第5回検討委員会議事要旨
※本議事要旨は事務局が作成したものに各委員が発言内容の確認を行ったうえ、委員の申し出に従い修正を行ったものです。
第4期兵庫県県民生活審議会第5回県民ボランタリー活動促進施策基本方針に関する検討委員会議事要旨
1 日時 平成11年9月14日(火) 13:30〜15:30
2 場所 和田山総合庁舎第303会議室
3 出席者
(1) 委 員 小室委員長、鳥越委員、速水委員、吉田委員
(意見書提出)今田委員、谷垣委員、中村委員、山内委員
(2) 事務局 武田生活文化部長、大鳥生活文化部生活創造課長
(3) 傍聴者 3名
4 議事
(1) 県民ボランタリー活動団体等へのヒアリング結果について
(2) 県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針(中間報告素案)
(3) その他
5 主な意見
(1) 県民ボランタリー活動団体等へのヒアリング結果について
委員長:団体ヒアリングを行った結果について、各委員から報告していただきたい。
委員:ぐるうぷあばうととグループ名谷については、どちらも震災の後に組織された団体であり、どちらも学校での活動を出発点とし、さまざまな経緯を経て、現在では復興住宅等での活動を展開しているものだ。
@ ぐるうぷあばうと
委員:このグループは、代表の方が中心となって活動をしている団体で、会員も増えているが、活動をする際に活動先の選り好みがあるため不公平が生じており、会員のボランティア意識をどう変えていくのかという課題がある。それと、代表の方が一人でコーディネートしているのだが、代わりの人材を育成するためのコーディネーターの養成機関と講座修了後のチームによる実践的な研修の場が必要ではないかということだった。また、財政的にも困っているのだが、民間助成団体に申請しても上手くいかないことから、民間支援の受け方が今後の課題であった。
A グループ名谷
委員:このグループは、震災復興の分野でPTAが中心となって青少年問題協議会など地域の団体を巻き込みながら活動を展開している。復興住宅を中心に活動をしており、主に給食サービスやイベントプログラムを行っている。このイベントを手伝ってくる人材の情報が不足しているのと、運営をしていくための経費が足りないため、なかなか活動が広げられないというのが課題である。また、最近は、他に競合するグループがあるのか、活動器材の置き場所の確保に苦労している。さらに、一人住まいの高齢者という入居者の生活の視点から考えると、訪問販売業者や団地に入ってくる物販業者などの問題、住宅の設備にしても、新しいものは便利でもかえって高齢者は使いづらいという問題があり、これについての取り組みが課題であった。
B 神崎青年会議所
委員:神崎郡の青年会議所として、地域づくりや市川流域の活動を行っているが、ここでも青年会議所が抱える課題、会長が一年交代で事業の継続が難しいことや、先輩・後輩のつながりが強くて先輩の言うことは断りづらいことなどが課題であった。予算はある程度あるのだが、活動を展開するためのメニューづくりに困っていて、そういう情報がほしいことが課題であった。また、ボランティア団体であるという意識は薄かった。
C しゃくなげ会
委員:日高町でボランティア講座の修了生が中心となってつくられた団体で、会長は80歳を越えておられる。町の社会福祉協議会を活動の拠点として、高齢者が高齢者に対して活動を行っているグループである。このグループは、病院の患者サービスや給食サービス等12の部門にわかれているが、各部門別の希望者に差があること、後継者の育成と民間からの支援情報が課題である。一方で、社会福祉協議会のバックアップがしっかりしており、これが「自律」との関係で多少限界となっているのではないか。
D 養父町・花のまちづくり協会
委員:町が何かイベントをしようと考えた時、花のまちづくりをしようということになり、地域の人たちに呼びかけてできた団体である。発足当初は行政であったが、活動の展開は民間の人々、各地区の花のまちづくり会が中心である。将来は、花をテーマとしてボランティア活動から事業的な展開を展望しているが、現在は、住民の方に花に共感してもらい、花づくりに取り組んでもらえるよう、活動を広めていくアイディアがほしいということであった。花づくり運動を広げていくために、外部からアドバイスや相談を受ける機会がほしいということであった。
E 曽地中ホタル愛護会
委員:このグループは、ホタルの乱舞をマスコミが取り上げたために、都会からホタルを取りに来る人がいたことから始まった活動で、高齢の方が中心になって展開しているものであり、若者への活動の参加の呼びかけが課題となっている。また、行政にはホタルや環境を守る条例を制定してほしいという希望があった。この活動が広がって、まちの環境を守るような運動に展開するための具体的な手法に関するアドバイスや、相談先があれば良いということであった。
F オペレータースタッフZERO
