ひとつ戻る トップへ

ネットワーク第133号 特集

おおやアート村/大屋富士男校長先生(背景の山)と一緒に 宇仁郷まちづくり協議会/コスモスまつり
    
       特集 地域資源を生かした新しいふるさとづくり


 人口減少社会を迎えた今、地域の活力を創出していくには、これまで受け継がれてきた多様な地域資源を生かし、住民みんなで力を合わせ、地域の魅力アップを図ることが求められています。
 今回は、Uターン・Iターンを機にふるさとづくりに取り組まれているお二人が、「地域資源を生かした新しいふるさとづくり」をテーマに知事と語り合いました。

加西市宇仁郷まちづくり協議会
NPO法人 おおやアート村
兵庫県知事

会長  丸岡  肇 さん
理事長 田中 今子 さん
     井戸 敏三
 

定年後、加西へUターン

丸 岡  私は都会に出てサラリーマン生活を送っていましたが、定年後はこれまでの経験を生かして地元への恩返しがしたいと思い、ふるさとに帰ってきました。
 その時、地域の小学校が児童数減少と校舎の老朽化により統廃合されるという問題が出てきました。小学校は地域社会のシンボルです。小学校がなくなれば地域全体が疲弊してしまうと考え、7人の仲間とともに小学校存続運動に立ち上がりました。それまでも宇仁小学校建設期成同盟を立ち上げるなど、陳情や請願活動を続けていましたが、行政や市民の理解を得ないと小学校存続は実現しないと気づきました。そこで、住民主体の地域活動を活発にして、若い人たちが住み続けたいと感じる住みよい地域づくりに取り組もうと、平成20年に宇仁郷まちづくり協議会を結成しました。
 地域ぐるみで取り組もうと、全体会議のもとに、子育て支援や花や緑による環境美化など活動テーマ別に7つの部会を設け、相互の連携を図りながら、地域内の7町それぞれに活動しています。月2回会合を開いています。
知 事  月2回の会合は大変ですね。
丸 岡  定期的な会合がないと、求心力がなくなってきます。地域の皆さんのおかげで、この運動が実り、小学校がいよいよ建設されることになりました。
知 事  建て替えが実現した訳ですね。それはおめでとうございます。
丸 岡  協議会結成のきっかけは、県の県民交流広場事業でした。平成20年に北播磨県民局の説明を聞き、子育て支援やふれあい交流をテーマに広場事業を実施してきました。また、県の地域づくり活動支援市町モデル事業にも採択されました。加西市からの助成もありました。これらの支援が学校建設の原動力になってきました。現在の児童数は84名。放っておくと6年後には56名になるので何とかしなければなりません。
知 事  児童数が減ってしまうのですね。

井戸知事

丸 岡  子どもの数をいかに増やすかが、これからの活動の大きなテーマです。生活が便利なので、隣接する加東市や小野市、加古川市に、宇仁出身者が20世帯60人程度住んでいます。その方々に直接お願いして、8世帯に帰ってもらいました。予備軍も10世帯ほどあります。その世帯が帰ってくれば、大きな流れになると思います。
 IターンやJターンといった新規の方々をどのように呼び込むかも課題です。宇仁の豊かな自然環境と農業資源を生かし、田んぼや野菜づくりといった農業に関心のある人達をいかに取り込んでいくかが、これからの目標です。
知 事  児童数が84名だと1学年10〜15名程度ですか。やはり1クラス10人は必要ですね。10人を割ると、クラスの中に階層ができ、それが固定化することもありますね。
丸 岡  新校舎の建設で皆さんに喜んでもらえましたが、大きな課題も背負いました。
知 事  新校舎の建設を実現され、直接若者世帯の勧誘に出かけるなどはなかなかできることではありません。皆さんの努力が実を結びましたね。

