ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画推進委員会第2回NPOマネジメント検討部会議事要旨
※ 本議事要旨は事務局が作成したものに各委員が発言内容の確認を行ったうえ、委員の申し出に従い修正を行ったものです。
ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画推進委員会第2回NPOマネジメント検討部会議事要旨
1 日 時
平成11年2月16日(火) 13:00〜15:00
2 場 所
県立神戸学習プラザ第2講義室
3 出席者
【委員側】山口部会長、絹川委員、草地委員、速水委員
【県 側】高田生活文化部次長、藤原生活創造課長、大西生活創造副課長
4 議事
(1) 資金調達支援事業について
(2) 寄附金等受け入れファンドの設置
ア 支援センターへの寄附を促進する仕組みづくり
イ ファンドで集まった資金の助成の考え方・仕組み
(3) 資金交流市場の具体化
ア 「志」をマッチングする対象と調達方法
・ 活動資金
・ 活動機材等
・ 委託事業(アウトソーシング)
イ NPOの参加資格
ウ プレゼン内容の審査の仕組み
・ 審査の方法、審査結果の公表等
・ 資金提供者の関与のあり方
(4) 交流・ネットワーク事業について
(5) 県内各地の団体の交流を促進する事業のあり方
ア 県の支援センターとして交流を促進する必要がある対象・方法
イ 遠隔地の団体との間の交流の仕組み
(6) NPOと行政、企業、県民がネットワークを構築できる仕組み
ア 県の支援センターとしてネットワーク化を促進する事業とその手法
(7) NPOどうしが連携する仕組み
ア NPOをマッチングする仕組み
エ 人材育成事業について
ヌ NPOが専門的に活動を行ううえで必要な研修内容
ネ NPOを支援するNPO、企業、行政の担当者にとって必要な研修内容
イ その他
(8) その他
5 主な意見
○ 部会長:本日は資金調達支援機能、交流・ネットワーク機能、人材育成機能と検討すべき課題がたくさんあるため、効率よく議論をしていきたい。そのため、資金調達支援機能については、これまでの議論を踏まえて、私なりに整理してみた。まず、これについて簡単に説明するので、忌憚のないご意見をいただきたい。
【(1) 資金調達支援機能に関する部会長まとめ案について】
まず、寄附をする者として、市民がいて、その中に個人や企業が存在している。その寄附については形態により、一般的な寄附、寄附者の名前を冠するような名前つきの寄附に区分され、また、使途に関して指定しないお任せの寄附、分野指定を行う寄附、同様に団体指定を行う寄附、さらに、一部は指定し残りはお任せの留保権付寄附に整理できる。次に助成の区分として、まず小口であるが選考委員会の選考を経て、ボランティア団体に対して広く浅く助成する「直接助成」。2番目が、支援センターが全県センターであるため地域の細かい状況に関して把握が難しいので、選考委員会の審議を経て、例えば、○○町内のボランティア団体について○○町社協を通じて助成を行ったり、中間組織としての役割を果たしているNPOを通じて助成を行うなど、中間組織に分配をゆだねる「間接助成」。3番目が、寄附者の意向を尊重して、選考委員会の審議を経て、寄附者の指定するところへ助成する「指定助成」。そして、寄附者とボランティアが一堂に介してお互いにプレゼンテーションしながら、寄附者とボランティアの「志」を結び付けていく「資金交流広場」の4つに分けられる。この「資金交流広場」については、市場ではあるが、その流れは、ボランティアから予め募集しておいたプランについて、寄附者に伝達し、それに基づき事前に参加申込みを兼ねた一次申込みを受けて実施する。この場合も選考委員会をおくが、選考委員は選考役であると同時に行司役でもあり、交通整理をしてボランティアに配分する。この「広場」の場合、寄附者は、寄附をすると同時に「広場」に登場するという場を設定することになるので、寄附者が別のお金を持って現れるということもある。このようにして、場の拡大、寄附の額や機会の増大が図られればよいのではないか。
また、助成の配分についても、実際には、助成の配分先についてはお任せしますというものが多いかと思うが、それには新しい組織(支援センター)やボランティア活動に対する信頼感を高めるような日常活動が必要ではないか。一方で、助成先の分野や団体を指定している場合でも相手のボランティアと接触する機会を提供することが必要ではないか。まとめ方はいろいろあると思うが、このようなことが議論がされてきたと思う。
しかし、中間組織を介した「間接助成」の考え方は、今回私の方で付け加えたものである。
それと、1月のフォーラムでも指摘があったのだが、「資金交流広場」など配分の話、つまり「出口」の話はたくさんあるのだが、「入り口」、すなわち寄附を集める方法についてもご意見をいただきたい。これについても、活動をPRしたり、寄附者の名前を公告したり、報告書をきちんとつくったり、あるいは報告会等を実施するといった事前事後の準備が必要だ。運動を高めていくためには‘友の会’みたいなサポーター組織が効果的だ。また、待っているだけではお金は集まらないので、専門的な職員による会議の場やPRの場も必要である。さらには、感謝状、表彰、税制などのような特典が必要ではないか。もちろん、税制の問題は県の方針、それ以上に国の税制そのものがどうなるかにかかわっているが、企業にとっては大きな意味を持っている。その他にも、少し形式的ではあるが、支援センターとして感謝状や表彰状で、感謝の念を常にきちんと伝えていくことが必要ではないかと思う。
今日は、この他にも交流・ネットワーク事業や人材育成事業など、新たに検討をしないといけないものがあるので、効率的に議論をすすめていきたい。
○ 委員:説明を聞いていて、社会福祉協議会の持っている善意銀行の仕組みと良く似ていると思った。善意銀行は、使途先を指定できるし、当初は労力の提供や物品の提供も対象としていたが、現在はお金が多くなっている。したがって、このファンドには物品とか、さわやか福祉財団などがやっているような時間預託とか、労力の提供等も何らかの形で反映できるようにしてはどうか。もちろん、労力の提供を含めるには考え方を整理する必要はある。それと、ファンドの考え方だが、これはボランティアの支援にのみ使うものなのか、支援センターの運営費や他の事業費も使うものなのかがわからない。この点についても整理しておく必要がある。
