第2回総合政策部会議事要旨
※本議事要旨は事務局が作成したものに各委員が発言内容の確認を行ったうえ、委員の申し出に従い修正を行ったものです。
第4期兵庫県県民生活審議会第2回総合政策部会議事要旨
1 日時 平成12年1月25日(火) 午後1時〜3時
2 場所 社会保険神戸健康づくりセンター・ペアーレ神戸
3 出席者
(1) 委 員 小室総合政策部会長、北野委員、住野委員、谷垣委員、鳥越委員、中田委員、藤原委員、村上委員、森田委員、山内委員、吉田委員、今田委員、中村委員、速水委員
(2) 事務局 武田生活文化部長、藤原生活文化部次長、大鳥生活創造課長
(3) 傍聴者 2名
4 議事
(1) 県民ボランタリー活動フォーラム等による県民意見について
(2) 県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針について
(3) その他
5 主な意見
(1) 県民ボランタリー活動フォーラム等による県民意見について
部会長:県民ボランタリー活動の促進等に関する条例に基づき、平成11年1月に本審議会に諮問された「県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針」について、同年10月に審議会として中間報告を行った。この中間報告に基づき、10月末〜12月にかけて実施した県民ボランタリー活動フォーラムについて、検討委員会委員の方々に参加していただいたので、そこで寄せられた県民意見等について報告してほしい。
@ 東播磨・西播磨・淡路地域(報告者:速水委員)
(報告)
東播磨地域では、基本的に中間報告に対して修正等を求め意見はなかったが、具体的な提案・意見が幾つか出された。また、これは西播磨・淡路の各地域でも概ね同じであった。
まず、「基本方針の基本的な考え方」について、企業・行政・市民が一体となってやっていくということは、言葉でもよくきくし、具体的な文章としてよく見るのだが、具体的にはどう実現するのか、その具体的な方向性をしっかりと踏まえて提案していただきたいという意見があった。「気運の醸成」では、ボランティアというのは自然発生的、すなわち自発的、自主的な取り組みであるが、どのような条件が整えられることで、人々がボランティアに気づき、具体的に行動するのか、その条件づくりが必要であるという意見があった。「交流の促進」では、ネットワークを広げていくのが大切であるが、具体的にはどのようにすればわからないという意見があった。例えば、互いに求めるものどうしを結びつけていく、ギブアンドテイクではわかるのだが、そうではないネットワークはなかなか広がらない。大切であるとはわかっていても、後回しになってしまうということがあるという意見であった。「学校等での体験機会」に関しては、小学校の自然学校、中学校のトライやるウィークや高校での取り組みなどがあるが、子どもの頃の体験は将来的にも生きてくるので、今後も取り組んでほしいのだが、これらの体験が点であって線につながらない、日常的なものにならないという課題があるという意見があった。「コーディネーターの養成」に関しては、社会福祉協議会にコーディネーターが配置されているが、これが一人だけでは上手くいかない。コーディネーターがチームを組んで、情報を掴んだり、活動をつくり出したり、活動がのびるような手立てを考えるなど、複数のチームが必要である。そのようなシステムにより、地域での活動がち密なものになってのだという意見。また、コーディネーターの制度がなくなるという噂があるが、そのようなことのないように必要性を訴える必要があるという意見があった。「社会環境の整備」では、男性のボランティア活動が増えるような取り組みが必要であるという意見があった。例えば、企業の社会参加活動、特に地域に密着にした活動の展開を促すこができれば良いなという意見があった。
西播磨地域では、社会福祉協議会のコーディネーターがパネリストとして参加されたのだが、狭い意味での福祉という分野に活動の視点がいきがちで、ボランティア活動の幅や種類が広がっているのに、そのような情報がなかなか入って来ないということであった。また、ボランティアセンターに登録されている福祉グループも、他の分野の活動とつなげることができれば、もっとダイナミックな展開ができるのだろうが、つなげていくことはなかなか難しいという意見もあった。東播磨地域と同様に、龍野市のボランティアの9割が女性で40歳代であるということから、男性や若者が活動を行うのに、情報を提供したり、気運を盛り上げていくことが大事であるという意見、また、そのためのきっかけづくりが大切であるという意見があった。「有益な情報」では、社会福祉協議会のボランティアのほかに、教育委員会の分野、市町長の分野などさまざまな分野で活動が展開されているのだが、そことのネットワーク、連携がなかなかできないという意見があった。また、グループによっては、地域とは関係なく活動しているところもあるが、地域ということをきっかけとして、交流したり、地域に密着した活動を一緒にしてはどうかという意見があった。さらに、「学校等での体験機会」を考える場合でも、学校や教育関係者の方々にもっと活動を体験していただくことが大事ではないか、それが元となって、もっと実践的な活動につながるのではないかという意見があった。「広報」の問題では、県や関係機関がさまざまな印刷物をつくっているが、その情報が本当に必要な人のところに届いているのか、どのようにすれば求める人に適切な広報できるのかを考えることが必要であるという意見があった。
