すごいすと取材記

あこうぱん代表取締役鈴木誠 さん(44) 兵庫県

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パンで食育活動

鈴木さんは地域での食育活動にも積極的に関わっている。

「夫婦共働きで子育てをする中で、特に幼い時期の子育てがいかに大変なことかを実感したことがスタートでした」

パンの製造・販売という、時間的にも肉体的にも厳しい仕事をこなしながら子育てをしてきた鈴木さん夫妻。特に一日の始まりである朝食の食卓を、子どもたちと一緒にゆっくり囲めないことに引っ掛かりを感じていた。

同じように子育てをしている親たちのために、パン職人としての技術と経験を生かして、何か役に立てることはないか。朝の食卓を、短時間でも親と子の楽しいつながりの場にする手伝いはできないか。そう考えていた折、長男の通う幼稚園からの依頼で、朝食パン教室を開いた。このことがきっかけとなり、朝食パン作りを教えることとなった鈴木さん。最近では、隣接する相生市やたつの市の保育園や幼稚園からも依頼を受けている。

朝食パン教室でのメニューは、残り物のおかずを詰めて焼いたパンや、残った食パンを使用したフルーツフレンチトーストなど、忙しい朝でも、残り物の具材で簡単に作れるものだ。

そして鈴木さんは、この時必ずお母さんから子どもへの直筆メッセージを記したメモを、お子様ランチの旗のように爪楊枝でパンに差してもらうようお願いをしている。

パンは食べ物であるとともにコミュニケーションの道具でもあると語る鈴木さん。教室の中で、必ず親たちに伝えるひとつのメッセージがある。

「家族の食卓、それは生きる力をつける場所です。親が子どもに残すべき財産の一つは生きる力。それを伝えられる場所が食卓なのです」

この話を聞いた母親が、後日店に来て鈴木さんに言った。

「考えさせられました。これからは、家族の食事を作れることが自分の特権だと思って、子どもとの食卓を大切に楽しみます」

フレンチトーストにメッセージカードがささっている

お母さん直筆のメッセージが添えられた朝食パン

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