このファンドの寄附集めにインセンティブを与える方法として、例えば、毎年1回、日刊新聞に寄附者の名前を載せてはどうか、寄附をきちんと受け入れてくれるところがあるとわかれば、寄附してくれる人もいるのではないか。労力の提供はできないけれども、お金なら提供できるという人は潜在的にいるだろうから、広く寄附を受け入れることと、それに対して感謝したり表彰するということが必要ではないか。なお、何千団体ものNPOがある中で、ファンドの運用益だけではNPOのニーズにほとんど対応できないので、ファンドの財源に会費や寄附の部分をどのくらい入れていくか整理しておくことが必要である。
○ 部会長:お金の寄附だけではなく、労力や物品の提供も受けて上手く配分できないかということ、インセンティブをもたせるために寄附者の名前を新聞に掲載するなどして感謝の念を示すということ。三つ目に、フローのお金だけなのか、ストックのお金をどうするのか、あるいは会費などをファンドの方にまわしていくのかというお金の質の問題について指摘された。
【(2) 間接経費への支援・専門職の役割】
○ 委員:お金をもらう側にいた場合に一番うれしいのは、人件費など間接経費の部分にお金をいただいた時だ。ただ、自分の給料を集めることを心配しくてもよくなると、事業費だけしか念頭におかなくなるので、理念的で整合性のとれた仕事をしてもリアリティがない。一方、ボランティアの側もいい意味での運営能力の高い官僚が生まれてこないと、事業も言わば時代受けするようなものばかり狙っていくことになる。したがって、助成の仕方にも事業そのものに助成する直接支援と、間接支援が必要なのではないか。
事業を行うためのお金はその団体の能力で、自分たちのメッセージで集めれば良いと思うが、そういう事業を組織的・専門的にきちんとやっていこうという団体に対しては、固定的な間接経費をこの支援センターのファンドで支援するというように、支援のすみわけが必要ではないか。しかし、それでは寄附者が来ないので、支援をする団体の側の状況、事業内容等を丁寧に説明して、この団体の間接部分の寄附をお願いするという形で頼んでいってはどうか。又は、支援する団体には直接経費と間接経費が必要で、その両方を支援したいから寄附してほしいとお願いしてはどうか。
今の日本ではまだまだ間接部分の支援については理解が得られていない面があるが、既存の団体も自分たちの給料部分を集めることも、それを事業のためだと言ってもよいのではないか。したがって、支援センターが、団体を信頼しながら間接的な部分を大事に育てて支援する一方、事業費そのものについては自分たちでミッションをメッセージとして直接支援を求めていくという枠組みが必要ではないか。
○ 委員:会費で運営している団体でも、人件費は非常に苦しい。しかし、ボランティアグループとか多くの団体は、運営部分もボランティアでやっており、事業費があればなんとかなるのも事実だし、一方で事務局の運営に使うお金が欲しいことも確かである。
ところが、事務局の運営費についてはなかなか日があたらないので、もっと理解されてこないといけないし、お金を出そうという気持ちを起こさせることが大事である。それには、寄附や助成を受けたお金がどのように使われたかしっかりと資金提供者に伝えることが大事である。それとスポンサーとなってもらうこと、例えば、ある企業から寄附を受ける時にその企業の製品も一緒にもらうというような、企業の宣伝になるかもしれないが、それと一緒に寄附を受けるという方法があるのではないか。
また、ファンドに関しては、ボランティアではなく、専門に動く人がいないとなかなか難しいので、初めはその人の給与も保障していかないといけないのではないか。
それと、善意銀行は今でもお金のほかに物品も時々ある。物品は上手くボランティアにつなげていければ良いが、ストックする場所や求めている物を出してもらえるかという問題がある。その辺をどう上手く調整するかということを考える必要はあるにしても、物品も受け入れる必要があるのではないか。
○ 委員:キーとなるのは専門職にどういう人を雇っていくのかということだ。アメリカのNGOにはファンドレーザーと呼ばれる資金調達の専門家を抱えているところがある。このファンドレーザーは、金集めのノウハウをもっていて、何年か前に日本に来た時に、日本のNGOは戦々恐々としていた。例えば、各地域で個別に展開しているFM放送でナショナルネットワーク化した番組をつくって、有名なアーティストを出演させて、特別のメッセージを送らせるというようなことをした。これなどは、完全にプロの仕掛けであり、集めたお金の何%かをもらうということで請け負うファンドレーザーもいる。この支援センターも兵庫県内で対象となるパイは一定程度に限られてくるだろうから、ファンドレーザーとの間でターゲットをきちんと契約して、例えば、企業がフィランソロピー活動をするよう仕掛けていくなど、専門職の力が必要ではないか。もちろん、その一方で、市民基金をつくる動きもあり、それらとのすみわけもしておかないといけない。
【(3) 支援センターの財源の考え方】
○ 委員:支援センターを運営するにあたって、人件費、管理運営費、備品費等基盤的なものが必要であるが、これを基金の運用益、会費、助成金などでどう回していくのか。受託事業とか参加費収入というのがあっても、おそらく事業費とトントンか、場合によっては赤字になるのではないか。この支援センターにはNPOに対する資金調達支援事業があるが、寄附金はすべてこのファンドに入れて、NPOの支援に使うのか、それとも人件費など支援センターの運営費になるものがあるのか。よくある例として、会費を払っているが、それは全部団体の理事の人件費に化けてしまって、何かプロジェクトをする毎に個別に寄附を求められることがある。だから、支援センターの運営にかかる財源と、ファンド・寄附金との関係を明確にしておく必要がある。例えば、寄附金については、ファンドになる部分とセンターの事業費になる部分にわけておく。また、会費についても、運営費に充当する部分と事業費に充当する部分をあらかじめ明示して集めていく方法があるのではないか。法人会員にしても、県が勧誘する時に、このような形で事業費充当のみの会費と運営費も込みの会費の両方を説明してまわってはどうか。さらに、県が負担する部分が明確にならないと、会費で充当する部分、事業費や運営費の赤字をどうするかなど具体的な形が見えて来ない。財源の充当方法はいろいろあるので、必ずしもファンドで固定する必要はないし、受託事業等で財源を確保する方法も考えられる。
