当神社の薪能は、昭和五十五年地元の有志によって再興され、隔年開催により本年で二十九年十六回を数えるに至っています。もともと境内には元禄十二年建立とされる能舞台があり、古くは山崎藩主本多公の奉納薪能が催されていたようです。しかし、三百年の風雪に耐えた舞台も老朽化が著しく、一昨年地元の篤志家により大改修が施され、入母屋造りの本格的な能舞台が甦りました。
この薪能の運営は、地元の謡曲を楽しむ有志で作る宍粟市謡曲同好会が中心となり、奉賛会を結成して行っておりますが、その資金については、ほとんどが地元を中心とする企業の協賛に頼っています。毎回第一部に地元のアマチュアによる謡曲や仕舞が演じられ、夕刻からの第二部で京都大阪方面より来演願う、当代一流の能楽師による能・狂言の公演(入場無料)を行っています。
今回は特に、初めての試みとして、第一部で子どもによる謡曲・仕舞・鼓の体験発表を行い、夏休みの稽古の成果に大きな拍手が送られていました。また、第二部でも観世流能楽師の杉浦豊彦師ほかによる能「雷電」などに、秋風のそよ吹く境内を埋め尽くした観客は、幽玄の世界を愉しんでおりました。
これからも同好の皆さまとともに、子どもたちに伝統芸能の素晴らしさを伝え、地域文化の向上と、観光振興にいささかでも寄与できればと願っております。
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一流の能楽師による能「雷電」 |
子どもたちも練習の成果を披露 |
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