委員:市島町のホールの音響と照明の活動をやっているスタッフであるが、自主企画の事業を行ったり、感動を共有できるような活動を自主的にやっている。先日も、プロの舞台を手がけて大きな感動を得ることが出来たが、こういう機会がもっとほしいということであった。また、地道な活動なので、どこかで認められたり、お互いに競い合うような場面があればということであった。
G プロジェクト結ふ
委員:このグループは、NPOというよりも震災後にいろんな活動をしていたグループをとりまとめていた団体である。また、ヒアリングをした時点では、活動を終了していた。代表の方は、県女性センターの講座の修了生で、経営者感覚と主体性を持った方であるが、この代表と団体の名前で集めたお金を、個々のプロジェクトを行っている団体に資金提供して、マネジメントをサポートしていた。しかし、多くのプロジェクト(事業)は 事業としての意識が低く、これまでのやり方では本当の意味での事業体として育っていくことはできないということで、今後の活動の展開の目星をつけたうえで、とりまとめの団体としては活動を終了した。
その背景には、ボランティアの活動を大きくわけると、社会福祉協議会に登録しているグループと、生涯学習講座などをきっかけとして活動しているグループなどがあるが、どちらも年間数十万円程度の予算で十分で、マネジメントやインターミディアリーによる活動支援は必要ないが、これから展開される市民事業は、ビジネスとして雇用を創出するものであり、マネジメントやインターミディアリーによる支援が不可欠であるという代表の考え方があった。
H 地球ボランティア協会
委員:この団体は、会員数4千人であり国際交流を活動分野とする団体であるが、行政からのサポートは必要ないものである。それは、代表が行っている俳句の会から毎年確実に収入が入ってくる仕組みになっているからである。活動も、実際には50人程度で、不定期な活動であるし、活動地域はフィリピンやケニアなどの海外である。
I ワイワイドリーム・ネットワーク
委員:このグループは、町のふるさと創生資金事業であるワイワイ塾の修了生によって生まれたグループで、まちづくりに貢献するボランティア活動をやっている。現在は、和田山町から出ていった方へのダイレクトメールの送付や、町に在住する外国人を対象とした国際交流事業などをやっているが、将来は環境問題にも取り組みたいということであった。活動に参加しているのは、塾の修了性の半分くらいの方で、不参加の理由は、時間がないとか、行政の下請けのような仕事はいやだということであった。行政主導で立ち上がったボランティアをどう支援していくのかということが問題ではないかと思った。
J 質疑応答
委員長:ご報告ありがとうございました。事前に送付した文書による報告も含めて、何か質問はないか。第3期県民生活審議会の審議の中で、当時のコミュニティ・サポートセンター神戸からヒアリングをしたのだが、その時にインターミディアリーという言葉が出てきた。いろいろ議論をしたが最終的には、どのようなものかしっくりとこなかったということがあった。
委員:それぞれが思い思いに使っているところもある。ヒアリングでは、ボランティアを越えた市民事業として必要な経営者感覚が欠けているということであった。その反面、ボランティアの活動では、自己中心的でサービスの提供者という発想がないので、このボランティアが市民事業としてビジネスを立ち上げていくことを研修面で支援し、組織化することに取り組みたいと言っていた。
委員長:市民事業とコミュニティ・ビジネスとは同じものをイメージしているのか。
委員:コミュニティ・ビジネス自体について、我々自身がまだ定義していないが、そういうものも含まれるのではないか。
委員長:兵庫県ボランティア協会が全国ボランティア研究集会を行った時、ヒアリングされた,代表の方と一緒にやったのだが、ボランティアに関する考え方に違いがあった。
委員:ヒアリングでも、インターミディアリーは市民事業を育てるものであり、ボランティアの概念の範疇ではないことははっきりした。コミュニティ・ビジネスについても、雇用促進がキーワードになっているが、この扱いをどうするかが課題ではないか。
委員長:コミュニティ・ビジネスは、神戸商科大学の加藤教授が、イギリスの大不況の時に、コミュニティのレベルで、最低賃金以下での事業が起こっていたものを紹介したのが最初だった。ところが、現在の兵庫県では、これが夢のように広がってしまっている。この3月に出た兵庫県労働経済研究所が調査報告書では、元々、イギリスでの始まりがそういうものであるし、そういう形ではなかなかひろがらない、成功事例も少ないというものである。これがビジネスなのか、ボランティアなのかということだが、私はボランティアの定義をかなり広くとる方なので、これもボランティアと言って有償でやれば良いと思う。また、この調査でも、日本の事例の中には最低賃金の半分以下のものが多く、これをあくまでもビジネスというのか、これが大事な問題ではないか。