丸岡 肇さん

第二のふるさと大屋へのIターン

田 中  私は絵の仕事をしており、静かな田舎でゆっくりと絵を描いて暮らしたいと思い、8年前に大阪から養父市大屋町にIターンをしました。まちおこしに取り組むことになるとは私の人生計画に全くありませんでした。
 大屋町を選んだのは、17年前に町主催の木彫フォークアートの公募展を見に行った際に、田舎での素晴らしい取り組みに衝撃を受けたからです。先にIターンで住んでいた友人の陶芸家から、おもしろい所なので一度遊びに来てと誘われました。現在は大阪から車で2時間程ですが、当時は交通の便も悪くて4時間以上かかりました。ひたすら山の中を運転したので、いったいどこまで行くのかと思いました。
知 事  4時間かかったことが、Iターンにつながりましたね。
田 中  大阪の友人からは、田舎がよければ大阪にも能勢があるのにと反対されました。子どもが田舎に馴染めないのではという心配もあり、移住まで1年間悩みました。子どもも最初は大反対でしたが何とか説得しました。
知 事  よく承知されましたね。お子さんは何年生でしたか。
田 中  ちょうど中学校に上がるときです。小さい頃から、大屋在住の作家のグループ展「うちげぇのアートおおや」を見に、年に一度は連れて行っていました。
知 事  それで大屋に馴染みがあったのですね。
田 中  大阪の友人とその子ども達と一緒にログハウスに泊り、大人はアートを楽しみ、子どもは川遊びなどをして過ごしました。最初、移住の話をすると、友達と別れるのが嫌ですごく反対もされましたが、小さい頃の川遊びの体験がとても楽しかったのか、最後には大屋だったら行くと言ってくれました。
知 事  お子さんは今どうされていますか。
田 中  高校を卒業して大阪の専門学校に行きました。この春から大阪で就職も決まり、独り立ちできるようになりました。
知 事  最近、子どもが独立した後、人生の総仕上げとして、U・J・Iターンを選ぶ方が増えています。田中さんのIターンにもドラマがあったのですね。

田中 今子さん

田 中  そうですね。大阪で絵の教室などもしていましたが全部辞めました。
知 事  大屋での生活に必要な収入はどうされましたか。
田 中  大屋で制作をして、都会で展覧会をすれば何とか暮らせると思いました。
知 事  大屋には絵を描く題材が豊富にあるんですね。
田 中  私は自然が好きで、自然の中に咲いている野花などを絵のテーマにしています。大阪にいると、わざわざ出掛ける必要がありましたが、今ではドアを開けると目の前に自然が広がっています。
知 事  大屋を選択したかいがありましたね。それと人のよさと食べ物も魅力です。
田 中  住んでみて大屋の魅力がよく分かりました。

ふるさと意識の醸成と体験教育

知 事  県の人口が減少しはじめたこともあり、昨年から私はふるさと意識を子ども達に持ってもらいたいと強調しています。ふるさとによい思い出があれば、丸岡さんのように恩返しで戻ってきたり、都会の学校を卒業したら地元で働こうという、動機付けにもなります。
 田中さんの場合、お子さんの川遊びの経験がIターンに結びついたということですね。
田 中  息子は都会で生まれ育ちましたが、本当に大屋が好きで、「いずれは帰ってきたいな」と言っています。
知 事  ふるさとでの経験をいかに自分の血肉にするかが大変重要です。県では全ての小学校3年生を対象に体験型環境学習を実施しています。例えば、畑であれば、種蒔き、肥培管理、収穫したら食べるという流れは、今の小学生にとって忘れがたい経験になっています。そのような体験がふるさと意識にもつながると思います。そういう意味で、お二人は、ふるさと人・兵庫人のモデルです。そのような人の活動を紹介するホームページ「ふるさと兵庫“すごいすと(人)”」を新たに実施します。ぜひお二人に登場してもらわないといけませんね。
 丸岡さんが恩返しでふるさとに帰ろうと思われたのは、どのようなきっかけですか。
丸 岡  自分の人生を振り返ると、人生には5つの段階があると思います。0歳から20歳位までは育ちの期間で、20歳から60歳までは第1の社会貢献の期間。職業を通じての社会貢献と家庭を作るという2つの大きな目的があります。60歳から65歳は、次の段階のための充電期間です。そして65歳から74歳が第2の社会貢献の期間で、これまでの経験や技術を生かして40年間でできなかったことや、人の役に立つことに取り組み、自分自身の完成度を高めることが目的です。後の75歳以降は寿命の話しです。
 私は、この人生の第2ステージこそ自分を育んでくれた地域に恩返しをする期間だと思います。この協議会で積極的に活動している方も、私ぐらいの年齢が多いです。75歳でも80歳でも元気な間は自分の培った経験・技術で地域にお返しする、それがふるさとへの貢献につながると思います。

