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兵庫県内の社会貢献企業を紹介

多様な活動資源とノウハウを持つ「企業」の社会貢献活動を促進し、「ひょうごの地域づくり活動」の輪を一層広げていくため、県内企業による社会貢献活動の実践事例や県の支援・促進施策をご紹介します。

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地域の魅力を大切に 地元密着型の社会貢献活動

企業資源の寄付

自主プログラム

事業者名 株式会社髙山堂
代表者名 代表取締役社長 竹本 清三
設立 昭和25年12月27日(創業:明治20年)
資本金 1,000万円
社員数 社員30名・パート70名
所在地 西宮市門前町1-14
主な事業活動 和菓子製造・販売
ホームページ 株式会社髙山堂のホームページ
掲載日 平成24年3月28日
(更新日:平成29年2月2日)

株式会社髙山堂 専務取締役 竹本 洋平さんにお話を伺いました。

地域での活動について教えて下さい。

                                   インタビューの様子               

 西宮市には魅力的で他の市町に誇れるものがたくさんあり、以前から和菓子屋としてそれらをどうにかしてPR出来ないかと考えていました。
 そのような時に、昔から西宮市内で市民の手により発行・配達されている情報誌「宮っ子」を目にし、コラボ企画を思いつきました。この情報誌は西宮市を25の地域に分けてそれぞれの地域独自の情報を掲載していますので、その地域と弊社も所属している「西宮菓子工業組合」とが連携して、各地域でオリジナルの銘菓をつくり、西宮市をPRすることは出来ないかと考えました。そこで、西宮市の協力も得て、各地域にそれぞれ独自のお菓子を一緒に作りませんかと提案したところ、10地域に参加いただけるようになりました。
 その10地域の中の、広田地区の住民の方と弊社が一緒に地域オリジナルの和菓子を作ることになりました。私たちは、和菓子をつくるにあたり、『地域を知る』ことから始めました。広田地区には廣田神社という有名な神社があるのですが、そこの宮司さんにお願いをして、地域の子どもたちに広田地区の歴史や有名なものなど、紙芝居を使ってとても分かりやすくお話ししていただきました。             広田地区歴史講習             
 当日は、子どもだけでなく、一緒にお母さん方もたくさん参加していただきました。参加者の中には「私たちの住んでいる地域にこんなに良いものがあるなんて知らなかった!」と話す方もおられ、子どもたちだけでなく、私たち大人も改めて地域のことを知るきっかけとなりました。
 私も、実を言うと、その宮司さんの紙芝居から、広田地区はツツジが有名であることをはじめて知りました。廣田神社の中に県指定天然記念物コバノミツバツツジの群生があるのですが、私を含め地域の多くの人(特に若い方)はそれを知らなかったのです。そこで、お菓子のデザインでは、ツツジの花を用いることになりました。実際に和菓子をつくる段階では、住民の方からも形や模様等についての意見を伺いました。『見た目のツツジのかわいらしさが欲しい』『美味しいお饅頭がいい』『日持ちするほうがいいな』等、住民の方からも多くの意見をいただき、私たちも創意工夫をこらしました。住民の方の意見は我々にとってとても新鮮で、住民のみなさんのアイデアを取り入れることで地域をPRできる商品ができました。

独自に食育活動にも取り組んでおられるようですが。

            ワークショップの様子             

 子どものうちから日本の伝統的なお菓子である和菓子と身近にふれあうことで、日本独自の食材や和菓子の歴史に興味を持って欲しいという思いから、手づくりの和菓子教室も実施しています。平成24年の1月末には『いちご大福づくり』のワークショップを開催しました。
 市内の小中学生が多数参加しくれたおかげでワークショップは大盛況でした。子どもたちは出来たてのお餅を触って『お餅があったかい』と驚きと発見の声でいっぱいです。このような子どもたちの反応は、私たちにとっても新鮮です。出来上がったお菓子は箱詰めし、箱に掛ける「掛紙」を作っていただきます。ハンコやペンで各自が様々にデザインを施し、いつもとは違う『いちご大福』になりました。これをプレゼントされたおじいちゃんやおばあちゃんはきっと嬉しいでしょうね。このようなワークショップを通じて、子どもたちがお餅の触感を感じてくれたり、また髙山堂の和菓子が家族団らんのお手伝いができたりすることをとても嬉しく思います。