委員:ヒアリングをした団体の場合は、確実に所得を保障するという考え方でやっていて、実際に子どもを抱えたボランティアに対しても、ある程度の給与を支払っていた。ここまでいくとビジネス感覚である。
委員長:アメリカではソーシャルワーカーがそういう仕事をしている。特に移民など、英語はできないし、仕事もないような人に、公的補助や部分的な就労等を集めて生活の自立を支えている。これがビジネスとして継続してやれるのかどうか、これについても議論する必要があるかもしれない。
委員:私は、それがコミュニティ・ビジネスというのがいいのか、市民事業というべきか。いずれにしても自己満足のための余暇活動ではない。支援をするのであれば、する方も単発で終わるのではなく、継続性を持つように組織化しないといけない、行政もそれとどう関わっていくか検討していくことが必要ではないか。
委員長:他にご意見がなければ、次の議題にすすみたい。
(2) 県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針(中間報告素案)について
@ 資料説明
委員長:それでは、引き続きいて、鳥越委員にまとめていただいた中間報告素案について検討いただきたい。まず、事務局の方から説明してほしい。
事務局:資料2説明(省略)
委員長:それでは、中間素案についてご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
A 基本方針の対象
委員:基本的な問題だが、この基本方針の対象が団体なのか、個人なのかということが非常に大きな問題ではないか。このボランタリーな活動の基本的な精神はアクティブ・シチズンシップ(主体的・能動的市民参加)であるが、この活動の「自発的」というのはアクティブ(積極的)なものなのか、パッシブ(消極的)なものなのかわからない。先程の和田山町の例は、活動の中身を行政が提案し、それを自発的にやるというものだが、果たして、アクティブな活動なのだろうか。震災後のボランティア活動については、いろいろ議論があるし、善し悪しを言う必要はないと思うが、阪神間で活動しているボランティアは、既存の日本社会の組織型の人間ではなく、自分の考えで自分が社会に何ができるかという視点で動いているのではないか。そういうボランティアがいるのに団体支援ということでは、ボスが出てきたり、その団体に入らないとボランティアではないということになるのではないか。
また、支援活動の範囲の中で、行政が過剰にかかわってきた範囲はボランタリーセクターに委ねるということだが、これは行政の事業の中でアウトソーシングする事業はたくさんあるが、そのコストを行政が負担するのではなく、市場のビジネスセンスでやっていくべきではないか。それが、全くの民間ビジネスなのか、市民事業なのか、コミュニティ・ビジネスなのかわからないが、事業をアウトソーシングするのと、ボランティアとして無償でするというのは意味が違う。先程の例でも、ダイレクトメールの発送は、民間業者から安く請け負うところを探すなど、今まで行政がやっていたものを単にボランティアに渡すということではない。事業を上手く民間に渡していく仕組みができれば、ベンチャーがでてくるかもしれないので、事業委託のあり方について、よく検討する必要があるのではないか。
事務局:この基本方針が団体支援なのか、個人支援なのかということだが、この条例の支援対象として「県民ボランタリー活動の支援」ということを打ち出している。つまり、21世紀に向けて、公的セクターと私的セクターの中間領域にボランタリーセクターが形成されるのを支援し、その結果、この中間領域である公共的領域がどんどん大きくなっていくことで、非常にボランタリーな活動をするための活動領域が増えていくだろうと整理をした。
委員長:資料1の条例前文では「県民一人一人や」という表現がある。これは県民ボランタリー活動団体等の団体も含まれるという解釈になるのではないか。
事務局:この条例で支援する対象は、「県民ボランタリー活動」である。「活動」には、団体がやる活動もあるし、個人がやる活動もある。それから地域の基盤的な団体がやる活動もある。これらを、「県民ボランタリー活動」として捉えて支援しようということだ。
委員長:例えば、県のひょうごボランティア賞では、個人賞と団体賞があり、どちらも表彰対象となっている。兵庫県は、これまでそういうスタンスで来ている。
委員:この中間報告素案の表現では、支援の対象として「活動団体」という言葉がたくさん出てきているが。
