ボランティア活動支援センター(仮称)基本構想(概要)

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全県的ボランティア活動支援センター(仮称)基本構想検討委員会

1 経緯
 震災におけるボランティア活動の高まりと評価を踏まえ、平成7年度に有識者による「新しいボランティア活動支援システム検討委員会」を設置し、今後のボランティア活動支援のあり方について検討を行う中で、ボランティア活動の地域社会への定着を図るため、様々な分野のボランティア活動を総合的に支援する拠点として「全県的ボランティア活動支援センタ−(仮称)」を整備することが提言された。
 この提言を踏まえ、平成8年度に有識者による「全県的ボランティア活動支援センター(仮称)基本構想検討委員会」(座長:小室豊允姫路獨協大学経済情報学部長、委員15名)を設置し、基本構想の策定に取り組んだ。
 なお、平成9年度においてはこの基本構想の具体化に向け、基本計画を策定する。

2 設立趣旨
 震災におけるボランティア活動の成果を”ボランティア元年”として永く記憶にとどめ、全国に向けてボランティア活動の重要性について普及・啓発運動を進めていくとともに、ボランティア活動をはじめとする市民公益活動が、企業セクター、行政セクターと並ぶボランタリーセクターとして、多様な価値観に基づく公益を実現する大きな力となるための拠点(メッカ)として設立する。

3 基本コンセプト
(1) より良き市民社会を支えるアクティブ・シチズンシップ(主体的・能動的市民参加)の形成
 市民公益活動のさらなる高まりに応え、来るべき21世紀社会の一翼を担うボランタリーセクターの構築に向けて民間非営利団体の活動基盤の形成を図るインキュベート拠点として整備 していく。
(2) 市民、企業、行政のパートナーシップの確立
 市民、企業、行政が真のパートナーシップを確立していくことを目的として、それぞれの分 野における情報公開とアカウンタビリティの推進を図るとともに、市が自由で責任のある活動 を進めるための規制の見直し等を通して、市民のエンパワーメントを促進していく。
(3) 世界に開かれた市民公益活動に関する情報システムの構築
 ボランタリーセクターのニーズに対応し、活動支援情報、開示情報等の収集、提供等により、 活動の範囲や質を高め、より多様なネットワークの形成を可能とする市民に開かれた情報シス テムの整備を進めていく。
(4) 震災を教訓として災害時に機動的かつ柔軟に対応できる市民公益活動の促進
 「防災とボランティアの日」及び「防災とボランティア週間」について、普及・啓発活動を 進めていくとともに、平常時の防災から緊急支援、復旧、復興の各時点において、ボランタリ ーセクターにより多様な活動が機動的かつ柔軟に展開されるよう推進を図る。

