県民ボランタリー活動の促進等に関する条例

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平成10年9月25日公布  
平成10年兵庫県条例第39号



目次
前文
第1章 総則(第1条−第5条)
第2章 基本方針等(第6条・第7条)
第3章 基本的施策(第8条−第15条)
第4章 法の施行(第16条−第34条)
第5章 雑則(第35条)
附則


 未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災では、多くの掛け替えのない人命と住み慣れた街並みが失われた。この震災の経験は、これまで築き上げてきた既存の社会システムの脆弱さを気付かせるとともに、来るべき21世紀の社会の在り方を私たちに問い掛けた。他方、家族や地域における身近な人々の助け合いは、コミュニティの大切さを改めて認識する契機ともなった。さらに、県内はもとより、国内外から駆け付けてくれた数多くのボランティアや各種団体の活動のうねりは、新しい時代の芽生えを感じさせ、私たちに明るい希望を与えてくれた。
 兵庫県ではこれまでも、福祉の増進、まちづくり、環境の保全等地域の課題の解決に向けて、地方公共団体や事業者等とも連携しつつ、県民の自発的で自律的な取組である県民運動が各地で繰り広げられるとともに、真の豊かさの実現に向けて、県民が主体的に行動する幅広い生活創造の活動が展開 されてきた。このようにして培われてきた豊かな人間関係や相互協力の組織の存在が、地域の課題の解決への大きな礎となるとともに、阪神・淡路大震災では、被災者の支援や被災地の復興を支える役 割を果たしてきた。
 これらの経験を踏まえて、今後の社会の在り方を見据えたとき、県民一人一人やボランティア団体等による自発的で自律的な活動を積極的に評価するとともに、これらの活動の更なる発展に向けた取組が不可欠であると理解することが重要である。すなわち、今後の本格的な成熟社会においては、県 民一人一人から始まる自発的で自律的な活動が社会を支え発展させていく新たな原動力となる。そのような理解の下、私たちは、公的な領域と私的な領域の中間に位置する公共的領域における活動を担 うボランタリーセクターを社会の中に確立することを重要な課題として位置付ける必要がある。
 ここに、阪神・淡路大震災に際してのボランティアの活躍が制定の契機となった特定非営利活動促進法の施行に当たりボランタリーな活動の大切さを改めて認識し、この活動を促進するための基本的 な施策を定めるとともに、同法の施行に必要な事項を定め、もって県民の相互協力の下に、自由で調和ある自律社会の形成を図るため、この条例を制定する。
   第1章 総則
  (定義)
第1条 この条例において「県民ボランタリー活動」とは、県民が行い、又は県民のために行われる自発的で自律的な活動であって、不特定かつ多数の利益の増進に寄与することを目的とするもの(次に掲げるものを除く。)をいう。
 (1) 営利を目的とするもの
 (2) 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするもの
 (3) 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするもの
 (4) 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第 100号)第3条に規定する公職をいう。以下同 じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦 し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするもの
2  この条例において「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号。 以下「法」という。)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人をいう。
  (県の責務)
第2条 県は、県民ボランタリー活動の促進のための基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するとともに、市町が実施する県民ボランタリー活動の促進のための施策を援助し、かつ、その総合調整を図るものとする。
  (市町の責務)
第3条 市町は、当該市町の区域の状況に応じた県民ボランタリー活動の促進のための施策を策定し、及びこれを実施するとともに、県が実施する県民ボランタリー活動の促進のための施策に協力する ものとする。
  (県民の理解)
第4条 県民は、県民ボランタリー活動が地域社会に果たす意義を認識し、県民ボランタリー活動に対する理解を深めるよう努めるものとする。
  (事業者の配慮)
第5条 事業者は、その事業活動が地域社会と密接な関係にあることを自覚し、県民ボランタリー活動の円滑な実施に配慮するよう努めるものとする。


   第2章 基本方針等
  (基本方針)
第6条 知事は、県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針に定める事項は、次のとおりとする。
 (1) 県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する基本的な事項
 (2) 県民ボランタリー活動の機会の提供及び基盤の整備に関する事項
 (3) 県が県民ボランタリー活動の促進のための施策を実施するに当たり配慮すべき重要事項
 (4) 前3号に掲げるもののほか、県民ボランタリー活動の促進のための施策の推進に関する重要事項
3 知事は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、附属機関設置条例(昭和36年兵庫県条例第20号)第1条第1項に規定する県民生活審議会の意見を聴くものとする。
4 知事は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5 前2項の規定は、基本方針の変更について準用する。
  (施策における配慮)
第7条 県は、県民ボランタリー活動の促進のための施策を実施するに当たっては、県民ボランタリ ー活動に関する自発的意思を尊重するよう配慮するものとする。


