戸地域では「どんな活動が求められているのか、どこでどんな助成がなされているのか、どこでどんな学習会や研修会があるのか、どこでどんな活動が行われているのかを知りたい」という意見があった。それから、プレゼンテーションについての研修を望む意見があった。例えば、阪神地域で「ボランタリー活動に携わる人たちが説得や交渉などプレゼンテーション能力を身につけることが重要である」という意見があった。
「交流の促進」として、活動団体どうしのネットワークが図られるとの意見があった。例えば、西播磨地域で「同じような活動分野だけでなく、違う活動分野の方とのネットワークの場が必要」だという意見があった。意見募集でも、「ボランティアグループの中でのネットワーク化がますます図られ、出会い、ふれあいが広がり、助け合いの精神が育ち、拡がりますように」という希望がでていた。
「学校等での体験機会の提供」として、青少年期からのボランティア体験の重要性を認識し、機会を提供してほしいという意見があった。例えば、神戸・東播磨・西播磨・但馬・淡路のような地域で、「小さい頃からボランティア活動に参加すれば、大人になってもボランティア活動に参加しやすくなることから、参加の機会を与えていくことが重要である」という意見があった。それから、学校の先生等教育関係者がもっとボランタリーな活動に理解をしてほしいという意見があった。例えば、淡路地域では、「教育関係者がもっと(ボランタリーな活動に)目を向けてほしい」という意見が参加者の中からでた。
ウ 「県民ボランタリー活動の促進のための基盤の整備に関する事項」
「調査、研究等の推進」だが、県は広域的な自治体と位置づけて、広域的なものに特化すべきで、調査研究に力を入れてほしいという意見が出た。神戸地域で「小さい市町村や市町社会福祉協議会では、なかなか実施することが困難な調査とか研究体制の整備を(県に)お願いしたい」という意見があった。「支援拠点の整備」だが、各地域で、ボランタリー活動者が身近に集まれるところがほしいという意見があった。例えば、但馬地域では「ボランティアは地域活動であるから、もっと地元で集まれる拠点が考えらる」という意見があった。
それから、「ネットワーク化をすすめるコーディネーターが重要である」という意見がかなりの地域であった。例えば、東播磨地域では、「活動の活性化のためには、地域のネットワークづくりの推進が必要であり、各地域でネットワークを中継する人材の養成が望まれる」という意見があった。「実務のための支援」だが、法律・会計・税務などの専門分野での実務の実施体制の確立を望みたいという意見がでていて、特に阪神地域が非常に多かった。神戸地域では、「法律、会計、税務などの専門的な分野の(ボランタリーな活動をする)実務のための支援措置に力を入れてほしい」という意見。阪神地域では、「会計等の事務が大変な作業であるから、総合窓口を設け、税務面などを含めて、相談する場が必要である」という意見があった。
「財政支援方法の検討」という面については、行政からの財政負担を望む声があったり、行政からの助成金が入ると活動しにくいという逆の意見もあり、団体や個人によって非常に意見がわかれたのが特徴である。例えば、丹波地域では「ボランタリー活動には事務経費がかかりすぎるので、行政から財政負担をしてほしい」という意見もあれば、逆に、阪神地域では「団体は自主団体で、会費も自分たちで集めており、行政から助成金が入ると活動しにくい面がある」という意見もでていた。また、ボランタリー活動の有償性についての話がいろいろとあり、事務経費ぐらいは料金としてとっても良いのではないかという意見もあった。これも各地域で議論が起こったのだが、例えば、丹波地域では、「ボランティア活動にあたり、事務経費がかかり、有償としているが、私たちの団体の活動を事業かボランティアと言うべきか迷っている」という率直な悩みもあった。それから、但馬地域では、「ボランティアを有償ですることの是非、あらゆる分野で出てくる問題である」という意見がでた。それから、団体自身が情報を公開し、助成金や寄附に循環していくシステムづくりが重要であるという意見がでていた。阪神地域で、「団体自身が説明責任(アカウンタビリティ)を果たし、社会的な評価を受け、助成金や補助金、寄附に循環していくシステムづくりが必要である」という意見があった。
それから、企業も地域社会の一員としての理解をもってボランティア休暇などを与えて欲しいという意見が、各地で出た。例えば、県民意見で「ボランティア休暇を与えることが、ボランティア活動の促進につながっていく」という意見があった。
C 「県民ボランタリー活動の促進のための施策を実施するにあたり配慮すべき重要事項」
