ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画検討資料

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 本資料は、ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画の策定に向けた検討のための資料です。

(目次)
1 センター設立の背景と趣旨
2 NPOに共通する課題
3 センターの基本コンセプトと支援の考え方
 (1) NPOに共通する基盤を支援
 (2) NPOの組織(団体)形成・強化に視点をあてた支援
 (3) NPOのインキュベートを支援
 (4) NPOの新たな公共性の創出を支援
4 センターの基本的役割
 (1) NPO活動を支える担い手づくり
 (2) 多様なネットワークづくり
 (3) 市民参画型社会に向けた調査・開発
 (4) NPOを支える環境づくり
5 センターの主要機能と主要事業
 (1) 人材育成機能(NPO大学(仮称))
 (2) 調査・開発機能(調査・開発事業)
 (3) 交流・ネットワーク機能(交流・ネットワーク事業)
 (4) 情報収集発信・普及啓発機能(インフォメーションプラザ)
 (5) 資金調達支援機能(資金マッチング事業)
6 施設
7 センター運営の基本的な考え方
 (1) センターの位置づけ
 (2) センターの運営主体
 (3) センターの運営組織
 (4) 事務局
 (5) 事業の企画・運営
 (6) 会員制度
 (7) 財源
8 センターの名称





1 センター設立の背景と趣旨
 21世紀を目前に控え、経済成長を優先してきた社会構造から、生活重視の社会へのパラダイムの変革が求められている。そして、従来の社会システムを変革していくためには、「市民」が行政や経済の枠組みに組み込まれることなく、自らが新しい社会を築いていくエネルギー、原動力としての役割を果たしていく必要がある。
 世界的にみても、市民の自発性に基づく多様で活力のある社会参加として、NPO(non-profit organization、非営利組織)やNGO(non-governmental organization 、非政府組織)など、民間非営利組織(団体)の活動が社会的潮流となりつつある。わが国においても、阪神・淡路大震災や重油流出事故で、かつてない規模のボランティア活動が展開され、また、コミュニティの重要性が再認識されるなど、新しい市民意識の芽生えを実感させたところである。
 こうした活動を一過性のものとせず、さらに組織的、継続的な活動として成長・発展させ、行政や市場(企業)といった他のセクターと対等な勢力となるボランタリーセクターの形成を推進し、「市民自律社会」の構築につなげていかなければならない。
 そのため、震災時のボランティア活動や、「生活復興県民ネット」など、その後の被災者支援活動から集積された英知や資源を資産に、NPOやNGO、地域の基盤的団体、ボランティア団体などと呼ばれる民間非営利組織(以下、これらの組織(団体)を総称して広義の「NPO」という。)の活動が多様な価値観に基づく公益を実現する大きな力となることを支援する拠点として「ボランティア活動支援センター(仮称)」を整備する。

2 NPOに共通する課題
 兵庫県社会福祉協議会が、県下の約5,200のボランティアグループを対象に調査した「ボランティア活動動向調査報告書」(1997年3月)によれば、グループ運営についての問題点として、会員の高齢化や会員数の減少、活動費・運営費の不足、交流や情報の不足、リーダーの不足等を掲げている。さらに、ボランティア活動支援センター(仮 称)について期待することでは、「情報の提供」、「人材の育成」、「学習・研修の機 会」、「交流の場の提供」が上位を占めた。
 また、1997年に経済企画庁がまとめた「市民活動レポート−市民活動団体基本調査報告書」によると、団体が活動を円滑に推進していくうえで、法人格の必要性を感じたことがある団体の割合は全体の11.8%(約10,000団体)となっている。また、81%の団体が行政からの支援を「必要だと思う」と答えている。さらに、「必要だと思う」と答えた団体に必要とする支援の内容を尋ねたところ、「活動に対する資金援助」「活動拠点の確保・整備」「活動に必要な備品や機材の提供」「活動メンバーの研修」「市民や企業等に活動の理解と参加を促す広報・普及活動」などが上位を占めている。
 このような結果等から、NPOが成長・発展していくためには、ボランティア活動をはじめとする市民公益活動の有効性を広くアピールしながら、人や情報、資金の不足等に対する支援環境づくりを行っていく必要があることがわかった。