淡路地域では、仕事をリタイヤされた「高齢者の方々が取り組んでいく活動」を考えていくことが必要であるという意見があった。例えば、高齢者が学ぶ場というのは、たくさんあるのだが、そこで学んだことを生かす場がなかなかない。また、学んだ成果を生かす学習がなされていない。このように、学んだことを具体的に生かすことにつなげる方法を考えていく必要があるという意見があった。それと、生きた「ネットワーク」をつくってほしい、自分たちもそのネットワークづくりにかかわりたいという意見があった。また、「子どもたちのボランティア体験」についても、どのように活動につなげていくかということを考えていくことが必要であるという意見があった。「拠点の整備」については、どういうエリアにどんな拠点をつくるかということが重要であるという意見があった。つまり、小さな町であれば、一つの拠点が、活動・情報・交流の拠点としてさまざまな機能を持つことができるが、広いエリアになると、町に一つあっても交流や情報を得ることは難しい。「情報」についても、コンピュータによる発信はだんだん当たり前の社会になってきたが、それを使えるかどうかの世代差も大きいので、そういう観点からの拠点づくりについて考える必要があるという意見があった。「コーディネーター」についても、なくてはならないものであるという意見があった。さらに、「財政支援」では、ボランティア自身が資質の向上を図るための学習の場に関する支援がほしいという意見と、ボランティアグループが活動するための葉書代や電話代など、現在は個人の負担になってしまっている目に見えない費用がかかっており、このような固定経費みたないものへの支援がほしいという意見があった。それと、ある企業の方から、企業としてボランタリーな活動を理解し、賛同して協力することは大切だとは思うが、企業にとっても状況の良い時と悪い時があるので、場合によっては互いに支えあうようなことがあってもよいのではないかと悩んでいるという意見があった。
(質疑応答等)
委員:ここでは、今まで、いわゆるボランティア活動の話をしてきたが、企業の話はあまりしてこなった。しかし、会社員はサラリーマン化しているし、若い人が活動に参加するには企業の理解が不可欠なので、企業にとってもメリットがあるボランティア団体との連携を考えていくことが必要ではないか。
部会長:企業も地域社会の一員だということだが、景気の良い時には、フィランソロピー活動が盛んになるのだが、今のようなリストラする時代では、それどころではないというのが日本の企業である。ところが、アメリカでは少し違っていて、景気の善し悪しに関係なく、企業も地域の市民だということで、少し一工夫して、カンパニーフォスターみたいなことをしている。つまり、会社がフォスターになるのだから、里親ではなく、里会社ということで、例えば、コンピュータ会社が学校でのコンピューター教育をフォスターとして教えるというように、業績があがっているからその余分でやるというのではない、そんな企業の意識転換が書き込めればと思う。
A 但馬地域・丹波地域(報告者:吉田委員)
(報告)
但馬地域と丹波地域のフォーラムを担当したのだが、まず、フロアからの意見に関しては資料に沿って報告し、その後、若干意見を述べたい。
但馬地域であるが、関宮町の会場で小グループにわかれて、それぞれの問題を出し合い、それを代表の方が発表するという形で開催した。そこでは、「気運の醸成」ということでは、男性がボランティアに照れくささを感じている、あるいは逆に男性は会社で働くものであり、どちらかと言うと出にくいので女性が主体になっているという意見があった。しかし、女性がボランティア活動に出るにしても男性の協力が必要なので、そのような風土をつくってほしいという意見があった。また、「地域性」もあるのだろうが、若い人の活動も盛んではないので何とかしてほしいという意見とか、「コーディネーターの養成」や「事務局の支援」ということに対して、あまり支援しすぎると会長や役員の仕事がなくなるのではないかという意見もあった。それと、活動の範囲が、どうしても自分たちの町に限定されてしまので、もう少し広域でボランティア活動をしていく必要があるのではないかという意見があった。「教育」との関係で言えば、ボランティア体験は大変結構だが、短期的に成果を求めるのではなく、何回も繰り返し活動する中で、子どもたちにボランティア活動の意義、活動の内容を伝えることが大事ではないか、学校のカリキュラムの中で福祉教育というものに重みをおいてはどうかという意見があった。また、「学校教育」に関しては、子どもに対する取り組みも必要であるが、福祉とかボランティアの概念も含めて、指導者である先生方に正しく理解していただくような教育も必要ではないかという意見があった。「拠点の整備」については、県内でさまざまなボランティアセンターの構想があるが、もう少し地元で集まった方が良いのではないかという意見、その場合でも小中学校が地域の人のボランティア拠点として使いやすいではないかという意見があった。「財政支援」に関しては、具体的な例として、各グループで自己負担しているユニフォーム代を県から補助してほしいとか、高齢者が活動に参加するにしても自動車を使えない方は交通費の負担が大きいという意見、給食サービスの調理場の修理費までボランティアで持つ必要があるという意見があったのだが、これらは行政の支援の範囲の整理が必要であると感じた。逆に、ボランティア活動は、自分の生きがい、自己実現のためにやっているものであり、有償でなくても良いという意見もあった。また、最近は行政からの依頼や企画が増えているのは良いのだが、ボランティアコーディネーターの補助制度がなくなるという話をきいたということであった。「企業との関わり」では、ボランティア休暇など活動に対する時間的なサポートが必要だという意見、「有償性・無償性」ということでは、雪かき・雪下ろしは大変な作業だが、これは本当にボランティアなのか、最低限の費用をとることもできるのではないかという意見があった。私は、雪下ろしの事例などは、コミュニティ・ビジネスとして有償でできる活動であり、ボランティアという概念で語れるのだろうのかと思った。