○ 委員:例えば、CSRは法人住民税の超過課税で1%上乗せになっているが、NPO税を新しくつくるとか、CSR分を切り換えるとか、そんな提案も良いのではないか。
○ 委員:税の関係については、それを設けた時の経緯を良く調べておかないと、一筋縄ではいかない。
○ 部会長:県としては、支援センターの運営費についてはどう考えているのか。
○ 事務局:県の外郭団体によくある例で言うと、県からの出向職員の人件費、管理運営費、備品費等の基本的なものは県が負担している。プロパー職員の人件費等については、受託事業をはじめ、いろんなところから団体自身で調達するということになっている。また、それにプラスしてどのくらいの規模の基金を持つかということがまだ議論となっていないが重要なことである。県から何人か出向するとすれば、それに見合う仕事は、県の仕事としてしないといけないから、それに必要な経費は県から支出するというのが通常である。このような県民の理解が得られる経費については、県として税金を使っていくことになる。
○ 委員:この支援センターの運営費とか財源の話は別の部会で議論しているのか。
○ 事務局:部会では議論していない。
○ 部会長:県で考えることの範疇に入るのでは。
○ 委員:県で考えるのは良いが、会費を運営費に全部充当するような形にするのではなく、すべてとは言わないが、その会費がボランティアに役立っているのが見えるようにする必要がある。
○ 委員:この部会の話ではないだろうが、人事の話をすると、ある市の国際交流協会では、事務局長がプロパーで、次長が市の出向職員である。この支援センターの人事を考える時に、県のOBは必要ない、せいぜい次長に現役の職員が来れば良いのであって、トップリーダーはプロパーがなればよい。市民の活動を県が支えるという時に、県が上からリーダーシップをとって支えるという方法をとらないということで、従来の人事の仕組みをしてはいけない。それよりも、中堅の人を入れた方が、組織全体が良い仕事ができる。民主導のものを官がサポートするということで、それを人事に表していくことが必要である。
○ 事務局:ただ今の発言のような運営方法にするのであれば、基盤的な部分を支える県からのお金以外に、寄附金みたないものを自ら集める体制をどこまで組めるのかということが大事になってくると思う。そのためにも、先程のアメリカの専門的なプロのお金の集め方にどのようなものがあるのだろうか。
○ 委員:そのファンドレーザーの具体的な手法までは知らない。ただ言えるのは、この支援センターに「ひょうご」という名前をつけるかどうかで、大阪や名古屋など他の財界を巻き込めるかどうかが変わってくる。この支援センターは、もちろん兵庫をベースとするが、震災での犠牲を教訓にしてという点では、少なくとも国内全域に発信していかないといけないと思うので、そういうナショナルセンター的に持っていくのかどうかが鍵だと思う。そうしないと、パイは大きくならない。
○ 委員:企業が、この支援センターのような民間と行政がタイアップしてつくった組織に人を出して欲しいと言われた時に、出すことは難しいのだろうか。また、それにふさわしい優秀な人材を外部に出すことができるのだろうか。
○ 委員:経済や産業の部分では、行政がつくった第3セクターに一人出向の形で人を出している。一方で、NPOなどの民間団体から人を出してくれと言われても、社内での認知や信用がないので、なかなか難しい。個人的には、NPOに出向して、そこで市民社会に向けた市民団体の胎動みたいなものを体験した人間が会社の組織に帰ってくるのは、すごく良いことだと思うので、是非県が動いて、民間の団体に人を出すように言って欲しい。例えば、お金の取り扱いは銀行の人が、とりまとめは企業の課長クラスがという形になったら面白いものになると思う。ただ、人件費を低く押さえるためだけに出向を求めるという発想では、出向する者の意欲を阻害してしまうので、企業としてものめない。そういう意味では、公設民営というのが一番人を出しやすいので、これまでの行政と企業との関係を上手く使って、企業に要請してはどうだろうか。
○ 委員:企業の関わる一つの例として、ある市の国際交流協会がある。市はここに専務理事を出してはいるが、実質的な事務局長は海外出身のプロパーである。これはやはり、オーナーではないが、強力なスポンサーとしての企業の存在があると思う。このような企業の役割、市民側のプロパーの動き、それと行政の関わりについて調べてみれば良いのではないか。
○ 委員:商工会議所などには、今のうちから話をしておく必要があるのではないか。その場合でも、会費の考え方をきちんと整理しておかないといけない。
お金の集め方で一番下手なのは、良いことをしているので是非寄附をして欲しいという言い方である。企業にとっては、20万円の利益をあげるために、200万円、300万円の売り上げが必要なのに、それがわかっていない。逆に、こういう企業だったら、20万円くらい出しても当然だという感覚を、そろそろ払拭してもらわないといけないのではないか。また、企業から寄附をしてもらったら、事業が終わった後に礼状を出す等の最低限のマナーは必要で、そうすれば、企業側の理解も深まるのに、それがないから損をしている面がある。ボランティアがその事業をするのに150%の力を使って、ヘトヘトになってしまい、後のフォローができていない。例えば、リーフレットに協賛した企業の名前を入れるとかすると、企業は喜ぶ。ボランティアに対するこういう教育みたいなものも大切である。
また、窓口を持っている企業とそうでないところをきちんと仕分けをして、支援センターとしてデータをもっておけば良いのではないか。それがないのに闇雲に寄附をお願いに行っても仕方がない。
○ 部会長:今の段階で言えることは、ファンドをつくるという前提で、支援センターの運営経費を寄附金で賄うのはできるだけ避けるべきであるということであった。
