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兵庫県内の社会貢献企業を紹介

多様な活動資源とノウハウを持つ「企業」の社会貢献活動を促進し、「ひょうごの地域づくり活動」の輪を一層広げていくため、県内企業による社会貢献活動の実践事例や県の支援・促進施策をご紹介します。

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県下屈指の野菜産地「淡路島」の維持発展をめざして
~農業の担い手育成と耕作放棄地の解消をサポート~

淡路地域

事業者名 株式会社アグリアイランド
代表者名 代表取締役社長 森 紘一
設立 平成24年10月
資本金  2,000万円
社員数 200名(アルバイト含む)
所在地 兵庫県南あわじ市市青木18-1
主な事業活動 農作業受託事業、地域農業担い手となる支援員の雇用・養成、特産物づくり・加工事業の研究、体験農園、学童農園への支援、耕作放棄地の解消
掲載日 平成27年1月16日

株式会社アグリアイランド チーフマネージャー 土居 利幸 さん
にお話を伺いました。

株式会社アグリアイランドについてお教えください

                                                 

  兵庫県内屈指の野菜産地を抱えるJAあわじ島が、人手不足に悩む高齢農家などに、労働力支援をすることで少しでも力になれればと、平成17年にJAあわじ島に「援農あわじ島」を立ち上げました。その後、発展して平成24年10月に株式会社アグリアイランドで法人登記し、半年間の準備期間を経て平成25年4月に本格的に事業をスタートさせました。今年が2年目のまだフレッシュな会社です。
 援農については、南あわじ市の旧(合併前)の南淡町の賀集という地域を中心に小さな規模で始めました。シルバー人材センターとは違う形で、JAあわじ島の選果場で働いていた方々が農地の作業を手伝ってあげようと出て行ったのが最初です。
 シルバー人材センターの人は「名前はシルバー、腕はゴールド」と言われるぐらい頼りにされていますが、年々高齢化しているため、厳しい野菜の農作業を任せることができる人は、限られています。
 農家に対するアンケートでも野菜の生産に対する援農の要望が一番多かったのですが、なかなか難しい事案なので先延ばしになっていたところ、JAあわじ島の組合長でもある森社長がおもいきってやろうということでスタートしました。
 このままでは消えていってしまう淡路のたまねぎという産地を守っていくために、今まで農協が苦手としていた自らが農業生産をしたり、お手伝いをするといったことをアグリアイランドでやり始めました。

 

株式会社アグリアイランドの援農事業とは

 日本各地の農協には、組合員が農業を通じて働きに見合った所得を得て、支え合う「集落営農」というシステムがありますが、これは米作中心に普及していて、野菜を請け負う制度は全国的にありません。淡路は平均農地面積が50㌃と小さく、その中心は野菜です。JAあわじ島のレタスやたまねぎ、白菜は全国でも知られ、兵庫県内一を誇っています。高齢化して、後継者のいない農家が必要としているのは、たまねぎ、白菜、キャベツなどの重量野菜の生産を、機械ではなく農家の手足となって作業をし、農家を支えてくれる人による支援です。
 援農事業とのかかわりは、知り合いから息子を預かって農業を教えてもらえないかと持ちかけられたことです。その青年は、就職先が決まらずに困っていましたが、農業に興味があるとのことでした。厳しい仕事なので、どうなることかと思いながら預かったところ、彼が続いてくれたので、今につながっています。

担い手はどのような方ですか

 人集めは、口コミでやっています。農業改良普及センターや地元の淡路三原高校からの紹介、JAあわじ島のアルバイトなどを、研修生として雇っています。年齢は18才~30代半ばまで様々で、男性も女性もいます。2年間、給料をもらいながら農業を学んでもらっています。あくまで派遣業ではなく、担い手育成を目的としているので、採用規模を大きくするつもりはなく、じっくり育てていくつもりです。
 財源には、県の緊急雇用制度や「農の雇用」という国の補助金を当てています。
 それからベトナムの方もいます。外国人を受け入れるにあたっては、担い手研究事業として、JAあわじ島で行う話があがっていたのが、この地域ではまだまだ、保守的な意見が根強く、手を出したがらないので、アグリアイランドでの受け入れとなりました。