3 センターの基本コンセプトと支援の考え方
 このセンターは、「市民自律社会」の構築に向けた本格的なボランタリーセクターの形成をめざし、“市民自律社会を支えるアクティブ・シチズンシップ(主体的・能動的市民参加)の形成”と、“NPO・企業・行政のパートナーシップの確立”を基本コンセプトに据え、次に掲げる支援の考え方のもとに整備する。

(1) NPOに共通する基盤を支援
 このセンターは、団体の設立や運営のノウハウ、人材育成、情報、資金調達など、各種NPOに共通する基盤的部分の支援を行うとともに、分野や地域を超えて、様々なNPOが交流し、情報交換する拠点として位置づけて整備を進める。このことは、福祉、環境、国際交流など特定分野におけるボランティアの育成や行政との協働などは、原則として分野ごとのセンターで、それぞれの団体や事業の特性に応じ推進されるものであり、各地域ごとで展開されているボランティア活動は、地域ごとに設置されているボランティアセンター等で、個人のニーズを汲み上げながら促進が図られるものであるという考え方に基づいている。
 つまり、このセンターは、様々な分野、地域のボランティア活動やボランティアセンターを統合するセンターではなく、各種NPO及びボランティアセンターの支援のためのセンターということができる。
 また、このセンターは、地域安心ネットワークセンター(仮称)(住民の身近な生活圏における福祉コミュニティやケアシステムの地域安心拠点の全県的な支援拠点)、生涯学習中核センター(仮称)(県民の生涯学習機能を担う全県的な拠点)や生活創造センター(仮称)(生涯学習機能と市民公益活動の支援機能を合わせ持ったブロック単位の拠点)と有機的な連携を図ることによって、NPOの多彩な活動がより一層質の高い活動になるよう支援していく。
 同時に、NGOのように国際的な広がりをもった活動も活発になってくる中、他府県や全国的な支援センター、さらには海外の同様のセンターともネットワークを組みながら支援を行っていく。
(2) NPOの組織(団体)形成・強化に視点をあてた支援
 個人個人が勝手ばらばらにボランティア活動を行っても、なかなか社会的な力にはならない。個々のボランティア活動を多元的なものとして互いに受け止め、組織的、継続的な活動として成長し、独立した意思と責任を担える組織体となって初めて社会的な力となり、社会システムを形成することができる。そして、このような仕組みがしっかりしてこそ、個人の自発的な活動が社会的な動きとして広がることができる。
 このため、従来、どちらかといえば、個人の意思や行動に主眼をおいたボランティア活動の促進が図られてきたが、このセンターではボランティア個人よりもNPO、NGO、地域の基盤的団体、ボランティア団体などの組織(団体)の形成・強化に視点をあてながら、ボランティア等の支援を図ることとする。

(3) NPOのインキュベートを支援
 複雑・多様化し、増加し続ける社会的ニーズに既存のNPOだけで対応することは困難であり、これに対応する新たなNPOの立ち上げが不可欠である。そのため、このセンターではNPOのインキュベート機能を持つほか、NPOをインキュベートするNPOを支援することも視座に据え、その中核となるNPO等の育成・発展にも力を注いでいくものとする。

(4) NPOの新たな公共性の創出を支援
 本格的なボランタリーセクターの形成に向け、このセンターでは、こころ豊かな人づくり運動や福祉ボランティア活動をはじめ、ふるさとづくり運動、環境美化運動などの形で、その裾野を広げつつある県民運動の新たな展開に向けた支援を行うとともに、幅広い分野で多彩な公益活動を展開している、地域の基盤的団体をはじめとする各種のNPOが、その創造性を生かしながら発展・自立することを促進する。
 また、NPOが企業、行政とのパートナーシップのもとに、公共性を創出する新しい担い手となることが求められるなか、このセンターは、NPOと行政とのインターミディアリー(仲介組織)として、社会・公共サービスの企画コンペ、行政からアウトソーシングされる社会・公共サービスの紹介などを通じて、NPOが各々の特性を生かした社会・公共サービス事業への主体的参加を支援する。