丹波地域であるが、この模様についてはサンテレビの日曜フォーラムという番組で放映された。その中で、幾つかの問題提起があった。各地域では、箱もの(ホール等)をつくり、ホールの裏方をボランティアで行っているのだが、責任問題にしろ、求められるレベルにしろ、行政サイドで責任をもってやるべきことをボランティアとしてやるのが良いのかということが議論になった。一方で、会場からは官も民も人手が足りないからボランティアに頼っているし、ボランティア自身も私たちがやってあげているんだという意識があるのではないかという指摘があった。「気運の醸成」に関しては、海外のように表彰制度がきめ細かく対応したものとなっていれば、励みになるのではないかという意見があった。「交流」については、もう少し広域でさまざまなボランティアと接触すればという意見があった。「財政支援」については、補助金の申請手続きが煩雑であり簡素化してほしいという意見があった。補足しておくと、さまざまな助成制度があるのだが、縦割りの補助金がたくさんあって、行政の窓口が幾つもあるが、活動する側は一つであり、窓口によってそれぞれ違う内容を書かせるのではなく統一してほしいというものであった。この意見について、我々は単に簡素化するというだけではなく、縦割りの補助金に対して、如何に横串を通すのか、あるいは何が補助金なのかという議論が必要ではないか思う。「活動場所」としては、なかなか夜間に活動が行える場所がないという意見があった。「事務経費」に関しても、実態としては、かなりかかるので支援ほしいという意見があった。また、ボランティアは今、広がりつつあるものであり、これからさまざまな問題が立ち上がってくるだろうから、それについても議論してほしいという意見があった。それと、ボランティア活動をする時間が少ないので、ボランティア休暇も含めて、企業の方でももう少し理解して制度的なものをつくってほしいという意見があった。さらに、パネリストに婦人会の会長さんが入っていたのだが、婦人会組織は大変過渡期にあって会員の減少に悩んでいるという意見が何度も出た。
先程から、事務経費の問題や財政支援の問題がでていたので、ボランティアというのは本当に無償でないといけないのかという問題提起を行った。そうすると、やはり無償とは言いながらも、生活の大部分をこの活動に割いているので、できれば給料はほしいという意見もあった。これについて、最近は時間預託みたいな考え方もあるので、これらをエコマネーという交換できる形で枠組みをつくってはどうかと思った。
最後に、みなさんのボランティア活動に対する認識としては、ボランティア活動は原則としては無償であるが、それも限度があるのではないかという意見、満足した活動をしているので無償でも良いという意見、実費が賄えるようなボランティアをしたいという意見にわかれているように思った。
(質疑応答等)
部会長:ここまでの報告の中で、コーディネーターの予算がなくなるという意見が出たというのがあったが、どういうことか。
事務局:県の行財政構造改革の見直しの中で、健康福祉部所管の市町社会福祉協議会に対するボランティアコーディネーターの人件費で県が負担している部分について、既に年数も経過しているということもあり、市町で独自に出来る措置なのではないかということで削減が話題になっているということである。
部会長:つまり、県が単費で出している施策を行財政改革の関係で議論がでているというものか。
B 阪神地域(報告者:鳥越委員)
(報告)
阪神地域では、大変多くの人たち、特に若い人たちが集まった。また、遠慮なく意見を言われたのだが、もっともだなという意見や大変学ぶところが多くあったと思う。したがって、中間報告に書き込むべきかどうか検討すべき事項もあると思う。フォーラムの中で寄せられた意見で、他の地区と重なっている部分は省略するが、「基本的な考え方」のところで、ボランティアの定義として、民間性、先駆性、独自性という意見がでたのだが、その中で、行政組織と違って、NPOなりボランティアが組織化される場合、行政など他の組織が気がつかない、クリエィティブで大変先駆的な発想があるという意見があってなるほどと思った。このようなボランティアの、開拓的、実験的と言うか、そういうものを積極的に評価すべきではないか。つまり、その人たちの意見を入れることが、次の新しいものをつくっていくという意味において、ただ行政から自律して、独自でやっている、主体的だということを越えた、そういう内容の質に関する評価を考慮すべきではないかと思った。
それから、他の地域や、他のいろいろな機会でも出ているのだが、「気運の醸成」というより「評価の仕方」について意見がでた。ボランティア活動をどう評価するのか、これは中間報告の書き方としては、大変難しいのだが、やはり「顕彰制度」という言葉があるように、これには評価が入っている。助成金ではその「評価」がよく表れている。また、評価については、どういう基準、どういうことにしたら良いかということについて慎重であるべき、十分検討すべきことかなということも指摘もあった。
それから、フォーラムの機会がほしいとか、条例にふれる機会がほしいという意見はその通りだと思う。また、「窓口がもう少し必要だ」ということは、他の地区でも指摘されているとおりだ。「リーダーやコーディネーターの養成」の問題は、この地域でも盛んに意見があった。「実務のための支援」にも幾つか意見があったが、私たちがここで検討している範囲内であったかなという気がする。「財政支援」については、かなり深刻な問題で、私たちが検討して来たことを越えて指摘されたのは、資金調達の方法についてもう少し検討してくれないかということである。単に行政から補助金を出せというのではなく、例えば、有償ボランティアの活動であっても活動資金を銀行から融資をしてもらおうと思っても信用してもらえない。それに代わる方法として、資金調達についてきめ細かな検討をする機関が今後必要ではないかという意見があった。また、ボランティアの責任ということで、自戒の念というか、ボランティア活動を責任の念を持って行おうという若い人らしい意見があった。
(質疑応答等)
委員:先程の但馬・丹波地域との比較をすると、この阪神地域の場合、フォーラムの趣旨自体がきちんと伝わっていると思う。但馬・丹波地域の様子をもう少し詳しく言えば、中間報告についてどう変えていけば良いのかということを投げかけたのだが、実際には、ボランティアの問題の議論になった。先程は、中立の立場で、寄せられた意見を報告したのだが、これが地方の意見だと言ってもよいのかという危惧はある。もう一つの阪神地域との違いは、私の主観的な意見だが、自発的・自立的なボランティアという阪神地域の人とは違う、官主導で活動をされている方々が多かったのではないか。そこにひっかからないグループは、但馬・丹波・播磨にもたくさんあると思うが、そういうところが来ていないので、若い人が来ない等の意見がでていたのではないか。
C 神戸地域(報告者:小室部会長)
(報告)