委員:こう考えてはどうだろうか。国の特定非営利活動促進法は、NPO法と呼ばれているようにオーガニゼーション(団体)の法である。私もこの考え方に賛成なのだが、それに対して、県が条例を制定する時に、小室委員長などの委員との話し合いの中で、兵庫県は震災という経験があるので、いわゆるNPO法水準ではなく、ボランティアの一人ひとりの活動から支援しようということになった。そして、この選択をした時点で、矛盾が生じている。その一つは、条例は基本的には法の枠の中に入らないといけない部分もあり団体性を持つのだが、具体的に支援することになると個人と団体の二つの側面を持たざるを得ないということ。それと、広い意味で支援をする時に見えやすいのはオーガーニゼーション(団体)にならざるをえないということである。それはそれとして、他府県と比べて、兵庫県が条例で個人を強調している点は、個人を入れることで、若干、哲学的・抽象的なニュアンスになってしまうのだが、今のところ修正する必要はないのではないか。
委員:「活動団体」と言った場合、これも組織をつくって動いていくのだが、どんな活動をどう支援するのか、あるいはどの団体を支援の対象にするのだろうか。
事務局:これも条例制定時に議論をしたのだが、団体を支援対象にしてしまうと、団体を峻別するという問題が出てくる。ところが、どんな団体、個人であれ、県民のために社会的な貢献があるのであれば、これを支援対象としようという考え方であった。したがって、個人、団体の活動そのものを支援するという選択をした。
委員:活動領域としてとらえるということが、非常に面白い。先程も、国際ボランティアの話が出てきたが、これを支援すべきなのだろうか。
委員長:例えば、ある人が定年で退職したが、何か生きがいが欲しいのでボランティアをしようとした時、どこに行ったらボランティアの情報があって、どういう受入れ先があるかについてということになる。これは個人への支援だが、これは必要ではないか。
委員:支援すべきだろう。
委員長:それでは、先程の市民事業とかコミュニティ・ビジネスについても、外から見ると支援の量はグループ化されたものにかなりのものがいくだろうが、現実には、個人でボランティアをしようという人もいるので、条例の中では、両者をandでつないで支援しようとしている。まさしく、そういうことではないか。
事務局:先程の国際交流の関係だが、条例の第1条で「県民ボランタリー活動」の定義をしたが、そこでは「県民が行い又は県民のために行われる自発的で自律的な活動」という言い方をしている。これは県の条例であり、外国の方が外国(自国)でやられる活動を拘束するわけにはいかないが、県民が外国のどこかで社会貢献の活動をするのであれば支援することにしている。また、県民以外の外国の方、あるいは、他府県の方が県民のために行ってくれる活動も対象にしている。これにより、自治体の条例ではあるが、間口を精一杯広げているし、これも「団体」ではなく「県民」ということで整理している。このように、支援の対象についても、県域を越えると焦点がぼけてくるし、相手が見えなくなるので、「活動」ということにした。
B コーディネーターについて
委員長:他に何かないだろうか。
委員:ヒアリングをやりながら気がついたのだが、活動を展開するための相談とか、コンサルティングに対する希望が随分あったのだが、これはコーディネーターの仕事に入るのだろうか。何をするのがコーディネーターなのだろうかということを少し整理する必要があるのではないか。本質は、リーダーもコーディネーターも質の高いものを求めるのだが、その質の高さはどういう測り方をするのか。例えば、責任感の強いリーダーが頑張って活動の質は高くなっても、リーダーとして質が高いかは別の問題である。その辺のところを具体的に表現できれば良いのだが。
委員:コーディネーターの大切であるというご意見は、その通りだと思うが、この基本方針で「質の高い」という表現以外に何か良い表現があるだろうか。具体的に書けば書くほど限定が入ってしまいそうであり「いいコーディネーター」ということにつきるだろう。この「いい」という部分に代わる言葉があれば良いのだが。
なお、確か前回の検討委員会で、リーダーとコーディネーターの区別が必要だという指摘があったので、両者の養成は重なるところが多いが、違うものも当然あるだろうという認識に立っている。本当は、「質の高い」という言葉を入れるのは、当たり前のことなので恥ずかしいことなのだが、何かを入れないと寂しいのでこの言葉を入れている。何かよい表現はないだろうか。
委員長:ボランティアにおけるリーダーとコーディネーターというものは、どちらもバラツキは大きい。コーディネーターでも電話交換手みたいにつなぐだけのものと、専門性をもって組み立てるものと両方のタイプがある。
委員:いざ養成しようとなった時に、どんな方法で、どんな講師で、何を目的にコーディネーターを養成するのかということが次の議論として出てくる問題ではないか。
委員長:最終的には、マネジメントをどう考えるかということになるのだが、そもそもNGOは、政府のマネジメントは、ニーズにあわないし、非常にコストが高いので、ノンガバメントのマーケティングですれば、低いコストでできるということが出発点だ。そのあたりは、マネジメントから考えていかないといけない。