「地域特性の配慮」ということだが、これも地域の特性を配慮することが大変重要だという意見が各地であった。神戸地域では「各地域の特性を十分考慮に入れて、作成、あるいは運用をお願いする」という意見があった。
主要な意見は、以上のようなものである。
会長:大変細かくご報告をいただいたが、何か質問はないだろうか。なければ、基本方針案の討議を行いたい。
(2) 県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針について
@ 基本方針案の説明
会長:基本方針に関わる問題について、部会長の方から説明をお願いしたい。
部会長:資料3に基づいて、総合政策部会でとりまとめた基本方針の案のポイントを説明したい。これは、中間報告に対して、先程のフォーラムあるいはインターネットを通じた一般の意見聴取を踏まえて、総合政策部会において修正したものである。また、総合政策部会、あるいは検討委員会の委員からも補足的な説明をいただきたい。
「県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本的な事項」の「県民ボランタリー活動の広がりへの対応」では、「連携ができるように」という文章があるが、丹波地域で、婦人会は若い方の入会がなく、会員が減少しているので、地域の基盤的な団体、これは婦人会とか自治会とか、子ども会、青少年関係の団体などを支援してほしいという意見がでたので、総合政策部会で審議をし、NPOやボランティア団体だけではなくて、地域の基盤的団体も支えるような表現をつける方が良いということになった。このため、「連携を図ることや、それらの団体等を支えることについて配慮する」と修正した。
「基本的な考え方」では、「個別性を尊重した関わり方を行う」という表現があるが、阪神地域で、ボランティアの定義として、先駆性・開拓性を重視してほしいという意見があり、総合政策部会で審議したところ、ボランタリー活動の性格としての先駆性・開拓性を認めておく必要があるということを入れることになった。また、丹波地域で、ボランティア活動で事務経費がかかり有償としているが、私たちの活動を事業か、ボランティアというべきか迷っているという意見があったし、但馬地域でも、ボランティアを有償ですることの是非があらゆるところで出てくる大きな問題だという意見もあったので、部会で審議を行い、ボランタリーな活動は「有償性や無償性を問わない」ものであることを明示する表現を追加した。福祉団体では無償であることが多数派なのだが、必ずしもそうではないということで、次のように修正した。中間報告では、「活動団体は多様であり、個別性を尊重した関わり方を行う」とあったのを、これらの意見を踏まえて、「活動団体等では、有償・無償を問わず、様々な活動を行っており、その個別性を尊重した関わり方を行う。特に、社会情勢などの変化に伴う新しい課題に対し、活動団体等が柔軟かつ機動的に対応し、先駆的、開拓的な活動を行うことも認識しておく必要がある」と修正した。
「行政、企業、ボランタリーセクターにおける各主体の協力関係のあり方」では、中間報告は「市町との連携を強化する」ということであったが、各地域でここが非常に大事ではないかという意見があったので、部会では地方分権一括法の問題もあり、このような考え方を視野に入れ、市町行政の方が、県行政よりは住民にとって身近であるため、その大切さを尊重するという表現を入れることになった。中間報告では、「市町との連携を強化する」ということだけであったが、「県民により身近な市町の役割の大切さを尊重しながら、一層の連携を進める」という表現にした。
「県民ボランタリー活動の機会の提供、基盤の整備に関する事項」では、「気運の醸成」において、但馬地域での若い人や男性がもっと参加する動機付けが必要だという意見もあったため、部会では気運の醸成を図るためには、労働者が理解を示すことが重要であるとのことから、特に自治体職員や企業の経営者・従業員にもボランタリー活動への理解を深める機会を与えるという表現を付け加えた方が良いという意見があった。このため、修正案は「施策に携わる自治体職員や学習機会の少ない企業の経営者・従業員に対しても、県民ボランタリー活動への理解を深めるための場を提供する」とした。
「交流の促進」では、「ネットワーク化を促進させる」という文章があるが、これもどこでどのような活動が行われているかもっと知りたいという意見等もあったため、部会で審議し、ボランタリー活動団体自身が活動内容を発信する機会を提供するという表現を追加することになった。「ネットワーク化の促進や情報発信できる機会を提供すると」修正した。