部会長:神戸地域は、私が基調講演をして、鳥越委員、今田委員、神戸地域のボランティア団体等にパネリストとして参加していただき、私がコーディネーターをした。そこで出た意見として、「基本方針の性格」については、行政の果たすべき役割と、行政が担うことを控える領域の明確化に配慮して作成されているのは、正しいことではないかという意見。それから、「基本的な考え方」について、市町と県との連携が大変重要になってくるという意見があった。「気運の醸成」では、そういう意識の高揚が重要であるという意見。「有益な情報の提供」については、新しいボランティア活動の芽生えをサポートしてほしいという意見があった。「多様なニーズに応じた講演会等の実施」については、専門性の高い知識や技術を習得するため、NPO大学の事業をもっと充実してほしいという意見があった。「交流の促進」では、情報提供の仕方、他の団体のとのネットワークにおいて、お互いに補完できるネットワークづくりが大切であるという意見があった。「学校等での体験機会の提供」では、お年寄りや障害者など、世の中にはいろいろな人がいることを、ボランティア活動の体験によって子どもたちに知らせることが必要であるという意見が出た。それから、「調査・研究等の推進」では、ボランタリー活動の促進にあたっては、基盤整備に限定すべきであり、それ以上のことをやるなという意見がでた。「支援拠点の整備」については、意見が分かれて、いろいろな窓口があってかえってわかりにくいという意見と、いろいろな窓口があることは機会が増えるから良いのであって、それをつなぐ仕組みがあれば良いのではないかという意見の二つにわかれた。「実務のための支援」については、法律・会計・税務等専門的な分野で実務のための支援をやってほしいという意見が出た。「財政支援方法の検討」では、行政がかかわると活動資金を期待する人が出てくるのではないかという意見や、かつて、全員無報酬でやっていたのに手当てが出ると言われた途端、意欲が削がれ、全員の団結力が低下したことがあるという体験が寄せられた。「社会環境の整備」については、先程も企業がボランティア休暇を与えることが促進につながるという意見がでたが、逆にボランティア休暇をつくった企業では、その休暇がほとんど消化されていないという実態もある。「地域特性の配慮」では、特に、兵庫県は地域特性があるので、その違いを十分認識して、策定・運用すべきだという意見がでた。
(2) 県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針について
部会長:フォーラムの報告があったが、これらの意見は、中間報告の中にほとんど盛り込んであると思うが、再度、みなさん方にお聞きしたいポイントが3つくらいある。1つ目は、「基本方針の基本的な考え方」で意見があればおきかせいただきたい。2つ目は、「財政支援」の問題。これはフォーラムでも若干意見が分かれたところで、一方では欲しい、一方ではもらったために意欲がそがれたという意見があったのだが、中間報告はどちらかと言うと、あまり行政が踏み込んでいって、お金をわたしたりしない方が良いのではないかというスタンスで書かれているのだが、それで良いのかどうかということ。3つ目は、学校は、将来を担う人材を養成するところだが、ボランティアの大切さについて十分教えられていない。このことについて、もう少し書いても良いのではないかと思っている。大きく絞って、意見があればお聞かせいただきたい。
委員:「ボランタリー活動の性格」と言うか、先駆性とか開拓性というようなものをボランタリー活動に期待するのだということは、どこに入れたら良いのか良くわからないのだが、どこかに入れたいと思う。
部会長:もし入れるとすれば、中間報告の「自発性、個別性の尊重」というのがあるが、そこではないか。そこで、少し先駆的、開拓的な芽を育てるような形で出してはどうか、従来型のボランティアも、もちろん大切ですが、例えば、アメリカでは、ニューカマーボランティアという、そのコミュニティに新しく住みだした人に、ボランティアがそこでのリソース(人的・物的な資源)の使い方を教えるボランティアがあるが、そういうものは日本にはない。このような、もっと自発的・開拓的なことができるないかということで、この辺に入れることで検討させてほしい。
委員:それから、県民からの意見募集で出されたものに、表彰などはやめてほしいという意見があったが、この辺のところを県としてもう一度検討した方が良いのではないか。顕彰とか表彰などは、それぞれ民間団体に任せた方が良いのではないか、少しひっかかった。
部会長:これについては、検討委員会でも大分意見がでていた。その時に、確か、私から、アメリカでは、評価は民間の第三者がやることで定着しているが、日本ではなかなかそういう組織がないために、県でやらざるをえない経過があったということをお話させていただいたと思う。
事務局:先日、震災5周年関係で行った国際検証報告会においても、イギリスの前チャリティ委員会事務総長のリン・ベリー氏が、イギリスでもやはりボランティア活動に対する顕彰制度をもっており、ぜひ取り入れるべきだという提案があった。イギリスでも、そういうことはやっている。もちろん、イギリスの場合は、チャリティ委員会などのような、県とか国と一歩距離をおいたところが、かなりしっかりしているので、それが上手くいくのだと思う。先程部会長が言われたように、どこが評価するかということが問題で、みんなに認められた第三者機関があるならば、そこにお願いをしたら良いと思うのだが、日本では、今のところまだ、そのようなものがない。したがって、表彰をやる場合、評価をする仕組みも含めて検討していく必要があると考えている。
部会長:私の子どもが1年半ほどアメリカで生活していた時に、何かのボランティアをしたら、下院議員から手紙が来た。小学校の3年生に、君はこういうことをしたらしいけれども、それは素晴らしいことだということを、下院議員が手紙を送って来た。つまり、県がするのが良いとか悪いとかいうのではなく、そういう多様な評価の仕方があっても良いのではないかと思う。
委員:私も、例えば、子どもが川を掃除することに際して、大変良いことをやっているので、これからも続けて下さいという手紙を送ったりする。非常に喜ばれるし、返事が返ってきたりすることもある。ただ、いろいろなところに出ていって、活動をしていただくのだが、事故が一番困る。例えば、夏の川の掃除では、蜂が出て来て刺したり、交通事故の関係もあるので、そういう事故の対応をどうするのか、何か取り入れるべきではないかと思っている。