委員:養成が大切であるという指摘である以上、「質の高い」を「意欲のある」と変えてもいいが、この種の言葉は基本的にはあってもなくても同じである。
委員長:しかし、言葉の流れとしては、後ろに「養成する」という言葉があると、「質の高い」という表現になる。
委員:これ以上の具体的な表現は、どんなものを、どんな形で有効性のあるようにやっていくかという、次の段階での問題になるだろう。
委員長:コーディネーターにしても、たくさんの人手が必要な時は、質を問わず必要となるが、かなり人数が集まってくると、やはり質の高いコーディネーターがほしくなる。しかし、そうは文章に書けない。
委員:次の段階でもう少し具体的なイメージをつくれば良いだろう。養成にあたっては、カリキュラムに必ず実習 みたいなものが入っていないと駄目だ。そういうことをしっかりやることによって身についてくる。ただ、グループの質によって求められるリーダーの質が変わってくるので、コーディネーターよりイメージをつくりに くい。
委員長:兵庫県ボランティア協会で全国大会をやった時もそうだったが、ボランティアというのは、非常に質が高く、責任感があるのが一番良いのだが、外国でも現実には、ボランティアは、わがままで無責任なところもある。兵庫県ボランティア協会も、それまではボランティアをしている主婦の集まりだったが、会長のご主人が定年退職されたのに、いつも家にいないということで会長がやめられたことがあった。県レベルの会長でもそうなることもある。だから、ビジネスとか、そういうレベルの責任感をボランティアに持ち込んだら、典型的なボランティア活動を行っている大きな層が持つボランティア像と違ってしまうことになる。
兵庫県ボランティア協会の事務局ボランティアなどは、そういう意味で典型的だが、誰か中心となる人がいてボランティアが集まるが、その人が来れなくなっても、また別の中心となる人が現れて、事務局ボランティアがまわっていく。そういうものもあるのではないか。
C ボランティアと市民事業について
委員:そこのところは大変わかるが、先程のヒアリングの議論では、そういうボランティアと市民事業というものを別立てで考える必要があるのではないかということだった。震災後、世間ではボランティアと市民事業を同じ方向で考えているところに問題があるのではないか。
委員長:確かに、そういう市民事業的なものが、結果的にボランティア的な役割を果たすということが増えてくるだろう。しかし、その論理で既存のボランティア団体に同じことを要求しても難しいのではないか。
委員:先程のヒアリングの話は、それと少し次元が違っているが、大事なのは、ボランティアする方の論理だけではなく、ボランティアされる方のことも考えているかどうかということであった。される方のことを考えると、やはりタダではできない、提供する以上、サービス方式でやるということだ。一方で、余暇活動の一環であるボランティア、市民活動などをこの基本方針で考えると、財政支援は、単に行政が出すのだったら欲しいということにならないか。あっさりと、財政的な支援はしないと言ってしまう方が良いのではないか。「財政的支援」のところでも否定的なニュアンスで書いてあるが、その前の「実務に対する支援」のところでは、補助金や助成金の申請事務の相談など資金集めを手伝うようなことを書いている。これは書く必要があるのだろうか。
D 「実務のための支援」等について
委員:「実務のための支援」ということだが、リーダーの方にヒアリングをすると、補助金や助成金の情報が入らないので、情報が欲しいというのは、必ず言われることの一つである。現実に、補助金等を出しているところ があるのだから、そういう必要な情報を出すことは別に良いのだと思うのだが。
事務局:行政が出している公的な補助金等だけではなしに、民間の補助金等の申請要件や時期等に関する情報を提供すれば良いのではないか。
委員:そういう民間の活動助成情報は出しても良いのではないか。それと、「財政的支援」については、やや否定的なニュアンスなのだが、これがギリギリの表現ではないかと思う。今はどちらかと言うと、財政的支援をしようという姿勢が全国にあるが、ちょっと違うのではないか、もっとよく考えようということだ。
委員:私も、表現は否定しないのだが、気になるのは今のベンチャー支援では、なかなか効果が出ていない。良いことをしていても申請の仕方が下手だったら出ないということがある。本当に必要なものだったら、徹底して出すべきではないか。
委員:だから、「財政的支援をしよう」という表現ではなく、「検討する必要がある」と言っている。今、言われたとおりである。
委員:財政的支援を考えた時に、その活動に対して支援をすべきか、否かの意思決定は、行政がやりにくいのではないか。
委員:これは第三者機関をつくることになるだろう。
委員:ただ、お金の件に関しては、活動の盛んな団体でも困っている。一つは、必要性が見える金は、皆お金を出すが、運営費など見えないお金は、個人が全部かぶってしまってしまうのが現実だ。これもお金の面で支援してほしい部分ではないか。
