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兵庫県内の社会貢献企業を紹介

多様な活動資源とノウハウを持つ「企業」の社会貢献活動を促進し、「ひょうごの地域づくり活動」の輪を一層広げていくため、県内企業による社会貢献活動の実践事例や県の支援・促進施策をご紹介します。

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ナッツでつながるご縁に感謝
~『アーモンドフェスティバル』の開催を通じた地域振興~

神戸地域

事業者名 東洋ナッツ食品株式会社
代表者名 代表取締役社長 中島 洋人
設立 昭和34年12月25日
資本金  9,060万円
社員数 200名
所在地 神戸市東灘区深江浜町30番地
主な事業活動 世界の木の実の製造販売 他
ホームページ http://www.toyonut.co.jp
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掲載日 平成27年10月20日
(更新日:平成29年2月9日))

東洋ナッツ食品株式会社
 東洋ナッツ食品株式会社 代表取締役社長 中島 洋人 さん
に、お話を伺いました。

貴社で取り組まれている社会貢献活動について教えてください。

                         

 毎年弊社の敷地で開催する『アーモンドフェスティバル』は、今では神戸の風物詩といわれるほど定着しました。
 そのほか、毎月会社周辺の清掃を行うクリーン大作戦や東灘警察署等と合同で実施する交通安全啓発活動を実施しています。

今では、神戸の春の風物詩といわれるアーモンドフェスティバルですが、始められたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

                         

 昭和53年、先代の社長がアーモンドの苗木をカリフォルニアの得意先から20本譲り受けました。その後、植樹できるまでに成長したアーモンドの木を、弊社の敷地内に植え、従業員が大切に大切に数年かけて育てた結果、可愛い花を咲かせたことが始まりです。アーモンドの木の植栽はおそらく観賞用では日本初ではないでしょうか。
 アーモンドの木は、毎年、桜の花よりひとあし早く花を咲かせます。アーモンドの花を早咲きの桜と間違えて弊社に立ち寄られる方があり、また、従業員との間で『これは桜ではなくアーモンドの花なんですよ』といった会話を重ね、床机を列べてお茶をお出ししたり、時には食堂のおうどんを振る舞ったりしていくうちに、口コミで見物客が増え始めました。
 「それならば、アーモンドの花をもっと多くの方にご覧いただこう」と、昭和61年より、毎年3月に『アーモンドフェスティバル』を開催するようになりました。
 ご来場くださるお客様も回を追うごとに増え続け、第1回の来場者は2,000人でしたが、前回第27回(平成28年3月)には2日間の開催期間中に約2万3千人のお客様にご来場いただきました。
 また、当日は、アーモンドの種を先着5,000人にお配りしています。花を咲かせることが難しいアーモンドの木ですが、『花が咲きましたよ』と、写真とともに喜びの声を届けてくださることがあります。弊社では、アーモンドの育て方をホームページに掲載するほか、ご自宅や近くの公園などで咲くアーモンドの花に関する情報をいただき、アーモンドマップとしてご紹介することで、アーモンドをはじめとするナッツをより知っていただくための活動を行っています。

社員総出でおもてなしされているようですね。

                         

 『アーモンドフェスティバル』の開催はいまや地域のイベントとして定着しており、当日は社員総出でおもてなしします。社内ではプロジェクトチームを立ち上げ、ご来場くださるお客様に楽しんでいただけるよう、この日に向けて半年前から準備をしています。
 会場では、アーモンドの花のお花見に加えて、揚げたてのアーモンドの販売、振る舞い餅のサービスのほか、アーモンドペーストが入ったコロッケやアーモンドドリンクなど、当社オリジナルレシピによるアーモンド料理の出店は珍しさも相まってお客様に大好評です。


『アーモンドフェスティバル」にはさまざまな団体が参加されていますね。

                         

 弊社のあるこの深江浜には食品会社のほか県立東灘高校があり、食品会社さんは焼きそばやカレーのお店を出店し、高校生さんたちはボランティアとして会場案内などのお手伝いをしてくれます。
 また、お客様の送迎としてバスの運行をお願いしている阪神電鉄さんでは、弊社の『アーモンドフェスティバル』の日程にあわせて企画されるウォークラリーイベントのコースに『アーモンドフェスティバル』会場を組み込んだり、深江浜にある東部市場や深江商店街でも合同イベントとして市場まつりを開催したりと、地域内において連携した事業がそれぞれ開催されるなど、弊社のフェスティバルが地域活性化の一助となっているならば喜ばしいことだと思います。