部会長:ご指摘のとおり、ボランティア保険は、社協が管轄しているのだが、なかなか普及していない。アメリカの事例ばかりで恐縮だが、私の同僚の教授が少年野球のコーチをしていたのだが、小学生相手に硬球でどんどんノックするので大丈夫なのかと聞いたら、民間の保険に入ってあるから大丈夫だと言っていた。アメリカでは、民間の保険が、いろいろな事故をカバーしているのだが、日本では民間がこんな保険をつくっていない。だから、公的につくったボランティア保険に入るしかないのだが、そこらあたりを少し改善する余地があるのではないか。
委員:「基本方針の基本的考え方」のところで、幾つか関連して発言したい。まず、「行政、ボランタリーセクターの担うべき領域の整理」というところで、「行政が社会基盤の整備と基礎的なサービスの供給を基本的にやっていく」という表現であるが、これからの時代は「基礎的なサービス」のあたりまで民間がどんどんやっていくことが必要になると思う。したがって、ここについても、「だんだん移行していく」という表現をどこかに入れてほしい。2つ目は、「基本的な考え方」の中で、先程も先駆性という言葉を入れることが提案されたが、言葉として明快な、「独立性」ということを入れてほしい。自律性、個別性、自発性だけでは若干弱いという気がするので、完全に相互が独立しているということを入れてほしい。3つ目は、「市町との連携強化」のところでは、先程の「基礎的なサービス」と関連するのだが、サービスは身近な行政区に任し、なおかつ、NPOやボランタリーなものができるものは分権をしていくということになると、「連携強化」ということより県・市町がやるべき内容を分けておく必要があると思う。つまり、「連携強化」というより、サービスをどんどん身近な行政に任していくという表現がいると思う。4つ目は、「気運の醸成」のところで、例えば、神奈川県では、1ケ月に1回、日刊紙の1面をNPO特集として、さまざまなNPOの活動、マッチング情報や活動情報の紹介を行っているのだが、お金がないNPOに対する広報手段のバックアップ、こういうことも表現してほしい。5つ目は、「多様なニーズに応じた講習会の実施」であるが、県民と言っても、自治体の職員や学校の先生も県民であり、この方々もあまりボランティアのことを知らないのが実態であり、自治体職員や勤労者などという具体的な言葉等を入れながら、そういうところ向けの学習の機会と、特に体験の機会というのが重要だと思うので、それを入れてほしい。
部会長:少し整理すると、「独立性」という言葉を入れるということだが、何に対するボランティアの独立ということなのだろうか。
委員:何に対するというより、ボランティア自身、それからボランタリーな団体そのものの独立性である。
部会長:「依存するな」という意味の「独立性」か。
委員:そうだ。それと、相互不可侵という意味も含めて、やはり、それぞれが独立してあることが基本なので、それを言葉として入れてほしい。
部会長:独立しているのは当然であるが、現実には何かに依存しているから問題ではないのか。
委員:これは重要な方針なので、当然なことであれば書くべきではないか。当然だから書かないというのではなく、表現したら良い。
部会長:よく独立性という言葉が使われるのは、ボランティアが独立していると言いながら、行政に依存しすぎだとか、行政に財政的支援を頼みすぎだとかという使われ方が多いのだが。
委員:その逆もある。行政主導型でボランティア団体がなかなか独立しないということもある。
部会長:それでは、個人あるいはボランティア団体というのは、独立した活動であるという意識を持てということか。
委員:そういう独立性を相互に尊重するということが大事だと思う。
部会長:「相互に独立性を尊重する」ということか。
委員:「相互の独立性の尊重」ではわかりづらいのだが、これはボランティア組織どうしの、NPOどうしの独立性ということを言うのか。
委員:行政機関からの独立も指すし、相互の独立もさす。
委員:この基本方針の中で考えると、難しいのは、ここでは「財政支援のあり方の検討」という項目が入っているということだ。その項目がある中で、具体的に、どういう独立を確保するのだろうか。
委員:その項目があることは、別に独立を阻害するとは思わない。
委員:「相互に尊重する独立」とは、具体的にどう書けば誰もが理解してもらえるのだろうか。
委員:「誰の意見にも左右されず、誰の顔色を見ることもなく、きちんと決められる能力」だと思う。決定する能力のことだ。
委員:考え方を否定するわけではないのだが、そういう組織もあっても良いとは思うが、どう表現すれば良いのだろうか。自発性の横に、「独立性」の言葉を入れたら済むことなのか、それでは大変不十分なのか、どうだろうか。
委員:表現については、文章の中でもう少し練っていかないといけないと思うが、例えば、自発性、自律性、それと先程出た、先駆性と並列的な言葉なのか、もう少し趣をもった言葉なのかについても議論してほしい。
委員:今、言われた意味の「独立性」というのは、自律性、自ら律するという自律的なところに書き込まれているのではないか。人の意見に左右されない、自ら律するということなので、このままで良いのではないかと思う。
部会長:「基本方針の性格」の3行目のところに、「県民一人ひとりの自発的で自律的なボランタリー活動の総体を指す」とあるが、これでは足りないということか。
委員:言葉としては、「独立性」ということを入れてもよいと思う。
部会長:私や委員が修正をするのだが、どこにどういう形で、何に対する「独立性」をということで書ければ良いのだが。
委員:発言されている意味は分かっているつもりなのだが、基本方針の中のいろいろな支援の仕方を書いてある部分とぶつかってしまう。ぶつかって読まれて、誤解される危険性があるということだ。だから、先程も意見があった、自律性という言葉で読み込むあたりが誤解されずに言える方法ではないかと思う。これが、「独立」という言葉を使って、何も支援は受けないぞという、そういう素朴なニュアンスに陥ってしまうといけないと思う。