もう一つは、活動を広げたいが、広げる方法もわからないし、お金もないというグループがある。こういうところは民間の助成団体を知らないところが多いので、それを知っているグループと差がでてくる。だから、オープンな情報であれば提供する必要があるのではないか。しかし、現実には、ボランティアグループの運営費について面倒を見てくれるところは少ないので、個人負担になっており、その辺をどうするかということだ。グループの中でそういうことを考える土壌のないところは、やはりかぶる人がいつまでもかぶってしまう。
E 「公的」「公共的」の用語について
委員:欠席委員の意見で幾つか検討しておく必要のあるものがある。まず、この審議会の中でずっと議論をしていた私は気がつかなかったのだが、「基本方針の性格」のところで「公的な領域と私的な領域の中間に位置する公共的な領域」という場合の、「公共的」という意味が分からないという意見があった。この審議会では、繰り返し言っていることなので、あらためて言う必要はないのだが、他の人にはわからないということだ。「公的」ではなく「行政的」ではどうかという提案だが、どう考えたら良いだろうか。「公的」も「公共的」もpublicであるという意見だが。
委員:先程のソーシャルワーカーの議論では、「社会的」と言った方がわかりやすいのでないか。
委員:本来の意味としては「社会的」であるが、「社会」という概念が日本では成熟していない。
委員長:英語でsocailと言えば、ピタッとくるのだが。
委員:社会学は何をしている学問かと良く聞かれるのだが、socialの学者の中ではハッキリした概念だが、「社会」という概念は一般の人にはわからない、成熟していない。
委員:そうすると「社会・公共的」という表現で良いのではないか、publicではなくsocialであるということか。
事務局:この「公共的領域」というのは、条例前文の引用であり、これを基本方針でさわるとなると、条例の方がわかりにくいものを定めたことになってしまう。
委員長:条例制定でしてきた議論を説明していかないといけないのではないか。
委員:このままいくしかないだろう。
委員長:前期の審議会でもsocialやcommonsについて随分議論したし、その蓄積の上にある言葉である。このままでいきたい。
事務局:前文についても、審議会での議論を踏まえて議会に説明しており、この形で理解していただいている。したがって、今までの議論を説明していくこととしたい。
F 「自律」と「自立」について
委員:「自律」という言葉に関して、「律」は個人の内的意思を示す言葉であり「立」の方が社会性を持っているのではないかという意見がでているが。
委員長:これも審議会で随分議論したものである。基本的には、できるだけ県民一人ひとりによる自律的な市民社会をつくろうということで、その時の「自律」は、やはり自ら律するということだという議論をした。
委員:確かにそういう議論をした。
委員:意見の趣旨は、自発的・自律的というのは個人の問題であって、ボランティアに関するものだが、組織に関して考えれば、それは自立、独立性ではないかということだろう。行政との関係で、従属してやるのか、独立してやるのかということで、「自立」の方が正しいということではないか。
委員:「律」という言葉は、よく議論になるし、あちこちで使われているが、あまり区別して使っていないような気がする。
委員長:審議会で議論になった時も、かなり哲学論争をして、「立」ではなく、「律」になった経緯があったと思う。その後、行政が「自律」で使っているが、その背景まで理解して使っているのかはわからないが、我々にどちらかと問われたら、議論の経緯から「律」と答えざるを得ない。
委員:そうなるだろう。
委員長:そうすると、個人は「律」が馴染んで、団体は「立」が馴染むというのはどう考えるのか。
委員:資料2の2ページの「県民や活動団体の自発性や自律性」というところだが、ここを「県民の自発性や自律性、活動団体の独立性(自立性)」と言えば、少し長くなるが個人と団体をわけて表現できる。
委員長:団体の独立性を言う場合は、ディペンデンシーがないという意味だろうか。
G 行政による顕彰について
委員:続けての意見で、表彰や顕彰に関して、行政機関から独立した第三者機関がする方が良いとあるが、これも行政に対する独立性ということではないか。
委員長:しかし、それを認めてしまうと、ひょうごボランティア賞で県が団体賞を与えるのは、団体の独立性に反するという議論になってしまわないか。
委員:それはあると思う。
委員:行政とボランタリーな活動の関係は、欠席委員の意見の中で議論する必要があると言っていた。
委員:顕彰に関しては、同様の意見を提出している別の委員もいた。