4 センターの基本的役割
このセンターは、次のような基本的役割を担うセンターとして整備する。

(1) NPO活動を支える担い手づくり
 現状では、個々のNPOの活動内容にばらつきがあり、団体の中心的な人物に依存する部分が多いため、NPOを強固な組織につくりあげる、優れたマネジメント能力を有する人材の育成を図る。また、企業、自治体など様々な組織・団体において、NPOの活動を支援したり、企業フィランソロピー活動を推進する人材の育成を図る。

(2) 多様なネットワークづくり
 NPOの多数は、組織的に小規模で、それぞれ多様な専門性を持っていることなどから、協力先の確保といった人的交流や情報交換が円滑に行われているとはいえず、行政や企業との連携も十分に図れていない。
 そこで、共有すべき情報の流通や、必要な情報の交換、各セクターのニーズ、シーズのマッチングなどが行えるよう、NPO間、NPO支援組織・拠点間、さらには、企業・行政・ボランタリーのセクター間の人的ネットワーク、情報流通ネットワークなど多様なネットワークの構築を図っていく。

(3) 市民参画型社会に向けた調査・開発
 NPOの活動については専門性や多様性があるが、これらの活動から得られる専門的、体系的知識等の集積はあまりなされていない。そこで、実際の活動のなかから得られる知識等を収集・蓄積しながら、これからの市民参画型社会でNPOが十分に能力を発揮できる環境づくりに向けた研究や政策提言に取り組むとともに、団体の担い手づくりやネットワーク構築を進めるための手法開発等を行っていく。

(4) NPOを支える環境づくり
 現状では、税制の優遇措置や特定非営利活動法人制度の見直し等、NPO活動を取り巻く社会的・制度的な環境の整備が必要であること、また、資金不足などの理由から、人・情報が集まる拠点を確保できていないことなどから、NPO活動の有効性を広くアピールし、社会システムを含めた支援環境づくりを進める。

5 センターの主要機能と主要事業
 同センターは、上記の基本コンセプト及び基本的役割を踏まえ、人材育成(NPO大学)、調査・開発、交流・ネットワーク、情報収集発信・普及啓発、資金調達支援の5つを主要機能として、各種支援機関等とも連携を図りながら、NPOの活動を総合的に支援していく。
 なお、これらの5つの機能の関係は、リサーチ(調査・開発)の成果を4つのアクション(人材育成、交流・ネットワーク、情報収集発信・普及啓発、資金調達支援)に反映させ、さらにその結果をリサーチにフィードバックさせて評価し、新しいアクションの手法を開発し、そして、次期には新しいアクションを行うという関係にある。つまり、調査・開発の機能は、単に調査をするだけのシンクタンクではなく、自ら実践するDoタンクであり、実践に基づく調査開発を行うDo&Thinkタンクの関係にある。【図3参照】
 また、事業の展開にあたっては、具体的な実践も積み重ねながら、ニーズの高いものから段階的、計画的に推進していく。

