ボランティア活動支援センター(仮称)基本計画の概要

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[センターの基本的な考え方]
 このセンターは、県内各地域で行われている県民ボランタリー活動を支援することを通じて、“市民自律社会”の構築に向けた本格的なボランタリーセクターの形成をめざし、
@“市民自律社会を支えるアクティブ・シチズンシップ(主体的・能動的市民参加)の形成”
A“NPO等・企業・行政のパートナーシップの確立”
を基本コンセプトに据え、以下に掲げる支援の考え方のもとに整備する。
 また、これからの成熟社会に向け、県民一人一人から始まる、自発的・自律的でボランタリーな活動を促進するため、平成10年9月に県が制定した「県民ボランタリー活動の促進等に関する条例」の趣旨を踏まえ、県内外での「県民が行うボランタリーな活動」及び震災の時のような「県民のために行われるボランタリーな活動」の双方を「県民ボランタリー活動」としてとらえ、これを広く支援していく拠点として整備する。

1 NPO等に共通する基盤を支援するセンター
 団体の設立や運営ノウハウ、人材育成、情報、資金調達など各分野のNPO、NGO、地域の基盤的団体、ボランティア団体など県民ボランタリー活動を行うもの(以下、「NPO等」と言う。)に共通する基盤的部分の支援を行う。いわば、NPO等の全分野におけるインフラ・サポートセンター。

2 NPO等の組織(団体)形成・強化に視点をあてた支援するセンター
 個々のボランタリー活動を多元的に受け止め、組織的、継続的な活動として成長させ、社会的な力となるようにするため、主にNPO等の組織(団体)の形成・強化に視点をあてた支援を行う。

3 NPO等のインキュベートを支援するセンター
 既存のNPO等の支援だけではなく、新たなNPO等の立ち上げを支援するインキュベート機能を持つほか、NPO等をインキュベートするNPO等も積極的に支援する。

4 NPO等の新たな公共性の創出を支援するセンター
 本格的なボランタリーセクターの形成に向け、幅広い分野で多彩な県民ボランタリー活動を展開している県民運動推進グループ・団体や地域の基盤的団体をはじめ各種のNPO等が、各々の創造性を生かしながら、公共性を創出する新しい担い手となることをめざし、NPO等・企業・行政のパートナーシップのもとに各々の特性を生かした社会・公共サービス事業への主体的参加を支援する。

〔図1 NPO等をめぐる諸概念の構成〕

[センターで実施する主要事業]
1 人材育成事業
 NPO等が活動を推進していく上で必要な専門性が高い人材の育成を図るとともに、NPO等の活動に必要とされる専門性の高い技術・ノウハウなどを習得する機会を提供していくため、NPO大学(仮称)を運営するほか、NPO等が効果的に活動を行うための講座を実施する。また、センターが独自に企画実施する研修だけでなく、NPO等がこのセンターを利用して自主的に行う各種研修のセンターでの実施を推進する。
(1)NPO大学(仮称)
 NPO等の活動リーダーを対象に、各NPO等に共通して必要なマネジメントに関する専門的、体系的な学習などを行う「NPO大学(仮称)」を設置し、NPO等に携わる専門性の高い人材を養成する。
 また、企業においてフィランソロピー活動を推進したり、行政においてNPO等との協働事業を進める担当者、学校においてボランティア教育を進める教員などを対象に、NPO等に関する専門的研修を実施する。
 さらに、県内各地域のNPO等に学習機会を提供するため、各地域別の出前講座を実施するとともに、NPO等が必要とする技術・ノウハウなどに関する情報を収集し、NPO大学(仮称)のカリキュラム開発へとつなげていく。
(2)スキルアップ講座
 県内各地域・各分野のNPO等が活動を行う上で必要とされる専門的技術・ノウハウなどについて、短期的で少人数の実践的な講座などを機動的に実施する。

2 調査・開発事業
 県民ボランタリー活動の実態調査や活動事例の収集などを行い、その結果をもとに新たな研修プログラムや事業評価手法などを開発し、さらに、それらを人材育成事業、情報発信事業、相談事業などへ反映させていく蓄積・循環型の調査研究を実施する。
 また、ボランタリーセクターの形成に関する研究などを通じて、NPO等の研究者どうしのネットワークを構築する。

3 交流・ネットワーク事業
 交流サロンの設置、ロッカーやレターケースなどの貸出し、印刷機・パソコンなどを備えた作業工房の設置、市民活動型団体、県民運動推進グループ・団体、地域の基盤的団体などさまざまなNPO等が分野・地域・組織形態を超えて、相互の情報交換を行ったり交流を深める場を提供する。また、NPO等・企業・行政ネットワーク会議の開催など、NPO等・企業・行政などの関係者が一堂に会する場を提供する。
 なお、県民ボランタリー活動の支援機能を有する地域の拠点を、行政や企業の空き会議室を活用するなど各地域の資源を生かしながら、センターとの連携の下で、県内各地域に設けていく。