ふるさとの活性化に向けた取組

知 事  田中さんは、「おおやアート村」の理事長もされていますね。
田 中  平成21年に市が大屋芸術村構想を提唱したことを受け、「おおやアート村協議会」の設立に参加し、事務局長として活動しました。今年1月のNPO法人設立の際には、私のような外から来た立場の方が、まちづくりに自由な発想で取り組めるのではないかと考え、理事長を引き受けました。
知 事  大屋には芸術が好きな子どもはたくさんいますか。
田 中  私が来るまで大屋の子ども達は、美術系の大学に行きたくても画塾がないのであきらめていました。あるとき2人の高校生から大学進学に向け絵を教えてほしいと頼まれました。大屋では教室を開くつもりはなかったのですが、これをきっかけに私の家で教えるようになりました。今年も2人が大学に入るなど、毎年2、3人、養父市内の子どもに絵を教えています。
知 事  大屋の子ども達は自然の中でのびのび遊んでいますか。
田 中  田舎だからといって、自然の中で遊んでいるわけではありません。友達の家に集まりゲームをして遊んだりしています。山に入ったらダメ、田んぼや川で遊んではダメなど、近くに遊び場もなく結構窮屈そうです。子ども達の居場所づくりがとても必要だと思いました。

宇仁郷まちづくり協議会の取り組み

沿革

 児童数の減少により地区の小学校の統廃合が検討されるなか、地域コミュニティの拠点であり、心のふるさとでもある小学校を守ろうと平成20年2月に設立。児童数確保のため、若い世代が住み続けられる住みよい地域づくりに取り組み、ふるさと再生をめざす。
 地域をあげての子育て支援に加えて、UJIターン促進のため、都市部住民との交流や、新規居住者用の住宅地整備にも取り組むなど、幅広い分野で事業を展開している。
主な取組
●宇仁子育て支援センター:住民がボランティアで幼児の預かり保育と学童保育を実施。
●宇仁の里・花畑街道部会:休耕田や道路沿いに花を植え、春は菜の花、秋はコスモスで宇仁の沿道
  を花いっぱいにする。
●宇仁の朝市部会:農産物の地産地消をめざし、中高年の生きがい、ふれあいの場として、新鮮で、安
  心・安全、安価な地元野菜を販売。
●里山ふれあいの森部会:八王子神社鏡山等を里山に整備。沿道でコスモスを栽培。
●住宅部会:UJIターンを促進するため、新規居住者用宅地を整備し、他市町の人たちとの交流やPR
  を行う。
●ふれあい交流広場部会:県民交流広場「宇仁ふれあい館」をベースに、ふれあい喫茶、子育て相談、
  うたごえ広場、手芸教室など地域住民の交流の場づくり。
●情報部会:毎月1回広報紙「宇仁郷通信」を発行、地区に全戸配布。ホームページの発信。

知 事  私が座談会をした地域でも、受験勉強のために塾に行かせるからと、農作業を子どもに手伝わせていない例がありました。都会と本当に変わらなくなり、せっかくの豊かな自然環境を生かせていません。私がふるさと意識を育てようと思ったきっかけの一つです。
田 中  子ども達の生きる力を育てる意味でも、アート村を遊び場にしてもらえたらと思います。小さい子が絵の具を触り石ころに色を塗ったり、糸のこを使ったり、皆でジャングルを作ったりすると、本当にいきいきしています。
知 事  そういう経験をしたかどうかで全然違いますよね。
 「おおやアート村」のスタッフは、町外から来た人が多いですか。
田 中  30人程のメンバーのうち、10名は地元で活動するアーティストで、町外の人も数名います。地元の八鹿高等学校大屋校の卒業生も応援してくれて、草刈りやイベントをお手伝いしてくれます。
知 事  木彫フォークアート展との連携はどうされていますか。
田 中  スタンプラリーを一緒にするなど協力し合っています。両方行くともらえる缶バッジがとても人気で、みんなで一生懸命作りました。
知 事  芸術家の皆さんが集まることで、本当の意味でのアート村になると嬉しいですね。
田 中  アート村の拠点施設「ビッグラボ」が、昨年4月にプレオープンしました。きっかけは、知事が大屋に来られた際に、廃校となる県立八鹿高等学校大屋校を、地元の作家たちで使ったらどうかと提案いただいたことです。皆でここを使えたら一番いいねと言っていたので、本当に喜んでいます。ありがとうございました。

