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ネットワーク第123号 特集

 
 夢ナリエでの活動 立杭まち歩き 
   
    
特集 芸術文化を地域で盛り上げよう


 社会における芸術文化の果たす役割はますます大きくなっています。
 兵庫県は、日々の暮らしの中に芸術文化が息づく「芸術文化立県ひょうご」をめざして、芸術文化の振興を図っています。
 今回は、芸術文化を通じて、人や地域を元気にする活動に取り組んでいるボランティアの皆さんが、「芸術文化を地域で盛り上げよう」をテーマに知事と語り合いました。

                                     兵庫県立美術館ミュージアム・ボランティア
                                                     桐原 康多 さん
                                                     垣尾   稔 さん
                                     陶芸文化プロデューサー
                                                     寺岡 紘三 さん
                                                     井上 和子 さん
                                     兵庫県知事
                                                     井戸 敏三 
 




桐原





知事

垣尾
美術館ボランティアとの出会い

 サラリーマンの卒業が迫ってくるにしたがい、卒業後はガラッと生活を変えたいと思っていて、その選択肢の一つにボランティアもありました。そんなときに、たまたま県が博物館・美術館の解説ボランティアを募集していることを知って、人前で話をすることがそれほど苦にならないほうだったので、やれるかもしれないと思い、応募しました。研修を受けたあと、近代美術館で解説ボランティアを始めました。

 垣尾さんは、いかがですか。

 きっかけは、桐原さんと同じような感じで、定年退職を機に、県の博物館・美術館ボランティアの養成講座に応募しました。
 県立美術館では「こども班」で活動しています。学校から美術鑑賞に来た子どもたちの「おっちゃん、なんで? 」との問いに、分かりやすく答え、楽しんで帰ってもらうのが役目だと思っています。子どもたちから元気をもらっています。

桐原 康多さん 知事

知事



垣尾



 現代アートを中心とした金沢の21世紀美術館では、子どもたちが楽しめるような取り組みをすることで、「また行ってみたい」となって、今度は親子連れで来てもらえる。それで随分好評を博しているようですね。

 あそこも体験型ということで、来場者が自分で実際にやってみることができるようになっているそうです。県立美術館でも「こどものイベント」で絵を描いたり、工作をしたりしています。学校から初めて美術館に来た子どもたちに「楽しかった人?」と尋ねて、手を挙げて元気よく「はーい!」と返事がかえってくるとうれしいです。

垣尾 稔さん

知事

桐原


知事


 桐原さんは解説ボランティアをされていて、どのように感じられていますか。

 「面白かった」「知らなかったことを教えてもらった」といった感想を聞くとうれしいです。「やった!」という気持ちになります。

 現在、小・中学生は「ひょうごっ子ココロンカード」を提示すると、県立美術館や陶芸美術館などに無料で入場することができます。来年からは、県外の子どもたちも無料にしたいと検討しています。芸術作品に触れるということは、人としての成長に良い刺激を与えるのではないでしょうか。県としてもその機会の提供に努めています。



寺岡




陶芸文化と地域の魅力発信

 3年ほど前に陶芸美術館の「県民陶芸大学」を受講しました。土を触ったのは本当に初めてでしたが、そのときの仲間が集まって、「陶芸文化プロデューサー」の活動を始め、地域の魅力を伝える情報誌として「丹波立杭の里ミュゼレター」を作ったりしています。
 陶芸美術館の乾館長は地域全体がミュージアムだとおっしゃっていますが、私が活動を始めた動機も、陶芸を通じて、地域の情報発信ができればというところにありました。美術館と地域に支えられながら、活動させてもらっています。

寺岡 紘三さん

知事



 陶芸美術館は、素晴らしいロケーションにありますので、来館された方は、立杭の里でそぞろ歩きも楽しんでいただけます。また、陶の郷で陶芸を体験された方が、美術館で体系的に勉強していただけるように、立杭の里との一体的な運営をめざしてきました。寺岡さんのお話をお伺いして、連携が少しずつ進んできていることを実感しました。

井上 和子さん 窯元路地歩きマップ

井上



知事


寺岡


知事

寺岡



 この3月にいなみ野学園の陶芸学科を卒業しました。学園で陶芸に触れたことがきっかけで、陶芸美術館の「県民陶芸大学」を受講しました。そこで、すてきな仲間に出会い、一緒に楽しくボランティアをしています。いなみ野学園のおかげと感謝しています。