4 情報収集発信・普及啓発事業
 情報ネットワークシステムを整備し、NPO等に関する情報をきめ細かく収集するとともに、広くインターネットなどで提供する。
 また、NPO等のマネジメントなどに関する相談、特定非営利活動法人(NPO法人)の設立認証申請に関する相談・助言などを行うほか、キャンペーンなどを通じて県民ボランタリー活動の重要性などについて普及啓発を図る。
 なお、事業の実施にあたっては、NPO等と支援センターの間のネットワークの促進、NPO等のニーズへの的確な対応、行政との調整を図るため、プログラムオフィサーをおいて事業の企画・統括を行う。
(1)情報収集発信事業
 インターネットを活用した情報ネットワークシステムを構築するとともに、機関誌の発行・相談をはじめとする各事業を通じて、センターとしての情報の収集・発信を行う。
 情報の収集においては、センターに寄せられた各団体のチラシなどの情報を活用するとともに、各地域別に団体の情報を収集する仕組みづくりを行う。情報発信においても、インターネットなどにおけるリンク、活動チラシの入力など情報ボランティアの協力の下での情報発信など、団体の状況に応じて支援していく。
 情報ネットワークシステムの運用にあたっては、センターの専門職と情報ボランティアの間での役割分担の下で、NPO等や利用者にとって使いやすいシステムとしていく。また、プライバシー情報の保護を図るために、倫理規程などに関する諸制度を整えるとともに、NPO等の情報発信能力の向上を図るため、ホームページ開設講座などを実施する。
 さらに、センターの機関誌に団体情報・イベント情報を掲載するなどインターネットだけではなく、他の媒体も活用して、積極的にNPO等に関する情報を発信していく。
(2)コンサルティング・相談事業
 NPO等の立ち上げ、会員募集、事業の効果的な実施など活動の状況に応じてコンサルティングを受けられるように、プログラムオフィサーを中心として、NPO等や外部の専門家とも連携してコンサルティング・システムを構築する。
 相談コーナーでは、相談員が常駐し、NPO等のマネジメントに関する相談にこたえることを中心としつつ、県民等からの問い合わせに対して、当該団体の了解のもと、各団体が作成した「団体ガイド」を常備するなどのサービス機能を併せ持つことも考えていく。
 また、電話相談や出張コンサルティングを実施するとともに、各分野の相談機関との情報交換などを通じて専門性の向上を図っていく。さらに、専門的な相談に関しては有料での実施も検討する。

5 資金調達支援事業
 各NPO等に共通した課題である財政基盤の安定と強化を図るため、助成金の提供だけではなく、活動資機材、人材など活動に必要なさまざまな資源をNPO等と提供者の間をマッチングする仕組みを構築する。
(1)資金調達支援の仕組み
 NPO等の活動資金の調達を促進するため、既存のボランティア団体などに対する助成の仕組み(ボランティア基金など)も生かしながら、NPO等に対する寄附を受け入れるファンドをセンターに設けるとともに、NPO等の資金調達を支援する仕組みを構築する。
@活動資金助成制度
 センターに寄せられた寄附金を活用して、寄附者の意向も尊重しながら、NPO等の活動を助成していく。また、少額助成の併存、地域で活動している中間組織を通じたきめ細かな助成など、NPO等の実態に応じた助成制度を設ける。また、支援が受けにくいNPO等の運営に関わる間接的な経費への助成も検討する。
A資金交流広場の設置
 NPO等と資金提供者をマッチングする仕組みとして、活動資金を必要とするNPO等のプレゼンテーションに基づいて、その「志」に対して個人、企業、助成財団などが資金提供を行う、「資金交流広場」を設ける。
(2)活動に必要な資機材の調達支援
 NPO等の活動に必要な資金だけではなく、資機材や物資などについても、センターの機関誌や情報ネットワークシステムなどを通じて情報提供を行い、それを求めるNPO等との間でマッチングを行う。
(3)NPO等に必要な人材のマッチング
 あらかじめ登録しておいた各分野で専門的知識・技能等を有する専門家・コーディネーターなどをNPO等に紹介する人材バンクとして「人材マッチングルーム」を設置する。

[センターの運営体制]
 このセンターは、「市民自律社会」にふさわしくNPO等や市民が主役の施設として、NPO等関係者や市民が積極的にセンターの運営に参画することを基本とする。また、施設の建設を待つまでもなく、NPO等の状況に鑑み、ニーズの高い事業については、本基本計画の趣旨を踏まえながら、ソフト先行事業として計画的に推進する。

1 運営主体
 このセンターは、行政や特定の団体から独立した運営を確保することが求められ、責任ある組織によって運営されることが必要である。
 運営主体については、財団法人、特定非営利活動法人に委託することが考えられるが、いずれの法人を選択するかは、センターの規模・事業量がある程度明確になった段階で決定する。なお、建物の管理については、開館時間など管理規則を利用者本位のものとすることを前提としつつ財団法人などへの委託又は公的な機関が担う。

2 運営組織
 運営組織については、センターの運営方針や具体的な事業内容について自主的・主体的に決定できる組織形態にする必要がある。各種プロジェクトには、広く市民が参加できるシステムを導入するなど、NPO等、企業、行政、個人などから資源を持ち寄り、協力体制を築いていくことが望ましい。
 また、事務局スタッフは、プロパー職員のほか、行政や企業などからの出向職員、NPO等からの派遣職員、嘱託、ボランティアなどさまざまな形態のスタッフで構成する。その際には、出向元・派遣元のポスト化による弊害を排除しつつ、個々の職員の能力が十分に発揮できる組織が必要である。
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