委員長:これについては、少し混同があるのではないか。つまり、社会的認知の仕方として、行政が認知する場合もあれば、民間が認知する場合もある。行政の認知が唯一でもないし、優越性を持つわけでもない。ご承知のとおり、アメリカはむしろ、行政が認知すると評価が低くなって、行政と関わりのない独立した団体が認知する方がはるかに評価が高い。ところが、日本の社会では、まだ行政が認知することで、それなりの社会的評価が得られるのが現状である。
委員:そのことを言っているのだと思う。
委員:現実には、社会学で言う「のれん分け」ということで、大変活動しやすくなる。また、行政の表彰をなくす意味もないのではないか。原理論で言うと、先程の委員長の説明のとおりだし、いろいろなところが認知すれば良いということではないか。
委員長:より成熟した社会では、行政が認知するより、純粋に民間が認知した方が評価が高いだろうが、まだ、現状はそこまで行っていないということだ。
委員:これは法人格にしても同じではないか。活動をするのに、必ず法人格をとらないといけないわけではない。これも一種の「のれん分け」である。
委員:現実にも行政の表彰で活動に弾みがつくところがたくさんある。しかし、それが嫌なところは受けないので、そういうことも認めていけば良いのではないか。必ずしも都市型の考え方で活動しているところばかりではないから、行政からの表彰を受けたくない人もいれば、受けたい人もいる。そういう意味で、ここはこのままで良いのではないか。ただ、民間の表彰を否定するものでないので、いろんな機会にやっていけば良い。
委員長:例えば、ある企業の創業者の財団が表彰しているが、それと行政の表彰を比較したりすることはない。何でも行政がすることは悪いことだという発想でよいのだろうか。
H 自発性の現れ方について
委員:これも先程と同じく独立性の問題ではないか。私がこだわっているのは、ボランティア活動がアクティブに発生するのか、パッシブに発生するのかということだが、やはり郡部で話を聞くと、まず行政がイニシアチィブをとって、住民が後からついてくる形のものが多い。これを否定するのではないが、そこだけに頼っていると、本来、アクティブに出てくるべきものが出てこなくなることを懸念している。
委員長:例えば、たまたま行政主導で始まった団体があって、これはこれで育っていく部分と、こぼれていく部分が出てくる。一方で、都市型のモデルだと、立ち上がりは非常にハイテンションで活動を展開していくが、やがて4年程で活動をやめてしまう。これらが両方あっても良いと思うが。
委員:それはそうだ。
委員:郡部に行くと、行政が主導で、例えば花づくり運動などをやっていても、実際、活動を続けていくうちに、活動に携わる者は活動を広げていきたいと思うようになる。それが、行政の思いと違う場合は、行政は否定もしないが、支援もしないというのが現実であって、活動の核の部分は援助するが、広がってきた部分は支援しない。この辺も認めて支援していけば、自発的な活動になるのではないか。こういうふうに、上手く支援がされていけば、行政が主導でできたボランティアグループでも独立してやっていけるし、場合によっては、自分たちで活動するから行政の支援はいらないということにも発展するのではないか。そのためにも、広い目で見て支援していくことが必要である。そうすれば、自立ということもカバーできると思う。
I 「自分が参加しやすいプログラム」の表現について
委員:「有益な情報の提供」のところで出ている意見で、「自分が参加しやすいプログラムも情報として提供す る」というニュアンスが必要ではないかということだが、これは文章としておかしくなければ入れるのだろうか。
委員長:ただ、この中間報告素案の3ページの該当部分の表現として、「自分が参加できやすい活動プログラム」にどのようなものがあるかという情報提供が含まれないと読むのだろうか。
委員:そう読むかどうかだろう。
委員長:素案の3ページの情報のところの表現では、そもそも何をしたら良いかすらわからない人への情報提供が排除されているという指摘だが、この表現には、その意味が入っているのではないか。
委員:入っていると読めるが、確かに、その後の「このため、…」の文章では入っていないということだろう。そこにも表現として入れていくのかということだろうが、そこまで必要ないのではないか。
J 文章の書き振りについて
委員:それとつらい指摘は、「この中間報告素案の全体構成はこれで良いのだが、ややまとまりすぎていて、インパクトに欠ける」というものだ。これは難しい。
委員長:しかし、普通審議会は諮問を受けて検討し、答申を出すものであるが、特に、今回は条例に基づく諮問なので、この手の文章にインパクトを求めるのはどうなのか。
事務局:この中間報告素案でも、「行政の果たすべき役割及び行政が担うことを控えるべき分野を明らかにする」など、インパクトのある言葉は入っていると思うが。
委員:この意見の趣旨は、言っていることがおとなしいのであって、意見の中で例にあげているように、国税より先に地方税から優遇するということを宣言しろということだろう。しかし、少し役割が違うのであって、これはもともと書けないのではないか。