(1) 人材育成機能(NPO大学(仮称))
 NPOが活動を推進していく上で必要な専門性が高い人材の育成を図るため、NPOのリーダーや団体運営に携わるスタッフなどを対象に、NPOのマネジメント等に関する上級者向けの専門的、体系的研修を行う。
 また、企業において、企業フィランソロピー活動を推進したり、行政においてNPO活動との協働を進める担当者、学校においてボランティア教育を進める教員等を対象に、NPO活動に関する専門的研修を行う。
 研修コースやプログラムについては、NPOが主体となって、そのニーズに合わせて企画していくことが基本であるが、当面、下表のような研修コースが考えられる。
 研修内容は、実際の活動を担えるよう、座学だけでなく、センターで行う事業の運営等に関わるなど、体験を通じて実践的な知識等の修得をめざす。さらに、希望する者には、研修修了後もセンターの運営等に携わる仕組みを設けるなど、センター全体が実習機能を持つよう整備していく。
 また、こうした人材の育成を可能にするため、ノウハウの蓄積や人材育成にあたる専門家や専門機関とも連携・協力を図りながら、講師については幅広い分野の有能な人材を柔軟に登用できるよう、客員教授システムの導入を図っていく。
 なお、このセンターでは、NPO等に携わる専門人材の育成を図るほか、NPO活動の社会的・経済的意義や役割、コミュニティの果たす役割等について、幅広い理解の促進を図るため、一般県民を対象にした公開講座も実施する。
 加えて、センターが独自に企画実施する研修だけでなく、各種団体がこのセンターを利用して自主的に行う各種研修も、このNPO大学(仮称)の一環として位置づけ、講義室の利用や講師の派遣等について便宜を図るようにする。

【主な研修コース(例示)】
対 象
コ ー ス 名
内   容
NPO
NPOマネジメントスクール
総合コース
代表・リーダー向け研修
短期コース
中核メンバー向け研修
分野別コース
マネジメント担当者専門研修(財務管理コース、組織管理コース、事業評価コース等)
地域コース
地域の団体向け研修
NPO起業支援コース
起業化を希望する団体向け専門研修
NPO国際コース
海外の団体とネットワークを組むことを希望する団体向け研修
企 業
企業トップセミナー
企業の経営者等対象の講演
社会貢献担当コース
企業の社会貢献担当者向け研修
学 校
ボランティア教育担当教員コース
ボランティア担当教員向け研修
行 政
行政職員コース
県・市町職員向け研修
市 民
公開講座
一般市民を対象にした講演
NPO主催研修
福祉・環境など、独自の問題をテーマとするNPO主催の講座



(2) 調査・開発機能(調査・開発事業)
 震災時のボランティア活動で得られた知識やノウハウをもとに、活動事例を中心に、実際に活動をしている団体のスタッフ、NPO大学(仮称)の講師や受講生等で構成するプロジェクト型の研究体制でNPO活動や団体に関する調査・開発を行う。
 そして、NPOが、行政や企業と並び、その力を発揮することができるよう、映像による活動事例の収集など、新しい手法を用い、NPOの実態調査を継続的に行うとともに、NPO活動に関する知識やノウハウを体系的・専門的に蓄積していく。また、NPOの事業評価手法や団体活動の評価基準等の開発を行うとともに、NPO大学(仮称)の研修プログラム等の開発等を行い、人材育成事業へ反映させていく。

ア 調査・研究事業(例示)
NPO事例・実態調査
県内のNPOの基礎情報を蓄積し、研究の基盤とする。 (団体のプロフィール、財政状況、組織運営状況等)
国内外のNPOの組織運営等の事例を収集する。
NPOマーケティングリサーチ
活動の対象市場の拡大を図るため、活動の対象者・支援者等の分析を行い、事業やマーケットの手法を開発する。
テーマ別研究
組織運営、資金調達、行政や企業の支援方策等のNPOの課題別のテーマをとりあげ、調査・研究する。

イ 開発事業(例示)
プログラム・教材開発
NPO大学(仮称)のカリキュラム、教材等を開発する。
NPO活動評価手法の開発
県内外の団体の活動成果について調査を行いながら、事業評価手法、団体活動の評価基準を開発する。
○外部評価手法(活動頻度、成果、参加者の満足度の評価 等)
○内部評価手法(使命、対象者等にとっての価値、成果、計画チェック等)


ウ 研究基盤形成事業(例示)
図書・閲覧室の運営
国内外の専門書等の収集・保管、貸出等の管理を行う。
資料検索システムの構築
センターの蔵書外も含め、NPO文献リストを作成したうえで、資料検索システムを構築し、インターネット等により公開する。
国内外の研究者等とのネットワークの構築
国内外のNPO研究機関、研究所と共同研究等を通じて、ネットワークを構築する。