商品の掛け紙でも西宮市をPRする活動をされているとか。

            「西宮三十六景」             

 掛け紙での活動をはじめるきっかけは本当に偶然の出会いからでした。ふと立ち寄った夙川のギャラリーSHIMAでオーナーの島さんとお話する中から、西宮の風景を画家の方に描いていただけたらいいなぁという話になりました。
 そこで、もっと身近に西宮市の豊かな自然や有名な建築物を見てもらうために、和菓子の箱を包む掛け紙を西宮市の風景等にすることでPRできるのではないかと考えました。絵画の制作に際しては、私ども和菓子業界だけでなく、異業種の方と一緒に西宮のための活動をしたいと思い、西宮にゆかりのある作家さんに協力を依頼しました。今までに西宮・春夏秋冬の4種類が掛け紙として、弊社のお菓子とともに全国へ贈られています。今後、9年かけて9名の画家先生の協力を得て「西宮三十六景」として完成させる予定です。西宮の魅力をもっと多くの人に地元の人だけでなく全国の人に一層知ってもらえればと思っています。

東日本大震災の支援活動について教えて下さい。

 平成23年3月の震災以降、私たちが何をするべきなのか、また、何が出来るのかを考えました。まもなく震災から1年が経過しますが、弊社は継続して、義援金をはじめ、ボランティア団体を通して日持ちのする商品を被災地に届けてもらうなどという活動をしてきました。また、兵庫県菓子工業組合の中でもお菓子屋さんの組織として何をするべきかという議論を重ねました。その中で、私たちが阪神・淡路大震災で被災し、何が最も辛いことか考えたところ、時を経るごとに少しずつ忘れられ、風化することであると気付きました。そこで、私たちはいつでも支援できるような意識でいることを被災地の方に感じてもらえるように、東北の菓子組合と今必要としていることはないか、何か手助けできることはないかなど、定期的に連絡を取り交流を続けています。
 もちろん、すぐにでも被災地へ飛び、ボランティア活動に参加した方が良いのでは、という声もありましたが、我々が主体となって行う支援活動は1年ほど控え、現地に受入れる余裕ができた時に活動することとしました。そして、平成24年2月下旬頃に各店のお菓子に店舗やスタッフから集めたメッセージカードを添えて配りました。
 私個人もすぐにでも行くべきか迷いましたが、本業をほったらかして行くのは地元のお客様にも失礼な気がしました。現地のお菓子屋さんはお菓子をつくりたくてもつくれない状況にある。でも、自分たちは作ることができる。それならまずは、目の前の仕事をきっちりこなして、お客様に喜んでもらうことが、巡り巡って被災地のためになると思いました。

これから社会貢献活動に取り組もうとする企業への一言をお願いします。


 現在は、同じ業種、同じ地域であっても競合する時代ではないと思います。「地域のために何かしたい!」を感じる皆さんで手を取り合い、良い情報やノウハウは共有していくというのが正しい姿だと思います。
 もし、同じように何かやりたいと思っていらっしゃる方がいれば、ぜひ一緒に活動が出来ればと思います。

取材を終えて…

           

 私も西宮に住んでおり、お店もよく知っていましたが、そのお店が今日聞いた様な活動をされていることは知りませんでした。私は大学でまちづくりの勉強をしていますが、コミュニティーは自然発生的であるべきです。いくら活性化を目指そうとしても地域の人にやる気がなければ上手く進みません。その点では、西宮を代表する菓子店髙山堂さんの、地域とアートをつなぐ地域貢献活動はほんとうに素晴らしいと思います。竹本専務の意欲とエネルギーに満ち溢れた行動力が高山堂を、そして西宮を引っ張っているように感じました。専務の様なアクティブな方と出会えて、私自身もとても刺激を受けました。貴重なお話しを本当にありがとうございました!
(インタビュアー 関西学院大学4年 山本翔子)

本日はありがとうございました。

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