   第3章 基本的施策
  (情報の提供)
第8条 県は、県民が県民ボランタリー活動に対する理解を深めることができるようにするとともに、県民の県民ボランタリー活動への参加及び県民ボランタリー活動の円滑な実施を促進するため、県民ボランタリー活動に関する情報を提供するよう必要な施策を講ずるものとする。
  (学習機会の確保)
第9条 県は、県民が県民ボランタリー活動を円滑に行うことができるようにするため、県民ボランタリー活動に関する学習の機会を確保するよう必要な施策を講ずるものとする。
  (交流の促進)
第10条 県は、県民ボランタリー活動を行うものの相互の交流の促進が図られるよう必要な施策を講ずるものとする。
  (協働による地域課題の解決)
第11条 県は、協働による地域の課題の解決を図るため、県、市町、県民ボランタリー活動を行う もの、事業者等が相互に協力及び連携を行うことができるよう必要な施策を講ずるものとする。
  (調査、開発等の推進)
第12条 県は、県民ボランタリー活動の実態についての調査、県民ボランタリー活動の円滑な実施 を促進するための手法の開発等を推進するよう努めるものとする。
  (支援拠点の整備)
第13条 県は、県民ボランタリー活動の促進のための施策を効果的に実施するため、県民ボランタ リー活動の支援の拠点の整備を推進するよう必要な施策を講ずるものとする。
  (県民の意見の反映)
第14条 県は、県民ボランタリー活動の促進のための施策の適切な策定及び実施に資するため、県民の意見を県の施策に反映させるよう必要な施策を講ずるものとする。
   (県民ボランタリー活動の促進のための措置)
第15条 県は、第8条から前条までに規定するもののほか、この条例の趣旨にのっとり、県民ボラ ンタリー活動の促進のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

   第4章 法の施行
  (設立の認証の申請)
第16条 法第10条第1項の規定により特定非営利活動法人の設立の認証を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。
 (1) 申請者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 (2) 特定非営利活動法人の名称及び代表者の氏名
 (3) 特定非営利活動法人の主たる事務所の所在地
 (4) 定款に記載された目的
2 法第10条第1項第2号ロの規定による条例で定める書面は、次のとおりとする。
 (1) 当該役員が住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)の適用を受ける者である場合にあっては、 同法第12条第1項に規定する住民票の写し又は当該役員の住所に係る同項に規定する住民票記載事項証明書
 (2) 当該役員が住民基本台帳法の適用を受けない者であり、かつ、外国人登録法(昭和27年法律 第125号)の適用を受ける者である場合にあっては、同法第4条第1項に規定する外国人登録原票の記載内容を証明する市町村(東京都の特別区の存する区域及び地方自治法(昭和22年法律 第67号)第 252条の19第1項に規定する指定都市にあっては、区)の長が発給する文書
 (3) 当該役員が前2号に該当しない者である場合にあっては、当該役員の住所又は居所を証する権限のある官公署が発給する文書
3 前項第3号に掲げる書面が外国語で作成されているときは、翻訳者を明らかにした訳文を添付し なければならない。
4 第2項各号に掲げる書面は、申請の日前6月以内に作成されたものでなければならない。
5 法第10条第1項に規定する書類のうち、同項第1号、第2号イ、第5号、第10号及び第11号 に掲げるものには、それぞれ副本を添えなければならない。
  (縦覧の公告)
第17条 法第10条第2項(法第25条第5項及び法第34条第5項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による公告は、兵庫県公報に登載して行うものとする。
2 前項の公告は、法第10条第2項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項について行うものと する。
 (1) 縦覧期間
 (2) 縦覧場所
  (設立登記の届出)
第18条 法第13条第2項の届出書の様式は、規則で定める。
  (役員の変更等の届出)
第19条 法第23条第1項の規定により役員の変更等の届出をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した届出書を知事に提出しなければならない。
 (1) 特定非営利活動法人の名称及び代表者の氏名
 (2) 変更年月日
 (3) 変更の内容
  (定款の変更の認証の申請)
第20条 法第25条第4項の申請書の様式は、規則で定める。
2 前項の申請書に添付する書類のうち、法第25条第4項の規定により添付する変更後の定款及び法第26条第2項の規定により添付する法第10条第1項第2号イに掲げる書類には、それぞれ副本を添えなければならない。
  (軽微な事項に係る定款の変更の届出)
第21条 法第25条第6項の規定により軽微な事項に係る定款の変更の届出をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した届出書を知事に提出しなければならない。
 (1) 特定非営利活動法人の名称及び代表者の氏名
 (2) 変更の内容
 (3) 変更の理由
  (事業報告書等の提出)
第22条 法第29条第1項の規定による書類の提出は、毎年(事業年度を設けている場合は、毎事業年度)初めの3月以内に行わなければならない。
2 法第29条第1項の規定により提出する書類には、それぞれ副本を添えなければならない。
第23条 特定非営利活動法人は、次の表の左欄に掲げる手続が完了したときは、遅滞なく、当該手 続の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる書類を知事に提出しなければならない。
    手         続
                 書            類  
設立又は合併の認証を受けて行
う設立又は合併の登記
当該認証に係る法第10条第1項第1号及び第8号に掲げる
書類並びに法第13条第2項に規定する登記に関する書類の
写し
定款の変更の認証
当該認証に係る変更後の定款