委員:私は、意思の独立と支援は別々のものでないかと思っている。
委員:そうだ、それはその通りだ。
委員:その辺が理解できないと、結局、良い活動につながらないし、いつまでも成熟した関係にならない。そこを心配しているから、敢えて言っているのだ。
委員:発言されている通りだと思う。
部会長:では、「成熟した社会では、自律的な市民の…」という表現が入っているので、委員の言われていることに反対しているわけではないし、むしろ非常に強く言ったつもりだ。
委員:もっと強く言ってほしい。
委員:意見を出された委員の言われる、理想的なものを強くだしたいというのは、私もサポートしたい。しかし、今回、各地域をまわって感じたのは、私たちが議論しているボランティア論は、千差万別のものを一まとめにしてボランティアと言い切っているところにかなり問題があるということだ。ただ、それを言い出すと、中間報告もまとまらなくなるので、まとめる方向で話をしたい。その前に、少し細かいところから、先に片付けたい。先程も議論になった、顕彰のことだが、ここの文章を読むと、県の顕彰のことだけを書いてあるが、逆に、県だけではなくて、議員も含めて、民間どうしで、ボランティアを表彰するのを、県としても大いに期待するという一文を入れてはどうか。それともう1つは、議論になっている独立性に関連するのだが、基本的に一番ひっかかるのは、財政支援のところである。「財政支援」、つまり経済問題のことだが、ここがあまりにもさらりと書きすぎているので、誤解を招くのではないかと思っている。「財政支援」と言ってしまうと、また、行政が予算を付けて支援をするという期待になってしまうのだが、そうではなく、ボランティアの方から見ると、如何に財源を確保して、独立を確保するかということになると思う。精神的な独立も大事であるが、最後はやはり財政的な独立があって、自分たちの活動を独立していくということになると思う。そういう意味で、項目の立て方であるが、「財政支援」と言うより、財源確保についてどう支援するのかということだと思う。行政の財政支援は、そのワンオブゼムだと思う。意見を出された委員の活動を見ていると、行政のアウトソーシング先がボランティアになると思うが、ピーター・ドラッガーの議論でも、企業ではなくNPOがその担い手となって、新しいワークスタイルの一つがボランティアになってくるというものがある。ここでも大いに有償ボランティアの議論をしないといけない。そうすると、今まで無償しか仕方がないというのではなく、有償の場合も考えて、逆にサービスの受け手が対価を払うということも考えてはどうか。実際、丹波地域にも保育所をしている方がいて、自分自身もボランティアなのか、コミュニティ・ビジネスかわからないというケースがあった。こういうものを無理やりボランティアとしたり、ボランティアの分類等をするのではないが、この報告書では、公共的なセクターの担い手としてアウトソーシングを一つの柱に活動しようとしているNPO・NGOと、余暇として活動しているボランティア、それとコミュニティ・ビジネスとして地域密着型で、あるいは将来企業に発展できるような活動の3つを、何かのニュアンスで線引きしておくことが必要ではないか。
部会長:ところが、「財政支援の方法の検討」というところで、今の意見と正反対の意見もでている。例えば、ある団体では、ボランティアをする方がお金を払ってもよいのではないかと言っている。どちらが良いとも、悪いとも言えないが、そのような多様なものを認めていかないといけないのではないか。
委員:その団体の場合は、クライアントがボランティア自身なので、ボランティアする人がお金を落としていっても問題ないと思う。ところが、サービスを提供するような活動の場合は、別にクライアントがいるので、お金の流れは全然変わるし、それと財源とはイコールではない。
部会長:これまでは全国社会福祉協議会が、ボランティアについて、純粋性、無償性、自発性というドグマをつくってしまったので、少しでも対価をもらうとボランティアではないということになっていた。しかし、それではおかしいのであって、もう少し多様なものを認めるということが必要ではないか。
委員:先程申し上げたかったのは、そのような多様なものを、我々は、ボランティアという言葉で書いているのだが、その多様な部分をもう少し明確にする必要があるのではないかということだ。おそらく、これからは小さな政府という流れの中で、行政が抱え込むのではなく、アウトソーシングしていくことになると思う。この中で、自前の財源で、あるいは寄附を集めてやるには少し公共的過ぎるもの、つまり、本来行政がやるべきだけれども、行政がやるよりは、NPOがやった方が良いという活動がある。一方で、活動をすること自体に喜びを感じているので、自腹を切ってやっても構わないボランティア活動もある。さらには、ボランティアと言いつつも、地域の中で、有償でサービスを提供できる活動もある。このようにボランティアという言葉で言うよりも、もう少し将来を見越してグループわけをしておけば良いのではないか。それと、財源確保のサポートの方法についても、ある程度ニュアンスを出しておかないと、このままでは、また、一律平等という議論になってしまう。
委員:多様性は確かであるが、「多様である」と書いても何の意味もないので、この中間報告では一つの仕掛けをしている。つまり、「財政支援」について、財政支援をするかしないかという水準でまとめるのはやめよう、兵庫県は大変多様なNPOを持っているし、震災を経験したので一工夫が必要であるということで、「財政支援の検討」ではなく「財政支援『方法』の検討」とした。この「方法」が入ることによって、方法について検討する機関が必要となるし、その機関が多様なものをどう支援するのか検討するという仕掛けである。それにより、「多様な」という言葉が逃げないように工夫している。
委員:「顕彰制度」であるが、是非とも、このような文章の中に残して欲しい。私どもは選挙制度の制約で寄附ができないのだが、何かの会員として会費を募ることは可能なので、そういう方法でやっている。そうすると、さまざまな会員の中から、いろいろな知恵や情報が集まるので、それを上手く活用することができている。これを考えると、この中間報告は、顕彰制度、有益な情報の提供、財政支援の方法の検討についても、それぞれ上手く書かれていると思う。是非ともこのままでまとめていただきたいと思う。
