第2回全体会議事要旨

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※本議事要旨は事務局が作成したものに各委員が発言内容の確認を行ったうえ、委員の申し出に従い修正を行ったものです。

第4期兵庫県県民生活審議会第2回全体会議事要旨

1 日 時 平成11年10月12日(火) 16:00〜18:00

2 場 所 県立中央労働センター特別会議室(神戸市中央区下山手通6-3-28)

3 出席者
(1) 委 員 三木会長、小室総合政策部会長、根岸消費者保護部会長、江口委員、北野委員、後藤委員、住野委員、高橋委員、瀧川委員、友光委員、中田委員(代理)、幡井委員、藤田委員、藤原委員、光森委員、村上委員、山内委員、和田委員、今田委員、中村委員、速水委員
(2) 事務局 武田生活文化部長、藤原生活文化部次長、大鳥生活創造課長、大西生活創造活動推進室長、足立消費生活対策室長
(3) 幹 事 16名
(4) 傍聴者 1名

4 議 事
(1) 消費者保護部会の審議状況について
(2) 「県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針(中間報告)」(案)について
  @ 県民生活審議会への諮問及び検討委員会等での審議経過について
  A 「県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針(中間報告)」(案)について
(3) その他

5 主な意見
(1) 消費者保護部会の審議状況について
部会長:(資料5に基づき審議状況の説明)(省略)
(2) 「県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針(中間報告)」(案)について
  @ 県民生活審議会への諮問及び検討委員会等での審議経過について
部会長:(資料2及び資料3に基づき説明)(省略)
  A 「県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針(中間報告)」(案)について
部会長:(資料4に基づき説明)(省略)
会長:「基本方針(中間報告)」(案)に対する意見を承りたい。どなたからでも結構なので、意見・質問をいただきたい。
部会長:本日は、中間報告案を検討した検討委員会の委員、また、とりまとめた総合政策部会委員からも意見をうかがってほしい。
会長:中間報告案に関係された方からも、追加的な意見があれば、是非、議論していただきたい。
委員:中間報告案については、部会長の報告の通りだが、地域の声をいろいろ聞いた感想を述べたい。中間報告案の背景として、震災を直接受けた地域とそうでない地域では、例えば、いわゆるNPO法について、良く知っている地域と良く知らない地域の差があった。そういう意味で、「有益な情報」が非常に大事なポイントではないか。
   また、小さな団体では一人若しくは数人が資金を出したり、運営を担っているので、その人が代われないと、やめることができない。だから、リーダーやコーディネーターの養成が必要である。もう一つは、その活動が一定の役割を果たした時に、次への転換ができるかどうかという部分でも、リーダーやコーディネーターの養成が非常に大事な柱になってくるのではないかと実感している。
会長:中間報告案は22団体のヒアリングの過程でわかったことも可能な限り入っているが、今後の運営においても配慮すべきことを指摘していただいた。
委員:この中間報告案を見た感想は、平成2年の消費者行政に関する答申と、非常に良く似ているということだ。支援拠点の整備、支援基盤としての情報提供、交流の促進などは、兵庫県が過去の消費者行政で培ってきた経験を非常に生かせる分野でないか。新しい分野も大事だが、基盤整備の手法では、今までの生活行政が培ってきた行政機構や人材の連携・活用などが期待できるだろう。こういうことを、最後に一言追加してほしい。
会長:今後の運営において、行政に是非心得ていただきたいポイントを指摘していただいた。文章化するかどうかは、後程諮りたいが、知事に報告する時には、今のような意見があったことを私の方から申し上げたい。