「基盤整備に関する事項」の「財政支援方法の検討」では、中間報告では「事業委託や資金助成の適切なあり方などを考慮していく必要がある」という文章であったが、阪神地域で、このアカウンタビリティを果たすことによって助成金、補助金、寄附というようなものが、ボランタリーな活動団体に入ってくる、いわば循環をつくるべきだという意見があったため、部会で議論を行った。そこでは、活動団体の独立性を強調する意見が出たため、「財政支援方法を検討」する内容としては、活動団体自らが資金確保をするための方法などを考慮するという表現をした。資料3の修正案は、「事業委託や資金助成についての適切なあり方、活動資金の確保を容易にするための方法を考慮していく必要がある」と改めた。
また、「財政支援の方法について検討する際には、活動団体等と行政との間の相互の自律した協力関係を踏まえた協働を積極的に進めるとともに、事業委託や資金助成についての適切なあり方、活動資金の確保を容易にするための方法などを考慮していく必要がある」ということで、「間の相互の」を加えて修正した。
「社会環境の整備」であるが、ここもいろいろな意見がでた。例えば、企業が積極的にボランタリーな活動をするのは企業のイメージアップにつながるし、もっと従業員が気軽に、ボランタリーな活動ができる環境が望まれる。先程も紹介したのだが、企業も一市民だという意見もあったため、部会でも、企業も地域社会の一員であるとの認識が必要であるとの観点から、「事業者などの事業活動が地域社会と密接な関係にある」という理解を追加し、修正案では「事業者等に対し、その事業活動が地域社会と密接な関係にあることの理解を促し」という文章を加えた。
「前3号に掲げるものの他、県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する重要事項」では「時代の要請による対応(フォローアップ)」において、部会の意見の中から、政策評価を定期的に行うことをやった方が良いという意見が出た。それから、新しい施策のアイディアが入っているので、その所期の目的が達成されているのか、見直していく、つまり、フォローアップをすることを書いた方が良いのではないか、政策の透明性の確保みたいなことを書き加えた方が良いういと意見があったため、最後を「政策について、透明性を高めつつ、適宜、評価を加え、見直しを行っていくことが必要である」と修正した。
以上が、中間報告の後、フォーラム、インターネットによる県民意見を踏まえて、部会で修正したポイントである。この修正案を元に議論してほしい。
A 意見交換
会長:総合政策部会や検討委員会の委員の方から、部会長の説明で抜けているところがあれば発言してほしい。なければ、この基本方針案についての意見をいただきたい。
委員:基本方針案に対して、特に追加などはないのだが、普段、ボランティアと言うと、何か特別な活動をしているというイメージがあると思う。でも事実は、近所付き合いと言うか、例えば、あそこのおばあちゃんは、体が悪いから病院まで車で送ってあげようというような、いわゆる「助け合い」が一番ベースにあると思う。そういうことがベースにあって初めて、ここに描かれてある社会が成り立つと思う。だから、特別な活動というのではなく、それこそ「気運の醸成」というか、具体的にどうすれば良いかは思いつかないのだが、そういう働きかけが必要ではないか。特に、子どもの頃から、そういう働きかけがなされてほしいと思う。具体的な施策をする場合のポイントとして、そのようなベースとなるものを置いていただければありがたい。
部会長:発言された内容は、検討委員会や総合政策部会でも議論になった。確か、そういう新しいコミュニティをつくっていく必要があるという議論をした。ただし、文章の中にそれが残ってはいないのだが、これについて検討させていただきたい。
委員:先程のご意見に反対するのではないのだが、あまりにもボランティア、ボランティアという形で、すべてのことを、それに結びつけてしまうと、従来から、人間と人間の心の、それこそ血の通った付き合いというか、関わりなどがすべて否定されてしまうという感じを受ける。やはり、血族、家族、そして、向こう三軒両隣などの地域社会がベースにあって当たり前ではないか。それを、敢えて文言に載せると、今までは当たり前で良かったことが失われて、希薄になってしまうのではないかという危惧を抱いている。