部会長:先程の委員の意見をもう一度整理したいのだが、「行政は社会基盤の整備や基礎的なサービスの供給などを担っていき」という表現があるが、この「ボランティアのための社会基盤の整備」や「ボランティアのための基礎的サービスの供給」などの基本的役割を行政は担っていくのだというのを、それも民間でやらせろと、あるいは馴染むものはやれという意見が出たのだが。これからは、行政が基礎的サービスに限定していくというのは、行政学をやっている者にとっては常識である。今迄のように、財源をどんどん使って行政がするのではなく、基礎的行政に守備領域を絞るべきだというのが、行政学をやっている者にとっての常識である。
委員:ここの「基礎的サービス」というのは調査研究だとか、研修だとか、そういうものが具体的にイメージされているのか。
委員:ここのところは、委員が言われた意味も生かされていると思う。ただ、言われている趣旨をより厳密に言うと、「行政は社会的基盤の整備や基礎的なサービスの供給を担うとともに、『それだけに限り』」ということである。そのことにより、結果的に、ボランタリーセクターが担うべき領域が広がってくる、行政が事業委託をするという意味で、ここは書いてある。つまり、「その役割を担うとともに、それに限る」ということをしつこく書くかどうかである。実は、「基本方針の性格」のところで、少し思い切って「行政の果たすべき役割、あるいは行政が控えるべき分野を明らかにする」ということを書いているが、さらにまたここで、しつこくこれを書くのかどうかだと思う。しかし、趣旨としては、意見と同じく、「ボランタリーセクターが担うべき領域が広がっていく」と書くことで表現できているのではないかと思う。良い言葉があれば、具体的な文章で提案いただけたらと思う。
委員:上の表現を、さらに下で言うことになると、くどくなるということだと思うので、趣旨がいかされるということであれば、私の発言を議事録に残しておいていただきたい。
部会長:それから、「県民ボランタリー活動の趣旨にのっとり市町との連携を強化するとともに、県独自の支援をも行うという」ところで、もう基礎的な行政は、基礎的行政単位である市町村にやらせる時代ということだから、市町村にやらせたらどうかという趣旨だが、どう修正すれば良いのか。
委員:社会的な基盤の整備や基礎的サービスに限定するという議論があったが、領域の部分でも、社会的基盤整備というのはわりと県域単位で行われる事業が多いと思うが、基礎的サービスというのは、市町の単位ではないかという気がする。そのような区分けというのは、連携を強化するのではなくて、役割分担を明確化するという意味、もう少し表現を明確にしてほしい。
部会長:基礎的サービスは住民に最も身近な基礎的行政単位である市町にというのは、その通りだ。ただ、市町によって、非常にバラツキがあるのも事実である。例えば、ボランティアなどは行政はかかわらならないものだという考え方もあるので、全てのことを基礎的行政単位でやれと言い切れない面がある。
委員:実際にはそうかもしれないが、これは基本方針なので、方向性を指し示すのが役割である。したがって、こうありたいということも書けば良いのではないか。
部会長:趣旨はみんな賛同しているわけで、例えば、市町がもう少しボランティアの基盤整備、その他について、わかりやすく言えば力を入れろという趣旨のことは書き換えることは可能であるが、全部市町に任せると、非常にデコボコになるということがあるということを言いたい。それについては、少し検討したい。
次に、「気運の醸成」のところで、神奈川県が新聞誌面を1面使ってNPOに関する情報提供をしているということであったが。実は、公共広告機構がボランティアの窓というのをずっと無償で提供してくれていたのだが、それが打ち切られて、兵庫県ボランティア協会でも非常に不便を感じている。しかし、こういうものをつくれということは、この中では書けないのではないか。確かに、紙面提供がなくなって、ボランティア団体が非常に不自由しているということは、その通りだが、神奈川県と同じように、兵庫県が毎月1回、日刊紙を買い切ってということまでここで書くのかどうか。それは行政の方に投げかける必要があるだろうが、審議会でそこまで踏みこんだ議論はできないと思う。一度、文章を検討してみて、そのような趣旨が生きるような文章が盛り込めたら、入れたら良いのだが。
委員:私たちも、媒体がなくて本当に困っているので、例えば、広報媒体の支援というような言葉で入れていただければ良いのだが。
委員:この条例自体は、ボランタリー活動であって、ボランティア活動とはなっていない。それは、ボランティアとすると、どうしても無償というイメージがあるので、ボランタリーという言葉を敢えて使ったということだと思う。フォーラムの意見などを聞いていると、その辺のところが、まだよく理解されていないような気がする。それで、このボランタリーセクターの定義の「公的な領域と私的な領域の中間に位置する公共的な領域で見られるところの…」のところに、「有償・無償を問わず」ということを入れられないか。そうすると、これは無償の行為だけを言っているのではないということが言えるのではないかと思う。
部会長:検討させていただきたい。
