地域とともに歩むひょうごの企業トップページへ

兵庫県内の社会貢献企業を紹介

多様な活動資源とノウハウを持つ「企業」の社会貢献活動を促進し、「ひょうごの地域づくり活動」の輪を一層広げていくため、県内企業による社会貢献活動の実践事例や県の支援・促進施策をご紹介します。

本文ここから

点字付き名刺との出会いから始まった社会貢献

東播磨地域

企業名 東光機材株式会社
代表者名 代表取締役社長 藤田 一郎
設立 昭和44年10月30日
資本金 2,000万円(平成21年7月9日現在)
社員数 17名 (平成21年7月9日現在)
所在地 兵庫県三木市岩宮140の10 
主な事業活動 一般建築金物、2×4工法用接合金物、船舶用部品、福祉機器関連商品、その他金属加工品、製造・販売
ホームページ 東光機材株式会社のホームページ ふみだいドットコムのホームページ
掲載日 平成21年7月30日

東光機材株式会社 専務取締役 藤田治さんにお話を伺いました。

東光機材株式会社が福祉に関わるようになったきっかけは?

 当社は金属加工、なかでも建築関連の金物を製造する会社です。

 平成8年に、コープこうべの福祉事業部長とご縁があり、金属加工の技術を活かした浴室用いすの開発依頼を受けたのがきっかけでした。

 その頃(平成8年頃)の福祉用具は大部分が輸入で、日本で日本人にあったものを造りたいと、『コープこうべ福祉用具開発研究会』が発足していました。当社も研究会に入会し、毎月の例会に浴室用いすを試作して持っていくのですが、生活モニター、検査センター、バイヤー、役員といった研究会のメンバーから毎回駄目出しがあり、ようやく製品化できたのは1年後でした。

 しかしその間には、研究会のメンバーが「展示会でこんな素材を見つけたが、いすに使えないだろうか。」と資料を持ってきてくれたことなど、メンバーの協力に感謝しています。

浴室用椅子の評判はいかがでしたか?

藤田治氏へのインタビュー風景

 高齢の女性から「以前は家族の手助けが必要で気兼ねしていたが、御社の浴室用いすのおかげでひとりで入浴できます。」という内容のお礼状が来ました。

 自分のことが自分で出来る、自立した生活ができるということは、私たちには普通のことであっても、高齢者には切実な問題であることが分かりました。

 そして、使わなくてはいけない製品ではなく、使いたいから使う製品を作りたいと思いました。

 高齢者や障害者が“段差”に悩んでいることを知って、現在は安定性を高めた踏み台にも力を入れており、福祉施設だけでなくタクシー会社や旅館・飲食店などからも注文があります。また、子どもが鍵を差し込む時に使うためといった理由の注文もあり、ユニバーサルな商品と言えるでしょう。

点字付き名刺との出会いは?

 『コープこうべ福祉用具開発研究会』と交流のある『ひょうご福祉新産業研究会』の一員として、平成10年に国際福祉機器展に浴室用いすを出品しました。

 たくさんのブースがある中、多くの人で賑わうブースに入ってみると、小さい機械が置かれ、その機械で作られているものが点字付きの名刺でした。それは、来場者の名刺に点字を入れるサービスで、私もお願いしたのですが、初めて自分の名刺の突起に触れたときの感動は忘れられません。

 私は、そのブースを出展していた株式会社あい・あーる・けあの説明担当者から、点字付き名刺の持つ社会的意義を教えてもらいました。

点字付き名刺の社会的意義とは?

点字入り名刺

            

 一番大きな意義は、何といっても視覚に障害のある方とのコミュニケーションが図れるということです。

 次に、施設の入所者が点字入れ作業を行えば、施設にとって点字名刺づくりという新しい仕事が生まれます。

 そして、点字入り名刺を持たれた方がそれをビジネスで使えば、社会における点字の普及と理解につながります。

 あわせて、名刺交換した相手からは好感を持たれ、話が弾んで仕事がスムーズに運ぶというメリットも期待できます。

点字付き名刺の存在を知って、どういう行動をされたのでしょうか。

 施設と名刺を取り扱う企業が連携すれば、事業としての継続性と拡大が期待できるのではないかと考え、オフィス機器を取り扱い、名刺印刷を業務のひとつとする第一電子株式会社に相談しました。

 第一電子株式会社に点字プレス機を購入してもらい障害者施設に貸与してほしいというお願いを、福祉に理解があった三木営業所長がさっそく臨時役員会にかけてくださり、決定を得ました。

 第一電子株式会社の社員の名刺にも点字を入れ、PRしてもらうことにしました。その名刺を持った営業マンが、飛び込みで機器を売り込みに行った先の会社社長が、名刺を見て珍しがり、どうせ買うなら君の会社と取引したいと言ってくれたこともあったそうです。

障害者施設はどうされたのですか。

 地元の三木市社会福祉協議会に相談したところ、知的障害者支援組織の三木市手をつなぐ育成会「じゃがいもの家」を紹介していただき、点字付き名刺の制作事業を立ち上げませんかという提案をしました。「じゃがいもの家」には、障害者の自立への足がかりになるということで、ご快諾をいただきました。

 そして、事業をスタートするにあたり、ふたつのことを決めました。ひとつは、自立支援であってもお金を頂戴するのですから、良品をお客さまにお届けすることを第一に考えること。ふたつ目は、お客さまや社会とのつながりを大切にするため、点字付き名刺をお渡しするときにメッセージカードを添えるというものです。

事業がスタートしてからは、どういったサポートをしていらっしゃいますか?

藤田治氏へのインタビュー風景

            

 ひたすら名刺を交換しています。できるだけ名刺交換できる場に出向き、これまで2000人には渡したと思います。そして、点字付き名刺に関心を持ってくれた人には、この事業の説明をしています。

 点字付き名刺を人にお勧めするとき、私はふたつのことを申し上げています。この名刺を1枚使うことは小さな社会貢献につながり、またビジネスにとっても有効であるということです。

 私を含め、三木市手をつなぐ育成会「じゃがいもの家」及び関係の方々の努力による普及活動も少しずつ広がり、現在では三木市内外はもとより、県外からも注文が来るようになりました。

これから社会貢献活動に取り組もうとする企業への一言をお願いします。

 最近本で読んだのですが、「まわりを良くすることを考え、行動する」という言葉に、大変共感しました。社会貢献活動はもちろん、事業活動においてもこれに尽きるのではないでしょうか。

 他者のための行動は、いつかは何らかの形で自分のプラスになります。

 ですから、自分の持っている情報はどんどん出すこと、結果はともかく出し続けることが大切だと思います。

本日はありがとうございました。

ページの最上部へ

トップページへ

メニューここから

県の支援・促進施策

お問い合わせ