部会長:ボランタリーな活動は、ごく普通の当たり前の活動であり、お二人は同じような意見だと思うのだが、ただ、今回の知事からの諮問は、平成10年9月25日に制定された県民ボランタリー活動の促進等に関する条例第6条の規定に基づき、知事が県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針を定めるにあたって、この県民生活審議会に対して意見を求めるために諮問されたものであり、我々としてはその諮問に対する答申を審議しているのである。お二人と同じような意見を、他の総合政策部会の委員も持っておられると思う。つまり、ボランティア活動とかボランタリーな活動は特別なものではなく、ごく人間の自然な活動だということであるが、条例に基づいて知事から基本方針をこの審議会で考えて下さいという諮問があったために、ボランタリーな活動やボランティアとかが、ことさらにきつく聞こえたかもしれない。しかし、我々は、ボランタリーな活動、ボランティアというのが、ごく人間として当然自然な形でやるべきだと思っている。
委員:確かにそう思うのだが、言いたいのは、家族や地域などのベースはあっても当たり前だが、これも、ボランティアだという形で示さない方がよいのではないかと思う。すべてのことを総ざらえして、ボランタリーという一つの言葉で言ってしまうと、例えば、ご近所との助け合いもボランティアということになってしまって、それこそ、したげるというような解釈になってしまうおそれがある。だから、この基本方針としてはこの程度で良いのだが、これ以上、強く言うこともないのではないかと思っている。
委員:先程、婦人会の方で若い人が入って来ないという意見があったが、若い人たちは何かにしばられるのが嫌なのだ。実は、子育てが終った主婦も、中高年や高齢者になって何かをしたいと思っていて、目的をもったボランティアだったら参加している。それが現代の女性の考え方だ。このことを、この文章の中でどう表せば良いかはわからないが、こういう考え方の人が多い。だから、目的を明確にして、こんなことをするから参加してくださいと言うと参加するのだが、ボランティアの組織ですよと言うと嫌がってしまう。それをどうしたらよいのだろうか。
部会長:言われるとおりである。昔はクラブ活動に入って、先輩にしごかれたり、先輩の世話をするという形で、クラブ活動が行われていたのだが、このごろは、若い学生はそういうことをいやがって、ある種のサークル、仲良しで集まることが一つの目的につながっている。それは、ゴルフなど何でも良いのだが、一方で、どこかの会に入って縛られるということをいやがる。これは、学生も婦人会に入っていない若い女性も、共通する現象ではないか。
委員:そういう人たちを、どうすれば良いかということがわからない。表にでて、私はボランティアのグループに入っているということを言って活動する方もいるが、そうでない人もたくさんいる。そういう人たちをいかにして、上手く引っ張りだして参加に結びつければ良いのだろうか。
部会長:言われるとおりだ。ただ、良く言われるように、日本はヨーロッパ、アメリカに比べて、ボランティア活動がそれほど活発ではない。国際比較はそんなに簡単にできるものではないのだが、一つ違いがあるとすれば、私もアメリカで生活をしたのだが、例えば、白い杖をついて目の見えない人がいたら当然のように手助けするとか、そういう人間として当然に行うべきことを、小さい子どもの頃から教え込んでいて、自然のこととしてできている。かつて、日本もそうだったのだが、戦後、だんたん日本が豊かになっていくにつれて、そんなことをする必要がない、極端な話では、それは行政がやったらよいのだということになってしまった。そこで、この文章の中でも、「気運の醸成」で、子どもの頃からそういう意識を育てるということを言っている。別に、ボランティア団体に参加する必要はないのだが、人のために役に立つのは大切だということを、小さい子どもの時から教えていくことが大切だと文章に書かせていただいた。
委員:「気運の醸成」について、今のお話と関連させて考えると、社会的評価の確立ではないかと思う。日本の中で、ボランティアに関する社会的評価、つまり、誰かにいいとか、悪いとか言ってもらうということではなく、それをやっていて、いかに自分が充実感を持つかということで、それが社会的にも評価されていると言えるのではないか。外国でも、病気で入院している人でも、病院の中で人のためになることをすることによって、生きがいを得ている例がよく紹介されているが、そのような一般的な社会的評価、例えば、子どもが小さい時からいろいろな教育を受けるということにもつながってくると思う。今の日本では、ボランティアというのは、まだ、暇な人がやることだという意識が残っているのだが、そうではなく、それぞれの人が生きていく中でボランタリーな活動をすることも意味があるのだという社会的な評価が確立していないのではないか。子どもの教育なども含めて「学習機会の提供」や「学校等での体験機会の提供」のところでも、上手に関連してくれば良いのではないか。