部会長:今の意見は非常に大事な話である。消費者行政について兵庫県は、全国に先駆けて大変先進的にやってきた。それが基盤となって、それも包み込んだ形で生活創造行政、生活行政が展開されている。そういう意味では、今回の答申も、消費者保護の行政を先進的にやったという基盤が生きているということは同意見だ。
委員:震災の後に神戸地方裁判所の管内で、ボランティアをしたことを情状として、執行猶予の判決をしたという報道があった。刑事事件をやっていても、交通違反を何度も繰り返す人とか、覚醒剤などの行政罰などは、窃盗や傷害などの刑事罰と違って、被害者が抽象的にしかいない。そういう場合は、その本人の反省や情状を出していけないので苦慮してきた。そこで、被告人がボランティア活動をしたことを評価して判決が出たので、一つ道が開けたという思いがした。実際、被害者がおられる場合でも、被害を弁償するだけではなく、犯罪を犯した人が世の中のためになるボランティア活動をしている姿を被害者の方が見るのも、被害感情を宥恕するのに、それなりの意義があるのではないか。そういう視点から見ると、ボランティア活動を、被告人と一緒に考える場合、活動に参加させていただければありがたい。それとともに、ボランティア活動をしているということが、ある程度、裁判所とか、検察官などにもわかってもらえるように、活動に対する評価、あるいは団体の評価があれば非常にありがたい。
   もう一つは、被告人は、一度失敗して気持ちもすさんでいるし、落ち込んでいる状況にある。そういう人が、ボランティア活動を機会に、本当に立ち直るという効果があると非常にありがたいし、本人のためにもなる。そういう効果を保障するような活動に引き込んでくれるような、場や情報があると非常にありがたい。少し視点が違うかもしれないが、そういう視点で基本方針を見ていただければと思う。
部会長:ボランティア活動を社会的にどう評価・認知するかというのは大変意見がわかれている。例えば、震災の後、ボランティア活動をした学生に単位に認定するという大学が幾つかあった一方、それは邪道だという大学もあった。アメリカでは、ボランタリーな活動をどこまでしているのかというが、入試の際のかなりの評価基準になっているが、日本はまだそこまで行っていない。大阪の事例だったと思うが、ある大学生が覚醒剤をやったが、検察官が今後ボランティア活動をやれということで起訴しなかったという事件があった。ある罪を犯したが、今後ボランティアをすれば我慢してやろうというのは、裁判官なり、検察官の心証形成の話であって、とやかく言える話ではないが、なかなか難しい問題だ。犯罪を犯した人が、情状を得るためにボランティアに来てもらっては困るという、拒絶的なボランティア団体は、私の知る範囲ではない。
委員:審議を重ねてきた委員にはわかりきったことかもしれないが、幾つか伺いたいことがある。それは、「基本方針の性格」のところに、「ボランタリーセクター」という言葉があるが、どうしてもこの言葉を使わなければいけないのか。
   もう一つは、5ページで「財政支援の方法の検討」ということで、「また、活動団体の知識や技術を活用することによって、行政サービスの充実や効率化につながる場合は、行政サービスの事業委託を促進する」という記述があるが、これは先程も説明があった、ヒアリングの時の意見として、こういう表現があったのだろうか。活動団体を主体にした書き方の方が誤解を招かないのではないか。これは、行政にとっても非常に使いやすい言葉になってしまう危険がある。
部会長:「ボランタリーセクター」については、この条例が「県民ボランタリー活動の促進等に関する条例」ということで、この条例の「ボランタリー」という言葉をとって、ボランタリー活動をやるセクターという意味で「ボランタリーセクター」という言葉を使っている。
会長:過去のこの審議会でも、随分と用語、概念については、議論を重ねたところである。つまり、「パブリックセクター」と「プライべートセクター」の両方にまたがり、両方のいずれでもないというこの領域を、どういう日本語で表現したら良いか随分議論したのだが、残念ながら日本語で適切な語彙がなかった。したがって、今後こういう議論をする場合には、カタカナ文字ではあるが、この審議会でもこういう名称で使ってきている。