担い手集めは大変そうですね

 とにかく、少子化がひどいです。農業の魅力、農家の財力以前に人がいません。一人っ子が多く、一度、進学等で島外に出てしまった跡継ぎは戻ってきません。
 先日、震災20年の特集記事を企画している記者が、うちの研修生を取材に来ました。その時に聞いた話だと、島内で就職していて来年20才を迎える地元の若者は彼だけだということでした。
 担い手として、島外からくる子、就職にあぶれた子、もともと農業をしたかった子、外国人などを、いかに引っ張り込むかを研究中です。JAあわじ島の選果場の登録者のうち、選果場での仕事がない人に回ってもらおうとしましたが、作業がきついため、人が集まりませんでした。障がい者雇用を考えたこともありますが、同様にうまくいきませんでした。
 よそ者をカットしていたら農業は終わります。活路は外国人だと思っています。
 また、労働力確保のためには年間を通じた働き場所が必要です。アグリアイランドでは、「農作業支援」、「農協の選果場(たまねぎ)の手伝い」、「預かり農地での生産」を3つの柱に、年間を通じて雇用できるよう業務を組み立てています。
 また、今年度は、「産地間リレー」を取り入れました。各地の農業の繁忙期にずれがあるため、繁忙期に合わせて人を融通する制度で、こちらの仕事が少ない夏場に信州へ二人派遣しました。
 今後は6次産業化にも取り組んでいかなければならないと思っています。
 行政に対しては、1~2ヶ月の滞在型短期間労働に対して、空き家の提供や家賃補助の制度を要望しています。

どんな苦労がありますか

 全くの素人が、一から農作業を覚えるわけです。依頼者である農家の技術レベルが高いので、その期待どおりの働きがなかなか出来ません。トラクターなどの機械操作も、慣れていないため、よく壊してしまいます。
 ある時など、有休農地に除草剤を撒いたのが風の強い日だったため、近隣農家に被害が出てしまいました。このような失敗で怒られることも多く、謝ることもいっぱいです。
 しかしながら、農家が、うちの担い手を自分のところの従業員だと思うのは勘違いです。うちは、担い手を育成しています。単なる労働力でなく、担い手を育てたいという気持ちを農家にも共有してもらいたいです。
 人を確保し、育成し、その能力に応じた仕事をさせるのは本当に大変なことです。でも、今のところ誰もやめていません。
 担い手育成で有名な長野県の有限会社トップリバーでは5~6年間、研修を受けさせます。うちでも農家のレベルに追いつくよう5年ぐらいは学んでほしいと思っています。JAあわじ島において、トラクターなどのオペレータ業務を学び、一人前にして、地域の方に受け入れてもらいたいと考えています。

援農事業の他、どういったことをされていますか

 来年3月に、花みどりフェアの開催に合わせ、淡路ファームパーク イングランドの丘にあわじ島まるごと食の拠点施設(美菜恋来屋)がオープンします。1階が農畜水産物直売所及びフードコート、2階がレストランになっている施設で、ここの1階で農産物の直売を始めることになっています。当初、アグリファームで作ったものを販売したいと考えていましたが、JAあわじ島も直売はしていなかったのでいっしょにすることになりました。
 また、今、JAあわじ島が4,000万円規模でやっている通信販売事業を引き継ぎ、1億規模に拡大したいという目標を持っています。扱っているのは、たまねぎがメインで、他に、カレー、大和煮、あげ玉、アイスクリームなどです。アイスクリームは地元のレタスを使ったレタスアイスクリームを開発しています。

今後の展開を教えてください

 アグリアイランドには、体を壊した、病気した、奥さんが亡くなった、息子がいないなどで助けてほしいと緊急の依頼があった農家から、預かっている農地(アグリファーム)があります。
 行政の補助金がでるような有休農地ではありませんが、担い手がいない土地が荒れ果てるのを未然に防ぐことも大切と考え、そこでの生産活動を行っています。
 都会の子が、農業を始めようと思っても、鍬と鎌だけでできる訳もなく、1,500万~2,000万円の資金力が必要です。
 アグリアイランドを卒業していく時に、土地なし、機械なし、家なしの研修生が就農できたという事例を作ることが目標です。
 アグリファームを就労者が直接借り受けることができればと期待しています。
 今、アグリアイランドの就労者家族十数人を、大きな空屋を借りてシェアハウスとして住まわせていますが、彼らがうまく近所づきあいをしているので、近隣から「アグリアイランドに農地を任せたい」という人が増え、アグリファームの塊が拡がっている状況があります。この信頼関係が深まれば、個人的に農地を借り受ける展開もあると思います。
 また、アグリアイランドでは、機械の払い下げなどで応援しようと思っています。

本日はありがとうございました。

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