すごいすと取材記

バッグデザイナー由利佳一郎 さん(51) 兵庫県

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日本一の裏方だった豊岡の鞄産業

豊岡に生まれ育ち、何より、鞄製造会社を一代で豊岡有数の会社を築き上げた父親を持つ由利さんにとって、鞄は小さなころから身近なものだった。

「自分が子どものころは工場の規模は今よりずっと小さかった。製造中の黒い男性用ビジネス鞄がずらりと並んだ工場に入って、よく遊んでいた」と話す。

全国4大産地の一つで、国内トップの生産量を誇る豊岡の鞄産業。市内には部品製造や一部の工程、または決まった種類の鞄だけを製造するような町工場に加え、最新の機器を揃え、全てをまかなう大規模な工場、そしてそうした工場が集まった工業団地までも存在する。

その中心となっているのは、他社が企画した商品の生産を行い、流通・販売は企画した企業のブランドネームと販路で行う、いわゆるOEM生産だ。

有名ブランドの名にふさわしい質の高い製品を豊岡から提供してきたのだ。

豊岡市内の鞄工場

豊岡市内の鞄工場。名だたるメーカーの発表前の商品が、最新の工業用ミシンや裁断機、そして熟練の職人の手で作り出されている。

ただ、こうした過程でつくられる製品には、日本製と記されるだけで豊岡の名が表に出ることはない。

20歳から東京で暮らし、商社勤務を経て、3Dグラフィックの仕事に携わっていた由利さんは、これまで当然のように考えてきた「鞄=豊岡」という図式が、一般的には認知されていないことを知る。

「なぜ日本で一番を誇る産業が知られていないのか」由利さんが抱えたその違和感は、いつしか「鞄と言えば豊岡」が常識になるように変えてみせたいと願う気持ちへと変わっていった。

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兵庫県 県民生活課 神戸市中央区下山手通5丁目10番1号 電話 078-341-7711(代表)