○ 委員:恒常的な運営費だけではなく、事業をするので寄附をしてくれということもよくあるが、単発の寄附となってしまうと、ファンドへの寄附との区別ができなくなる。何度も寄附を求めるのであれば、会費の中で整理して一本でいったほうが良いのではないか。
○ 事務局:もちろん、NPOマネジメントスクールなど県が直接やっている事業をアウトソーシングして、委託するという形のものもあると思う。
○ 委員:受託事業を受けるにしても、県が委託したい事業と支援センターとして取り組みたい事業が一致すれば良いが、そうでない場合があるのではないか。
○ 委員:それは、県がしてほしいという事業を受託するという方法ではなく、支援センターとしてこのような事業をしたいので、是非県も我々に委託してほしいという形で持っていかないといけないのではないか。
○ 委員:しかし、それはここだから通用する議論であるという側面もある。この議論を県庁の中で通用するものとするには、もう少し議論を整理しておく必要がある。県の外郭団体などを見ていると、私からすると無茶苦茶な運営をしている。本庁の下請け機関となっていて、出向した人間も元気がなく、事業を提案したり、現場に身をおこうという気持ちすらもてなくなっている。それなのに、運営委員会を設置して我々をリソースとして使おうとしているが、使いこなせていない。ここでの議論の結果を、どう県の組織の中で通用していく論理にするかが大事である。
○ 事務局:受託する事業の分量の問題もあると思う。圧倒的に受託事業が多いと、それに追われてしまうということもあるのではないか。
○ 委員:結果的に組織維持のために仕事をせざるをえなくなってしまう。
○ 委員:自分たちの仕事まで手が回らない状況になっている。
○ 委員:一方で、例えば、ある団体では、インターネットを使った情報システムをやっており、そのノウハウを持っているので、行政や社協から委託を受けて、それなりのプレゼンスをもって事業をやっている。だから、行政の肩代わりをするような形で委託を受けるということは避けるべきだろう。
○ 委員:しかし、記者発表されている県の予算はそのようなものばかりである。例えば、百回くらいの講座をするという形になっている。そうしないと予算を策定できないということもわかるので、そのことを批判するのではないが、これからの仕組みとして変えていく必要はあると思う。県の予算についても、後で監査を受ける必要があるので、あまり早急にはできないかもしれないが、3年くらいの枠を設定して、現在県でやっている事業を段階的に民に移していくような仕組みをつくっていく必要がある。
○ 事務局:外郭団体の事業が、団体側の提案より県側からの提案のものが多いのは現実である。
○ 委員:県が事業を提案していくことを真っ向から非難しているわけではない。市民セクターが本当に自律したものとして確立するまでの移行の時期には、県が提案する事業を受託する形でスタートし、最終的には民に完全にハンドオフさせていくことになるだろう。そうするとして、それを何年で、どういう論理でするのかということが大切である。だから、入り口としては、第三セクターでスタートせざるをえないのも現実である。問題は、それを民のものとしてテイクオフするのに、どういう論理と事業、組織をつくっていくかということだと思う。
【(4) 支援センターを担う人材について】
○ 委員:出向の人がいても、それ以外の職員がやる気をもって仕事ができるような形をつくることが大切であり、それさえ間違えなければ良いのではないか。
○ 委員:結局、スタッフが課題になってくる。
○ 委員:しかも、そのスタッフのランキングが問題である。その意味でも、第三セクターに行政がトップリーダーを送り込んではいけない、最大でセカンドリーダーまでだ。
○ 事務局:先日開催した運営組織検討部会では、行政、企業、NPOなどいろいろな人が集まって支援センターを担うとしても、管理運営などは行政の人がしても良いが、事業や主体的にやる部分については、民間やNPOが中心でという意見だったと思う。
○ 委員:その通りだ。だから、それを県がのむかどうかだ。
○ 部会長:支援センターの運営や財源について、今のところ支援センターが財団法人でいくのか、NPO法人でいくのかもわからないし、基金があるかどうかもわからないが、ファンドの方は、やはり寄附者の意向とか寄附の額を考えて、基本的には積立方式でしていくのだろう。そうすると、これが調整弁となって上手くいくのではないか、あまり固く考えず寄附を有効に使えるような方向で考えた方が良いだろう。もちろん、ファンドに基金をいくらか積むのであれば、その運用益もでてくるが、今の金利状態であれば、10億円の基金をつくっても1000万円の運用益があるかないかだ。また、助成の対象としては人件費を含めた運営費も当然対象にすべきだというのがまとめになるのではないか。
○ 委員:3万円程度の小口の助成もあるし大口の助成もあるが、既存の助成制度はあまりに人件費を無視し過ぎているので、人件費等の間接経費も助成の対象とするのは面白いと思う。
【(5) 物品等お金以外の支援について】
○ 部会長:労力や物品については、ファンドでやっているとややこしくなるので、それらは「広場」的に、あらかじめ欲しいという団体に届け出てもらっていて、必要なものが提供されたときに声をかける、しかも、それは公開の形で集まってもらって決定するというのはどうか。
○ 委員:ある会社で、先日も、ワープロからパソコンへの機種変更で古いワープロが大量に余ったときに、たまたまある支店が地元の社協と話をしていたので、廃棄せずに必要とするボランティア団体に寄附することができたということがあった。企業には、お金は出せなくても、そういう物品を出せる場合があると思う。
○ 委員:震災時のボランティアの中には、被災者支援のために送られてきた野菜などでバザーをして、その収益をボランティアの運営資金にして生き延びてきた団体もあった。寄附した物品が直ちに団体の事務用品として使えることもあるだろうし、それが売れ筋でなくてもバザーをすることで必要とするものを手に入れることができるということもある。
○ 事務局:生活復興県民ネットも、フェニックスプラザで出会いの広場事業というのをやっている。ストックする場所がないので、会報等にニーズ情報を掲載して、シーズ情報とマッチングするものだが、そういうものを試行的にやっている。