委員長:少し役割が違う。
事務局:もともとこの諮問を行った1月の全体会でも、特定非営利活動法人に関する法人県民税の均等割の減免について、審議会からご意見をうかがったのが、これを少し継続的に審議しておけばよかったのかもしれない。
委員:意見のように税制まで踏み込んで書けば思い切ったものになるが、ここで与えられている役割からすると、インパクトという面では弱いかもしれないが、この程度の表現で良いのではないか。
委員長:この審議会では、税制の問題まで踏み込めないのではないか。また、議論したとしても、こういう税制をつくることに関して、どこまでコンセンサスが得られるのだろうか。
K 市町との連携について
委員:他の意見では、市町との連携について、県の影が薄いので、実態に合わせた表現にしてはどうかというものがあった。一つの意見としては言えるのだが、条例ではそうは言っていない。現実が条例の書いている通りになっていないから条例が悪いというのではなく、これは別の見解としてあるということだろう。ここはさわれないのではないか。
委員:先程のコーディネーターの議論と原理的には同じなのだろうが、実質的には、ボランティアからは市町しか見えない、県が見えない。だから、具体的に施策を展開する時には、しっかりやってくことが必要である。
しかし、県が直ですると、戸惑いを感じたり、それ故に見えなくなることもあるので、その部分をきっちりとチェックしていくことが必要だ。
委員:そういうことだ。
委員:情報のところも同じで、今までもいろいろな情報を提供してきたけれども、必要なところに必要な情報がいかないということが課題になっている。つまり、情報の提供をどう具体的に展開するのかということが非常に大事であって、ここをしっかりと押さえておかないと文章だけに終わってしまう。
委員:確かに、キッチリ押さえながら進んでいかないと、そのままになってしまう危険性も予想される。
委員長:その他に、「育成」という言葉を削除するという意見があるが、これはとっても良いのではないか。「支援する」という言葉があるので、別に支障はないだろう。
委員:構わないだろう。
委員長:市町の問題であるが、これは大変難しい。県がやっているもの、市町がやっているもの、市町がやっているものを県が支援しているものなどいろいろある。各地域に行くと、首長などから、むしろ県にやってほしいと要望されることもある。だから、必ずしも意見のように、「市町との連携ではなしに、市町の施策を支援すべきだ」というところまで踏み込めないのが現実だ。他の例でも、この審議会の前身の生活科学審議会で、消費者行政のあり方に関して県から市町に消費者行政を移すべきだという答申を書いたのだが、実際にはなかなか実現していない。
委員:ボランティア活動をする者から見ると、理解しやすいもの、見えやすいものだったら、県であろうが、市町であろうがどこでも良い。それが、ハッキリ見えていないということではないか。
委員長:福祉の議論でも、一番住民に身近な基礎的自治体が福祉サービスを提供する主体としてふさわしいという議論の流れが基本であるが、スウェーデンでもどこでも、全部コミュニティ・ベースドな施策になっているかと言うとそうでもない。アメリカでもたくさんの連邦のプログラムがある。だから、市町との関係についても、現在の「連携強化」の表現で良いのではないか。
県民生活審議会の前の答申や行革の委員会でも、県と市町は上下の関係ではなく、パートナーであるということを既に打ち出している。だから、これまでのように県の方が上で、市町は指導される立場であるという発想はだんだん捨てていっている。
L まとめ
委員:欠席委員の意見で検討が必要なのはこのくらいだろう。
委員長:それでは、その他に中間報告素案について意見はないだろうか。今日、欠席の委員の意見についても、だいたい議論をした。意見がなければ、次回の第1回総合政策部会に向けて、鳥越委員に今日の意見について修正をしていただき、最終稿を私が見たうえで、部会に案として報告したいと思うがいかがか。検討委員のみなさまには、大変ご苦労をおかけしたが、今回をもって検討委員会を終わりとしたい。
事務局:先程の欠席委員の意見に関する、文言の修正であるが、「育成」という言葉を削除するということのみで構わないか。
委員長:その通りだ。
委員:「気運の醸成」は必ずしも支援だけではないので、少し意味は狭くなる。しかし、「育成」という言葉の持つ意味について、指摘されていることもわかるので、削除して構わない。
委員長:これを外しておいても意味は通るだろう。それでは、これで本日の審議を終わりたい。
(3) 閉会
事務局:貴重なご意見をいただきありがたい。今後も鳥越委員のご指導の下、総合政策部会に向けて準備にあたりたい。
以上
seikatsusouzouka@go.phoenix.pref.hyogo.jp
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