(事業報告書等の閲覧)
第24条 法第29条第2項の規定により閲覧の請求をしようとするものは、次に掲げる事項を記載した請求書を知事に提出しなければならない。
(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人その他の団体にあっては、その代表者の氏名
(2) 請求に係る特定非営利活動法人の名称
(3) 請求に係る書類を特定するために必要な事項
2 前項の閲覧は、知事が指定する場所で行うものとする。
(解散の認定の申請)
第25条 法第31条第2項の規定により解散の認定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。
(1) 特定非営利活動法人の名称及び代表者の氏名
(2) 事業の成功の不能となるに至った理由及び経緯
(3) 残余財産の処分方法
(解散の届出)
第26条 法第31条第4項の規定により解散の届出をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した届出書を知事に提出しなければならない。
(1) 特定非営利活動法人の名称
(2) 清算人の氏名及び住所
(3) 解散の理由
(4) 残余財産の処分方法
2 前項の届出書には、解散及び清算人の登記をしたことを証する登記簿謄本を添付しなければならない。
(清算人の届出)
第27条 法第40条において準用する民法(明治29年法律第89号)第77条第2項の規定により清算人の届出をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した届出書を知事に提出しなければならない。
(1) 特定非営利活動法人の名称
(2) 清算人の氏名及び住所
(3) 清算人が就職した年月日
2 前項の届出書には、清算人の登記をしたことを証する登記簿謄本を添付しなければならない。
(残余財産の譲渡の認証の申請)
第28条 法第32条第2項の規定により残余財産の譲渡の認証を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。
(1) 特定非営利活動法人の名称
(2) 清算人の氏名及び住所
(3) 譲渡すべき残余財産
(4) 残余財産の譲渡を受ける者
(清算結了の届出)
第29条 法第40条において準用する民法第83条の規定により清算結了の届出をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した届出書を知事に提出しなければならない。
(1) 特定非営利活動法人の名称
(2) 清算人の氏名及び住所
(3) 清算が結了した旨
2 前項の届出書には、清算結了の登記をしたことを証する登記簿謄本を添付しなければならない。
(合併の認証の申請)
第30条 法第34条第4項の申請書の様式は、規則で定める。
2 第16条第2項から第5項までの規定は、前項の申請書に添付する書類について準用する。
(合併の場合の財産目録等の備置き等)
第31条 法第35条第1項に規定する財産目録及び貸借対照表は、合併する各特定非営利活動法人について作成し、同条第2項の規定により債権者が異議を述べることができる期間が満了するまでの間、それぞれの主たる事務所に備え置かなければならない。
(合併登記の届出)
第32条 法第39条第2項において準用する法第13条第2項の届出書の様式は、規則で定める。
(身分証明書)
第33条 法第41条第3項の職員の身分を示す証明書の様式は、規則で定める。
(送付を受けた事業報告書等の閲覧)
第34条 第24条の規定は、法第44条第3項の規定による閲覧について準用する。


   第5章 雑則
第35条 この条例の施行に関して必要な事項は、規則で定める。
  附 則
この条例は、平成10年12月1日から施行する。



 
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