4 主要機能
 設立の趣旨及び基本コンセプトに基づき、次のような機能についての整備を進めていくことを検討する。
(1) NPO 大学(仮称)の開設(人材育成機能)
 NPO についての哲学的、学問的な考察を深め、ボランタリーセクターの発展に寄与する人材 の育成を図ることを目的に、NPO大学(仮称)を設置し、主として多様な活動団体や NPO法人格取得団体等の役員、リーダー、専門スタッフを対象にマネジメントを中心とした専門的、体系的な教育を実施する。
 なお、講座内容については通信講座等を通じ全国に向けて情報発信するとともに、夏季集中 講座等を全国的に実施するものとする。
 また、上記の教育をサポートするため、NPOに関する国内外の文献・資料をマルチメディアを活用して、収集・発信を行うほか、国内外の大学、企業、専門的かつ組織的なボランティア 団体等の幅広い分野の有能な人材を登用した客員教授システムを整備し、その活用を図る。
(2) NPO シンクタンクの創設(調査・研究機能)
 震災でのボランティア活動の経験から得られた全国的な評価を受ける独創的な活動やノウハ ウ及び NPO大学(仮称)における学者、著名人等の知識や技能等を財産に、ラボラトリー(調査・研究)機能を有するとともに、政策提言を行う NPOシンクタンクを創設し、共同研究等の活用を図る。
(3) NPO インフォメーションプラザの設置(情報の収集・発信、相談、交流ネットワーク機能)
 マルチメディアを活用した市民公益活動に関する情報システムを整備し、国内はもとより国際的な市民公益活動情報の収集・発信、相談、交流ネットワーク、マッチング機能を担うほか、事業内容の広報及び市民公益活動の普及を推進する。
 また、市民公益活動に関する様々な分野の情報システムと連携する情報通信システムを整備し、市民公益活動を行う団体等に対するインターネット接続サービス等の提供を行う。
(4) NPO ファンドの創設(資金調達支援機能)
 ボランタリーセクターの財政基盤の安定・強化を図ることを目的として、企業等の寄付者に対する寄付金控除が可能となるようなファンドを創設し、団体に対して資金の配分を行う仕組みの整備を検討する。
 また、団体の資金調達に関するニーズ把握を行うとともに、既存の多様なNPOを支援するフ ァンドや企業のフィランソロピー活動やメセナ活動等について十分な実態調査を行うことにより、適切な提言、指導を進めていく。
(5) NPO 活動保証期間の設置(活動保証機能)
 市民公益活動を行う団体のサービスの質を高め、寄付金等の資金調達や人材の確保を容易に することを目的に、市民公益活動を行う団体の活動状況等を調査し、寄付者、助成団体等の照会に対して情報提供を行う活動保証機関を設置することを検討する。
(6) NPO 災害救援センターの設置(災害救援活動機能)
 震災を教訓として、災害時におけるボランティア活動の重要性を認識するための普及・啓発 活動を進めていくとともに、災害時における市民公益活動が平常時の防災から緊急支援、復旧、復興の各時点において、多様な活動として展開されるよう活動基盤の整備を図る。
(7) 震災ボランティアメモリアル実行委員会の設置(震災メモリアル機能)
 震災におけるボランティア活動の成果をボランティア元年として記憶にとどめ、全国に向けてボランティア活動の重要性について普及・啓発活動を進めるとともに、震災でのボランティ ア活動の記録を風化させないために記念事業等を実施する。
また、すでに震災時のボランティア活動の記録の収集・保存作業を進めているボランティア 団体等と連携を図りながら、関係資料の収集・保存を行っていく。

5 施設の主要な機能と設備例
主要機能を具現化するうえで、以下のような施設内の各設備例が挙げられる。
主要機能 設備例
1. NPO大学(仮称)の開設 (人材育成機能) ○ 講義室
○ 研修室(グループワークの可能なセミナー室)
○ 自習室
○ マルチメディアを活用したNPO 情報図書館
○ 視聴覚制作室
2. NPOシンシクタンクの創設(調査・研究機能) ○ 地域の大学の研究者等と共同研究できる調査研究室
○ 市民公益活動や団体運営に役立つ文献・資料を備えた研究 室、資料室、閲覧室
3. NPOインフォメーションプラザの設置(情報収集・発信、相談、交流・ネットワーク機能) ○ インターネット、CATV等のメディアの使用が可能な施設を整備した情報センター
○ 相談室
○ AM、FM放送等を行うミニスタジオ (例:ミニFM局を開設し災害時に定期放送を行う、情報ボランティアのための実習室)
○ 視聴覚制作室
○ 市民公益活動を行う団体等が常時自由に交流可能なフリー スペース(例:交流サロン)
○ 市民公益活動を行う団体等が自由に使用できる印刷等の各種器具を備えた作業室
○ 市民公益活動を行う団体ごとのレターボックスやロッカー
○ 市民公益活動を行う団体の会議室(小ホールを含む)
○ 市民公益活動を行う団体の研修室(情報ボランティアの研修室、視聴覚制作室)
4. NPOファンドの創設(資金調達支援機能) ○ 市民公益活動や団体運営に役立つ文献・資料を備えた資料室、閲覧室
○ 相談室
5. NPO活動保証機関の設置 (活動保証機能) ○ 市民公益活動や団体の名簿や活動内容等の資料を備えた資 料室
○ 相談室
6. NPO災害救援センターの設置(災害救援活動機能) ○ 非常時の情報通信システム
○ 災害時に最低限必要な市民公益活動の機材等が保有できる 倉庫
○ 災害救援ボランティアの受け入れ時、簡易宿泊スペースに 転用可能な研修室
7.震災ボランティアメモリアル実行委員会の設置(震災メモリアル機能) ○ 震災時のボランティア活動の記録を収集・保存しているボランティア団体等の活動記録室及び一般公開のためのパネル 展示、資料展示室、映像放送室
○ 防災と市民公益活動に関する資料室
8.その他 ○ 総合受付、インフォメーションコーナー
○ 事務室