おおやアート村の取り組み

沿革
 養父市が大屋地域で推進する芸術によるまちづくり構想「おおやアート村構想」の推進主体として、平成22年5月、市民と行政で「おおやアート村協議会」を設立。かつて明延鉱山で栄えた同地域が有する歴史、産業、文化、自然など豊かな地域資源をアートと結びつけることで、新しい価値や広がり、つながりの創出をめざす。
 平成24年4月、アート村の中心拠点施設「BIG LABO」が、廃校となった県立八鹿高等学校大屋校を再活用してオープン。多くの来場者がアート体験を楽しむ。
 平成25年1月、特定非営利活動法人格を取得。
主な取組
●おおやアート村「BIG LABO」の運営
 ・展示場(ラボ×ラボ):体育館の雰囲気をそのまま活かした展示場。大小2つの展示室で、常設展や
  企画展など、貸ギャラリーとしても利用可能。
 ・創作棟(ひらめきラボ):木造校舎を改装。木彫・木工、書、絵画、陶芸、染織、さをり織などの教室で
  誰でも参加できるワークショップを実施。
 ・アトリエ棟(ときめきラボ):校舎の教室や校長室等を改装し、平成25年春オープン。2階は貸しアトリエ
  として入居アーティストを募集。1階はマンガ図書室、こども工作室、遊べるギャラリーなどに使用。
●農山村体験事業:農家の暮らし体験、料理体験等
●地域づくり交流・連携事業:地域活動団体間の交流、都市住民との交流等

知 事  橋渡しができてうれしいです。
 隣りの大屋中学校の授業もされていますね。
田 中  校長先生がものづくりが好きで、美術の授業を「ビッグラボ」で受けさせたいと話がありました。地元の作家による木彫の授業や、私も夏野菜を描く授業を担当しました。
知 事  おおやアート村の特徴は、木彫や絵の分野などで高い評価のある作家の皆さんが活動されていることですね。
田 中  集まった作家は、大屋が好きで、まちを元気にしたいという気持ちを持っていますから、イベントの際には、積極的に協力してくれます。
知 事  それはうれしいですね。
 丸岡さんは、芦屋市との交流もされていますよね。
丸 岡  芦屋市翠ヶ丘まちづくり協議会との交流は、とても上手くいっています。私たちが何とも思わないところを、芦屋の方は田舎の良さだと言われます。例えば、田植え体験は、こちらにとっては重労働でしんどいだけですが、非常に感激されます。価値観が違うということを認識しました。
知 事  どのようなきっかけで交流が始まったのですか。
丸 岡  県から派遣してもらった、まちづくりの専門家を通じて、芦屋市翠ヶ丘まちづくり協議会の会長さんと知り合い、宇仁のイベントに参加してもらったのが始まりです。宇仁地区の近隣で開催している「宇仁の朝市」を、芦屋でも開催してほしいと依頼があり、偶数月の第1金曜日に実施しています。農産物を持って行くと、軽トラック4台分が1時間で売り切れてしまうことがあります。翠ヶ丘の協議会が予約や段取りをすべてしてくれるので、我々は持って行くだけです。お年寄りが多いので、マンションまで野菜を運んだりします。都会との交流はどちらにもプラスがないと続かないですね。
知 事  県では小規模集落対策として、交流を通じた地域振興に取り組んでいますが、地方が都会の方を迎え入れるばかりでは疲れてしまう。相互扶助で地方側にもメリットがないとダメですよね。
 宇仁では宅地販売もされていますね。
丸 岡  通常、市街化調整区域では地域に10年以上住まないと家を建てられないのですが、平成23年に県の特別指定区域制度を活用し、新規の方でも家が建てられるエリアを地区内に18500u、約40戸分確保しました。一方で、地域にはまだまだ都会の方を受け入れることに抵抗感があります。重要なことは、このまま人口が減ると、我々の集落にどのような影響があるかという意識改革です。
知 事  よくこのような大胆な住宅開発に踏み切られましたね。
丸 岡  時間はかかりますが、これをしなければ小学校がもたなくなります。