部会長:2番目の5ページの「D財政支援方法の検討」の、「このため財政支援の方法について検討する必要がある。また、活動団体の知識や技術を活用することによって、行政サービスの充実や効率化につながる場合は、行政サービスの事業委託を促進する」という記述だが、ここは震災後、行政が市民活動に、ある種の事業委託を幾つかしたという実態や、検討委員会での議論で、行政が行う事業サービスの中に、NPO法人に委託できるものがあるのではないかという議論の経過があって、こういう文章になった。
会長:委員が案じているのは、読み方によると、この表現は行財政改革を推進するための手法として使われるおそれがある。見方を行政側から委託するのではなく、団体の側が私たちに任せてほしいという声が出てきて、結果として委託するという記述でも良いのではないかという趣旨ではないか。
部会長:趣旨はよくわかるのだが、NPOに対してNGOというものがある。これは国際援助などで、国が国に対してやると非効率なので、敢えて非政府的な団体に委託することで、その国際援助を効率化させようというのが、NGOの元々の意味だった。そういう意味では、ある事業をするについて、一つのローカルガバメントである兵庫県が、自ら事業をやるよりも、非政府な組織、NGOに事業を委託した方が効率的で、やる人もやりがいがあるということで生まれた言葉だという議論が検討委員会であった。
会長:委員も内容は良く理解した上で、敢えて発言されているので、表現そのものについては検討したい。
委員:中間報告案自体に対して異論はないし、先程も部会長から詳細な説明がされたので、敢えて注釈的なことを2点程申し上げたい。
   一つは、2ページの「行政がやるべき分野とボランタリーセクターで担うべき分野」ということで、総合政策部会でも議論があったのだが、文言上はこれまで行政が過剰に関わってきた領域をボランタリーセクターに委ねるということで、おそらくこの書き方には誰も異論がないと思う。しかし、問題は、何が過剰で何が過剰でないかという仕分けの作業が必要であって、それには行政施策を一つ一つ見直していく必要がある。そのための指針という位置づけである。その時に一つの考え方が、いわゆる「補完性の原則」と言われるもので、基本的には、住民、コミュニティなど一番身近な組織でできることは基本的にはそこでやるが、そこでできないものは、より上位の組織で処理するというものだ。ヨーロッパの統合の時に、EU政府のやるべきことと、各国政府のやるべきことの仕分けの時にこの概念が使われてから有名になったものだ。これを、自治体がやるべきことと、ボランタリーセクターがやるべきことの仕分けにも十分使えるので、そういう基本原則というか、明確な基準で、何が過剰かどうかを判断していく作業がこれから必要である。
   もう一点は、5ページで、「県が配慮すべき事項」に「他府県、国、諸外国等の施策動向の配慮」というものがある。このこと自体は正しいのだが、場合によっては、伝統的な地方自治のやり方である、中央政府のいわれるとおりに真似をしてやったり、他の県がやり出すと慌ててやるということの説明に使われるということもある。この記述は、決して横並びの勧めでないということをよく認識しておく必要がある。他の府県の非常に優れた施策を積極的に取り入れるという、非常に積極的な意味を持っている。NPO法ができた時に、折角、機関委任事務という旧来のやり方を排して、新しいやり方でやろうという雰囲気が盛り上がっているので、そういう意味で、税制にしても、法律制度にしても、国から与えられたスキームに従って淡々とやるべきものでないと認識しておく必要がある。
委員:この分野について必ずしも専門的な知識あるわけではないが、それこそ、私が今まで生きてきた上で、ボランタリーな活動や団体とたくさん関わってきたと思う。そこで、この新しい方針が出てくると、そういうものとの関係がどうなるのかということが、少し理解できない。つまり、今までのボランタリーな活動と行政との間にも関係があったし、それは上手くいった場合やそうでないものもあっただろう。今回、この新しいものを出すことで、その関係はどうなっていくのだろうか。
   それと、いわゆるNPO法を受けて、条例では第4章からにNPO法を「法」と表現し、ここは法を受けてしようとするのだろうが、ここで問題にしているボランタリー活動や団体は、特定非営利活動法人を念頭においているのだろうか。基本方針に書かれているのは広いように見えるが、どういう範囲なのだろうか。