(3) 交流・ネットワーク機能(交流・ネットワーク事業)
様々なNPOが分野、地域、組織形態などを超え、相互に情報交換を行ったり、交流を深めたりできるよう、団体が自由に活動・交流する場を提供するとともに、団体が自主的に企画・運営する交流促進事業を実施する。
また、NPO・企業・行政のパートナーシップの確立を図るため、NPO、NPO支援機関、行政等の関係者が一堂に会する場の提供などを行う。

ア 活動・交流の場の提供(例示)
交流サロンの運営
机やイスを設置し、団体のスタッフが簡単な打ち合わせや作業を行えるスペースを提供する。
ロッカー等の設置
各団体にロッカー、レター・ケースを無料又は低廉に貸し出し、活動に必要な道具類の保管や、団体あての郵便物・FAX等の受領ができるようにする。
作業所の設置
印刷機器等を貸し出し、作業机等で団体の会報・チラシづくり等ができるよう場の提供を行う。
バーチャルオフィスの設置
各団体の設立を支援するために、NPOの総務の業務等を代行するバーチャルオフィスの貸し出しを行う。


イ 交流促進事業等の企画・運営(例示)
シンポジウム・フォーラム等の開催
国内外のNPOの関係者が集まり、センターの研究開発結果や各団体の活動報告等を発表する。
交流大会等催しの開催
団体間の交流を促進する交流大会等を開催し、一般の人にもNPOの意義や重要性を広くアピールする。
NPOギャラリーの運営
交流サロンにパネル展示等ができるスペースを設け団体の活動成果等の発表やセンターの企画展示を行う。
アンメットニーズ事業の実施
インターネット・掲示板等による人材や資金等のニーズに対するマッチングを行う。
NPO企画コンペの実施
良質で効率的な社会・公共サービスを創出するためNPO対象に社会・公共サービスの企画コンペを行う。
公共事業紹介事業
行政等からアウトソーシングされる各種の公共事業の紹介などを行う。


ウ ネットワーク形成事業(例示)
NPO・企業・行政ネットワーク会議等の開催
センターの会員のなかからNPO・企業・行政の代表者が集まり、会議等を開催し、懸案となっている具体的な問題をテーマに設定したうえ、支援方策について検討する。
テーマ例:
 コミュニティづくり、まちづくり等地域の基盤的団体と市民活動型の団体の意見交換の開催
 自治会や婦人会等の地域の基盤的団体と、その地域で活動 する市民活動型団体や企業が、地域コミュニティづくりなど連携方法等について話し合う機会を設ける。
支援機関情報交換会の開催
行政、社会福祉協議会、助成団体等のNPO支援機関等が定期的に情報交換する。
企業フィランソロピー担当者会議
ひょうごフィランソロピーネットワーク等と共同で開催し、活動報告等を行う。


(4) 情報収集発信・普及啓発機能(インフォメーションプラザ)
情報ネットワークシステムを整備し、NPOに関する情報をきめ細かく収集するとともに、広くインターネット等で提供する。また、相談コーナーを設け、マネジメントに関する相談を実施し、NPOの活動を支援する。さらに、機関誌の発行等を通じて、NPOの活動、あるいはコミュニティ活動の取り組みなどについて一般県民に広く情報発信し、普及啓発を行っていく。また、情報発信に関する各団体の状況に応じて、団体のホームページとのハイパーリンク、簡易ホームページ作成機能の活用、チラシ等によって寄せられた情報の入力代行等の支援を行う。

ア 情報収集発信事業(例示)
情報ネットワークシステムの整備
県内のNPOの活動や、当センターの事業に関する情報を広くインターネット等により流通することができる情報ネットワークシステムを開発運用する。
○県内のNPOに関する情報
 NPOに関する団体情報、ボランティアセンター等のNPO推進機関情報、指導者等の人材情報、イベント情報、ボランティアの募集情報、ボランティア関連の施設情報、貸し館情報、助成金情報、NPOに関する専門図書情報等
○センター事業の紹介
(事業内容、施設案内、研究成果等の公開等)
マルチメディアライブラリーの運営
センターの来館者に対して、NPO情報を各種マルチメディア機器を使って提供する。
相談コーナーの運営
○NPOのマネジメントに関する相談
○資金助成についての相談
○NPOの起業に関する相談
○特定非営利活動法人の認証申請に関する相談・助言
○NPOへのコンサルタントの派遣
○団体情報等の窓口による提供