○ 委員:もちろん、その中には無駄になる場合もあるだろう。今の話とは関係ないが、海外へ緊急救援ということで物資を運んだ時に、ある企業が社会貢献という形で物資を運んでくれたのだが、現地についたら物資の一部がなくなっていたということがあった。企業すべてが悪いということでもないが、そういう企業にも時代が変わってきているということを知ってもらうことが必要である。これも専門職の仕事かもしれない。
○ 事務局:専門職については、大切であると思う。県でも既に、例えば女性センターのように、県民と直接接する第一線の職員については、県職員をあてるのではなく、募集方式で採用し、その人たちが能力を発揮できるような形で配置している。
【(6) 専門職のもう一つの役割】
○ 委員:専門職ということでは、欧米の財団、NGOには、どのプロジェクトにお金を出すべきかということをきちんと見分ける、プログラムオフィサーという専門職がいる。日本でも何人か、そういう仕事をしている人が何人かいるが、ステイタスとして確立していないので、なかなか増えてこない。
このように、専門職といっても、お金を集めるプロと、お金を出すプロがいないと、いくらフレームがきっちりできていても駄目だろう。
○ 委員:企業が寄附をするかどうか判断するとき、その団体が特定公益増進法人の認定を受けているかどうかが大きな判断基準である。大企業のように資本金が多いところは別にして、資本金が少ない企業では、一般寄附金枠が非常に少なく、その上、財界から寄附を求められるので、絶えず寄附の枠を頭に入れておかないといけない。しかし、特定公益増進法人の認定を受けた団体であれば、一般寄附金枠と同額だけ寄附金枠が増えることになるので、企業にとってインセンティブが違ってくる。企業の経理担当部署では、特定公益増進法人か、指定寄附金か、それともそうでないかで判断が大きく違ってくる、そういう意味で財団法人の方が企業から寄附が受けやすい。
○ 事務局:先日、特定非営利活動法人の寄附税制に関して大蔵大臣も国会で答弁をしていた。
○ 委員:大蔵大臣の答弁があったが、どこまで実現するだろうか。そう簡単に大蔵官僚が認めるだろうか。また、この支援センターはNPO法人にするのか、特定公益増進法人にする道をつくっておくのかということが大切だ。さらに、企業において特定公益増進法人制度を知っているところがどれだけあるだろうか。寄附をする側にも、もう少し教育的に情報を出していく必要がある。このままでは、‘特増’ではなく‘死蔵’である。また、企業の方も、例え特定公益増進法人制度を知っていても、「特定公益増進法人ですか」と寄附を断るときに使う程度である。
○ 委員:何年か前に、ある団体が県の紹介で寄附をしようという個人の方から、大口の寄附をもらうことができた。このように自治体などの公共機関の広報に載せるのは、慎重にやらないといけないことだが、高齢者にとって大きな信頼を与えることになるので、上手く使えばよいのではないか。
○ 委員:企業でも、規制緩和が進んでいく中で、その企業の信用力、信頼力をどう活用するのかという議論があるが、案外、県職員も、県が県民に対して持つ信用力、信頼力を上手く活用していないのではないか。
○ 委員:と言うより、信用力、信頼力があるという理解をしていないのではないか。
○ 委員:そうであれば、今、持っているものを1回きちんと整理しなおすことが必要ではないか。
【(7) 交流・ネットワーク事業について】
○ 部会長:次に交流・ネットワーク事業について意見を伺いたい。
○ 委員:交流・ネットワーク事業について、検討資料に出てくる例示を増やすことはできるとは思うが、内容としては、これくらいではないか。
○ 部会長:個人的な意見だが、基本的には支援センターができた時に設置される運営委員会みたいなところで考えていく内容ではないのか。したがって、運営にタッチしないものが、決めつけるのは具合が悪い。しかし、印刷機やロッカーみたいなインフラ的なものは、基盤整備として必要であろう。例示としては、これでよいと思う。
○ 委員:運営組織検討部会でも議論になっていたが、閉館時間が早くて、使いたい時間に使えないというのでは困る。作業室の備品がありふれたものであっても、時間的に柔軟に対応するならば、かえってそちらの方が喜ばれるのではないか。サラリーマンもボランティアをするよう言われる時代なので、十分に活動ができるように、24時間オープンにすれば、打ち出しとして面白い。
○ 委員:そのような使い方ができるのは、神戸・阪神間のグループだけではないのか。その他の地域のグループは、ここでそういう機能ができてもなかなか使いこなせない。県のレベルで議論するときに、神戸から県全体を見ていると言われるので、他の地域から見たとき、特に、交流・ネットワークの部分でどう見えるのかを意識しながら考えないといけないと思う。
○ 委員:ハードに関しては、そこから片道で1時間くらいの範囲の人しか使わないだろうから、同じような機能を持つものをいろんなところで設置していけばよい。加古川でも、姫路でも、他の地域で持てばよい。その方法の一つとして、企業や団体が持っている会議室等を曜日や時間を決めて、社協を窓口として地域の団体に貸し出すという方法がある。交流・ネットワーク機能をすべてもたせることは難しくても、そういう場を提供できる企業のリストを支援センターが集めて整理し、提供していけば面白いのではないか。
○ 委員:先日、国に呼ばれて全国の都道府県の担当者向けの講演を行ったのだが、ある県では、助成の審査を行うときに、アカウンタビリティ、細かな内容など無条件にパスするというNGOができつつある。結果的にそこが残ってしまうので、そこだけに支援が集中せざるを得ないと県の担当者が言っていた。例えば、その時に行政の側から何か一つでも条件をつけると、アレルギッシュにノーと言われるので、交流・ネットワークの中で、市民の声として県内の幾つかの場所に拠点づくりをするよう声をあげていけばどうか。そうやって、神戸・阪神地域でエスタブリッシュされ、この団体であれば間違いがないと言えるような団体が、県内全体の支援者を拡大することにもなるし、ネットワークの促進を継続的に支援していくということも言えるようになる。例えば、県民局にローカルな拠点があって、その拠点へアプローチしてもらい、神戸・阪神間のNPO、NGO、ボランティア団体と間接的につなげれば、そこに集まってきて育っていく人自らが交流・ネットワークを形成していくのではないか。そのような部分も視野に入れたネットワークづくりが必要である。