委員:1つ目は、「3配慮すべき事項」のところに、「政策評価を定期的に行う」ということを加えた方が良いと思う。施策評価を定期的に実施し、それに基づいて機動的に見直していくということだ。ここでは、新しい施策のアイディアというのが入っているので、その所期の目的が達成されているかどうか見直していくということを書いた方が良いのではないか。2つ目も同じところだが、「政策の透明性の確保」みたいなことも書き加えたら良いのではないか。施策のアカウンタビリティを高めるために、施策自体のディスクロージャーということが必要である。NPOに業務委託をする場合に、委託先を公表するとか、そういう趣旨のことを加えた方がよいのではないかということだ。3つ目は、「財政支援」のところでいろいろな意見がでているが、やはり、全体としてサラリと書かれすぎていて、少し物足りないところがある。先程の「財政支援『方法』の検討」も、その方法という言葉が大事であるとは、誰も読んでくれないのではないか。もし、財政支援の方策について検討する委員会を置くということが、行間に書いてあるのであれば、それははっきりと書いた方が良いと思う。折角の報告書なので、あまり玉虫色に書きすぎて、いろんなふうに読まれるより、はっきり書いた方が良いのではないか。ここでは業務委託とか、資金助成とか、言葉が並べられているだけだが、実際には、融資とか他の政策オプションが他にもあるはずなので、そういうことも一度専門家で議論するような場が必要だという趣旨のことが書き込まれれば良いと思う。それとの関係で、既存の補助金制度や財政支援制度を一度総ざらいをして再編成するということ。いろいろな零細補助金が、どこの自治体でもたくさんあるので、それを再編して、もう少し新しいタイプのNPOを支援できるような形に組み替えていくようなことも書き込めば良いのではないかと思う。
部会長:まず、ボランタリーな活動に対する支援を行う政策の政策効果評価みたいなものが入れられないかということ。もう一つは、「アカウンタビリティ」「行政の説明責任」みたいなものも入れられないかということ。それと、例えば、アウトソーシングしたりすることについて、情報の公開(ディスクロージャー)をしてはどうかということ。それから、先程から議論が出ている財政支援の方法というのを、「財政支援のあり方についての専門家のあり方の検討委員会(仮称)」みたいなものを設けて、一度検討してみてはどうだろうかということ。それと関連して、ボランタリーな活動に対する各種補助金等が出ているので、一回、総ざらい、見直しをして、その効果を測定して、もし、そういう無駄なものがあれば、新しいボランタリーな活動に対する芽に対するインセンティブにしていけばどうかということであった。これも検討させていただくということで良いだろうか。
委員:先程の「市町との連携」のところで気になっているのは、先程のフォーラムの報告では、神戸市や阪神地域は、どうやら県に対してよりも市に対する期待の方が大きいので、市との連携も県がしっかりしてくれということがあったのではないか。両方あったとは思うのだが、ここでの文章の形を見ると、他の文章は、上の段落で現状と問題点を指摘して、下の段落で結論として、「そのために…」という形なのだが、この「市町の連携強化」のところではそういう形になっていない。上の段落が社会的なサービスを相互に補完しあったり、相互に拡大することが期待されるという課題であると考えると、そのために何をするかという文章としては、「連携を強化する」というだけでは弱いのではないか。先程は、役割分担の意見が出ていたが、市町に期待するところが、特に大都市に多くて、郡部によっては、横向きの町もあるということなので、役割分担と一言でいうのも難しい。また、上の段落を説明・達成するために、「県独自の支援」も行うというのは、少し文章がつながりにくいということで、「連携の強化」と「県独自の支援」について、もう一捻りしてほしい。
委員:フォーラムの資料の中で、婦人会が高齢化して衰退しているという意見があったのだが、ご多分に洩れず、どこもそうである。先日、近畿ブロックの婦人会の幹部研修会があったのだが、やはり、そこでも高齢化の問題が一番大きな問題であった。最近は、ボランタリーな新しい団体がたくさんでてきているが、これがきちんと定着して、叱られるかもしれませんが、頼りになる団体となるまでは、どうしても自治会や老人会、婦人会などが核になるのではないだろうか。しかし、若い人の就労の問題や家族のあり方が変わっていったということもあって、そういう組織はどんどん崩壊している。そういう中で、やはり、次のしっかりとした一線なり、輪なりができるまで、つないでおく必要がある。近畿ブロックの研修会では、そういう結論がでました。このフォーラムの報告でも、婦人会が壊れていって困るという意見がでているので、「地域の支援活動の範囲」の「それまで地域に根付き活動してきた、既成の地縁団体、ボランティア団体、企業等との連携ができるように配慮する」というところに、今まで、地域に根付き活動して来た団体も支えながら、新しいものをつくっていくということを入れていただいたらと思う。
部会長:以前も言わせていただいたが、震災の後に出て来たボランティアだけがボランティアではないし、ずっと地域に根ざして長い間やってきたボランティア団体もあるので、そういうものも、それなりの評価をしないといけないということだ。そういうものが全部駄目だということでは困るので、その通りだと思う。
委員:行政の立場として、「市町との連携」や「財政支援」の問題は非常に関係がある。「市町との連携」では、県独自の支援というよりも、新しく地方分権が進む中で、県と市町のいろいろな関連が詰められているところなので、「県との連携」ということを検討してほしい。また、条例の前文にもあるように、このたびの大震災が一つの「気運の醸成」になったと思うのだが、実は、私どもの町も、氷ノ山の麓の渓谷から汲んだ飲料水を神戸のあるサナトリウムに運び続けていた。町とそことの間に深いきずなができて、平成7年の5月頃まで飲料水を運んでいたのだが、これも町の職員や議会、自治会の方々のボランティアでやっていたものである。他の公共事業と比べると、タンクの設置費や運搬費など人件費と比べると安いのだが、何等かの経費が必要であった。先程も指摘があったのが、「財政支援」のところで非常にきれいに書きすぎているのだが、これからは人間を大切にする時代、ハードよりもソフトの時代に向かっていることもあり、行政もそのような方向に力を入れていく時代だと思うので、そういう活動団体等と行政との間の自律した協力関係を踏まえた協働を積極的に進めていくために、行政も財政支援を支えていくということについて、もう少しハッキリ表現しても良いのではないかと思う。
(3)その他
部会長:本日の意見については、この中間報告の起草を手伝っていただいた委員と私に一任していただきたい。二人で案を作成し、みなさんにお送りして意見をいただいたて、最終的なものをまとめたいと思うが、いかがか。
(異議なし)
以上
seikatsusouzouka@go.phoenix.pref.hyogo.jp
<前のページへ戻る>
<目次へ戻る>