イ 普及・啓発事業(例示)
機関誌等の発行
センター事業のほか、団体情報やイベント情報、コミュニティ活動情報を掲載した機関誌、研究成果等についての出版物を発行する。
普及啓発用ビデオの作成
マルチメディアライブラリー等で流すビデオを視聴覚制作室で作成する。
キャンペーンの展開
期間を定め、NPO活動に関するキャンペーンを展開し、テレビやラジオ等による普及・啓発を集中的に実施する。
ひょうごNPOアワード
調査開発事業における評価手法の研究成果から、団体等の表彰を行う。



(5) 資金調達支援機能(資金マッチング事業)
各NPOに共通した課題である財政基盤の安定と強化を図るため、既存のボランティア団体等に対する助成の仕組み(ボランティア基金等)も生かしながら、支援センターにおいてNPOに対する寄附を受け入れるファンドを設置するとともに、NPOの資金調達を支援するための仕組みを構築する。
NPOと資金提供者をマッチングする仕組みとして、活動資金を必要とするNPOのプレゼンテーションに基づいて、資金助成・提供を行う個人、企業、団体等に情報を提供し、マッチングを図る場としての「資金交流市場(イチバ) 」の実施が考えられる。

【ファンドの内容等】
ファンドの組織形態
将来的には、コミュニティ財団(1つの財団が個人・企業・団体等から寄付された多数の個別基金を一括管理する形の助成財団)、公益信託(ボランティア信託。寄付金に対する税制上の優遇措置が可能)の形態を検討する。
ファンドの形態
元本積立方式(寄付金等の運用益で事業を行う)と元本取り崩し方式(寄付金等で事業を行う)を併用する。
ファンドの運用益等の活用方法
○NPOに対する効果的な助成、低利融資を行う
○センターの事業等に充当させる。


6 施 設
 施設は、阪神・淡路大震災からの教訓を生かした震災記念プロジェクトの一環として、神戸東部新都心に、地域安心ネットワークセンター(仮称)と一体的に整備を進める。
 また、施設を整備するにあたっては、機能的であると同時に、バリアフリーの屋内空間の設計など障害者や高齢者への十分な配慮、サイン・標識の多言語表示など外国人への配慮、さらには、ソーラーエネルギーの活用、自然の光や風を建築物内に取り入れるなど地球環境の保全に対する配慮などが必要である。
 同時に、このセンターは極めて多様な利用形態が予想されるので、利用者の視点に立って、土・日曜日や祝祭日の開館や、利用時間についても、夜間でも利用できるような柔軟な対応が求められる。
 センターが上記のような主要機能を果していくためには、以下に例示する施設・設備が求められる。
 このうち、講義室等については、同時通訳の設備を備えていることが望ましい。
 また、情報センター等については、施設・設備等の整備だけでなく、情報の内容を操作ハンドリングできるコンテンツマスターなど、これらの施設・設備を十分に生かせるような専門人材を合わせて配置する必要がある。
 なお、これらの施設・設備を整備するにあたっては、各機能の連携がより図られるようオープンスペースの活用などに配慮する必要がある。ー

【施設・設備例】
利用ゾーン
施 設 内 容
人材育成機能
講義室、講師用控え室
調査・開発機能
研究室、打ち合わせ室、資料室・図書室
交流・ネットワーク機能
交流サロン、会議室、作業室、ロッカー等
情報収集・普及啓発機能
情報カウンター、相談室、情報センター、視聴覚制作室
管理・資金調達支援機能
事務局長室、事務室、ボランティアスタッフルーム、更衣室、倉庫等
その他
機械室、電気室等