【(8) 相談機能について】
○ 委員:情報収集発信機能の方に入るかもしれないが、よろず相談コーナーというか、そういう相談窓口を設けてはどうか。先日も、あるボランティア団体から仮設住宅での2年半の活動状況を写真集にしたいという相談を受けたが、資金はともかく、校正をする人がいないのが現状である。記録集を出そうという熱意はあるのだが、出版するにしては、編集技術があまりに稚拙であった。このような団体に、ふさわしい人を紹介するような相談窓口があれば良いと思った。この団体の場合だと、編集に長けた人を紹介することで、新しい関係が始まっていくと思うので、単にファンドレイジングのプロだけはなく、広いネットワークを持っている人が相談にあたることが必要ではないか。
○ 委員:ここでの議論は、具体的な中身より、この交流・ネットワーク事業を効率的によい形で運営するためのアドバイザリーグループが、どれだけフリーハンドでできるかという場所やフレームの設定で十分ではないか。
○ 部会長:神戸以外のところでの拠点ということでは、県内のある市で市民活動プラザを市役所の近くに設置する予定があるということを聞いた。このように、県内の各市町ともボランティアを支援しようという雰囲気になっており、むしろ県の支援センターの方ができるのが遅いかもしれない。そういう意味では、場の設定としては、県民局の一角を開放してもらったり、市役所や役場の一部でも良い。問題はそれを運営するソフトであり、ネットワークをすることの意味をきちんと伝えることのできるネットワーカーがそこにいるかということだと思う。そういうところからスタートすればどうか。
【(9) 人材育成機能について】
○ 部会長:先程の出版と関連して、その支援センターの人材育成機能という面では、NPO大学(仮称)があるが、それとは別の視点で人材育成みたいなものが必要ではないか。
○ 委員:この支援センターがNPOの人材を育成するということを言うのは失礼ではないかという気がする。NPOにとって、我々に人材を育成してもらうことを期待しているのではない。苦手な部分がたくさんあるので、それをカバーするだけで良いのではないか。興味やプライドもボランティアには大事であり、苦手な部分をどうするかという視点が大切ではないか。先程の本の話にしても、苦手だから手伝ってほしいということであり、我々がやめておけと言っても絶対に出版するだろう。だから、支援センターや行政や我々委員がボランティアをこんな方向に育てようというのではなく、彼らの苦手としている部分をどうカバーするかという視点が必要ではないか。例えば、2月の今のような時期に企業に寄附を求めに来ても、既に予算を消化してしまったと言って断られるのがオチである。それなら、10月頃に3月の事業の話をしに行けばよいとか、依頼状の書き方とかを教えてやれば良いのではないか。何もない人間を育てていくというのは、おこがましい感じがする。
○ 委員:善意銀行の例が出ていたが、人材バンクの部分で、善意銀行は誰でもよいから登録してくださいという言い方だが、もう少し専門的な技術とか知識を持っている人に限って登録してもらうのも一つの方法ではないか。それがお金でない支援の仕方につながるのではないか。
○ 委員:人材に関しては、我々が慮ってどこまでつくるかというのでなく、質問があれば応えられるような窓口づくりで十分ではないか。例えば、相談業務にしても、県や市、NGOなどがそれぞれ電話相談を受け付けているが、それぞれ秘密を守って仕事をしており、なかなか情報の交換はできなかった。しかし、最近ではネットワークを組み、互いの情報を交換するようにしている。そして、その傾向をきちんと整備して、データベース化すると、とことんまで困って相談してくる人を待つだけではなく、事前に何かプログラムの形で対応することができた。
また、NPOのマネジメントは、今、大変はやっているが、これに関しては企業の方がノウハウをものすごく蓄積しており、それが必要となる。マネジメントに関して今後出てくるのは、ボランティアグループなり組織化された団体なりの労務管理や人材養成をどうしていくのかということであり、組織内の人材養成が出来ないと一定程度のきちんとした組織に成長しないから、それはここで人材育成事業としてやるよりも、相談事業程度にしておいた方が良いのではないか。
○ 委員:人材育成機能も、NPO大学(仮称)として一から教えるだけではなく、既存の団体の苦手な部分、例えば、企業への寄附の要請の仕方とか、冊子の作り方とか単発の講座を実施して、人材育成・NPOスキルアップ機能という形にしてはどうか。
○ 委員:行政は直接NGOに補助金をだしてはいけない、補助金をもらわないでもできるように、寄附者が生まれることに重点をおいた人材養成、すなわち開発教育をすることが重要だと言ってきた。NPOが専門的な活動を行う場合、例えば、環境に関するメッセージを出すとして、個人のレベルですること、組織で取り組むこと、社会として取り組むことが、小学校、中学校、高等学校の各段階で、きちんと教育がされていることが望ましい。例えば、環境教育とか価値教育、あるいは開発教育と言っているものがそれだ。このように、NPOやNGOの専門家になる二段階くらい前の掘り起こしというか、そういう人材が生まれてくるためのカルチベーションにこの支援センターのようなところが取り組む必要がある。こういう仕事には全然金がつかないけれども、そうすれば、10年かかるか、20年かかるか分からないが、ヨーロッパやアメリカのようにボランティアが当たり前の社会になる可能性も生まれる。そうなると、組織化されたところが出てきて、そういうところに自分で選んで託せる、あるいは参加できるようになる。そういう根幹づくりの人材育成に時間や人が割かれるとよいのではないか。
○ 委員:考え方を整理すると、NPOを行政が育てて、ある意味では行政の肥大化につながるのではないか。逆に言えば、行政は市民団体を支援するため敵に塩を送っている側面もある。それなら、行政が、もうこういうことはしないから、企業の寄附はもらわないので、その分、市民団体にまわしてあげろと言ってもらえば、企業は喜ぶのだが。