部会長:このNPO法というのは、法人格を付与する資格という観点から定義をしているものだ。基本的な考え方は、震災の後に初めてボランティアが出てきて、それまでボランタリーな活動がなかったというのではなく、婦人会も、自治会も、ボランティアであるし、法律に基づく民生委員もボランティアである。コミュニティの中にもいろんなボランティア活動がある。震災後の一時期、婦人会も自治会もみんな駄目で、震災後に出てきたボランティア活動だけが本物だというような誤解が一部にあったが、そういう考え方は全くとっていない。これまでコミュニティの中のボランティア活動も非常に大事であるし、むしろ、まずそれが基盤としてあるということだ。ただ、他府県の条例は、NPO法のみを受けて条例化しているのだが、兵庫県の場合は、歴史的に、例えば、30年前にボランティア憲章をつくろうという議論があったし、15年くらい前には福祉コミュニティ憲章を制定したし、善意の日の表彰など、他府県がボランティアに注目していない時から、既に行政として、随分取り組みをやってきている。だから、この条例をつくる時に、法律と同じ範囲で県の条例をつくるのではなく、学識経験者が集まって、これを機会にもう少し幅広い条例を制定してはどうかということになった。これを受けて今回の条例の諮問があり、答申のための中間報告を議論いただいている。
   したがって、伝統的なボランティア活動を何ら否定するものでないし、とても重要なものであると考えている。現在は、貧しい時代に肌を寄せ合って助け合うという意味でのボランティアだけではなく、むしろ、豊かな社会で、自己実現を目指すようなボランタリー活動が非常に増えている。この現代的な意味におけるボランタリー活動も、その中に加えただけであり、決してこれまでのコミュニティの中での助け合いの仕組みを否定するものではない。
委員:こういう質問をしたのは、今までボランティア団体というのがたくさんあって、それぞれ行政の関わりはあったし、今もある。これに、この中間報告案でいう関係をプラスするのか、それとも、今までの関係を一定の見直しをするのかということが分からない。しかし、中間報告案を読むと、今までそういうところに必ずしも光があたっていなかったので、そこに光をあてようということで良いのだろうか。
部会長:これまでのボランティア活動は、例えば、成熟した市民社会が早くやってきたイギリスやアメリカに比べて、日本の場合はどちらかと言うと、行政が育成するという観点が、ボランティア団体にも行政の方にもあった。先程も過剰な介入をしない、そしてお互いに役割分担をかっちりしていこうという議論があったが、これは、これまでのボランティア活動、あるいはボランティア団体と行政との関係をもう少し成熟した段階に進めていこうということだ。つまり、できるだけ自発性をエンカレッジするよう行政がわきまえた支援をするように、これまでの行政とボランタリー団体との関係を少し見直しているという面がある。
委員:検討委員会委員であるが、先程の質問に関連して発言したい。中間報告案では、「NPO等」という表現と「ボランティア団体」という表現があるし、「支援活動の範囲」「県民ボランタリー活動の広がりへの対応」のところで、部会長が説明されたようなことが書かれている。しかし、いきなり「NPO等」というのがでてくる。「特定非営利活動法人」のことを通常「NPO」と言っているので、これはNPO法人のことを言っていると思ってしまう。これだけを読むと、若干誤解を招くかなという気がしてする。従来のボランティア団体や、婦人会、地縁団体も今で言うNPOに違いないので、その辺のところの工夫が少し必要なのかなと反省しつつある。
会長:あらためてこの文章を精査して、そういう誤解があるかどうか、もう一度チェックしたい。
委員:婦人会のように大きな組織で活動している人たちは、無償のボランティアで活動をしていることに誇りをもってきた。このNPOや、法人化という問題が、過渡期ではあるが、私たちの組織にも入り込んでいる。社会の情勢でそういう仕組みになってきた場合には、それに取り組んでも良いということになっているが、これまで婦人会では無償のボランティアということを誇りをもってやってきた。しかし、現場では、上層部で考えているようなわけにはいかないことが起こっている。例えば、婦人会組織の中では、会費の中でいろいろ無償のボランティアでやっているのだが、婦人会とは別の財源があるところは動きやすくなっていて、経費の分担について問題になっているところがある。こういう問題が出てきて、過渡期としてどう理解すれば良いのかということが課題である。