7 センター運営の基本的な考え方
 このセンターは、「市民自律社会」にふさわしくNPOや市民が主役の施設として、NPO関係者や市民が積極的にセンターの運営に参画することを基本とする。

(1) センターの位置づけ
 このセンターは、県民の自主的で営利を目的としない社会に貢献する活動を支援するための「公の施設」とする。

(2) センターの運営主体
ア このセンターは、行政や特定の団体から独立した運営を確保することが求められる ため、独立した法人格を持ち、責任ある組織によって運営されることが必要である。そのため、NPO、企業、行政、学識経験者等で構成する財団法人、または、特定非営利活動促進法に基づく特定非営利活動法人を設立し、センターの運営を委託する。
 なお、他にセンターの運営を委託することが適当な法人がある場合には、その法人に委託する。
イ センターの建物の維持管理については、一体的に整備を進める地域安心ネットワークセンター(仮称)の管理運営を行う法人に委託する。

(3) センターの運営組織
ア センターの運営組織については、運営主体が財団法人の場合と特定非営利活動法人の場合とによって異なるが、その運営方針や具体的な事業内容について自主的・主体的に決定できる組織形態にする必要がある。
イ センターの運営は、センターを利用するNPO等の意向を十分に反映した利用者本位の体制を基本とする必要がある。そのためには、ニーズの変化に対応できるような柔軟な組織が求められる。
ウ 各種プロジェクトには、広く市民が参加できるシステムを導入するなど、NPO、企業、行政、個人等から人的資源を持ち寄り、協力体制を築いていくことが望ましい。 この場合、法律家や公認会計士などの専門職、財務・会計、コンピューター等の分野に詳しい企業の社員、あるいは行政手続や諸制度等に関する実務的な知識を有する行政職員等のボランティアとしての参加が考えられる。

(4) 事務局
ア 事務局には、事務局長、各部門長、担当等をおく。
イ 事務局職員には、プロパー職員、行政や企業等からの出向職員、NPOからの派遣職員、嘱託、ボランティア等で構成する。
ウ 事務局スタッフは、プロジェクトリーダー等として直接プロジェクトを推進するよりも、プロジェクトチーム内のファシリテーター(中立的立場で調整する役割の人)としての役割が重要になる。

(5) 事業の企画・運営
ア 事業の企画・運営にあたっては、プロジェクトの内容に応じて、センターのスタッフのほか、他の類似のセンターのスタッフ、NPOのスタッフ等でプロジェクトチームを編成するなど、他のセンターや各種NPO等と連携を図りながら進めていく。
イ 事業の企画にあたっては、スタッフによるコンペ方式を導入するなど、組織内における競争原理が働くようにする。

(6) 会員制度
ア NPO、個人、企業、自治体等に広く開放され、支えられたセンターとするため、会員制度を設け、幅広く協力を呼びかける。会員には、有償事業の割引や機関紙の無料送付などの特典を設ける。
イ 会員には正会員と賛助会員を設ける。正会員は、センターの目的に賛同し、その運営に参画する趣旨で入会した団体(NPO、企業、自治体等)とする。また、賛助会員は、センターの目的に賛同し、これを財政的に支援する個人または団体(NPO、企業、自治体等)とする。

(7) 財 源
 センターの安定した運営を図るため、施設や運営経費等の基盤を支える財源については、公的資金等で持続的、安定的に負担することを基本とする。
 また、センターの事業費等の財源は、基本財産の運用益、会費、寄附金、事業受託収入、参加費収入、助成金等で対応することを基本とする。

8 センターの名称
 アクティブ・シチズンシップに基づく多様な市民公益活動を支援するセンターとして、来る21世紀社会にふさわしい名称とする。また、必要に応じて親しみやすい愛称を公募する。
 例:ひょうご民間公益活動サポートセンター
   ひょうご県民活動支援センター
   ひょうご県民ボランタリー活動支援センター
   ひょうごNPOサポートセンター
   ひょうご市民活動推進センター
   ひょうご市民社会推進センター など


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