6 管理・運営
(1) 自律的・民主的なセンター運営形態の確立
 行政や特定の団体から独立した運営形態を基本に、市民公益活動を行う団体、県民、企業の 幅広い意見が十分に反映されるよう自律的な運営主体を設置し、自主的・主体的に事業展開を 図っていく。
ア 運営主体の設置
 センターの開設に向けて、市民公益活動を行う団体、市民公益活動の推進団体、大学、企業、行政等から構成される「ひょうごNPO推進機構(仮称)」を設立し、センターの基本方針及び事業計画を策定していく。
イ 運営委員会の設置
 市民公益活動を行う団体や企業、県民の幅広い意見が反映されるよう、学識経験者、市民公益活動を行う団体、市民公益活動の推進団体、企業、行政等で構成する運営委員会により、運営方針や具体的な事業内容について自主的・主体的に決定する。
ウ 運営の財源
 安定した運営のために必要な施設の管理運営経費については、行政により支援するものとする。
 また、運営の財源は広くボランタリーセクター、企業、行政等から会費及び寄付に求める仕組みづくりを進める。
エ 多様なスタッフによる運営
 専従スタッフ、就労時間の自由なショートタイマーのほか、専門スタッフとして法律家、公認会計士、企業社員、行政職員等がボランティアとして参加するなど多様な就労形態によるスタッフの運営が考えられる。

(2) 建物の維持・管理について
 県立施設として設置し、建物の維持・管理(設備等の保守等)は公共的団体に委託する。
7 名称
 県域をイメージし、特定化されたイメージに結びつきやすい「全県的ボランティア活動支援センター(仮称)」ではなく、アクティブ・シチズンシップに基づく多様な市民公益活動を支援するセンターとして、来る21世紀社会にふさわしく親しみやすい名称であることが望ましい。

8 施設整備
 阪神・淡路大震災からの教訓を生かした震災記念プロジェクトの一環として、現在整備が進められている神戸東部新都心に、21世紀のボランタリーセクターの先進性をシンボリックにデザインした建物として施設整備を進めていく。

9 整備スケジュール
9年度 10年度〜12年度 12年度末
基本計画 基本設計、実施設計、施設整備 開 設
10 関連施設等との連携
(1) 「ひょうご健康福祉総合センター」との関係
 地域安心拠点構想を推進する全県的な拠点である「ひょうご健康福祉総合センター」とは、機能の基本的な内容は異なるものの、機能の一部についてはオーバーラップしており緊密な関係にあることから、各々の特色を生かしながら機能の相乗効果を高めるために一体的に整備する。
(2) 県社会福祉協議会との連携
 ボランティア活動支援センター(仮称)の運営にあたっては、県社会福祉協議会のボランティア活動支援に関する多様な事業との連携を図ることとし、活動交流、人材・情報交流等による機能強化を図っていく。
(3) 他の施設との連携
 広く県民の生涯学習機能を担う全県的な拠点となる「生涯学習中核センター(仮称)」や、各県民局ごとに設置する生涯学習と市民公益活動に関する実践あるいは活動支援機能を担う「生活創造センター」とは役割分担を図るとともに、人材交流や資源の共有について連携・協力を進めていく。

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