委員:全くの素人なので、詳しいことはわからないが、もし、この基本方針が決定されると、消費者団体や婦人会のような全くのボランティアの活動に対して、「もう甘えるのではなく、自分たちで自律しなさい」となるのか、今までのように、県や行政の方からの指導や援助があるのか、具体的にどういう影響がどうあるのか心配だ。
部会長:婦人会や消費者活動もボランティア活動であり、この中間報告の中に入ると考えている。従って、婦人会も消費者団体も自律して、行政は全く援助をしないということをこの文書がうたっているわけではない。この中間報告が最終報告になると、それに基づいて婦人会、消費者団体への補助がなくなるというような使われ方はないだろう。少なくともそういう心配のない文章だと判断している。
委員:文章の中に「過剰」ということがあるので、過剰であるのかないのかの線引きが、どの辺でされるのか非常に興味があるし、心配している。
部会長:先程も言ったのだが、これまで発展途上型で、行政がそういう団体を育成するという考え方が、少し行き過ぎていた面があるのではないか。やはり、ボランタリーな活動は、できるだけ自律的、個性的にやってもらおうということであって、そのことと、現在の婦人会や消費者団体に対する支援とは全く関係はない。
会長:今言われた点は、先程もコメントをいただいた通りなのだが、現実に過剰かどうかという評価の尺度は、非常に難しい問題をはらんでいるが、これも時間の問題であろう。我々だけではなく、県民一体となって、みんなが納得できるような評価基準ができていくだろう。当面は、部会長が言われた通りだと理解したらどうか。
委員:総合政策部会の時は、今の意見のような感覚では受け止めなかった。むしろ、この文言は、やはり、既成の団体とこれから出てくる団体に対して、自律というのは、放っておくということではないということ、不必要に自分たちがガードして主導権を持ったり、今までのような悪い上意下達ということをやらないという規制だと受け止めたので、必要であると申し上げた。逆に、生かすべきところは生かすし、手伝ってもらうべきところは手伝ってもらえるという解釈をした。それは、やはりそこは行政としても、キチンと実施していかないと、自分たちの方に却ってマイナス面がでてくるのではないか。そういった団体が萎縮したり、活動が衰退すると、やはり行政の面でもマイナスが出てくると思うし、それだけ大きなものは行政にとっても大事ではないかな。しかし、その辺は、これからの時代や新しい世代に向けて、今までのような押しつけと言うか、既成概念でいくことはおかしいという新しい観点の文言であると理解していた。
部会長:先程の、3ページの「NPO等」という表現が、少し誤解を生むのではないかと反省しているという意見があったのだが、そもそもNPO法があって、それを受けて県が条例をつくり、そこに基本方針を審議会の意見を聞きなさいという流れの中にあるのであり、やはり、NPOというものを意識せざるを得ない。しかし、NPOだけではないということで、「等」ということをつけたのである。
委員:先程の問題提起を受けて、いろんな議論が行われているが、伝統的なNPOというか、地縁団体を含むコミュニティ団体と、新しいタイプのNPOがあるのは厳然たる事実であるし、新しいタイプのNPOが育ちつつあるというのも事実だ。そういう意味では、伝統的なタイプと新しいタイプの競争が始まっていると思うので、行政が、何らかの形でNPOをサポートする時にも、やはり公明正大にする必要がある。つまり、どういう団体に、何年度から何年度まで、どれだけの補助金を出したのかということを開示していく必要がある。それを通じて、今までと同じく補助金を出すというのではなくて、それぞれのNPOがどういうサービスを供給しようとしているのか判断して、場合によっては新しいタイプのNPOに新たなサポートをするということ考えなければいけないのではないか。そういう意味の公平性が大事なのではないか。