委員:「基本的な考え方」の「自発性、個別性の尊重」で付け加えられたところで、そう至った経緯はわかるのだが、ここまで書くことで、かえって縛ってしまうということはないだろうか。例が悪いかもしれないが、例えば、その方は善意のボランティアでやっていることであっても、社会生活一般においては、害があるとは言わないが、非常に迷惑を被ることもあるのではないか。そういう活動も、先駆的・開拓的な活動として認識しておくことが必要なのだろうか。
部会長:大変悩ましいことなのだが、誰でも社会的に良いことであるという評価が定着したボランティア活動は別にして、まだ定着していないことをボランティア活動として、本人は大変良いことだと思ってやっている場合、つまり、本人は先駆的・開拓的な分野だと思っているが、社会全体の人がそう受け止めないというミスマッチが起こることもあるだろう。だからと言って、社会的な評価が定着したボランタリーな活動だけをボランタリーな活動だというのもいかがだろうか。実は、今、社会的な評価を受けているボランタリーな活動でも、元々は先駆的・開拓的だったものが多かった。例えば、一人暮らしのお年寄りの給食サービスでも、当時は、そこまでしないといけないのか、食中毒が起こったらどうするのかということが言われたりしたが、今は社会的評価を得ている。この基本方針としては、社会的に評価を受けたボランタリーな活動だけではなくて、新しい試みもそれなりに評価されるし、社会的に受け入れられないものは自然淘汰されるだろうというのがベースの考え方である。
委員:消費者行政分野でも、先駆的・開拓的に世の中の荒波と闘いながら、当たり前のことになったという歴史があるのでよくわかるのだが、その線引きを、どこでどういうふうにしていくかということが、この「基本的な考え方」のどこかにあるのか。「も認識しておく必要がある」という表現のところで読むのか。
部会長:基本的には線引きはできないだろうというのが、総合政策部会、検討委員会の考え方だ。後は、その活動を助成、あるいは表彰する段階で、独りよがりで先駆的・開拓的だと思っているが、社会的にあまり望ましくないボランタリーな活動には、助成、あるいは表彰をスクリーニングするしかないのではないか。「あなたは良い活動だと思っているかもしれないが、社会的に見るとあまり良い活動ではない」とは言えない、そういう線引きはできないという議論をしてきた。
会長:今の意見は、「その他の配慮事項」のところで、「施策について透明性を高めつつ、適宜、評価を加え、見直し」という表現があるが、その評価の基準みたいなものが基本方針の中に示されて然るべきではないかという思いだったと思う。部会等での議論では、ものさしは難しい、むしろ流動的であるということであった。
委員:ボランタリー活動促進のための条例ができて、今回、それに基づく基本方針がつくられ、公表されようとしているのだが、この基本方針自体は、非常に抽象的で、格調高く書かれていて、基本的な方針を示すという意味では十分だが、これから具体的にどう施策をつくっていくかということが大事だと思う。その時の現状認識として、NPO法が施行されて、1年3ケ月くらいたつのだが、申請段階のものも入れると、2000くらいの団体がNPO法人になろうとしている。ところが、都道府県別に見ると、兵庫県は必ずしも多くない、人口当りで見ても、それほど多いとは言えない。このNPO法が、震災を契機に一気に現実味を帯びて成立したという経緯から考えると、兵庫県のNPO法人はもっと多くてもおかしくはないが、全国並みかそれ以下の水準である。この基本方針に基づいて具体策を考える時に、この現状を認識しておく必要があると思う。そして、NPOセクターや県民自身が何をするかということもあるが、施策として何をすべきかということを考えた時に、やはり補助金と税というのが二本柱だと思う。いろいろなしがらみのある補助金を整理して、NPOあるいはボランタリー活動の促進に資するように変えていくというのが一つあるのだが、もう一つ、税の話がある。現在、NPO法に基づいて、税制上の措置をどうするかということを、いろいろな政党や政府で検討しているところだ。おそらく、今年の後半くらいに何等かの形で見えてくると思うのだが、各県でも地方税のレベルで何ができるかを考えておかないといけない。今までの日本のやり方だと、政府が方針を決めて、それに基づいて都道府県が具体的に条例を変えるというのが普通だが、今回の東京都の外形標準課税の話があれだけのインパクトがあったように、政府がどうこうしろという前に、都道府県のレベルで何ができるかということを考える必要があるのではないか。特に、NPO法人、NPOに対する寄附を、地方税のレベルでどういうふうに優遇できるのか、おそらく地方税法を変えなくても条例レベルで優遇措置を打ち出すことは可能ではないかと思うので、その辺りを基本方針を具体化する時の優先事項として検討していただきたい。
