すごいすと取材記

播州織作家玉木新雌 さん(36) 兵庫県

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やさしい着心地を求め

次第に特色の薄いシャツ生地製造業が主流となりつつあった播州織。それに甘んじつつも、「このままでよいのか?」と地元の人たちが気づき始めたころに移住したことが、スタート台に立つタイミングとしてラッキーだったと玉木さんは語る。

独立当初は、そのシャツ生地作りから始まった。ある時、生地を開発している中で、縫うことが難しいほど柔らかい生地が織り上がり、首に巻いてみるととても気持ちが良いことに驚いた。失敗したかと思った生地が、肌の敏感な人にもストレスなく身につけてもらえる綿菓子のようにフワフワしたショールの誕生に結びついた。

玉木さんは、現在、ショールを中心にシャツやパンツ、バッグなどを作っており、今年から子供服を作り始めた。より柔らかい生地を使って着心地が良くて動きやすい服を、甥や姪、従業員の子どもたちに着てほしいと思ったのがきっかけだった。

工場には少しずつ色合いが違う糸がいくつも並ぶ

工場内 先染めした糸が並ぶ

産地にいても工場に発注していたのでは、都会にいるデザイナーと同じであると考え、アトリエに機械を導入した。機械と対話しながら様々な糸を使って試作を重ね、tamaki niimeのショールが生まれる。織り上げられたショールは1枚ずつ縫製し、洗いをかけて天日干しする。

1965年製のヴィンテージものの機械を使い、彼女自身が時間をかけて織り上げた1点ものの作品「only one shawl」は、ガーゼのような風合いが人気を博し、空気を纏っているようなふんわりと軽い巻き心地を体感した人たちがリピーターとなっている。

工場内作業を行う玉木さん

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