知 事  生徒を増やすには、若い世帯に住んでもらおうということですね。
 以前、郡部の市町で公営住宅を造って若い世帯に住んでもらおうという動きがずいぶんありました。しかし、今は公営住宅の入居基準が厳しくなりすぎて、なかなか公営住宅に住めない。新婚でも共稼ぎであれば所得要件がオーバーしてしまうこともあります。丸岡さんの取り組みが上手くいけば、これをモデルにして次々と波及するかもしれません。
丸 岡  新校舎の建設に伴い使わなくなる小学校のグランドに公的住宅を建設してくれるよう市に要望しています。宇仁小学校スクールタウンと名付け、子どもが小学校を卒業すると、新たな世帯に譲ってもらうような制度にすれば、ある程度の生徒数を確保できると思います。
知 事  中学生の世帯まで対象にされてはどうですか。これはおもしろそうですね。
丸 岡  少子高齢化の進展で世の中が大きく変わってしまったので、時代にマッチしたことを思い切ってしてみないと、上手く回らないと思います。
知 事  田中さん、おおやアート村「ビッグラボ」では、どのような取り組みをされていますか。
田 中  オープンから1年が経つこの春には、教室を貸しアトリエに改修します。木彫、デザイン、絵画、陶芸、映像、詩を書くなどジャンルを特化していないので、アートで頑張る様々な分野の人に利用してほしいです。
知 事  人をどれだけ引き付けられるかが一つのポイントになりますね。
田 中  東京出身で大屋在住のデザイナーが「夢但馬2014」のロゴマークやバッジのデザインをしてくれました。大屋が気に入り、デザインでまちを元気にしたいと一生懸命活動してもらっています。無形民俗文化財の大杉ざんざこ踊りののぼりを新たにデザインしてもらったところ、お客さんも増えたと地元でも喜んでもらえました。その方も貸しアトリエを希望されています。
知 事  アーティストの皆さんが住む場所はありますか。
田 中  空き家はたくさんありますが、単身の若い人には、田舎の一軒家は広すぎて寒いなどの問題があります。
知 事  空き家の台所や風呂場などの水回りの改装には300〜500万円程度かかります。県では来年度から空き家改装経費の助成を始めることにしています。
田 中  この前も空き家を無料でも貸したいという人がいましたが、水回りを直してまでは貸せないと言われていましたのでありがたいです。

今後の抱負

知 事  最後に、お二人の今後の抱負についてお聞かせください。
丸 岡  子どもの数を増やし、地域を活性化、持続させるには、地域の価値を上げなければいけません。それに向け、どのようなテーマを素材にするのかを議論したい。当面の課題としては、外から来る人が滞在できる施設を整備したいと思っています。私も小さい頃は、農繁期には学校が休みになって田んぼに行ったり、そういう中で育ちました。鮭が自分の生まれた川に帰ってくるように、ふるさとに帰る習性は、小さいころから育まないといけません。もう一つは、40年間ふるさとを離れグローバルに活躍されたような方にも、65歳から75歳ぐらいになれば、自分の生まれたふるさとにお返しする、貢献する責務があるんだと考えてほしいなと思っています。
田 中  この春グランドオープンする、おおやアート村「ビッグラボ」を拠点にアートの魅力を伝えたいです。天滝、樽見の大桜、明延鉱山、一円電車など、大屋の素敵な地域資源とのつながりをつくり出し、まち全体が元気になるよう、皆さんと取り組んでいきたいです。
知 事  宇仁郷は小学校、大屋はアートがポイントということですね。お二人の活動を聞いて、大変心強く思いました。子ども達のために小学校を維持し、地域の活性化をめざすこともこれからの夢ですし、アートを通じた地域づくりもまさにこれからにかけるというお気持ちでしょう。ふるさとは、自分たちの地域の夢をどう実現していくかに関わる、大変広い概念だと改めて実感しました。これからも新しいふるさとづくりにご尽力いただくことを期待しています。