部会長:全くその通りだ。この基本方針が出来た次のステップで、兵庫県がどう考えるかということの、貴重な示唆をいただいた。実は、私が会長をしているある団体でも、NPO法人の取得について検討したのだが、識者が指摘しているように、一番大きなメリットの税制上の優遇措置がない。ただ、これについては、介護保険が4月から始まって、供給量が少ないので、在宅サービスをNPOにもやらせていこうとなってくると、放っておけば税金がかかるので、何等かの免税措置を講じることを厚生省の方からかなり強く要求していると聞いているので、そういう動きを期待したい。それから、私も勉強不足で知らなかったのだが、個人加盟でないといけない、団体加盟のものはだめだとか、細かく検討してみると、なかなか認定が受けられないような縛りがある。それを、法律改正を待つのか、それとも地方分権の時代なので地方行政自らがやれることもあるのではないかという辺りは、県の内部で検討していただきたい。兵庫県はNPO法人が少ないと言われるが、他県と比べてどうこうと一概に言えないが、あの法律は非常に認証を受けにくいし、受けてもメリットのない法律だというのを、体験的につくづく感じたことがある。
会長:今の要望は、答申を出してから、県当局の方で具体的に基本方針を策定する時に是非考えて欲しいというポイントだと思う。
(3) その他
会長:意見は出尽くしたようだ。本日欠席された委員からも意見をいただいており、多くの方は特に異論もなく会長一任ということなのだが、「自発性、個別性の尊重」のところで、次のような意見を一件いただいている。紹介すると、自発性、個別性を尊重するのは非常に結構なことだが、これを尊重した場合に、ある時点における県のやり方や県の施策と矛盾するようなものが出てくるのではないか。これは先程の先駆性・開拓性という意見と関わるのだが、こういうものが出て来た場合も、やはり公正ということを十分に考慮してやってほしいという意見である。これも、ある意味で当然のことであり、そうすると欠席委員全員も問題ないと理解できる。今日は、ボランタリーな活動は特別なことではないという気運の醸成を図ってほしいという意見と、それに関連した意見などがあったので、多少文言の整理もしたいと思う。内容については、今日認めていただいたということで、具体的な文言を最終的に整理するということを私の方に一任していただきたい。(異議なし)
それでは、今日に至るまで、部会長をはじめ、鳥越委員、吉田委員、山内委員、谷垣委員の5名の本委員の方、及び、速水委員をはじめ臨時委員の方々に大変お世話になった。そのご苦労について大変感謝している。単にこの原案づくりだけではなく、県内の7ケ所のフォーラムにそれぞれ参加していただき、大変貴重な時間を費やして、今回の原案づくりをサポートしていただいたことを心から厚く感謝を申し上げたい。修正はもうあまりないと思うが、最終的にまとまりまったものは、あらためて各委員に送らせていただく。今日の要望にかかる意見については、県当局も十分配慮していただき、基本方針を策定し、運営する際にも、この審議会の雰囲気等を村酌しながらすすめていただきたい。非常に貴重な意見をいただいたことを感謝して、閉会する。
事務局:平成11年1月以来、1年2ケ月にわたって、委員各位におかれては、県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針の策定ということで諮問したところ、本当に長きにわたりご審議いただき感謝したい。最終的には三木会長から答申いただくことになるのだが、私どもに課せられた責任は非常に重大なものであると考えている。今日の審議の中でやりとりがあったのだが、現在の状況の下でこの基本方針がつくられたわけだが、これからどんな社会情勢の変化があるかもわからないし、あるいはボランタリー活動についての価値観についての変化があるかもしれない。したがって、基本方針は未来永劫、これでいくというものではないので、引き続きご意見をうかがう機会もあると思うし、ご支援をいただくことがあると思うので、今日で終わりということではなく、引き続きよろしくお願いしたい。
1年2ヶ月にわたる長期間のご審議を賜りましたお礼と、今後引き続くご支援をお願いして、ごあいさつとさせていただきたい。
会長:大変長時間にわたり、ありがとうございました。
以上
seikatsusouzouka@go.phoenix.pref.hyogo.jp
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