社会の仕組みとしては、法律に基づいて行政は税金をとるし、寄附も指定寄附金制度のように非課税措置があって、行政に金が集まるようになっている。その結果、行政が一度集めて、行政がいろんな形で配分しているのが現実ではないのか。企業や市民は、ほんとうは小さな政府でよいと考えており、今まで行政が100集めていたものを、50だけにして、残りの50を市民がNPOに自由に分配していくということになると、行政自身が自分の身を切ることになるのではないか。これは組織としては、大変なことだ。小さな地方政府にするということは、地方自治と密接にからんでくる。
企業の担当者の研修については、例えば、社会福祉協議会が呼びかけても、企業は若手の担当者クラスしか出席させないが、県が呼びかけると課長クラスを出してくる。このあたりは、県の持っている関係、信用の部分を上手く活用すれば良いのではないか。兵庫県の場合は、どちらかと言うと支店経済なので難しい面もあるが、社協や支援センターが動くより、行政が動いた方が産業や経済の部分以外でも企業の姿勢が変わってくる。
○ 部会長:三つくらいの意見が出たと思う。一つは、人材バンクの例のように人材マッチングルームをつくろうという提案、つまり、人材相談があればマッチングさせていく場である。お金の方が「広場」であれば、こちらは「ルーム」かなと思う。次に、相談機能のアップというのか、所在情報の提供みたいなこと、ちょうど図書館の司書みたいな仕事をする人がいるのではないか。それも、専門家がいるのではなく、次に相談窓口に座れる人材を育成するという意味で、スキルアップの研修があるのかもしれない。例えば、組織の運営、労務管理などの本当のマネジメント、経理・会計の問題などがあるだろう。
○ 委員:企業でボランティアをしろと言っても、経理をやっている人間にとって、お年寄りのおむつを代えるというのはつらいことだ。確かにそれは意味のあることであるが、それよりも、例えば、ボランティアグループに経理を教えるという場をつくってあげれば、自分の持っているものが役に立つという実感を持てる。最初のとっかかりとしては、得意な分野でやり始めることが大事だ。
○ 部会長:スキルアップの例として、アンケートの作り方。いろいろな団体がアンケートを行っているが、科学性がないものが多い。少し勉強したら身につくことなので、誰か一人が身につけて、それを他のメンバーに教えていけばよい。それと、欲を言えば、サーチャーという情報を如何に効率よく見つけることができるかという技術なんかもこれからは大事ではないか。このように、NPO大学(仮称)が総合大学であるのなら、専門学校の部分、専門コースの部分が必要ではないか。
○ 委員:やはり、オールマイティなリーダーである第一世代を越えて、ある特定分野は長じているが、その他はあまり知らないというような第二世代のリーダーが必要になのかもしれない。
○ 委員:今のNGOを見ていると、第一世代のリーダーが一人で抱え込み過ぎて権限移譲しないケースもある。そのためにオーナーみたいになってしまっているところが多い。もっと柔軟でないと次のリーダーが育たないと思う。
○ 事務局:まとめていく立場からおうかがいしたいのだが、全県センターとして行う事業として情報とかファンドというのは、多少不便はあるが神戸にあっても良いのかもしれないが、人材育成事業のNPO大学(仮 称)にしても、絶対量としては神戸・阪神間の方が団体数が多いとは言え、立地的にこちらだけで良いのだろうか。
○ 委員:それは例えば、NPO大学(仮称)姫路分校というものあるのではないか。出前講座は必要だ。
○ 委員:先程も意見がでていたが、実際に拠点となるかどうかはわからないが、拠点として活用できるところを県民局単位と言わず、もっと細かくつくっていく方が良いのではないか。当面は県民局単位とか、別に県民局内でなく企業の提供するスペースでも良いので、そういう機能を持ったスペースをつくっていきながら、そこを拠点として、また小さくわかれていくという形でできる範囲でやっていけばよいのではないか。大学とか専門講座と言ってもたくさんの人を集めないといけないようなものではなく、4〜5人でもできるような小回りの利く形で展開すれば良いのではないか。
【(10) 交流スペース等の必要性】
○ 事務局:人材育成事業については、ご意見のように出向いていくことも可能だだろうが、印刷機やロッカーなど作業所のようなものは、各県民局や文化会館など地域にあれば良いのであり、全県センターである支援センターでそのようなものを設置する意味はあるのだろうか。
○ 部会長:個人的な意見なのだが、すべてに全県的機能が必要なのだろうかというのが一つと、イメージとして兵隊のいない参謀本部みたいなものがよいのかどうかということだと思う。兵隊みたいな動く人がいるから情報も流れるので、全体の企画機能も高まるのではないか。そういう意味では、確かにロッカーは神戸にしかないので地域的には不公平ではあるが、例えば、但馬は但馬県民局に同じようなものを作り、市町も同じようなものを作るというように、一番近い所にあるのが良い。それに、県がロッカーを整備するお金を補助すればよいのではないか
○ 委員:ラージセンターとスモールセンターの関係ということだ。全部を参謀本部みたいにしてしまうと、誰も来なくなってしまう。
○ 委員:NGOの分野では、例えば、神戸NGO協議会は兵庫県全域を対象にしており、関西NGO協議会は大阪にあって関西全体を対象にしている。ところが東京に性急に日本NGO協議会をつくることには反対している。つまり、ローカルtoローカルがリージョンであり、リージョンtoリージョンがナショナルであるということなのであって、東京というリージョンですることがすべてナショナルではないということだ。そうしないと政府はそこへ人と金と情報を流して、そこからNGOをコントロールしようとしだすだろう。とは言いながら、この支援センターも神戸から睥睨するという面もあるし、そうであってはいけない面も必要だろう。