庭園開放について教えてください。

                         

『アーモンドフェスティバル』の翌日から4日間は、弊社の前庭を引き続き開放します。ゆったりした雰囲気の中、福祉施設の利用者さんや介護士さんがお越しになるほか、目の不自由な方にもアーモンドのお花見の雰囲気を味わっていただいています。
 フェスティバル当日のようなフード等の販売はありませんが、お話する機会を得ることでじっくりとコミュニケーションが図れますし、社員にとっても貴重な時間となっています。
            

次に、震災での支援活動とその想いをお聞かせください。

                         

 平成7年の阪神・淡路大震災では、弊社も被災しました。工場敷地が液状化で操業もままならない状態でしたが、先代社長の「一日も早く工場の煙突から煙を出せ」との号令で、わずか1週間で工場を再開しました。工場の煙突からの煙が被災された方々の目に映り、生きる希望を与えられたとの声をいただきました。
 また、東日本大震災が発生した平成23年3月11日、弊社は『アーモンドフェスティバル』を翌週末に控え、準備を重ねていました。あまりの被害の大きさに世の中は自粛ムードで、『アーモンドフェスティバル』開催を控える空気が流れていましたが、阪神・淡路大震災では、神戸地域以外が被災していなかったから早く復興できたのであり、感情論に流されて自粛することなく予定どおり開催しよう、というのが当初の判断でした。
 しかしながら、首都圏では消費者の買い占めによる食糧不足が起こり、得意先から商品供給の緊急要請を受けたことから、急遽『アーモンドフェスティバル』を中止し、フェスティバルに備えた生産ラインを支援用のラインに切り替えることにしました。
 急遽フェスティバルを中止したため、中止の告知をしたものの、中止を知らずに来られる方がおられるだろうということで、庭園を開放し、お茶だけ準備して、工場生産に携わらない社員でお待ちしたところ、約3,500人の方が来場されました。
 例年のようなにぎやかなフェスティバルではないものの、一人ひとりの方とゆっくり語らう時間をもつことができ、多くの方から「(アーモンドの花を見て)ほっとした」「気持ちが和らいだ」と言っていただきました。
 ある方は、「阪神・淡路大震災で全財産を失った。怪我もしたが、その後回復し今は周囲の支えで元気に暮らせるようになったから毎月少しずつ寄附をしている」と話してくださいました。
 アーモンドの花言葉は“希望”です。希望をもって災害を乗り越えることの大切さが身にしみた貴重な2日間となりました。
 後日、栄養価も高く、個包装されていて食べやすいポーションサイズのナッツ製品を支援物資として製造し、また、阪神・淡路大震災を経験した神戸からの気持ちを届けようと社員やその家族にも手伝ってもらいメッセージカードを同封しました。
 そして、我々は一般の物資ルートでは届けるべき人に届きにくいとの経験から、東北の高校や現地で活動するボランティア団体、青年会議所や神社・寺など、あらゆるルートを活用して、“直接被災者に届ける”ことにこだわり、支援物資を受け取った方々からはたくさんのお礼状をいただきました。

交通安全啓発運動は、どのようなものですか。

                         

『アーモンドフェスティバル』で警備や来場者の安全確保のご指導を頂いたり、社内での交通安全研修に来ていただいたりしている東灘警察署とのご縁で初めて参加させていただくもので、今年(9月21日)、JR住吉駅前において実施しました。
 東灘警察署のほか東灘区役所や東灘交通安全協会等との共催で、交通安全意識の高揚と交通安全事故防止を目的としており、“さかなっつ!シートベルトはしめなっつ!!”と記載した弊社の商品「さかなっつハイ!」をシートベルトの正しい着用チラシとともにドライバーや通行人に配布します。現地では、弊社のマスコットである“さかなっつくん”と“ピスタくん”も一緒に啓発運動を実施しました。



今後への思いをお聞かせください。

                         

 きれいに咲くアーモンドの花を皆さまに楽しんでいただきたいという先代の想いで始まった『アーモンドフェスティバル』ですが、今では神戸の風物詩と言われるまでになりました。
 アーモンドは私たちにとって生活の糧です。アーモンドのおかげで商売ができており、アーモンドがお客様との接点を作ってくれています。このアーモンドへの感謝と尊敬の念が『アーモンドフェスティバル』を継続してこられている礎です。
 このように、『社会貢献』というテーマを掲げて活動しているわけではなく、地域の企業として存在すること、それが自然と社会にも貢献できているような企業になりたいと思います。

本日はありがとうございました。

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