   それと、行政のヌエ的な財団法人とか社団法人も聖域ではない。行政が過剰に関わってきた分野というのは、行政が自ら設立した財団法人、社団法人に対する見直しも含むと私は解釈している。
部会長:先程から出ている意見は、非常に大事であり、震災の後出てきたボランティア、それ自体は良いことなのだが、それまで伝統的に、地域の中でコツコツやってきたボランティア活動が、何か古いタイプであるとか、そういう分類がされて、極めて不公平な分類であると考えている。「伝統的なボランティア」と言って、否定的な言い方をするのだが、例えば、自治会活動、婦人会活動、消費者活動でも、膨大な人たちが、これまで無償で働いてきたのだが、それを決して無視してはならないという意味で、様々なボランティア団体があって、公平に情報開示をして、公平に扱うということが大事だ。
委員:意見のやりとりの中で感じたことを言いたい。この条例が、新しく生まれてきたNPOをはじめ、旧来の団体とも意見をたたかわすことなくきていることの反省がある。もっとこのやりとりが事前にあれば良いものにつながっていただろうが、今日の基本方針の使い方、読み取り方として、これを出発点であると捉えるべきだろう。従来の団体がどう、新しい団体がどう、無償・有償というのではなく、これは新しい関係を説いている思う。そう読むと、過剰であった反省が、個別性の尊重や自発性の尊重ということに表現されている。これをもとに、新しい関係を築いていくととらえれば、前向きに解釈できるのではないか。
委員:繰り返しになると思うが、先程の5ページで「財政的支援」がやはり気にかかる。「行政サービスの充実や効率化につながる場合は事業委託を促進する」というのは、今まではできないものを規制緩和でするという読み取り方と、もう一つは、行政の本来の事務であるが、充実しておらず効率が悪いので、民間に委託した方が、より効率的、効果的だという読み方になる。やはり気になるので、何か他の言い方はないだろうか。
   もう一つは、県民運動などでも、非常に重要な柱になっていくと思うのだが、これまで、こういうものをやる場合に、子どもたちの教育というか、指導として、よく副読本を配ったりしているが、子どもたちに対する運動展開の方策がなければ、大人だけがどんどん走って、子どもたちが、その後を見習ってついてくということだけで良いのか若干気になる。
部会長:前段は、表現の問題として会長と相談して、少し考える余地がある。例えば、公立保育所が、多くのお金を使いながら、実際にはニーズにあわせたサービスを展開できていないのだが、逆に、4〜5人の母親が、NPOの資格をとって、結構ニーズにあった保育サービスを展開しているものも相当出てきている。必ずしも、公がやらないといけないというものばかりではない。そういうNPOや、ボランティア団体がやる方が効果が上がるものがあるのではないかと思っている。しかし、二人からそういう意見が出たので、表現として少し検討する余地があると思っている。
   それから、子どもたちの問題は、4ページのDで、子どもたちにそういう体験をさせるということが大事であるという意見が何度も出て、最大限書き込んだつもりである。
会長:まだ発言していない方もおられるが、予定された時間になった。
   それでは、本日、貴重で示唆に富んだ意見や、文章表現等に関する意見があった。そこで、私と小室部会長で今日の意見を全部受け止めて、さらに精査をした上で中間報告をつくり、つくったものは委員の先生方に送るという形でまとめの作業に入ってよいだろうか。(異議なし)
   先程の委員の発言のとおり、これはスターティングポイントにあるわけで、あくまでも中間報告であるので、この精神にのっとり、最終答申案をつくっていきたい。本日は、多面的・具体的に、あるいはこの文章表現の裏にあるような問題も教えていただいたことを厚くお礼申し上げたい。今後の予定について、事務局の方から説明してほしい。
(3) その他
事務局:(資料2に基づいて説明)
会長:本日はこれで閉会したい。





seikatsusouzouka@go.phoenix.pref.hyogo.jp



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