 陶芸美術館を建てるときに、どういう建物をつくったらよいか随分議論しました。やはり借景を活用しようということになり、立杭の里を一望できる砦風の展望デッキをつくりました。

 デスティネーションキャンペーンで、ボランティアガイドを務めましたが、全国から来られた方も広いデッキで、素晴らしい景観を楽しんでおられました。

 陶芸の解説は難しくないですか。

 昔ながらの町並みや田舎道が残る“やきものの郷”を歩きながら、たくさんある窯元さんの工房やギャラリーなど、一人ではなかなか入りにくいところをお邪魔して、作陶風景や場合によっては登り窯を焚いている様子などを見学していただいています。窯元の素顔に触れ、匠の技を間近に見てもらうことで、みなさん感激して、やきものを見る目がこれまでと変わられるようです。



垣尾





知事





垣尾




地域に開かれた美術館をめざして

 先日、県立美術館の地域活動として、灘区のまつりである「夢ナリエ」に参加しました。昨年はうちわで、今年は竹と色紙を使って、ウグイス笛をつくりました。私たちは、子どもたちに分かりやすいように実演してみせたり、実際につくってもらったりするお手伝いをしました。
 遠くから来られる人も大事ですが、近所の人に「美術館に行けば、何かやっている。なんか楽しいな」と思ってもらえることが大切だと考えています。

 芸術文化センターをつくるときに、佐渡監督がオープン前に付近の小・中学校を訪ねて、音楽のおもしろさ、楽しさを伝えてまわりました。それで、近所の人たちがファンになりました。また、昼間にワンコインで気軽に楽しむことのできるコンサートを開催することで、クラッシックを初めて聴く人たちも増えていきました。
 垣尾さんがやられていることも、まさに同じことですね。

 レストランに例えるなら、オーナー(美術館)がそろえた素材(作品)をシェフ(学芸員)が素材を生かして大事に料理(展示・解説)する。私たちはお客さんに届けるウエーターのようなものだと思っています。子どもたちに分かりやすく伝え、一緒に実践する。帰って行くときの笑顔を見るのが楽しみです。

夢ナリエでの活動 ウグイス笛の実演

桐原










知事




 美術館でのボランティア活動は、近代美術館の頃を含め20年になり、今年記念誌をつくりました。
 現在230人ほどが登録しており、平均年齢は約57歳です。女性が圧倒的に多く、男性の多くはサラリーマンの卒業者です。
 近代美術館から移ってくるときに、より自立した活動ができるような体制をつくろうと、ボランティアの事務局を作りました。呼びかけに手を挙げていただいた20名ぐらいの方々で、ボランティアの登録更新手続き、名簿の管理、年4回の例会の開催、機関紙「ボランティアだより」の発行などを行っています。
 私は解説班にも属していますが、お聴きいただいたお客さんの拍手を糧に頑張っていきたいと思っています。

 美術館の命はもちろん作品や学芸員の資質ですが、それを光らせるのはボランティアの皆さんです。来館される方のほとんどはプロではありませんので、来館者の方が関心を持っている事柄に対し、いかに的確にアドバイスしていくのか、あるいは説明していくかということが、美術館のもう一つの役割です。そういう意味では、皆さんの活動は、きっと学芸員にも良い刺激を与えていただいているのだと思います。これからもよろしくお願いします。

こども班の活動 解説班の活動



寺岡


知事



地域の仕掛け人として

 「陶芸文化プロデューサー」という名前にふさわしいよう、「地域づくりの仕掛け人」と思って、地域の魅力を十分伝えるために、今後も何か積極的に仕掛けていきたいと考えています。

 いろいろなイベントも含めて、プロデュースしていただけるということですね。ぜひよろしくお願いします。特に窯元と連携した活動がさらに行われると、陶芸美術館としても大きな意味があると思います。


井上


知事

 心安らぐ風景と陶芸文化。素晴らしい環境のもとで、今後も陶芸美術館の仲間と一緒に、いろいろなことに取り組んでいきたいと思います。

 今日はありがとうございました。これからも頑張ってください。