この支援センターで言えば、兵庫リージョンという、リージョナルセンターであると同時に、県民局単位の地域でのローカルなセンターどうしが結ばれたものとなることが必要だろう。その場合、教育委員会が所管している公民館とよく連携していくことが必要ではないか。これまで社会教育の分野として公民館が担ってきたものから、NGO、NPO、国際交流とかどんどん抜けていってしまっており、学校教育との関係が強くなってきている。実際に、学校教員が社会教育分野に出向していくので、社会教育主事養成講座にしても出向中の教員が多い。また、公民館には公民館運営審議会という素晴らしい組織があるのに、これが上手く活用されていない。ここを再活性化して、リソースを積み上げて、大きなリソースにしないといけない。部局を越えた問題なので大変だが、この支援センターが第三セクターだからやれるのではないか。そういう意味で、ローカルネットワークとして公民館をキーワードとして研究してはどうか。
○ 委員:人が出入りしにくいものをいくらつくっても駄目だ。事務局を持っている団体も、持っていないと団体も、事務局がわりにできるスペースが絶対必要である。そうすれば、そこに人が集まってくるし、人が集まると情報が出されたり、求められたりして、そこが情報発信基地となる。もっと言うと、このセンターがそういうモデルになると地域の拠点もそうなっていくのではないか。社協などのボランティアセンターでもボランティアがいっぱいいて、出入りしやすいところと、出入りしにくいところにある。この支援センターがモデルにもなっていけば良いのではないか。
○ 委員:そういう意味で、本来、この分野を担ってきた公民館は、結構良い歴史と人材、仕組みを持っているので、これを再活性化するためにも教育委員会と調整しておく必要がある。公民館は、まさに地域の中の施設なので、ここだとピタッとアクセスできる。
○ 委員:交流・ネットワークというからには、支援センターだけはなく、教育委員会や他の部局との関係や、地域で活動しているものとの関係をきちんとおさえて連携できるようにしておく必要がある。そういう意味でも、支援センターが一度きちんと、その地域にあるボランティアやNPOの資源について調べておくと面白い。
○ 委員:NPOやNGO、もう海外まで活動範囲が広がりつつある中で、コミュニティにおいても、これらが社会にとって必要だ、一緒にやらないといけないということを理解できるようにするため、根っこの教育が大切であり、それは公民館の役割でもある。しかも、社会教育主事養成講座は、やり方が古色蒼然としているのだが、結構時代を先取りした課題をたくさん扱っている。だから、この講座のカリキュラムの開発をこの支援センターでもやれば良いのではないか。もちろん、部局を越えた話なので、そういう意味でも第三セクターであるこの支援センターが良い。
○ 委員:いわゆる老人大学でも、卒業生が地域で活躍するということがあまり考えられていないのではないか。
○ 委員:折角、あれだけのことを学んでいるのに、もったいない気がする。だから、私は、卒業生は政治参加してはどうかと言っている。利権で動くような学習をしていないので、学んだことを生かして議員になれば良いのではないかと言っている。
【(11) まとめ】
○ 部会長:そろそろ時間がきたので、最後に一言づつお願いしたい。
○ 委員:NPOどうしが連携する仕組みについて議論がなかったが、企業から見ていても活動分野どうし、同じ活動分野の中でもNPOが全く連携していない。例えば、福祉のNPOになぜ国際交流の視点が入らないのだろうかといつも思っている。県の教育委員会が中学生を対象に行ったトライやる・ウィークで登校拒否児が減ったというような記事があったが、例えば、老人ホームに1週間行くということであっても、中学生が全く違う社会を見ることで、結果的に青少年の育成につながっていくのではないか。日本のNPOは福祉は福祉、青少年育成は青少年育成、非行防止は非行防止とずっと蛸壺に入ってしまっているので、例えば、こういう活動をやっていればこういうことができるというような、ヒントを与えていけば良いのではないか。この支援センターがそういう役割を担って、違った視点を提供していくと面白い活動が生まれてくるのではないか。そのように、福祉だけではなく、青少年育成や他の要素を織りまぜた活動であれば、企業も社会的意味を高く評価する。
○ 委員:先日設立した国際ボランティア学会も、ボランティアを国際的文脈でとらえるというものであって、海外に出ていくことが国際ボランティアではないという理解をしている。県社協も福祉の仕事を国際的文脈でとらえようという視点を持ち始めているが、これなどがこの学会の目指している方向である。
○ 委員:そういう分野はなかなか行政から政策提言しにくい分野だと思う。現実には、行政が持っているラインと同じようなラインをNPOが持っており、行政の内部よりきついものかもしれない。NPOは行政や企業に政策提言しようとしているが、そのあたりが非常にクローズされている。
○ 部会長:このような考え方は、先程の出前講座の話にも関連する。出前として講師を派遣するのではなく、例え、4人でも5人でも良いので、地域で一緒に話をして情報を共有し、その情報を支援センターに持って帰るという、その繰り返しがないと、本当の意味の‘センター’にならない。ピラミッドの先端という意味での‘センター’になっても、機関車としての‘センターにはなれないだろう。
○ 委員:最後に、今、60歳以上でボランティア活動をしたいという人がどんどん増えてきているが、この支援センターは、いろいろな世代に対応できるようにしていかないといけない。例えば、相談窓口でも高齢者に対して、若者でも対応はできるのだが、何か話が合わない部分がでてきてしまうのではないか。その辺のところをどうしていくのかという課題があると思う。
○ 部会長:基本的に相談を受ける人は、ボランティアであったり、ボランティア出身であったり、また高齢者や障害者、外国人であったりしないと、いま課題となっているものの動向が把握できないのではないか。このように、常に目線に気配りした組織をつくらないとなかなか上手くいかないのではないか。
部会はこれで終わりたいが、今後どうなるのか。
○ 事務局:本日の意見を具体的にまとめさせていただいて、全体会にお諮りしたい。
(以上)
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